平成28年2月19日
総合政策

(仮称)松阪飯南ウィンドファーム発電所に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、19日、三重県で計画されている「(仮称)松阪飯南ウィンドファーム発電所に係る計画段階環境配慮書」(合同会社松阪飯南ウィンドファーム)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、三重県松阪市において、最大で総出力25,200kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、希少猛禽類等の鳥類に関する調査、予測及び評価を行い、風力発電設備等の配置等の検討に反映すること、景観の予測及び評価に当たっては、専門家等からの助言並びに管理者、利用者及び関係自治体等の意見を踏まえること等を求めている。

1.背景
 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である合同会社松阪飯南ウィンドファームに対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要
 本事業は、三重県松阪市において、最大で総出力25,200kWの風力発電所を設置するものである。
 本事業の事業実施想定区域は、白猪山を含む東西の尾根上に位置し、当該区域及びその周辺には、白猪山山頂へ向かうハイキングロードがあり、当該区域の南には「日本の棚田百選」に選定された「深野だんだん田」がある。また、事業実施区域及びその周辺において、クマタカの生息及び繁殖活動が確認されている。

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)対象事業実施区域の設定並びに風力発電設備及び取付道路等の附帯設備の構造・配置又は位置・規模配置等の検討に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。

(2)事業実施想定区域の周辺では、他事業者による風力発電事業が環境影響評価手続中であることから、累積的な環境影響が懸念されるものについては、他事業者との情報交換等に努め、適切な予測及び評価を行い、風力発電設備等の配置等を検討すること。

(3)環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

[2]各論

(1)騒音等の影響

 事業実施想定区域の周辺に、住居が存在することから、風力発電設備を住居から離隔すること等により、騒音等による影響を回避又は極力低減すること。

(2)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺においては、クマタカ等の希少猛禽類等の生息や繁殖活動が確認されており、風力発電設備への衝突事故や移動経路の阻害等が懸念されることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、鳥類に関する調査及び予測を行い、専門家等からの助言を踏まえ、影響を評価し、反映すること。

(3)植物に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺に特定植物群落が存在するとされていることから、当該植物群落の位置を明確にした上で、原則として当該植物群落の改変を回避すること。

(4)景観に対する影響

 本事業の実施により、「深野だんだん田」の景観、白猪山からの眺望景観に大きな変化が生ずる可能性があることから、垂直見込角、主要な展望方向や水平視野も考慮した予測及び評価を行い、重要な景観への影響を回避又は極力低減すること。予測及び評価に当たっては、専門家等からの助言並びに管理者、利用者及び関係自治体等の意見を踏まえること。

(5)人と自然との触れ合いの活動の場に対する影響

 事業実施想定区域内には、白猪山山頂に向かうハイキングコースが存在することから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、住民、管理者、利用者等からの意見を踏まえて、人と自然との触れ合いの活動の場に関する調査を行い、事業実施による直接改変及び利用環境の変化の程度を予測し、それらがもたらす影響を評価するとともに、影響の回避又は低減を図ること。

【参考】

○事業概要

・名称 (仮称)松阪飯南ウィンドファーム発電所

・事業者 合同会社松阪飯南ウィンドファーム

・計画位置 三重県松阪市
(事業実施想定区域面積:約250ha)

・出力 最大25,200kW(最大2,100kW発電設備を12基設置)

○環境影響評価に係る手続

・平成28年1月4日 経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成28年2月19日 環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8237
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:生田 雄一(内6239)