総合環境政策局

環境ビジネス研究会報告書
~環境と経済の統合に向けて~

平成14 年8 月
環境省


報告書本文[PDFファイル(181KB)]

は じ め に

 地球環境問題への対応や循環型社会の形成を始めとした今日の環境問題を解決し、「持続可能な社会」を実現していくためには、国、地方公共団体、事業者、国民、民間団体といった社会のあらゆる主体がそれぞれの役割を発揮し、自らの行動をより環境への負荷の少ないものへと変えていくとともに、既存の社会経済システムを変革し、環境配慮の組み込まれたものにしていくことが必要です。これを産業活動の面から見ると、環境と経済の統合を図るため、あらゆる産業活動へ環境配慮の組み込みを目指すと同時に産業活動そのものを環境問題の解決に資するようなものへと変えていく、産業のグリーン化が求められています。
 このような考えは、政府部内でも共通の考え方になっており、内閣総理大臣主催の「21世紀「環(わ)の国」づくり会議」では、従来型の社会経済システムを変革し、経済活動で使用される資源はできるだけ少なく、かつ循環的に使用するとともに、経済発展の内実を量的拡大から質的向上に変えていくべき等活発な議論が行われ、平成13年7月10日に、企業の環境経営の促進、地域からの環境産業革命、環境制約を新たな成長要因に転換する技術開発等について提言がなされました。
 また、経済財政諮問会議が取りまとめ、平成14年1月に閣議決定された「構造改革と経済財政の中期展望」では、循環型経済社会に向けた対応により、民間の技術開発や製品開発の活発化、新たなビジネスモデル形成が促され、新規需要や雇用が創出されるとともに、環境問題への対応から生まれた日本の技術・ノウハウ・製品等が、世界のモデルとなり得ることが述べられています。さらに、平成14年版環境白書では、環境負荷の少ない社会経済システムの構築に向けて市民・企業の取組が大きく変化し、環境関連の市場が拡大しているとの分析を行い、持続可能な社会づくりが動き始めているとの認識を示しています。
 こうした動きを踏まえて、環境省では、環境ビジネスに関連する企業等の経営トップの方々より、環境ビジネスの実情や環境ビジネスを普及促進して行くための課題や行政に対する期待について、率直な意見や提案をいただき、今後の環境ビジネスの一層の促進策を検討することを目的として、平成14年4 月から「環境ビジネス研究会」(座長 山本良一東京大学国際・産学共同研究センター長)を設置し、環境大臣以下環境省関係者の出席により、6回にわたり研究会を開催し、15社から貴重な意見や提案をいただきました。
 この報告書は、これらのヒアリングを踏まえた環境ビジネスの促進方策についての検討結果を取りまとめたものです。環境省としては、今後この成果を踏まえて、環境ビジネスの一層の促進、ひいては環境と経済の統合に向けて、具体的な施策の展開を図っていきます。


目 次

第1章環境ビジネスの意義と現状
1.環境ビジネスの意義
2.環境ビジネスの現状
(1)わが国におけるエコビジネスの市場規模調査(平成12年)
(2)企業の取組の変化
第2章環境ビジネスの振興策
1.環境省のこれまでの取組
2.環境ビジネスの振興に向けた課題と施策
(1)情報交換・整備
(2)エコプロダクツの市場形成、普及促進10
(3)地域資源を活用した環境ビジネスの振興13
(4)海外への環境ビジネスの積極的な展開14
おわりに15