平成27年10月9日
総合政策

(仮称)折爪岳南風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、9日、岩手県で計画されている「(仮称)折爪岳南風力発電事業計画段階環境配慮書」(ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、岩手県九戸村、一戸町、葛巻町及び二戸市において、最大で総出力159,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備等の配置等の検討に当たり、住居等から離隔すること等により、騒音等や風車の影による影響を回避又は極力低減すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。

 今後、経済産業大臣から事業者であるジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 本事業は、岩手県九戸村、一戸町、葛巻町及び二戸市に、最大で総出力159,000kWの風力発電所を設置するものである。

 本事業の事業実施想定区域の周辺は、折爪馬仙峡県立自然公園、久慈平庭県立自然公園及び県指定鳥獣保護区等が存在する。また、希少猛禽類の生息地やガン・カモ類等の渡り鳥の渡り経路となっている可能性がある。さらに、事業実施想定区域の近隣には複数の住居が存在する。

3.環境大臣意見の概要

(1)対象事業実施区域の設定

 対象事業実施区域の設定に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、事業実施想定区域からの絞り込みの検討経緯を明確にし、比較すること。

(2)各論

1)騒音等について

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居が存在しており、工事中及び供用時における騒音等による重大な環境影響が懸念されることから、風力発電設備等を住居から可能な限り離隔すること等により、騒音等による影響を回避又は極力低減すること。

2)風車の影について

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居が存在しており、供用時における騒音等による重大な環境影響が懸念されることから、風力発電設備を住居から可能な限り離隔すること等により、風車の影による影響を回避又は極力低減すること。

3)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺は、希少猛禽類の生息地及びガン・カモ類等の渡り鳥の渡り経路となっている可能性があることから、風力発電設備への衝突事故や移動経路の阻害等を回避するため、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、鳥類に関する調査及び予測を行い、専門家等からの助言を踏まえ、環境影響を評価すること。その結果を踏まえ、必要に応じ環境保全措置を講ずることにより、鳥類への影響を回避又は極力低減すること。

4)生態系に対する影響

 事業実施想定区域には、保安林に指定された森林、森林鳥獣生息地の保護区として指定された県指定鳥獣保護区及び岩手県自然環境保全指針の「優れた自然評価図」で保全区分A又はBとされた地域が存在し、豊かな自然環境のまとまりの場となっていることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、既存道路や無立木地等を活用することにより、保安林に指定された森林及び県指定鳥獣保護区の改変を回避又は極力低減すること。

(3)事業計画の見直し

 上記(2)1)及び2)により、騒音等及び風車の影による影響を回避又は十分に低減できない場合は、事業実施区域の見直しや基数の大幅削減を含む事業計画の抜本的な見直しを行うこと。

(4)その他

1)環境保全措置の検討

 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

2)累積的な影響

 本事業は、「(仮称)折爪岳北風力発電事業」及び「(仮称)久慈・九戸風力発電事業」の各事業と近いことから、累積的な影響が懸念される。このため、影響を一体的に捉える必要のある評価項目については、相互の累積的な環境影響について予測及び評価をすること。

【参考】

○事業概要

・名称  (仮称)折爪岳南風力発電事業

・事業者  ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社

・計画位置  岩手県九戸村、一戸町、葛巻町及び二戸市

(事業実施想定区域面積:約1,070ha)

・出力  最大159,000kW(2,000~3,000kW級発電設備を最大53基設置)

○環境影響評価に係る手続

・平成27年8月24日  経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成27年10月9日  環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:日下 崇(内6248)
電話:03-3581-3351(代表)
   03-5521-8237(直通)