平成27年6月12日
総合政策

西沖の山発電所(仮称)新設計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、12日、山口県宇部市で計画されている「西沖の山発電所(仮称)新設計画 計画段階環境配慮書」(山口宇部パワー株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、山口宇部パワー株式会社が宇部興産株式会社構内において、石炭を燃料とする総出力120万kWの火力発電所を新設するものである。
 環境大臣意見では、以下のことを述べている。
 本事業が、国の目標との整合性が確保されるためには、「燃料調達コスト引き下げ関係閣僚会合(4大臣会合)」(平成25年4月26日)で承認された「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」(平成25年4月25日経済産業省・環境省)に基づく電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む枠組(以下「枠組」という。)の存在が不可欠であるが、現時点において、枠組は構築されておらず、エネルギーミックスに基づく約束草案政府原案の達成に支障を及ぼす懸念がある。
 このため、本事業の計画が、国の目標と整合性を持っていると判断できず、現段階において、是認しがたい。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力11.25万kw以上の火力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。本件は、この手続きに沿って意見を提出するものである。

 今後、経済産業大臣から事業者である山口宇部パワー株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 本事業は、山口宇部パワー株式会社が、山口県宇部市の宇部興産株式会社構内において、石炭を燃料とする西沖の山発電所(仮称)(総出力120万kW)を新たに建設するものである。本事業で発電した電力は、本事業者の出資会社である電源開発株式会社、大阪ガス株式会社及び宇部興産株式会社を通じて、西日本広域に供給していく計画だが、その供給先は現時点で未定である。

3.環境大臣意見の概要

 我が国の温室効果ガス削減目標に関する「日本の約束草案政府原案」の積み上げに用いたエネルギーミックスにおいて、2030年度の総発電電力量に占める石炭火力発電の割合は26%程度であり、2013年度実績の電力量が既にそれを上回っている状況である。

 このような状況において国の目標・計画と整合を取るためには、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」(平成25年4月25日経済産業省・環境省)(以下「局長級取りまとめ」という。)における電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む枠組(以下「枠組」という。)の存在が不可欠である。

 局長級取りまとめでは、環境影響評価において、国の二酸化炭素排出削減の目標・計画と整合性を持っているかどうか等について、国が審査することとされている。

 しかしながら、現時点において、枠組は構築されておらず、エネルギーミックスに基づく約束草案の達成に支障を及ぼす懸念がある。

 上記の状況に鑑みれば、本事業の計画内容について、国の二酸化炭素排出削減の目標・計画と整合性を持っていると判断できず、現段階において、是認しがたい。

 このため、早急に枠組が構築されることが必要不可欠である。

【参考】

○事業概要

・名称 西沖の山発電所(仮称)新設計画

・事業者 山口宇部パワー株式会社

・計画位置 山口県宇部市

・燃料 石炭

・発電方式 汽力

・出力 120万kW(60万kW×2)

○環境影響評価に係る手続

・平成27年4月28日 経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成27年6月12日 環境大臣意見の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:大山 孝(内6253)
担当:中本 ちひろ(内6239)
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)