平成27年7月16日
大気環境

平成26年度アスベスト大気濃度調査結果について(お知らせ)

 石綿による大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止対策を検討するための基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するため、平成17年度より毎年、大気中の石綿濃度を調査しています。今般、平成26年度の調査結果を取りまとめました。
 平成26年度は全国54地点、160箇所で測定しました。一部の解体現場において石綿繊維について高い濃度が見られましたが、建物周辺及び一般環境において石綿以外の繊維を含む総繊維について特に高い濃度は見られませんでした。
 なお、平成27年度も引き続き大気中の石綿濃度を測定する予定です。

1.調査目的

 本調査は、平成17年12月27日付け「アスベスト問題に係る総合対策」(「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」決定)に基づき、石綿による大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するために実施しているものです。

2.調査方法

(1)調査地点

 旧石綿製品製造事業場等、廃棄物処分場等及び建築物の解体工事等の作業現場を始め全国54地点160箇所   において、大気中の石綿及びその他の繊維を含む総繊維数濃度を測定しました。このうち、福島県における継続調査地域の測定は、「東日本大震災アスベスト対策合同会議」でも報告しています。

(2)調査方法及び測定精度の管理等

 試料の採取及び分析は「アスベストモニタリングマニュアル(第4.0版)」(平成22年6月 環境省水・大気環境局大気環境課)に基づいて行いました。これは、位相差顕微鏡を用いて石綿以外の繊維を含む総繊維数濃度を求め、総繊維数濃度が1本/Lを超過した場合は、電子顕微鏡で物質を同定する方法です。

 精度管理のため、測定者に対する講習会等を実施しました。

 調査の方法、調査結果の評価等については、「アスベスト大気濃度調査検討会」(座長:神山宣彦/東洋大学 客員教授)にて専門家の助言を得ました。

3.調査結果

(1)地域分類別の総繊維数濃度及び石綿成分の割合

 調査結果の概要は、表1のとおりです。また、表1のうち石綿以外の繊維を含む総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点における石綿成分の割合及び石綿繊維数濃度は、表2のとおりです。一般環境大気中の調査結果のほか、解体等現場の集じん・排気装置の排気口等における調査結果も併せて示しています。

 なお、各調査地点の地域名、調査期間、石綿以外の繊維を含む総繊維数濃度等は、別添1に記載したとおりです。

 ア 発生源周辺地域

 調査を実施した29地点のうち、総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点は解体現場の6地点であり、6地 点全てで石綿が確認されましたが、いずれも建屋内に設置されたセキュリティゾーン出入口付近でした。建物周辺及び一般環境中で、総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点はありませんでした。

 イ バックグラウンド地域

 調査を実施した21地点のうち、総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点は離島地域の1地点ありましたが、石綿は確認されませんでした。

 ウ その他の地域(破砕施設)

 調査を実施した4地点のうち、総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点はありませんでした。

表1 地域分類別の総繊維数濃度結果

注1)解体等現場:建築物又は工作物の解体、改造又は補修作業現場

建物周辺 :解体等現場の直近で一般の人の通行等がある場所との境界

セキュリティゾーン出入口:作業員が出入りする際に石綿が直接外部に飛散しないように設けられた室の出入口の内側又は外側

集じん機排気口:集じん・排気装置の外部への排気口内部又は排気口付近

注2)表中の( )内の数値は地点数における内数である。


表2 総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点における石綿成分の割合及び石綿繊維数濃度

 神奈川県内の解体現場のセキュリティゾーン出入口内側及び東京都内の解体現場のセキュリティゾーン出入口外側において、石綿繊維数濃度が10本/Lを超えましたが、建物周辺の総繊維数濃度は1本/Lを超えていなかったことから、周辺環境への影響はなかったと考えられます。

 

(2)継続調査地域における調査結果の推移

 今回の調査のうち29地点60箇所については、過去の調査(平成17年度~平成25年度)と同一地点において調査を実施しました。当該地点について、調査地域分類別に集計・整理した平成26年度の調査結果は、表3のとおりです。また、平成17年度~平成26年度の調査結果を比較した表は表4、グラフは別添2のとおりであり、総繊維数濃度は、低いレベルで推移しています。

表3 過去と同一調査地域における平成26年度調査結果(総繊維数濃度)

表4 同一調査地域における総繊維数濃度の推移

(平成17年度~平成26年度)

4.今後の対応

 環境省では、引き続き石綿による大気汚染の状況を把握するため、平成27年度も大気中の石綿濃度調査を行う予定です。

 また、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の被災地である福島県においても、継続して大気濃度調査を実施しています。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通:03-5521-8295
代表:03-3581-3351
課  長:是澤 裕二(6530)
課長補佐:大野 勝之(6533)
担  当:福島 俊 (6534)

関連情報