平成27年11月16日
自然環境

生物多様性条約第19回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA19)並びに第9回条約第8条(j)項及び関連条項に関するアドホック公開作業部会(WG8(j)9)の開催結果について(お知らせ)

 生物多様性条約第13回締約国会議(COP13)の各議題について検討を行う第19回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA19)並びに第9回条約第8条(j)項及び関連条項に関するアドホック公開作業部会(WG8(j)9)が、それぞれ11月2日(月)~5日(木)及び11月4日(水)~7日(土)に、モントリオール(カナダ)で開催されました。
 SBSTTA19では、生物多様性の主流化を含む、戦略計画2011-2020の実施に関する戦略的な科学技術的課題及びIPBESの作業計画を踏まえたSBSTTAの取り組み等について議論され、8本の勧告が採択されました。WG8(j)9では、条約第8条(j)項及び関連条項の実施推進等について議論され、5本の勧告が採択されました。これらの勧告は、COP13等で検討される予定です。

1.第19回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA19)の概要

会議名称

 日本語:第19回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA19)

 英語:The Nineteenth meeting of the Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice

期間:平成27年11月2日(月)~5日(木)

場所:モントリオール(カナダ)

会議の概要:

 本会合では、締約国代表の他、国際機関、NGO等400名の参加により、合計8本の勧告案が科学技術的観点から検討され、採択されました。主要な議題の結果概要は下記の通りです。

(1)戦略計画の実施に関する戦略的な科学技術的課題

(ア)地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)及び関連する報告書の内容を踏まえ、生物多様性の分野横断的な主流化及び統合を含めた議論が行われました。我が国の提案により、主流化を促進するために国連生物多様性の10年(UNDB)等を通じて多様な主体が参画することがCOP13への勧告に記載されました。また、農林漁業を含む分野横断的な主流化の統合を促進するために、ステークホルダーがどのように取り組むべきかについての優良事例について条約事務局長が取りまとめ、このためのガイドラインをCOP12で新設されたSBIの第1回目の会合(SBI-1:2016年5月開催予定)までに準備すること等も決定されました。また、我が国は、生物多様性日本基金を通じ、IUCNと協力して生態系を活用した防災・減災に関する能力養成支援を始めた旨発言しました。

(イ)2015年9月に開催された戦略計画のための指標に関するアドホック技術専門家グループの会合の報告書をもとに、愛知目標達成のための指標について議論されました。今後、本会合でのコメントを踏まえ、地球規模の指標(global indicator)リストのピアレビューを行うとともに、SDGsの指標も考慮し、COP13での検討のための勧告案を準備するためにSBSTTA20に結果を提出することを条約事務局長に要請することが採択されました。我が国からは、生物多様性日本基金等を通じた支援を行っていく旨発言しました。

(2)IPBESの作業計画を踏まえたSBSTTAの取り組みとSBIとの関係

 IPBESとSBSTTA、及び、SBSTTAとSBIの相互補完性及び役割分担について議論され、これら三機関の作業の重複を避けるべきとの主張が我が国を含め各国からなされました。また、第6回国別報告書、地球規模の指標からの情報及びIPBESのテーマ別・地域・地球規模アセスメント等を活用してGBO5の準備を開始することを求める等、COP13への勧告が採択されました。

(3)報告や調査のレビュー

(ア)生物多様性と人間の健康: CBDとWHOが共同で作成した生物多様性と人の健康に関する文書を基に議論が行われました。同情報は更新の必要があるものの、締約国等がこれを活用して健康と生物多様性の繋がりについての理解を促進することを奨励するCOP13への勧告が採択されました。

(イ)気候関連のジオエンジニアリング: ジオエンジニアリング技術が生物多様性に及ぼす可能性がある影響に関する最新情報を基に議論が行われました。同情報については留意するものの、ジオエンジニアリングによる生物多様性及び生態系機能・生態系サービス、社会経済的、文化的及び倫理的課題並びに規制オプションへの影響を理解するために、より分野横断的な研究や知見の共有が必要であることを喚起するCOP13への勧告が採択されました。

(ウ)森林と生物多様性: 戦略計画との整合性及び森林関連の愛知目標の達成を促進する観点から、国連森林フォーラム(UNFF)事務局を含めた全ての森林に関する協調パートナーシップ(CPF)との協力を強化することを条約事務局長に求めるCOP13への勧告が採択されました。

【本会合の公式ウェブサイト】 http://www.cbd.int/doc/?meeting=SBSTTA-19

2.第9回条約第8条(j)項及び関連条項に関するアドホック公開作業部会(WG8(j)9)の概要

会議名称

 日本語:第9回条約第8条(j)項及び関連条項に関するアドホック公開作業部会(WG8(j)9)

 英語:The Ninth meeting of the Ad Hoc Open-ended Working Group on Article (j) and Related Provisions of the Convention on Biological Diversity

期間:平成27年11月4日(水)~7日(土)

場所:モントリオール(カナダ)

会議の概要:

 本会合では、締約国代表の他、先住民及び地域社会団体、国際機関、NGO等342名の参加により、合計5本の勧告案が検討され、採択されました(一部留保が付いたものも含む)。主要な議題の概要は下記の通りです。

(1)第8条(j)項及び関連条項に関する指標を含む特定事項の実施の点検

 既に実施段階に入っている議題(IPLCsの参加を含む、第8条(j)項及び関連規定の国レベルでの実施の進捗、事務局の作業分野全般にわたる第8条(j)項目及び関連規定の主流化の進捗、条約の作業へのIPLCsの参加及び能力構築、生物多様性の持続可能な慣習的利用に関する行動計画の実施(第10条(c)項))については、COP12で新設されたSBI-1で議論することが提案され、承認されました。

(2)作業計画に関する任意ガイドラインの検討

 伝統的知識等に係る事前の情報に基づく同意等と公正かつ衡平な利益配分のためのメカニズム等を開発するための任意ガイドライン案について検討を行いました。事前の情報に基づく同意等の文言について、参加国及びIPLCsから各国の情勢及び既存法令等との整合に基づく意見が出され、一部の文言については合意に至りませんでした。任意ガイドラインの採択、締約国及びその他政府等へのクリアリングハウスメカニズムを通じた優良事例等の活用及び関連する措置等に関する地域協力の促進及び経験の共有等の招請を求めるCOP13への勧告が採択されました。

【本会合の公式ウェブサイト】 https://www.cbd.int/doc/?meeting=WG8J-09

3.環境省関連のサイドイベント

<グローバルパートナーシップを通じた協調的な資源動員及び知識の促進:SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の取り組み>

 国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)及び公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)と共催で、11月2日(月)に開催しました。SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)による効果的なプロジェクトのための資金提供等について共有しました。

<愛知目標11達成に向けた海図を描く>

 生物多様性条約事務局主催で、11月3日(火)に開催されました。保護地域に係る目標11の達成に向けて4カ国の取組が紹介され、日本からは目標11を「面積」「生態学的代表性」「接続・回廊」という3要素に分け、陸域の20.3%、海域の8.3%が保護地域になっている一方、さらなる保護地域指定、協働型管理、海域の保護地域の保護効果に係る検証といった課題への取組について発表しました。

<国レベルでの愛知目標進捗評価>

 UNEP-WCMC及びスイス連邦環境・運輸・エネルギー・通信省 連邦環境局(FOEN)の共催で、11月3日(火)に開催されました。3カ国(パラオ・英国・日本)の愛知目標進捗評価のアプローチについて紹介され、日本からは第5次国家戦略から愛知目標進捗を評価するためのロードマップを設定し、本年度の白書から関連指標群の数値を公開していくことや、国家戦略は、関係省庁、有識者、市民等の多様な参画者より意見を聴取した上で閣議決定されていること等について発表しました。

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
直通:03-5521-8275
代表:03-3581-3351
室長:中尾 文子(内6480)
室長補佐:大澤 隆文(内6485)
担当:鮫島 茉利奈(内6488)