平成27年6月25日
総合政策

(仮称)石巻風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、25日、宮城県で実施予定の「(仮称)石巻風力発電事業」(株式会社ユーラスエナジーホールディングス)に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、宮城県石巻市において、総出力20,000kWの風力発電設備を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備の配置の変更等により、風車の影の影響や騒音の影響を回避又は極力低減すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kw以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を言うことができるとされている。

 本件は、宮城県の「(仮称)石巻風力発電事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続に沿って意見を提出するものである。

 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

 本事業は、宮城県石巻市に、総出力20,000kW (2,500kW×8基)の風力発電設備を新設するものである。石巻市は、「石巻市震災復興基本計画」(平成23年12月)において、環境にも配慮した災害に強いまちづくりの推進に向け、新エネルギーの導入の実現及び新エネルギー関連産業の集積の推進を掲げている。

 対象事業実施区域の近隣に住居が位置しているほか、対象事業実施区域及びその周辺にはハイキングロードが整備されている。また、希少猛禽類等の生息が確認されている。

3.環境大臣意見の概要

(1)総論

[1] 事後調査を適切に実施し、追加的な環境保全措置を講ずること。

[2] 追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言、検討に当たっての主要な論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。

[3] 調査結果について、環境影響を分析し、講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。

(2)各論

[1] 風車の影について

 風力発電設備の近隣には住居が位置しており、風力発電設備の稼働に伴う風車の影の影響が懸念されることから、環境保全に十全を期すことが求められる。

 このため、風力発電設備の配置の変更や機種の選定等について再検討し、住居からの離隔を更に確保すること等により、風車の影の影響を回避又は極力低減すること。

 また、風力発電設備の供用後は、風力発電設備の配置の変更や機種の選定等の再検討による予測結果を踏まえ、影響が懸念される住居が存在する場合は事後調査を実施し、その結果に応じて、稼働時間の調整等の追加的な環境保全措置を講ずること。

[2] 騒音について

 風力発電設備の近隣には住居が位置しており、風力発電設備の稼働に伴う騒音の影響が懸念されることから、環境保全に十全を期すことが求められる。

 このため、風力発電設備の配置の変更や機種の選定等について再検討し、住居からの離隔を更に確保すること等により、騒音の影響を回避又は極力低減すること。

 また、風力発電設備の供用後は、「騒音に係る環境基準の評価マニュアル」に沿って適切に事後調査を実施し、その結果に応じて、稼働時間の調整等の追加的な環境保全措置を講ずること。

[3] 鳥類について

 これまでに実施した調査結果並びに専門家及び関係行政機関等からの助言を踏まえて、供用後の事後調査を適切に実施すること。

 また、鳥類の誘引が確認された場合等、事後調査により判明した内容に応じ、専門家等からの助言を踏まえ稼働制限等を含めた追加的な環境保全措置を講ずること。

 併せて、衝突等による死亡・傷病個体の確認を適切に実施し、死亡・傷病個体が確認された場合は、確認位置や損傷状況等を記録するとともに、重要な種の死亡・傷病個体が確認された場合は、関係機関との連絡・調整、死亡・傷病個体の搬送、関係機関による原因分析への協力を行うこと。

[4] 景観について

 対象事業実施区域に隣接する硯上山万石浦県立自然公園の主要な眺望点をはじめ、景観について、風力発電設備の稼働に伴う影響が懸念される。

 このため、これらの眺望点からの風力発電設備の垂直視角をできる限り小さくする環境保全措置を講ずることにより、影響を回避又は極力低減すること。

[5] 人と自然との触れ合い活動の場について

 対象事業実施区域及びその周辺に整備されたハイキングコースについて、車両台数のピーク時台数を低減させる等の環境保全措置を講ずることにより、影響を回避又は極力低減すること。

 また、本事業の実施に係る影響等ついて、ハイキングコースの管理団体等に説明・協議し、その内容を評価書に記載すること。

4.その他

 本件は、「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議中間報告」(平成24年11月27日、環境省・経済産業省)に基づき、審査期間の短縮に取り組むこととした案件である。

[参考]

○事業概要
・名称 (仮称)石巻風力発電事業
・事業者 株式会社ユーラスエナジーホールディングス
・計画位置 宮城県石巻市
・出力 20,000kW (2,500kW×8基)
○環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
【方法書の手続】
・縦覧 平成25年3月27日~平成25年4月26日(住民意見18件)
・経済産業大臣勧告 平成25年8月26日
【準備書の手続】
・縦覧 平成27年1月30日~平成27年3月16日(住民意見7件)
・宮城県知事意見提出 平成27年6月24日
・環境大臣意見提出 平成27年6月25日

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:日下 崇(内6253)
電話:03-3581-3351(代表)
   03-5521-8237(直通)