平成27年11月5日
地球環境

アジア太平洋地域における適応計画プロセス及び適応行動の推進に関するワークショップの結果について(お知らせ)

 環境省は、タイ天然資源環境省天然資源・環境政策計画局との共催により、10月29日(木)・30日(金)の2日間、タイ・パタヤにおいて「アジア太平洋地域における適応計画の推進に関するワークショップ(WS):国・地域・分野別のイニシアティブの統合」を開催しました。
 本WSには、アジア太平洋地域、国際機関及び研究機関等より適応計画や適応事業等の担当官・専門家等が参加し、同地域における適応計画の策定プロセス(NAPプロセス)及び適応行動の実施に関する事例から得られる経験や教訓について経験・知見の共有、活発な意見交換を行い、互いに理解を深めることができました。
◆WSのアジェンダ・発表資料・参加者リスト(英語)
◆アジア太平洋地域におけるNAPプロセス・適応行動の実施に関する10のケーススタディ、その教訓の要約(英語)

1.名称

 アジア太平洋地域における適応計画プロセス及び適応行動の推進に関するワークショップ:国家・地域・分野別のイニシアティブの統合

Workshop for Advancing National Adaptation Planning Process and implementation of actions in the Asia-Pacific region: Aligning national, local, and sectoral initiatives for maximum impacts

2.日時

 平成27年10月29日(木)・30日(金)

3.開催場所

 タイ・パタヤ

4.主催

 環境省

5.共催

 タイ天然資源環境省(MONRE)天然資源・環境政策計画局(Office of Natural Resources and Environmental Policy(ONEP))

6.参加者

 アジア太平洋地域諸国(15カ国)及び二国間協力機関や研究機関等(10機関)の適応計画や事業等の担当官・専門家等、40名程度

7.議論の概要

●冒頭、環境省が作成したアジア太平洋地域各国における適応計画プロセス(NAPプロセス)及び適応行動の実施に関する10のケーススタディの概要の説明、適応委員会によるNAPプロセスに対する支援活動について紹介が行われた後、基調講演として2011年に起こったタイの大洪水後の気候変動に関する適応における官民連携について紹介された。

●その後、以下の議題について、各国参加者及び専門家によるパネルディスカッション又は小グループに分かれての議論の形式で、発表・意見交換を行った。

(1)関連するステークホルダー間の調整

(2)国家・地域・分野レベルにおける開発計画や予算における適応の主流化

(3)NAPプロセスとプロジェクトベースの実施の関係づけ

(4)影響・脆弱性評価のためのデータ収集及び情報ニーズ

(5)水管理・農業に焦点をあてた事例研究

(6)各国の適応に係るモニタリング・評価(M&E)

●今次会合では、主に各パネルディスカッションや小グループでの議論の形式を多く取り入れたこと等により、各国の経験や知見の共有・理解の促進が進んだ。議題別に共有・議論された結果概要は以下の通り。

●議題ごとの概要

(1)関連するステークホルダー間の調整

○ バングラデシュ、ブータン、中国、モルディブ、ミャンマー、ベトナムからの参加者によるパネルディスカッションにおいて、多くの国が関連する省庁間で気候変動に関連する調整メカニズムを設置、或いは既存のメカニズムを活用していることが具体例を交えて共有されるとともに、データ・技術的専門性の欠如や、地方政府、コミュニティ、気候変動の影響に脆弱な人々と協力していくことの難しさ等が指摘された。

○ 調整を更に強化していくには、異なるレベルでの意識啓発や非政府組織等に対する透明性のあるプロセスが重要であることや、関係するステークホルダー間のコミュニケーションの円滑化のために、定期的な会合の開催が効果的であることが改めて共有された。

(2)国家・分野・地域レベルにおける開発計画や予算における適応の主流化

○ バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、フィリピンからの参加者によるパネルディスカッションにおいて、異なる方法で各国が適応を国家開発・分野別の計画に主流化させていること、国家・分野別の適応計画を地方レベルに普及すべく積極的に取り組んでいる国もあるが、多くの国が、計画の実施段階への移行、国家予算を実際のプロジェクトに割り当てることに苦労していることが共有された。

○ 他の参加者との議論では、計画やプロジェクトの実施のモニタリング・評価(M&E)が、優先順位を特定し、効果を評価し、最善の投資に関する意思決定のために重要であること、一方で不確実性の扱い方、適応プロジェクトの結果の測定・評価手法、分野別・分野横断的な指標の選定・活用方法、適応における追加的なコストの算出方法に課題があることなどが共有された。

(3)NAPプロセスとプロジェクトベースの適応の実施の関係づけ

○ 小グループでの議論を通して、幾つかの国々では、適応計画とその他の異なる計画の間や異なる組織の間で関係付けが図られていること、地域レベルでの適応策の実施において意識啓発が重要であること、伝統的な知識や科学的な知見の両方を活用することが重要であること、緩和(排出削減)プロジェクトが、適応プロジェクトとの共通の便益(コベネフィット)を持つことなどで、これらについて具体的な事例を交えて積極的な意見交換が行われた。

(4)影響・脆弱性評価のためのデータ収集及び情報ニーズ

○ タイの研究者より同国における脆弱性評価の取組の現状、ベトナムの研究者より同国におけるデータ/情報ニーズ収集の現状、フィリピンの研究者より同国における影響・脆弱性評価の実態について、発表が行われた。

○ これにより、脆弱性評価は曝露、気候感度、適応能力の算定機能から構成されていること、データは優先分野や適応オプションを評価するために活用されること、脆弱性を評価することは、どこが脆弱なのかだけではなく、誰が最も脆弱かを見極めるのに重要であること、多くの国が分野レベルで脆弱性評価を始めているが、異なる分野間の比較ができていないことが課題であること、等について認識を共有した。

○ 投資の判断を行う際、参加型アプローチを導入することが必要であること、1つの方法論のみに依存すべきではないこと、評価は、定性的・定量的な評価の両方を組み合わせることにより、信頼性が増し、意味があることも議論された。

○ さらに脆弱性評価プロセスを前進させるためには、誰が牽引者となるのかを理解すべきであり、脆弱性評価の目的を理解することが重要であり、「評価」だけを目的とした脆弱性評価はあまり意味がないことなどが指摘された。

(5)水管理・農業に焦点をあてた事例研究

○ インドネシアより農業保険のプロジェクトについて、タイより農業部門及び水管理部門における適応への配慮について、東ティモールより水管理分野での取組について、それぞれの経験と知見が共有された後でパネルディスカッション及び他の参加者との議論が行われた。

○ 気候変動がメコンデルタのような沿岸に近い途上国の水分野に大きな影響をもたらしていること、特に灌漑システム、災害リスク管理、水の安全保障に影響を与えていること、また農業が水問題と緊密に結びついていることが議論された。

○ 地域レベルにおける参加が、水や農業に関連する適応プロジェクトの持続性にとって重要であり、意識啓発と情報提供が水と農業を適応計画プロセスに主流化させるための重要な要素であること、地域の知見も重要なリソースであること、我々が既に所持することを調整・改善していくことが必要である等の意見も出された。

(6)各国における適応についてのモニタリング・評価(M&E)

○ 各小グループでの議論を通して、これまで確立されたり、開発指標に統合されたりした適応指標の実例は存在しないこと、適応におけるM&Eへの実践的なアプローチは、既存の指標やシステムを活用し、必要に応じそれらの上にシステムを構築することであること、適応策には長期的なM&Eシステムの実施が必要であり、プロジェクト特有の指標より、標準化された指標を持つことが好ましいこと、その一方で、その報告は、部局によって予算ソースが異なることから、統一することが難しいことなどが共有された。

以上

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
代表:03-3581-3351 直通:03-5521-8330
室  長:大井 通博 (6772)
室長補佐:浦上 亜希子 (6774)