環境基本計画の着実な実行を確保するため、毎年、中央環境審議会が国民各界各層の意見も聴きながら、環境基本計画に基づく施策の進捗状況を点検し、その後の政策の方向性について政府に報告するもので、これまでに第一次環境基本計画の下で３回実施されている。

　

今回の点検は、第二次環境基本計画が平成１２年１２月に閣議決定されてから、初めての点検となる。第二次環境基本計画では、１１の重点分野を戦略的プログラムとして定めており、今回の点検では、このうち、[1]地球温暖化対策の推進、[2]物質循環の確保と循環型社会の形成に向けた取組、[3]化学物質対策の推進、[4]生物多様性の保全のための取組、[5]環境教育・環境学習の推進の５項目を取り上げ、これらを中心に審議を行った。
　また、国の施策の進捗状況のみならず、環境基本計画に沿って、国民、事業者、地方公共団体の社会を構成する各主体が行っている取組についてアンケート調査（５月２７日報道発表資料　国民・事業者団体・地方公共団体の環境保全への取組に関するアンケート調査結果について）するとともに、国民各界各層に対する公開のヒアリング （ヒアリング概要・・・盛岡[PDF 30KB]、和歌山[PDF 31KB]、宮崎[PDF 31KB]）、郵便・ＦＡＸ等による意見の受付を行った。

　

（１）全般的事項

• 政府の各種施策の基本的な考え方に環境分野が盛り込まれたことは、重要な意思決定過程に環境配慮が織り込まれてきた現れとして、評価できる。
  　
• 政策手法の効果を把握する仕組みの確立、統計データの充実・整備が必要。
  　
• 各主体間のパートナーシップの構築とそれを進めるための活動の場の提供など基盤整備を進め、各主体の自主積極的な環境保全活動を促進することが必要。
  　
• 地球温暖化対策にみられるように、地域段階から国際段階までそれぞれの段階における取組が有機的に連携し、環境政策が進められることが必要。

（２）各論（今後の課題）
　

• 【地球温暖化対策の推進】
  
  地球温暖化対策推進大綱を基礎として、京都議定書の６％削減約束の達成に向けた総合的かつ計画的な取組を推進することが必要。
  　
• 【物質循環の確保と循環型社会の形成に向けた取組】
  
  循環型社会の形成に際しては、循環型社会形成推進基本計画に基づき、すべての主体の積極的な参加と適切な役割分担の下で、適正かつ公平な費用負担により各種の施策を着実に講じていくことが必要。
  　
• 【化学物質対策の推進】
  化学物質の生態系に対する影響の適切な評価と管理について検討を進め、特に、生態系保全も視野に入れた化学物質の審査・規制の枠組みを導入することが必要。
  　
• 【生物多様性の保全のための取組】
  
  新・生物多様性国家戦略が十分に機能し、生物多様性の保全のための具体的施策が効果的に推進されることが必要。
  　
• 【環境教育・環境学習】
  
  地球温暖化対策、廃棄物・リサイクル対策をはじめとするすべての個別政策分野において、環境教育・環境学習を有効に位置付け活用することが必要。また、人材の育成に当たっては、幅広い人材を対象にその質的向上を図ることが必要。

（３）まとめ

• 京都議定書の実施のための国内制度の整備のための法改正や新・生物多様性国家戦略の策定など、各施策の基本的枠組みは整備されつつあるが、それら基本的枠組みの下で具体的な各施策の実効性を高めることが必要。
  　
• 次回の点検では、各府省の自主的な点検結果を踏まえて中央環境審議会の点検が実施出来るよう、各府省は早急に環境配慮の方針を策定すること。
  
  　

　政府としては、今回の点検報告を閣議において報告するとともに、環境保全経費の見積方針の調整に反映させるなど、持続可能な社会の構築に向けて、環境基本計画の一層の推進を図る。
　

• 環境基本計画の進捗状況の点検結果
  　環境基本計画の進捗状況の点検結果について（報告）
  　環境基本計画の進捗状況の点検結果について[PDF 41KB]
  　
• 国民・事業者・民間団体の皆さんへの提案
  　
• 環境基本計画の点検に係る総合政策部会における審議等の経緯
  　
• 環境基本計画の進捗状況の点検に係る参考データ