報道発表資料

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2015年10月16日
  • 総合政策

福山共同発電所更新計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、16日、広島県福山市で計画されている「福山共同発電所更新計画 計画段階環境配慮書」(瀬戸内共同火力株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、JFEスチール株式会社西日本製鉄所(福山地区)内で発生する副生ガスを主燃料として発電する福山共同発電所において、老朽化した既設2,3号機(計23.1万kW)を廃止し、コンバインドサイクル発電方式の新2号機(約23万kW)に更新するものである。
 環境大臣意見では、事業者に対し、発電設備について最適な発電方式を検討すること、発電所の適切な運用、管理等により、二酸化炭素排出削減に取り組むこと、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」(平成25年4月25日経済産業省・環境省)に基づく枠組の参加事業者に電力を供給し確実に二酸化炭素排出削減に取り組むこと等を求めた。
 また、経済産業省に対して、電力業界及び本事業者が枠組の具体的な仕組みやルールづくり等に早急に取り組むよう促すことを求めた。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力11.25万kw以上の火力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。本件は、この手続きに沿って意見を提出するものである。

 今後、経済産業大臣から事業者である瀬戸内共同火力株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 本事業は、瀬戸内共同火力株式会社が広島県福山市の福山共同発電所において、老朽化した既設2,3号機(計23.1万kW)を廃止し、新2号機(約23万kW)に更新するものである。本発電所は、JFEスチール株式会社西日本製鉄所(福山地区)内で発生する副生ガスをエネルギー資源として有効利用する発電設備で、発電した電力は製鉄所及び中国電力株式会社に供給している。本事業は新2号機のコンバインドサイクル発電方式の採用等により、温室効果ガス等の環境負荷の低減が見込まれている。

3.環境大臣意見の概要

 [1]前文

 現時点で、公表された電気事業分野の自主的枠組には課題があるため、経済産業省においては、電力業界及び本事業者が枠組の具体的な仕組みやルールづくり等に早急に取り組むよう促すこと。

 [2]総論

(1)本事業に伴う環境影響を回避・低減するため、必要に応じて専門家等の助言を受けた上で、調査、予測及び評価並びに環境保全措置の検討を行うこと。

(2)地元自治体の意見を十分勘案し、環境影響評価において重要である住民関与についても十全を期すこと。

 [3]各論

(1)大気環境

1) 最適なばい煙処理装置の採用等の大気汚染物質排出削減対策を図ること。また、施設の稼働に当たっては、大気汚染物質排出量の少ない発電設備の優先稼働等の大気汚染物質排出削減対策を図ること。

2) 煙突高さ及び配置等に関して、短期高濃度条件等の影響についても十分考慮し、適切な環境保全措置を検討すること。

(2)水環境

 取放水設備の設置工事に伴う水環境に係る環境影響が懸念されることから、必要な調査、予測及び評価を行い、海域環境への影響低減が図られるよう適切な環境保全措置の検討を行うこと。

(3)温室効果ガス

1) 本事業の発電設備について、最適な発電方式を検討すること。また、本発電所の適切な運用、管理等により、二酸化炭素排出削減に取り組むこと。

2) 発電段階での低炭素化が確保されるよう、枠組の参加事業者に電力を供給し、確実に二酸化炭素排出削減に取り組むこと。

3) 「2050年までに80%の温室効果ガス排出削減」を目指すとの国の長期目標との整合性を確保するため、二酸化炭素分離・回収・貯留等に関する検討結果や技術開発状況も踏まえ、今後の二酸化炭素排出削減対策について、所要の検討を行うこと。

4) 本事業を含め、事業者における長期的な二酸化炭素排出削減対策について、所要の検討を行い、事業者として適切な範囲で必要な措置を講ずること。

(4)その他

 環境保全上の優位性に鑑み、できる限り早期の運転開始を目指すこと。

【参考】

○事業概要

・名称 福山共同発電所更新計画

・事業者 瀬戸内共同火力株式会社

・計画位置 広島県福山市

・燃料 主に副生ガス

・発電方式 ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)

・出力 約23万kW

○環境影響評価に係る手続

・平成27年9月1日  経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成27年10月16日  環境大臣意見の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:大山 孝(内6253)

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