総合環境政策

第1回議事録

平成21年12月18日(金)10:00~11:45
経済産業省別館 1031会議室

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)公害防止計画制度の現状について
    2. (2)公害防止計画制度の見直しについて
    3. (3)その他
  3. 閉会

配布資料

資料1
公害防止計画制度のあり方に関する検討会検討員名簿
資料2
本検討会の検討課題
資料3
公害防止計画制度の現状と見直しについて
参考資料1
公害防止計画制度に関する意見整理
(平成21年3月6日中央環境審議会公害防止計画小委員会)
参考資料2
公害防止計画制度に係る参考資料

午前10時00分 開会

  • 小森計画官 おはようございます。時間となりましたので、始めたいと思います。
     議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
     まず、お手元、議事次第、それから資料の1でございますけれども、公害防止計画制度のあり方に関する検討会検討員名簿。資料2といたしまして、本検討会の検討課題。資料3といたしまして、公害防止計画制度の現状と見直しについて。参考資料1といたしまして、公害防止計画制度に関する意見整理。それから参考資料2といたしまして、公害防止計画制度に係る参考資料と。足りない資料、ございませんでしょうか。足りない資料ございましたら、事務局までお申しつけください。
     なお、本日の検討会は一般の方に非公開で行っておりますが、議事録につきましては、後日内容を確認させていただきました上で環境省ホームページで公開するという取り扱いで考えてございます。
     本来ですと、最初に局長よりごあいさつ申し上げるところですが、おくれておりますので、後ほどごあいさつさせていただきたいと思います。
     本日は、中央環境審議会公害防止計画小委員会の小林康彦委員長より、ごあいさつを、まずいただければと思います。制度の見直しに関するいろいろな件につきまして、ご説明よろしくお願いします。
  • 小林委員長 中央環境審議会公害防止計画小委員会の委員長を務めております、小林でございます。
     本日は、検討会の発足に当たりまして、小委員会での取り組みの状況と問題意識をお話しし、検討会でのご検討をよろしくお願いをしたいと思います。詳しくは環境省からご説明があると思いますので、私はかいつまんで大きな流れだけお話をしたいと思います。
     公害防止計画は、いわゆる公害国会で公害対策基本法が改正をされまして、1970年、昭和45年に生まれた制度で、典型7公害を念頭に置いて国が関与しての地域計画の制度でございます。翌1971年に制定されました公害財特法で財政上の特例措置が講じられ、公害対策事業の推進に寄与してきたところでございます。
     今、公害問題は、当時の激甚公害を克服いたしまして、状況は大幅に改善されましたけれども、一部で環境基準未達成の分野が残っております。また、全般的に産業公害から都市生活公害へ、あるいは典型7公害以外に廃棄物問題あるいはダイオキシンなど、新しい課題が加わり、最近では気候変動や生物多様性など、地球規模での環境問題で環境問題の対象が大きく拡大、深化しているところでございます。この間、公害防止計画も、運用上いろいろな軌道修正を加えてまいりました。一つは、計画の対象を、典型7公害から廃棄物対策、ダイオキシン等へ拡大をしてまいりました。二つ目は、計画策定の対象区域、対象事業の評価を、より客観的及び数値化するなど改善をしてまいりました。また、小委員会としては、環境基準未達成の部分につきまして、より掘り下げた考察を求めてまいりました。一方、分野ごとでの個別計画あるいは地域環境計画等が生まれましたので、それらの計画との連携の強化を意図してまいりました。
     現在、期限がまいります財特法の扱いとあわせ、地方分権改革の一環として公害防止計画についても検討課題が与えられていますので、公害防止計画のこれからのあり方をベースの部分から検討すべき時期を迎えております。1993年、平成5年、公害対策基本法と自然環境保全法を引き継ぐ形で環境基本法が制定をされました。それ以前から、「公害」という言葉は「環境」に置きかわってきていました。例えば、国立公害研究所が国立環境研究所として全面改組しましたのは1990年、平成2年でございます。当時は、「公害」の名をやめ「環境」に切りかえるのは公害対策が後退するというイメージを与えるのではないかと、こういう議論もあった状況でございます。その後、「環境」は短期間の間に世の中に定着をし、基本法もきっちり「環境」で整理をされているように思います。例外的な存在が公害防止計画であったと思われます。公害防止計画については、財特法の補助のかさ上げが廃棄物処理施設の整備を初め、地方にとって魅力のあるものでございましたので、当時、まだ国と地方の役割分担の議論も始まったばかりということでございまして、従前の制度をそのまま踏襲して環境基本法が生まれたというふうに理解をしております。
     現在の財特法は、2010年、来年平成22年度の末で期限を迎えます。公害防止計画は、制度としては環境基本法に基づくもので、財特法があってもなくても成立するものでございますけれども、財特法がなくなりますと地方にとりまして策定する意欲は著しく減少することは確実でございます。廃棄物処理施設の補助制度は、新規分については2005年、平成17年度から交付金制度に変わりまして新規分から補助がなくなったという事情がございまして、財特法のかさ上げ額も大幅に減少したこともございまして、財特法に支えられた制度のあり方の見直しも迫られております。
     こういう状況の中で、小委員会としても、公害防止計画のあり方についての検討を進め、検討課題を整理してきました。詳しくは参考資料1でまとめていただいておりますので、後ほどご議論をいただきたいと思います。
     ポイントになりますのは、まず、公害防止計画が果たしてきた役割をきっちり検証すること。二つ目は、環境問題の状況を正確に把握すること。特に現在の環境問題の広がり、深さについての認識をきっちりすること。3点目は、国と地方の役割分担をどうするか、きっちりさせること。4番目に、今後、国が旗を振って地方と協働して取り組む課題にどういうものがあるか、課題を整理すること。そして最終的に、今後のあり方をまとめることでございます。
     結論的に、今後とも公害防止計画の制度が必要かという設問を立てますと、小委員会の中でも、役割はほぼ終わったとする委員の方と、総合的な取り組みの制度として枠組みは存続すべきという意見が、現在並列しておるところでございます。まだ小委員会としての意見の集約に至っておりません。こうした複雑な状況のもとで、環境省として小委員会の外に検討会を設置して検討を深めたいという方針を出されまして、小委員会としても、この方針を歓迎いたしまして、小委員会で認識をしています状況と課題を含めて多面的に検討いただき、報告書をまとめる作業をお願いしたいということになりました。公害防止計画を取り巻く状況は複雑になっておりまして、政府の方針によりまして大枠が決められるという事態も予想されないわけではございません。このため、検討会としましては、前提条件を一つに絞るのではなく、例えば、環境基本法を改正してという大もとからの改正をスタート点にし、あるいは基本法はそのままにして運用面で時代に合わせていったらどうかというような、いろいろな立場を並べて議論されることを希望したいというふうに思います。複雑で絡み合った条件のもとでの検討でございますが、よろしくお願いを申し上げます。
     以上です。
  • 小森計画官 それでは、引き続きまして、白石局長が参りましたので、ごあいさつをさせていただきたいと思います。
  • 白石局長 すみません、遅れておりながら、すぐにあいさつ、高いところからすみません、恐縮でございます。今、ご紹介いただきました、担当しております総合環境政策局長の白石でございます。本日は、お忙しいところ、また暮れの押し迫ったところ、ご出席いただきまして本当にありがとうございます。
     では、ごあいさつさせていただきますと、公害防止計画制度、もう公害の財特法が再来年の3月に期限ということがございまして、一昨年から、いろいろ議論を始めさせていただいております。特に中環審の公害防止計画小委員会でございます。今後、今日以降は、その議論をベースにして、より踏み込んで具体的な中身を詰めていくために検討会を立ち上げさせていただいた次第でございます。もう、昭和45年に公害防止計画を発足して以来、非常に重要な役割を果たしてきたわけでございますけれども、だんだんと、その補助金のかさ上げ額が減少されてきている公害特措法の状況、あるいは交付金化されている廃棄物処理施設整備の問題等々がございまして、また、何を置いても地方分権という議論がありまして、何でもかんでも国がいろいろ法律で地方を義務づけるということについての見直しが進められているということがあると思います。今後、こういういろいろな外部状況はあるものの、では何のための公害防止計画だったのかということを一から振り返って、これから先どうしたらいいのだろうというふうなことを考えていく際に、先生方のいろいろな専門的なご知見、それからご経験というものを、ぜひ聞かせていただきまして、私どもが、この公害防止計画制度をどう見直していくかということについて、さらに議論を深めさせていただければということで、このような形でご参集願ったわけでございます。日程の調整等々、いろいろご無理なお願いもすることがあるかと思います。ぜひひとつ、よろしくお願いいたしますとともに、特に、こういうことではないかという思いを、我々にご指示、ご指導いただければと思っております。
     本当に、遅れてきてごあいさつさせていただいて、本当に恐縮でございます。どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
  • 小森計画官 小林康彦委員長、ここで退席されます。ありがとうございました。
     なお、本検討会の座長につきましては、小林先生にお願いしてございます。今後の議事進行は、座長にお願いしたいと思います。小林座長、よろしくお願いいたします。
  • 小林座長 小林でございます。よろしくお願いいたします。
     今回、第1回ということでございまして、まだ、各委員の皆様方との情報交換ということもあるわけでございます。そういう意味で、まず最初に、各委員の皆様方から自己紹介をしていただいて、その上で議論に入りたいというように考えております。まず最初ということで、私自身の自己紹介をさせていただきます。
     私、兵庫県の職員として採用されまして、それ以降、退職まで、60歳の退職までずっと環境畑、それ以外のところは、実は行っておりません。最後に環境局長で退職をいたしました。退職後、外郭団体でございます、ひょうご環境創造協会というところで副理事長ということで5年おりまして、その後、顧問ということで、そのまま籍を残させていただいております。それどころか、ことしの4月からは兵庫県の環境全般について意見を言えということになりまして、またこの4月からは兵庫県参与という訳の分からない肩書をつけられまして、そちらの方もさせていただいている状況でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、各委員の皆様方のほうから自己紹介、よろしくお願いしたいと思います。
     では、浅野先生から。
  • 浅野委員 福岡大学の浅野でございます。よろしくお願いいたします
  • 小林座長 何か、経歴とか、今何をしているとか。
  • 浅野委員 福岡大学の法学部で民法を教えております。そのほか、環境省にこき使われております。
  • 岩崎委員 私、におい・かおり環境協会の岩崎でございます。
     もともと、ここにも公害という名前が出ているのですけれども、東京都の公害研究所というのがスタートしたときに入りまして、専ら大気汚染対策、多くは工場対策が多かったのですけれども、ほとんど煙突を登っているという生活でございました。今、におい・かおり環境協会でお世話になっています。よろしくお願いいたします。
  • 佐藤委員 佐藤でございます。
     恐らく、この中では、民間の会社に勤めているのは私だけではないかなと思います。以前は農業試験場というところにおりまして、昭和48年から、一昨年退職するまで35年間、ほとんどカドミの話ばかりしていました。ということで、この事業が始まって、ちょうど、すごろくでいえばあがりのときに退職したわけですけれども、また何か世の中がきな臭くなってきたのでこういう場面に出てきたと思っています。よろしくお願いします。
  • 丸山委員 丸山でございます。
     私は、1年半ほど前までは、川崎市の環境局長ということで勤めさせていただいたところでございます。環境行政につきましては、昭和47年に川崎市に入りまして、そのときは、非常に大気汚染の激甚の状況でございました。今日、朝ここへ来る間に、この青い空が取り戻せたということで、私も非常に感慨深いところがございます。一時、10年ぐらい前までは、この時期になりますと東京、関東地域は、寒気のふたかけというふうに言われまして、大気の拡散が阻害されて大変な状況でございました。そういうところから一歩出たというふうに感じております。よろしくお願いします。
  • 谷口委員 筑波大の谷口でございます。
     私の専門は、環境の観点から都市計画それから交通計画を考えるというもので、1995年に、岡山大学で日本で最初の環境の学部ができたときの立ち上げを担当し、ことしの4月から筑波大に、以前勤めていたのですが、戻ってまいりました。環境省さんとでは、地球温暖化とまちづくりの委員会とかをご一緒させていただいたりしております。あと、ローカルな岡山県の大気の審議会とか、あと岡山大学で廃棄物のCOEとかを担当させていただいておりました。よろしくお願いいたします。
  • 小森計画官 本検討会には、本日はちょっとご都合によりおいでいただけなかったのですけれども、広島大学の岡田先生、それから東京都から山下先生にもご参加をいただく予定にしております。
  • 小林座長 どうもありがとうございました。
     それでは、議事を進行させていただきたいと思います。
     本日の検討会ですが、一応終了時間は12時ということを予定させていただいておりますので、ご協力のほど、よろしくお願いをしたいと思います。議事次第では、議事が二つございまして、公害防止計画制度の現状についてと、それから公害防止計画制度の見直しについて、この2点ということになっておりまして、当初は二つに分けて議論をいただいたらというように考えておったのでございますが、やはり両方合わせてご発言のある方が多いだろうという想定をいたしまして、まず、事務局の方から全体についてご説明をいただいて、その後、各委員から順次、大体5、6分ぐらいでご意見をいただいて、その後、全体での意見交換というふうにしたいと考えてございますので、よろしくお願いしたいと思います。
     それでは、まず事務局の方から、よろしくお願いします。
  • 黒川補佐 説明いたします。環境省の黒川と申します。
     まず資料2というものをごらんいただきまして、本検討会の検討課題ということでございます。
     先ほど、小林委員長のお話ですとか、局長のお話と重なってしまう部分もございますけれども、本検討会の検討課題ということでございます。大きく分ければ二つでございます。
     公害防止計画制度の現状の評価と今後の必要性ということでありまして、公害防止計画制度の現状、参考資料等で説明してまいりますが、これをどう評価しているかというような点でございます。次が、そういう現状を踏まえまして、今後もそういった地方公共団体が公害防止のための総合的な計画を定めるといった仕組みが必要かどうか。必要であれば、どういった見直しをして、今後続けていくべきかといったような点でございます。さらには、公害防止という枠を超えて法律の改正というものも見据えまして、公害防止という枠を超えた計画制度を新しくつくるということまで考えた場合に、どういった制度が有効と考えるかといったようなことでございます。
     次に2番目でございまして、地方分権改革、公害財特法の期限到来に応じた当面の対応ということでございます。先ほど、法の改正を見据え、公害防止という枠を超えてというふうに申し上げましたけれども、そのタイミングが、どのタイミングになるかということもございまして、当面は、分権改革と財特法の期限到来、これに対応した見直しをするということがされるということも想定されるわけでありまして、そういった地方分権改革と公害財特法の期限到来に対応した見直し、これだけを当面するというふうにした場合、どういった運用であるべきか、どういった見直しをする必要があるかといったようなお話でございます。
     ということでありまして、次、資料3の方をごらんください。
     資料3、公害防止計画制度の現状と見直しについてということでございます。ここからは、この資料3と参考資料2という、ちょっと分厚い資料、これを両方横に置きながらごらんいただければと思います。
     まず、公害防止計画制度の位置づけ、手続といったようなことでございますが、ご存じの方も多いと思います、この辺はさくさく行きますけれども、参考資料の2の方の1ページをごらんください。公害防止計画制度といいますのは、環境基本法に基づきまして都道府県知事が計画をつくるといったようなものでございまして、当然、その名前のとおり、計画の中身は公害防止といったものに限られているということでございます。この環境関連の法体系というふうにありまして、当然、現在の環境問題、公害防止に限らず、温暖化ですとか、ごみですとか、いろいろな分野がありますけれども、この公害分野というものに限った計画ということでございます。
     次、めくっていただきまして、3ページをごらんください。公害防止計画の概況というか、全体的な状況でございますけれども、1番のところ、3ページの1番のところですね、公害防止計画というのは、環境大臣が知事に策定を指示し、それで知事が計画をつくり、環境大臣の同意を受けるという手続で定められる計画でございます。
     その下、現在の策定状況は、全国30地域ということになってございます。
     その下、公害防止における各種施策ということで、この計画には、さまざまな対策が位置づけられていまして、各種規制ですとか、いろいろな、下水道ですとか廃棄物処理施設整備といった事業が位置づけられていまして、そういったものを計画的にやっていくという計画でございます。
     4番が、公害防止対策事業に対する財政上の特別措置ということでございまして、この計画に位置づけられた対策には財政上の特別措置が受けられると。補助率のかさ上げですとか地方債の発行できる事業の拡大といったような措置が講じられるということでございます。
     ここから先、その具体的な中身でございまして、次、めくっていただきまして4ページでございますけれども、4ページ、公害防止計画策定手順ということでございまして、まず上の方で、基礎調査というふうにありますけれども、こういったように、国の方でいろいろな地域の環境の状況とかいったものを調べまして、真ん中あたり、策定指示、公害問題が著しいと、計画的に取り組む必要があるというふうに国の方で判断した地域について策定指示をして、知事が計画をつくり、同意を受けると、そういう手続でつくられるということでございます。
     次のページ、5ページが、全国30地域でつくっているという、その一覧でございます。
     その次のページにまいりまして、6ページでございますけれども、公害防止計画策定状況一覧ということでございまして、もともと、この計画は5カ年の計画なのですけれども、地域ごとに始まる年と終わる年がずれていたのでございますが、公害財特法が平成22年度末、再来年の3月ということになりますが、そこで切れるということを受けまして、計画の期間も全部そこに揃えて、平成22年度末、23年3月の時点でどういう見直しをするかというふうに揃えたというのが、この表の意味でございます。
     次のページは、これは公害防止計画の地域数、市町村数の推移ということで、やはり、その制度ができた46年からの、50年代から比べますと、やはりかなり環境の状況は改善しているということで、策定地域は減っているということでございます。
     次に、計画の中で、どういったことを定めておるかということでございますけれども、8ページのところ、公害防止計画の構成ということで、これが大体、各地域の計画の目次といったようなものであります。いろいろな計画の概要、趣旨ですとか、目標ですとか、いろいろな課題というのが書いてあるわけでありますが、ポイントは、その公害防止政策という部分が非常に細かく、いろいろな具体的なことまで書いてあるということでありまして、自動車でいえば国道何号沿いの対策をどうするかといったようなことですとか、河川であれば、何とか川のBOD対策をどうすればいいかといったようなことまで、そういう地域まで落として細かく書いているというのがポイントでございます。
     次、10ページ、11ページあたりからごらんいただきますと、これ、一つの例として、山口県の下関・宇部地域という計画の例を持ってまいりました。こういう感じのというイメージをつかんでいただければと思うのですけれども、目次が11ページ以降つけてございますが、全体で16ページまで目次がありまして、140ページ近い、かなり分厚い計画ということになっているということでございます。
     次に17ページ以降に、ちょっと計画の中で特徴的な部分をピックアップしてまいりましたが、計画の中で、その趣旨ですとか目標ですとか、そういったところは当然いろいろな計画に書いてあるわけでございますが、この計画のポイントになりますのは、17ページの下のあたりで、非常に細かく、地域まで落とした対策が具体的に記述されているということでございます。
     例えば、18ページをごらんいただきまして、18ページの真ん中あたりですね、Bと書いてあるところで、この表のところで、県内の8カ所で交通情報提供を整備するとか、信号を36カ所でつくるとか、そういったことまで書いてある。
     その右側の19ページにまいりますと、こういうところで交差点を改良するとか、低騒音舗装をするとか、そういったような地域まで落とした非常に細かい中身を定めておるということであります。
     水質についても同様でございまして、例えば20ページを見てまいりますと、その表のところ、公共下水道というふうに書いてありますように、こういう下水道をどういったところで、どういうふうに整備するのかというのも、この計画の中に含まれているといったようなところがポイントでございます。
     次に22ページにまいりまして、公害財特法の話でございます。
     これは、先ほど申しましたように、計画に基づき実施される公害防止対策事業に、いろいろな財政上のメリットがあるというような法律でございまして、その中身は、補助率のかさ上げ、適債事業の拡大、起債したものの元利償還金の交付税算入と、そういったことでございます。
     22ページの2.のところですけれども、延長の経緯というふうにありますが、この法律は10年間の時限立法でございまして、昭和46年に制定された後、10年ずつ3回延長されて、再来年の3月が40年目の節目ということになっております。
     次めくっていただきまして、25ページでございます。
     25ページをごらんいただきますと、公害防止対策事業に係る財政措置ということで、この財特法による財政上のメリットが一覧表になっておるわけでございまして、一番左の欄に事業区分ということで、下水道ですとか緑地、廃棄物処理施設、学校環境整備、しゅんせつ・導水、公害対策土地改良ですね、農業関係の土地改良、ダイオキシン対策、その他といったようなものが財政上のメリットが受けられるということでございまして、具体的な中身は、左から3番目、4番目の欄に国庫補助金というふうに書いてありますが、通常、その補助金というのは、当然補助率が決まっておるわけでございますが、この地域については、その右側、その特例補助負担率というところまで補助金の補助率がかさ上がってくる、高い補助率が受けられるということでございます。さらには、その右側、地方債充当率ということでありまして、地方債で、こういう事業をやるときに、地方債で賄える割合が変わってくるというようなこと。さらにその右側で、地方交付税の算入、財政需要額への算入というふうに書いてありますが、通常、こういう事業をやっておけば、起債したものの元利償還金というのが、どれぐらい地方交付税の算入のもととなる基準財政需要額に算入されるかというのが決まっているわけですが、ここにも特例が適用されているということでございます。
     次、26ページに行きまして、具体的に、どういうふうになっているかというイメージでございますけれども、例えば、例1のところ、公害対策土地改良、農用地の話でございますが、こういうものであれば、補助率は通常50%のところが55%になり、地方交付税の基準財政需要額の算入が50%になるということでありますので、例えば事業費1億円という形で試算しますと、普通、5,000万円の補助のところが5,500万円になり、残りのところで起債できるのが何千万円になって、そのうち、交付税に算入される、基準財政需要額に算入される額も変わってくるといったようなことでございます。
     さらにその下、しゅんせつの場合にも同様のものでございまして、これ、通常の場合、地方債充当率、地方債でできないということのようでありますので、こういった場合には、地方債で新しくできるようになるといったような違いが出てくるといったことでございます。
     その次のページ、27ページにまいりまして、その財特法がどういうふうになっておるかということでございますが、この上の方のグラフの折れ線グラフ、これが、先ほど説明した中でも補助金のかさ上げといったような部分でありまして、やはり、最近、いろいろな公害問題もだんだん解決してきているということもあり、補助金のかさ上げの額は減っているというような状況でございます。対策事業、この棒グラフの方の額も減ってきているということでございます。
     その下にまいりまして、これが、かさ上げといったときに、実は廃棄物処理施設がほとんどだというような資料でございまして、この白い線が、全体の補助のかさ上げの額なのですが、この灰色の部分が、そのうち廃棄物処理施設の部分ということでありまして、最近減ってきておりますが、例えば最新の平成20年度の場合は、全体の補助金のかさ上げ額81億円に占める廃棄物処理施設の分が73億円だといったような、大部分を占めているという、こういう、特に廃棄物処理施設の補助率のかさ上げのメリットが大きくて、これまで、この制度が地方から見て魅力的なものであったという一つの大きなポイントであったろうと思います。
     その廃棄物施設がどうなったかということでございますが、28ページにまいりまして、財政措置の見直しというふうになっておりますが、一番下の表をごらんいただくのがよいと思いますけれども、これまで補助金でやっておったわけでございますけれども、補助率3分の1の補助金でやっておったわけでございますが、これが交付金になったということでございます。循環型社会形成推進交付金ということでございまして、こういったような新しい制度に平成17年度に切りかわりまして、ただ、その下のところ、公害防止計画地域というふうに書いてございますが、これが、こういう公害防止計画地域については引き続き、その補助金という制度が残っておりまして、この部分だけ、その補助率のかさ上げというメリットが残っております。これは、平成17年までに定められた計画に基づく事業ということでありまして、いわば経過措置的に残っているということでございますので、この現行の計画が終われば、この部分もなくなって、全部交付金制度になりますので、先ほどかさ上げ81億円分の73億円といった部分がなくなってくるというわけでございます。
     次にまいりまして、29ページでございます。財特法に関しましては、公害防止計画策定地域の外でも適用されるケースがございまして、これが、その総務大臣指定に係る公害防止対策事業というものでございます。これは、つまり基本的には公害防止計画をつくる地域というのは、公害が著しいところについてつくるということで、要は、その地域の外であれば、それほど公害は著しくないということになるわけでございますが、ただ、汚泥のしゅんせつですとか、土壌汚染といったような問題についてはスポット的に起きますので、公害防止計画の地域として拾えないケースが出てまいります。ということもありまして、こういった公害防止計画の地域の外でも、総務大臣の指定を受けて公害防止対策事業について財政上の特別措置が受けられるというようなお話でございます。
     その次30ページ以降が、環境基準の達成状況ということでございまして、こういう公害防止計画の制度を受けて環境がどう変わってきたかということでございます。これ、ちょっと若干グラフが、昭和62年から19年ということでありますので、要は激甚な公害があった昭和40年代から延ばすと、ちょっとまた見え方が変わってくるのですが、いろいろなものが、それぞれ改善している。二酸化硫黄は、これ、ほとんど100に張りついていますが、もうちょっと、昭和40年代、50年代まで戻すと、大分低かったものが改善しているという、そういう点になりますし、その他のものは、それほど、過去に延ばしても傾向は変わらないのでございますが、いずれのものについても徐々に改善しつつある。特に、大気系は大分よくなってきているなというような印象がございます。このグラフは点線が全国のデータでありまして、実線が公害防止計画地域のデータであるのですけれども、やはり、当然ながら、公害防止計画地域は公害が著しいところということでありますので、全国データよりは低くなってくるわけでございますが、それも両方ともに改善してきているといったような状況でございます。
     といったようなことが、現在の公害防止計画制度の現状ということであります。
     また、その資料3という方の1枚紙に、ちょっと戻っていただきまして、見直しに当たって考慮すべき事項という、一番下の上から六つ目の、一番下の○のところに、見直しに当たって考慮すべき事項というふうに書いてございます。参考資料の1というものを、ちょっとごらんいただきまして、これが、この一番下の○の一番上の「・」の中央環境審議会公害防止計画小委員会の意見というものでございます。これが、先ほどの小林委員長が座長になっておられる小委員会で議論した成果ということでございます。参考資料の1のところの一番上のところ、小委員会では、19年、20年、21年と、3回にわたって議論を行って、こういう意見整理を行ったということでございます。
     中身、長いので省略して簡単にまいりますが、2ページのところをごらんいただきまして、2ページの一番下のところ、公害防止計画制度の必要性ということでございます。いろいろな、そもそもこの制度をどう考えるかといったことについて、こういった意見があったということでございまして、制度を終了すべきとする意見というのが幾つかございまして、めくって3ページ目でございますけれども、一番上のところ、激甚な公害を除去するための制度としての公害防止計画の役割は、ほぼ終わったのではないかといったようなご意見ですとか、二つ目のところ、計画策定に要する行政コストを、もっと緊急性のある問題に振り向ける必要があるのではないかというようなところ。その次に、最近の環境問題、これは大気汚染とか水質汚濁みたいな、そういう地域的なものというよりは、土壌汚染とかダイオキシンといったような、そういうスポットの問題に変わってきているという面があるのではないかと、そういったことを考えれば、地域全体に投網をかぶせるような計画というよりは、そういうスポット的なものですとか、そういう問題を絞って、選択と集中が必要ではないかというような観点でございます。
     その下のところ、制度を存続すべきとする意見ということでございます。先ほどの廃止すべきという意見というものと対になるわけでございますが、公害問題、これは、現状、改善しつつあるとはいっても、この世が有る限り、必ず起こり得る問題だということで、起こるかもしれない公害に対応できるように、総合的な取り組みの制度としての枠組みは残しておく必要があるのではないかといったようなご意見でございます。その次に、光化学スモッグですとか、閉鎖性水域の水質問題といった、まだ改善できていない問題というのが残っているのではないかというようなご意見ですとか、その下のところ、県境をまたがる環境問題、廃棄物や化学物質といったことについて、県境をまたがって取り組む仕掛けが必要なのではないかといったようなご意見。その下のところが、先ほど公害という枠を超えてというところとつながってくるわけでございますけれども、地球温暖化ですとか、循環ですとか、共生ですとか、自然との共生ですとか、そういったような分野についても、そういったような問題も含めて地域の総合的な環境の計画をつくっていくという取り組みが必要ではないかといったようなご意見でございます。
     最後に、法改正についてというふうに書いてございますけれども、いろいろなオプションがございます。環境基本法を改正する場合ですとか、改正せず運用で対応するですとか、財特法はどうなるのかと、そういったいろいろなパターンがございますので、こういった、こういう制度にすべきだというご意見とともに、こうだったらこうだという選択肢を示すような、そういったようなご議論も、この場でいただければなというふうに思ってございます。というのが、その一つ目の公防小委の意見ということでございます。
     次に、また参考資料2の分厚い方に戻っていただきまして、33ページでございます。
     公害防止計画の見直しに当たって考慮する事項の2点目でございますが、農用地土壌汚染の基準の見直しということがございます。これは、いろいろな公害問題が徐々に解決しつつあって、公害防止計画の役割も徐々に小さくなってきているのではないかというようなお話をしてきたわけでございますが、若干、その例外的な事情が発生しておるのが農用地の土壌汚染の問題でございます。この資料の中身自体は、細かい部分もありますので省略をいたしますけれども、34ページあたりをごらんいただきますと、いろいろなカドミウムのリスク管理に対しては、いろいろな議論がなされておる状況でございまして、具体的にはWHOで、カドミウムに関する基準が厳しくなったことを受けまして、お米のカドミウムの基準も厳しくなり、当然土壌の方の基準も厳しくなるという動向にございまして、その結果、その汚染された土壌を除去しなければいけないような、そういう土壌汚染対策をしなければいけない農用地が広がってきているということでございまして、この分野は、かなりやらなければいけないことが増えるという特殊な分野なのではないかなと。こういったことも考慮しながら見直しのあり方を考えていかなければいけないという点でございます。
     次に3点目、過去の見直しの経緯というふうに書いてございますけれども、これまでどういうふうに、この公防計画を見直してきたかということでございます。
     分厚い方の38ページをごらんいただきますと、おおむね、財特法の延長のときに合わせまして、三度延長してきたと申しましたが、延長のとき、それぞれにあわせまして、いろいろな見直しを行ってきているというわけでございます。大きく言いますと、例えば、平成4年というところに書いてあるように、重点的に取り組む課題に化学物質対策、地球環境保全の観点を追加というふうにありますように、やはり公害防止というのは若干時代に合わない、もうちょっと環境問題は広いのだということになってきてまいりますので、公害防止計画という名前は変えないまま、取り組む課題を徐々に増やしてきたというような見直しを行ってきたというのが1点。
     次、39ページ目をごらんいただきますと、公害防止計画の策定指示の要件というふうに書いてございますが、これは何なのかと申しますと、もともと、どういう地域で公害防止計画をつくるかというのはあまり明確に定まっていなかったわけでございますが、それを前回の見直し、平成13年の見直しで明確にしたということでございます。こういったような、それぞれの環境項目について点数化して、これが何点以上、具体的には9点とか7点とか、点数まで決めておりますが、何点以上のときには計画をつくるべきだといったような明確化をしたということでございまして、これは何でこれを説明しているかといいますと、今後、公防計画を見直すといったときに、ではこの策定指針の要件はどうなったのと、要は、こういうのが9点以上あれば環境局が著しいと評価した、その評価が変わってしまったのかと、そういったようなことも議論として必要なのだろうなということで、ここを説明いたしました。
     次、40ページ目でございますが、地方分権改革推進委員会の勧告ということでございます。これは、地方分権の議論が、地方分権改革推進委員会という内閣に設置された委員会で議論されておるわけでございます。第3次勧告というのが、今年の10月に出されまして、全体で900項目以上について、いろいろな勧告をしております。具体的には、大きな3点、施設・公物管理基準ですとか、協議、同意、こういったものですとか、計画の策定、そういったものを主に勧告の対象としているわけでございますが、この公害防止計画についても勧告を受けてございます。勧告の中身は2点ございまして、環境大臣への同意つき協議についてということでございますが、今、この計画は、つくった後、環境大臣の同意を受けるというふうになっておるわけでございますが、これを廃止すべきだという勧告でございます。細かく言いますと、上の「・」のところで、国の税制・財政上の特例措置が講じられる部分、つまり財特法が適用される、その部分については協議を残すけれども、その他の部分は協議を廃止するというふうになっております。また、これは当然、財特法の期限が、このままですと再来年に切れますので、その後全体の協議がなくなる。財特法が残れば、一部協議が残ると、そういったような勧告でございます。
     次に、公害防止計画の策定についてということでございまして、これは、計画そのものの策定を義務づける。これは、今、環境大臣から策定の指示を受ければ、県は計画をつくらなければならないという規定になっておるわけでございますが、これを、その一番下のところ、「できる」規定化または努力義務化というふうに書いてございますが、義務的につくらなくてはいけないのではなくて、県がやりたければできるとか、つくろうと努めなければならない。といったように、つくるかつくらないかの最終判断は県がするといったような、そういう勧告を受けているといったようなことでございます。そういったようなことを考慮して、見直しを検討していくという必要があるということでございます。
     最後に41ページにまいりまして、先ほど公害防止という枠を超えて、法の改正を見据えて検討をという話を申し上げましたけれども、そういったときに、恐らくありそうな話としては、公害を越えて新しく環境というものの総合的な計画をという話になってくるわけでございますが、そう考えたときに、ではどういった計画が県では今必要になっているのだろうかということで、これは現行の法律に基づくいろいろな計画制度をまとめたというものでございます。環境に関する総合的な計画、これは国には環境基本計画というものがございますが、県と市にはないということでございます。ただ、これは法律上規定されていないということでありまして、実体上はほとんどつくってございます。全都道府県、政令指定都市あたりであれば、地方のその県の環境の総合計画というのは、ほとんどつくっているというような状況にございます。その下が分野別計画でございまして、温暖化に関しては、国には京都議定書目標達成計画があり、県と市、これ、大きな市だけですけれども、そこには地域実行計画というものの策定を義務づけているということでございまして、温暖化については、かなり温暖化特有の計画をつくっておりますので、当然、全体の計画をつくるという話をするときに、屋上屋ということにもなりますので、その関係をどう考えるかというのが一つのポイントになってございます。同様に、循環、ごみ関係では、こういう状況になっており、生物多様性については生物多様性国家戦略というのが国にあり、地域では生物多様性地域戦略というのの策定が、これは努力義務になっているということでございます。公害防止については、都道府県、一部の公害が著しい都道府県に限って公害防止計画の策定が義務づけられている。そういった状況にあるということでございます。
     もう一度最後に、念のため、資料2の方に、本検討会の検討課題というふうなものに戻っていただきまして、今、説明申し上げたようなことを踏まえまして、ご検討いただきたいのは、改めてになりますけれども、公害防止計画制度の現状をどのように評価するのか、といったような点。そういった現状を踏まえて、今後も地方公共団体が公害防止のための総合的な計画、こういうものが必要なのかどうか、必要としてどういう見直しが要るのかという点、さらには、公害防止という枠を超えたものまで考えたときに、どういったものが有効なのだろうかといったような点、さらには、当面の分権改革ですとか、公害財特法の期限到来といったもののみに対応する見直しをするとした場合に、どういうふうにあるべきかといったところをご議論いただきたいというふうに思っております。
     以上です。
  •  小林座長 どうもありがとうございました。
     今の内容につきまして、公害防止計画の現状、今まで行ってきた役割とか成果、そういうものについて、また、今後この計画について、どういう方向性でいくかというようなポイント、議題が二つあるわけでございますが、各委員の皆様方、この両方の課題についてご意見があると思いますので、各委員の方から、できましたら5、6分程度で、ご意見をいただければと思います。ひとつよろしくお願いいたします。
     まず、浅野先生。
  • 浅野委員 意見は、既に参考資料1に記されておりますように、小委員会のメンバーとして数次にわたって議論をしておりまして、意見は記されていることが意見ということになります。
     経過についての事務局の説明もありましたが、参考資料2の38ページに、これまでの見直しの経緯が記されております。私がこの問題に直接かかわりを持ちましたのは、多分平成9年からだと思います。審議会委員になりましたのが1993年12月でありますので、それ以前の公害対策審議会時代にどのような論議があったかは詳しく存じませんが、平成9年の改定で、どういうことを考えたかといいますと、1994年に第一次環境基本計画、その前年の1993年に環境基本法ができましたので、これまでの公害対策基本法に基づく公害防止計画から、環境基本法に基づく公害防止計画へ、どう模様がえをするかということを考えたわけです。実際のところは、これには無理な点もありました。なのですが、無理なことをやったということです。
     少し話はもとに戻りますが、1993年に環境基本法をつくりましたときに、一番大きな問題になりましたのが、公害対策基本法を廃止するか廃止しないかということだったわけです。公害対策基本法の中には、政策理念的なもの以外に、実体的な規定が二つだけあった。詳しくは三つですが。一つは、環境基準です。もう一つが公害防止計画で、それに関連する制度として、公害防止対策会議の制度が設けられていた、これだけが実体法的内容でありまして、それを環境基本法では、どうしようかということになったわけですが、別法に切り分けて残すという案もあったのです。どうしてかといいますと、環境基準というのも公害規制のための基準でしかないので、それを環境基準という名前で、そのまま環境基本法に残しておくと誤解を与えるので、よろしくなかろうということであったのですが、残念ながら、その案は通りませんで、環境基本法の中に、そのまま、この公害対策基本法の制度を残すことになったわけです。ですから、結果的には環境基本法が新たに自然と環境汚染と両方を統合する環境政策を確立しようと言っている中で、宙に浮いたようなものが中に残ってしまったということになるわけですが、結果的にはやむをえないことなので、環境基本計画ができた段階で、公害防止計画とは言いつつも、環境基本計画、環境基本法仕様に合わせましょうということで、かなり無理をいたしました。無理というのは、例えば環境教育をやれとか、何か、自然保全についても何かやれとか、そういうことも、公害防止計画の中に書くようにと言うことにしたわけです。無理なことを言ってしまったものだと大いに反省はしているのですけれども、当時は、第一次環境基本計画に何とか制度を合わせていこうということで、一生懸命やったわけですが、もともと無理があることはわかっていまして、大きな見直しをしなければいけないという話は、そのときからの宿題であったわけです。
     続いて、2001年に、第二次環境基本計画ができたことを機会として、2001年の運用見直しというのをやったわけですが、この見直しの最大の眼目は、財特でかさ上げがあるというメリットがあるために、本当は、公害という観点からはほとんど課題が残っていないのに、公防計画地域に残っているという地域がある。これはどうもおかしいなと思ったわけです。といいますのは、同じような行政施策を行っていても、ある市には高額の国庫補助が出るのに、他の市では出ないということがある訳です。こうした既得権益化した状況を何とかもとに戻さなくてはいけないということで、客観的な基準によって地域指定をしようではないかということになりました。そこで、ここに記されているような点数制にしたわけです。ただし、1地点でも環境基準を超える場所があれば、その地域は全部公害汚染がひどいということにするわけですから、なお問題の残る制度になりましたけれども、これは、ある意味では苦肉の策ですね。大幅に整理するというわけにいきませんので、かなりの地域が残るようにと考えるとこれしかないわけです。本当に、すっかりきれいになった地域だけは卒業していただくことにした。これが13年の見直しなのです。
     そしていよいよ今回は財特が切れるという状況になりましたので、ここでどうするかということになるわけです。考え方としては、はっきり二つあるわけです。財特が切れたから、金の切れ目が縁の切れ目だから、もうこれで制度は廃止ないし休止してしまえというのが一つの考え方です。それともう一つは、公防計画という制度の持っていたメリットは、本当はお金ではなかったはずだ。それが、いつの間にかお金のメリットだけが歓迎されることになってしまったことをもう一回反省しよう、つまり原点に戻れということです。何が原点かというと、公害対策基本法の発想は、とにかく激甚な公害に対して国を挙げて取り組まなければいけない。だから、自治体だけではだめで、国の機関も一緒になって協力をしようではないかと、そういう話であったわけでして、その点が、もともとの制度の原点だったにもかかわらず、いつの間にかこれが消えてしまったということですから、もう一回、それをもとに戻せばいい。公害という概念は後ろ向きの概念で、被害が起こって公害だと騒ぐような概念ではないかと私言ったことがあるのですが、橋本道夫先生から、そんなつもりで条文をつくった覚えはない。被害が生ずるおそれがあるような場合は、全部入っているのだ。最初から、そのことは念頭に置いてやっているのだ、何を言うかと言って怒られまして大いに反省しているわけですが、実は公害概念というのは、予防ということが当然の前提にあるわけですから、今後にわたっても、典型公害と言わずとも、環境汚染のおそれに対して適切な対応をしなければいけないということは残る。これは間違いないことですから、そのことを含めて、さらに、直ちにリアルタイムで損害が生じるような環境汚染のみならず、次世代、将来世代に影響が及ぶような問題についても、予防原則という観点からしっかりした対応をしなければいけないと考えると、公害概念をもっと広げていくこと、公害防止計画という名前をそのまま残しておいてももっと広義にこれを捉える。そして、その防止のために国の機関と地方公共団体が一緒になってやるということがあり得るだろう。こういう考え方もありうるわけです。
     もっとも地方分権の時代に果たしてそんなことがあるのかねというわけですけども、環境問題というのは、極めて地域的な問題であると同時に、オールジャパン、地球規模の問題でもあるという両面性がありますので、実は、地方分権の整理ですべてこれは地域の問題であると仕分けしきってしまうことにはなじまない面がある。そのことを改めてここでもう1回強調することによって、地域主権の時代でありながら、しかしオールジャパンでやらなくてはいけないことはオールジャパンでやる。必要な場合には国が知恵も出す、金も出すと、こういう仕掛けがあっていいはずでありますから、やはり公害防止計画を廃止ないし休止しないで模様がえをするとか、新たな意味づけを加えて発展させていくということが必要ではないか、さはさりながら、従来のように、内閣総理大臣あるいは環境大臣の指示によって策定するという構図を今はとれませんので、これはあくまでも国の側からお願いをした方がいいと思うところについては、国からお願いができる。自治体がイニシアチブをとって自分たちがつくりたいと思うところについては、手を挙げていただいたら、それを受け入れてやりましょうということで協力しますといったふうに、両方からアプローチできるような仕組みに変えていって残すというようなことも考えられる。
     つまり選択肢としては二つありますので、どちらでも構わないと思うのですが、環境省でも、今後検討を深めていくときに考え方が二つあるということです。
     なお仮に、やめてしまうとしても経過措置は必要になりますので、直ちに全部やめるというわけにはいきませんから、全廃をいきなり考えるということはできないので、前者の考え方でいくとしても経過措置をどうするのだろうということになります。
     私は、できるだけ存在するインフラはむだなく使うことが効率的であると思っていますので、新しいものをつくることばっかりではない。既存のインフラの活用というのは大いに重要なことであろうというふうに思います。かなり長くなりましたが、私の意見です。
  • 小林座長 ありがとうございました。それでは、岩崎先生。
  • 岩崎委員 私自身公害防止計画に関して大きな知見を持っているわけではないのですけども、昔、計画をつくるときに多少携わったことから言うと、5年に一度と言ってもなかなか作業が多くて、だんだんやはりマンネリ化してくるかなという感じがありまして、そういう意味から言うと、大分役割を果たしてきたのかなという感じがしています。
     大気汚染の面から言うと、先ほどからお話がありましたように、SO2、CO、NOx、PMでスタートしてきたのが、大分非常に環境がよくなってきた。これははっきり言えることだろうと思います。
     大気の方から言うと、最近ではダイオキシンであるとか、アスベストであるとか、PM2.5というような形で今進んできて、そういう意味から言うと、大分大きな問題というか、そういうものはほとんど解決してきて、個別の非常に重要な問題に関して一部残っていますけども、取り組みの流れから言うと、一般環境の大気汚染というのは非常によくなってきたなという感じがしております。
     これからの大気汚染も含めての方向性というのは、どういうところにいくのかなというのが一番公害から環境問題へ移っていくのでしょうけども、なかなか難しいなと。その方向性がどこに見出せるのかなというのが、今一番私の中でも関心のあるところです。それが大気汚染というものに直接というわけではないのですけども、最近、国民の快適性とか、新しいそういう要因にどういう環境政策がつながってくるのかなと考えています。環境省でも感覚環境のまちづくりをスタートさせていますけども、ああいうようなところで、いわゆる快適性をどういうふうに保持していくのかなというのは、これから重要になってくるかなと。
     この公害防止計画が廃棄物焼却に関して多大な貢献を成してきて、今、大気汚染環境も、特にごみ焼却からの大気汚染はかなり改善されてきてよくなっているということで、役割は随分果たしてきたわけです。そういう意味で、この大気汚染の分野からの話ということになると、どう結論出ていいもの、快適性といっても具体的な形で私がご提案するわけではありませんので、その辺のところでどういうような出口があるのかなというのは、今模索の段階で、なかなか公害防止計画の新しい展開と結びつけるというのは、なかなか難しいというふうに考えていますが、一つは、そういうところで何か役割が果たせるかなというのがあると思います。
     それから、公害防止計画が私自身ももう役割を果たしたなと思っているのですけども、残された方向としてはどういうものがあるのかなと考えると、やはり環境政策を地方自治体だけに全部お任せしてというのも一つあると思いますけども、やっぱり先駆的に方向性をリードするようなところで何か役割が担えないだろうかと、もちろん地方に任せてもそういうことを考えるということはあると思いますけども、やはり新しい方向性みたいなのをやっぱり展開するようなところで役割が出ないかなと思います。あともう一つは、地域の連携というか、一つの地域だけでは解決できないような問題に関して、もう少し何か連携の橋渡しみたいなのが何かできないだろうかという感じはあります。まだ個々に具体的な提案があるわけではありませんので、今回こういうのを機会に少し勉強させてもらっている段階ですので、今のところそういうところにとどめたいと思います。
  • 小林座長 ありがとうございます。それでは佐藤委員の方からお願いします。
  • 佐藤委員 私は、先ほど自己紹介のときに申し述べたように、以前農業試験場にいて、土壌肥料をやり、そしてちょうど昭和48年ごろから例のカドミウムの問題で、イタイイタイ病で富山県、その次に秋田県は農業地土壌汚染防止法という形でもって仕事をしてきたわけです。
     特にカドミに関して農用地土壌汚染防止法、これは公害なのですけど、公の害ではなくてマインの方の鉱害というふうに考えてください。
     参考資料の2がありますので、その36ページを使わせていただきます。36ページの上の図ですね。農用地土壌汚染対策の進捗状況というのがあります。これは昭和47年ごろから、ちょうど私が試験場に入って土壌の調査を始めたころから始まりました。それで、この右側にずっと上がってきている四角のものがありますけど、これが対策事業の完了面積です。ですから、目標値に対してほぼこのまま直線を伸ばしていくと、もうすぐ終わるよというのがこの右側の方に直線を交えるところが出てきます。
     しかし、先ほど申し上げたように、事情がちょっと変わってまいりました。と申しますのは、このときは、農用地土壌汚染対策というのは、実は土壌の汚染ではなくて、玄米の汚染、玄米がカドミウム1ppm以上出たものに対してその生産手段である農用地を改良すると。つまり、要件が食物の方から来ているわけです。土壌から来てないですね。ですから、右上がりの改良面積というのは、1ppmを超えた土壌、玄米が生産された土壌に対して対策を講ずるというのが趣旨です。これは土壌が汚染されているからそういうことになるんだという以前に、人間の健康を害するようなものを農作物として生産・流通させることを防止するというのが最初にあるからこういう形になったというふうに理解しております。
     結果として、繰り返しますけど、先ほど申し上げたのですけど、すごろくで言えば上がりが見えてきたところです。
     ところが、先ほど黒川さんが説明なさってくださったように、状況が変わってきたわけです。これは世界保健機構とその下にあるコーデックス委員会が、お米に関して最初は0.2で提案してきたのですけど、その後、頑張って、0.4という形で日本はやっていきますよということでもって、その作業が今進んでいる最中です。
     1ppmの玄米が0.4に置きかわったと考えてもよろしいかと思います。当然ながら基準値がうんと厳しくなったわけですから、今まで1ppmでこの法律が発動していたのが、さらに低いモデルで発動しなきゃいけない。
     具体的に言いますと、この面積が全くもとに戻るぐらい、秋田県ですと、1,700ヘクタールぐらいをこの法律に基づいて対策してきたのですけど、0.4になると2,000ヘクタールを超える新たな汚染地が出現するというふうになります。つまり、全く今までのものがもとに戻ると言うわけです。
     秋田県の場合は、1,600ヘクタールを昭和49年から30年以上にわたってやってきています。ですから、財特法のお世話になったこと、それを3回も延長してもらって非常に助かったというのが本音です。
    本題に入りますけど、要は、先ほどの話のように、私たちのところ、これは秋田県、富山県さん、兵庫県さん、と面積は下がってきますけど、秋田県と富山県だけで全国の半分を占める対策面積です。ご存じのように、富山県さんの場合は、イタイイタイ病ということでもって、この問題が惹起された原点ではありますけれど、少なくとも今までこういうことでもって対岸の火事というふうに見てきたところも飛び火するところもあろうかと思っています。
     基準値がぐんと下がりましたので、そういう意味でこれをばっさり切られると、恐らく今までかかったお金と同じようにかかるというふうに見ていますので、今10アール当たり客土でしますと、大体500万円近くかかります。それが6,000ヘクタールということですから、とんでもないお金にはなりますので、とても地方自治体とか、県で肩がわりするとかというレベルのお金ではございません。どうなるかわかりませんけれど、この財特法に関しては、やっぱり強く存続を考えてほしいなというのが思うところです。ちょっと変わったお話で申しわけないですけど、以上でございます。
  • 小林座長 どうもありがとうございました。
     谷口先生お願いします。
  • 谷口委員 すみません、11時半に抜けさせていただきますので、先に何点かコメントさせていただきます。ある県の環境審議会で今やっている議論をちょっとご紹介したいと思うのですが、要するに、大気の観測ポイントをもう予算がないから減らそうという話をやっています。光化学オキシダントとかを測っているのですが、地域に大きい工業地帯がございまして、その周りに昔だと、光化学オキシダントが高濃度に発生したので、そこで警報を出してというふうなことをやっていました。しかし、今の発生の仕方が全然変わってきているということですね。現在は中国大陸に主因があるため、5月ぐらいになると、九州から順に数日経って東京で濃度が高くなる。ただ、それがきちんと全国の状況が明らかになるのが秋ぐらいに国環研がデータをまとめて出されるという状況になっているということです。
     そういう中で、一つの県の中で、観測ポイントをどういうふうに配置すればいいかという議論をしていても、全然だめなのですよね。その意味で、やっぱり全国ネットワーク的な視点を入れていただきたいというのが一つ大きくあります。そうなったときに、先ほどの議論の中で、僕は非常にこれは困ったなと思っているのは、地方分権の議論というのが何か非常に正しいことのようにまかり通っているのですが、例えば、先ほどのような判断基準でやられた場合に、例えば、ある都道府県がやらないというようなことを言ってしまうと観測網に穴ができてしまうわけですよね。そういうふうなことはやっぱり問題の性格上避けないといけない話なんではないかなと思っています。そういう意味で、分権化ということに関連し、この環境の問題に関しては、非常に注意しないといけないことがあるのではないだろうかということが一つです。
     あともう一つは、やっぱり財源の話です。これはちょっと質問のようなことになる、僕は知識がないのですけれども、資料2の廃棄物27ページの廃棄物処理施設にお金がかなり使われていたということで、これが最近になるとかなり減ってきています。この減っている理由というのは、そもそもそういうお金を使って廃棄物処理施設を建設する必要がなくなってきたからなのか、もしくは財源的になくなってきたからなのか、どちらなのでしょうかということなのですけれども、すみません、知識がないだけなのですが。
     これは何かそもそも廃棄物処理施設建設の補助金とかというものが、本来別にあるべきお話のような気がしています。そういう意味で、これも先ほどの分権化のお話と非常に似た話ですが、最近全部市場化というか、マーケットで、市場原理に乗るものだけが正しいというふうな議論が結構通る部分があります。やっぱり環境の問題に関してはそれだけではカバーできない部分があるので、公害財特法がなくなるからそれで終わりというわけではなくて、ほかの財源をやはり探さなければいけないという問題が出てくるのかなと思います。
     それに関連して言うと、農地のお話、農地の汚染がありましたけれども、私がかかわっておりますのは、都市計画の分野ですが、都市計画の中でも土壌汚染というのは非常に大きな問題になってきております。これは環境省さんでも将来どれぐらいそういう土壌汚染の問題がある土地が生じるかというのを予測され、その情報も使わせていただいているのですけれども、これは今の感じだと、マーケット、市場価格が成立するようなところは、要するに、東京の真ん中ですけれども、そういうところは除去をできて、そうでないところはもう放ったらかしというふうな形になっていく可能性が高いわけですね。
     これは、公害防止対策法が当初できたころには予測されなかった、やっぱり新しい一種の公害の問題だと言ってよいのではないかと思います。これはマーケットで解決できないので、やっぱりきちんと公のお金をつぎ込んでいく仕組みというのはなければならないというふうに思っています。
     そういうこともひっくるめて、私個人的には、浅野先生も先ほどちょっとおっしゃいましたけど、計画自体というのは、本来何か立てなければならないものではないかというふうに思っております。実際にお金をつぎ込んで何か物をつくったりしなければいけないかどうかというのは、地域によってそれぞれだと思うのですけれども、非常に基本的な事柄として、地域に公害が発生しそうかどうかということは、もう当たり前のこととしてチェックしておくのが常識というふうな仕組みになっていないとおかしいのではないかなと思っております。
     その場合に、今までのように、公害が起こっていた自治体に補助しますというのは過去の考え方になってしまうのかもわかりませんが、やっぱりローカルなところで環境の対策をやっている係の方というのは非常に人手が足らないわけですよね。むしろ、大きいところよりも、人手が足らないでそういう計画を立てるのまで手が回らないよと言っているような小さなところをどうやって助けてあげたらいいかということを考えた方がいいのかなと、地方の方と一緒におつき合いしていて感じている次第です。
     まだあと2回あるということなので、1回目は非常に雑駁な意見になって申しわけないのですが、感想めいたことで申し上げさせていただきました。どうもありがとうございます。
  • 小林座長 どうもありがとうございました。では、丸山先生よろしくお願いします。
  • 丸山委員 先ほどから皆さんからいろんなお話が出ておりますけども、私の経験から言って、冒頭のあいさつでも申し上げたのですが、1960年代、40年代、50年代、この時期は大変な公害問題が起こっていたわけでございます。それから、三十数年、もう40年たちますが、そういう中で、多岐に渡って典型的な、公害というのはほぼ解決されてきているのではないかというふうに考えております。
     そういった中で、私の退職するころに、また課題として上がってきたのが、先ほどもございましたけれども、汚染米の処理の問題だとか、PCBの残留、保管の対応など、これらについてどうするのか、例えば大震災等があった場合には、保管場所から露出・漏洩するとか、そういうような懸念も出ているわけでございます。
     PCBの問題、それから、さらにはアスベスト問題、これも小・中学校、それから公共施設の壁等に施工されたわけですが、それの除去。これらについても、いわゆる過去の遺産を引き継いで、ここ数年はそれをどうするのか大きな問題になっております。
     それから、東京都を含めて東京近辺では、地価が高いというのもあるのでしょうが、また、土地の改変というチャンスが多いということもございまして、土壌汚染の問題が相当大きな課題となっております。これは今まで工場等で使っていた土地を改変しようといったときに、掘って検査をすると必ず何かが出てくるというような状況で、これに対して膨大な金額を投じながら対策をするわけでございますけれども、その対策費用と費用対効果、これの利用価値があるからこの対策が進むんだと思うのですけども、なかなかその辺の一律的な考え方あるいはもう改変しないでそのまま使っていくんだというような事業主体もございます。こういった問題が今後、ますます露呈してくるのではないかなと考えております。
     それから、公害防止計画についてでございますが、先ほどの資料2の19ページに、一例としてバイパス等の整備計画等が列挙されております。こういうものを、例えば県の主体で公害防止計画を策定するに当たっても、ここに出ているように事業主体が県、国それから市、そういったところにかかわっている部分ございます。こういうのを整備指針も同様でございますが、国が絡んだり、県が絡んだり、それから周辺の自治体が絡んだりというような部分の事業というのは相当ございます。このあたりの調整に非常に時間がかかるということでございます。
     計画が策定できればそれぞれの実施主体が明確になって、また、それの実効性がどうなのかチェックはできるのですが、これを策定するに当たって膨大な作業がかかるというようなことも経験しております。
     こうしたことから、最近の行政の部分としては、作業数としては相当多くなっていますけれども、内容としては、マンネリ化してきている部分が相当あるのではないかというふうに考えております。
     この公害防止計画を全廃するということの考え方は、私はいかがかなと思います。一つは、課題の部分をきちっと整理しながら、計画性をもって策定し、それを実効性を高めるためにチェック機能が働くというようなことも一つ残しておくべきではないかと思います。
     これが国でやらなければいけない仕事なのか、地方分権の中で地方がそれぞれの必要性に応じてそういう計画を自主的につくって持っていくべきことなのか、議論が分かれるところだと思いますが、昨今の状況から、地方分権の中にそれにゆだねていってもよろしいのではないかなと思っております。
     こういう中で、1例を申し上げますと、平成15年でございますけれども、皆さんも覚えておられていると思いますが、石原都知事がばい煙、自動車排出からとれる黒鉛を振りかざしながら、これを首都圏で対策するんだということを宣言されました。これは首都圏サミット、今で言うと、8都県市でございますが、埼玉県と千葉県とそれから神奈川、東京と、それにかかわる政令市、ここで8都県市の首脳会議で決定したことでございまして、首都圏にディーゼル車、古いディーゼル車を走らせないという計画を立てたところでございます。それはかなりきつい規制でございました。私もこの事務局を2回か3回やったところでございますけれども、新潟あたりあるいは長野だとか、そういった周辺都市の方にもお願いしまして、首都圏に入ってくる車については、DPFや酸化触媒などの除去装置をつけた車でなければ入らないでくれというようなことを直接周辺の自治体にお願いに行ったことがございます。
     そういうことで、多く語ることもないのですが、環境基準の管理あるいはそれの維持、これを具体的に国がやるべきことなのか、自治体がやるべきことなのか、この辺も議論が分かれるところだと思います。平成15年の首都圏サミットで自動車公害対策を全面的に進めたわけです。その翌年からSPMは、首都圏のSPMは全面的に改善されたという事実がございます。
     こうした中で、NOxについては、いまだ改善されない状況であるというようなことで、国の役割、地方の役割、国と地方がどう連携していくのか、あるいは地方がどう独立していくのか、こういう関係行政含めて、大きな視点で検討していく必要があります。
     以上でございます。
  • 小林座長 どうもありがとうございます。
     結構いろんな問題点が出てまいりました。私も長いこと兵庫県で環境対策をやらせていただいて、今日この資料の参考資料の38ページに公害防止計画のこれまでの経緯というのを見せていただいて、そういうことだったというのを感じております。
     兵庫県も第1次計画の1年遅れで策定させていただいて、その時点ではいろんな議論をさせていただいたのですが、基本的には、補助金のかさ上げを目的に、つくることになりました。本来の公害防止対策のために計画をつくるという発想よりも、補助金をもらうために計画をつくるというのが県の基本的なベースにございました。そんな形で進んでいったのですが、その中で私自身が気になったのは、平成4年の改定のときに、地球温暖化対策を公害防止計画に入れるというおはなしがあり、私は、公害防止計画は、地域の公害防止のためにあり、地球環境問題を取り組むのは筋違いだと言って大反対をしたのを覚えております。
     もう一つは、平成13年の運用の見直し、このときは、たしか委員になっていたと思うのですが、このときの議論では、環境省側はもう公防計画はここで廃止をするのだという方向を持っていたということも覚えております。
     そんな中で議論していて、当時、補助金、交付金のかさ上げがあったものですから、各府県からの強硬な要求があって、最終的には延長というふうになったという記憶を持っております。
     今後の問題として私自身、感じておりますのは、公防計画そのものも必要だし、これはやはりある程度、事業を特化してやっていくことが必要だし、また、これを地方分権と言う理由で地方に移譲してしまいますと、今度はこれだけ地方の財政困窮の中で、やっぱり環境という分野は予算の削りしろになり、地域公害対策には予算が付かないということになりかねないということがあります。
     そういう意味で、やはり国側である程度、地域汚染のある公害対策についてルールをつくって各都道府県、政令市に義務付けることが重要であるというふうに思っております。
     そういう中で、これからの議論を進めていっていただいたらどうでしょうか。
     今、各委員の皆様さん方からご意見をいただいたわけですが、その意見を踏まえて、さらにフリートーキングで、何かご意見をいただけたらと思います。
  • 浅野委員 さっき私が申し上げたことですが、環境の政策課題というものは、地域に主体を置いて考えなければいけない要素があると同時に、それでは困る要素というのが一つの現象の中に複合的にあらわれるのだと思います。これが分権推進委員会に全くわかってもらっていないというのも大問題だと思っているわけです。
     これは、今、アセスの見直しの議論をやっているわけですが、その中でも、自然に関してはやっぱりオールジャパンの関心事なのだ。だから、これはちゃんとアセスの中で取り上げるべきだという自然保護団体の主張はもっともだと思って聞いているわけです。
     だから、ちょっとそういう環境政策の持っている即地性というんでしょうかね、場所に即して考えなければいけない問題と、しかし、そうではない問題、この辺をロジカルにきちっと整理をするという作業を環境省はきちんとはやっていないような気がする。環境計画課がその仕事をしなければいけないのではないかと思います。これが1点目。
     それからもう一つは、さっき私がこの計画の仕組みの合理性ということで、国、地方公共団体の連携の仕組みということが確保できるだろうと申し上げたのですが、景観法はどっちかと言うと自治体の側に主軸を置きながら法の中で関係する国の機関や県の機関が入り込むという仕組みになっています。だから、反論をうける可能性があるものの、仕掛けとしてはそういう仕掛けもある。国と地方公共団体あるいは地方公共団体相互の連携の仕組みというもののあり方というのは、現行法体系の中でもいろいろな形があると思います。地方自治法の中でも、事務組合だの広域連合だのいろんな仕組みがありますね。
     そういったような現行法の中での自治体連携、国との連携の仕組みというもののタイプ分けをちゃんとやっておいて、公防計画ではその中のどのタイプをねらっていくのか、どのタイプとして生き残しうるのかという整理もしておかないと、ただ抽象的、一般的に言ってもしようがない。このようなことも勉強していかなければいけない研究課題ではないかと思われます。
  • 小林座長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
  •  岩崎委員 策定地域という考え方なのですけども、大分当初は、例えば、四日市にしても、鹿島にしても、どこにしても、その地域の非常に、ハードな環境というのはあったわけですけども、今のこの光化学も含めて、土壌汚染もお話を聞いていると、やはりもうそういう地域的な考え方というのがもうそろそろ古くなっているかなと。地域外でも一応認められるような制度になってきているようでございますけども、まだこの30地域というような概念が今の環境問題から言うともう大分異なってきたかなと。VOC規制でも全国一律でやっているというのは、いろんな影響が他県にまでどんどん及んできていると、そういうような視点で、昔のようなある意味で四日市に代表されるようなそういうような地域特性というのはまだ一部は残っているのかもわかりませんけども、それ以外のところにも随分違う影響が出てきていると。
     先ほどの広域的な、中国の影響や何かというのは、これはまた別にとらえたらいいと思いますけども、そういう意味から言うと、この地域的な概念というのはもうそろそろ要らないのではないかなという感じはいたしております。
  • 小林座長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
     今までのご意見で何かコメントをすることは、ございますでしょうか。
  • 正田計画課長 第1回ということで、非常に広範な問題をご指摘いただいています。
     ある程度私どもも非常に冒頭の局長からのごあいさつ申し上げましたように、非常に複雑なことがかかわりあってきているという問題なのだろうと思っています。
     冒頭、小林委員長からもお話がありましたように、公害対策基本法というある意味、環境庁のふるさとのようなところから始まってきている仕組みであります。そういった中での積み重ねと、その中で随時やはり見直しはしてきたと。そういう中で、やはり当初想定してきた、やはりこれは産業型の非常に激しい公害というものに対して、まず、どういうふうに取り組みますかというところが当然出発点で、それに対する恐らく最初は対症療法的な仕組みだったのだろうと思っています。
     その中で、やはり公害と対象とするものが広がってきたと。例えば、環境基本法という中で、それは従来、公害と環境はイコールな関係にかなり近かったところから、自然環境関係と公害対策の形でつながってきて、その中で、地球環境も入れ込んでいくという中で、どうも大きく育ってきたという中で、その計画と本来やはり目標としてきたところというものに乖離が出てきているのではなかろうと、こういったご指摘は当然あるのだろうと思っています。
     その中で、また先生からのご指摘がありましたように、ちょっと制度のイメージがなかなか私もわかないのですが、ある程度柔軟性を持ったという仕組みと、そういう中で、地方を主体でやっていただくものと、国として要請するなりというような話もありましたし、取り組んでいくものと、いろいろ選択肢を持っていかなくてはいけないのかという感じを持っております。
     そういう意味で、非常にまたいろんな大きな流れというものがありますので、それは決して無視するわけにもいかないので、そういう中でどういう位置づけをしていくかと、いろいろな宿題もいただきました。どこまでが私どもこなせるかということがあるのですが、その辺は勉強をしたいと思っています。
     また、いずれにしても、それぞれ取り組んでいただいています各地元地元、都道府県なり、もしくは事業を実施していただいている自治体があるかと思うのです。そういった方々、今どういったお考えありますかということで問いかけております。それぞれのやはりお考えというのが、まずは尊重していく一つのベースなのだろうと思います。
     幾つかの自治体の方々と、決して網羅的ではないのですが、簡単な意見交換をさせていただいておるのですが、やはり各地元地元によってもかなり考え方が違っているのかなと、今正直思っています。
     それは今までの取り組み状況、今のまた現状というものがある中で、もしくはいろんな今後に向けての展開というものがある中で、自治体間においても考え方が違っているところ、受けとめ方が違っているところもあるだろうと。これはいずれ集約をいたしまして、ぜひ次回にはご披露しまして、そういったものをベースに、地に足のついた議論というものをしていかなければいけないだろうと思っています。そういった準備も進めつつ、また、ご指摘があったことも整理をしていきたいと思っております。
     また、データ等について谷口先生の話の中で、ご質問がございました。これは確認をしたいと思いますが、廃棄物については、平成18年度には新規事業につきましては、対象から外れておりますので、そういったところは一つと、私の記憶では、公共事業につきまして、国全体の予算の中で削減という方向が示されてきたということがあるのだろうと思っています。そういったことが関係するのかなという感じもしていますが、これはいずれにしても確認をいたしまして、整理していきたいと思っております。
     非常に座長に申しわけないのですが、大変難しい問題を抱えて、これから精力的に私も勉強してまいりたいと思っております。これからもご指導を賜ればと思いますので、よろしくお願いいたします。
  • 黒川補佐 この問題を考えていまして、非常に私が悩むのは、公害問題を引き続きやらなければいけないものがいっぱいあるというのはすごくわかって、もちろん改善しているのもいっぱいあるのですけど、やらなければいけないのが、あれ、これ、それというふうにピンポイントで幾つか残っていて、これはやらなければいけない。それはすごくよくわかって、それをこういう計画的にやるというのが重要なのもすごくよくわかるのですけれど、役所、これ国も地方もそうだと思うのですけど、やっぱり即物的なところがあって、お金があるからそういうメリットがあるからやるというのは、どうしてもそういうふうになってしまっていて、それをどういうふうにつなぐのかなというのが非常に悩みとして大きくて、これを財特法というので、ある意味廃棄物処理施設というのもあんまり正直関係ない、地域の公害、そこで問題になっている公害と直接関係ないのにメリットをつけて、それで何かほかのも一緒にやってもらうというそういう感じだったのですけど、それはそれで一つのあり方だったかもしれないのですけど、このまま続けられる状況にはない中で、では、そういうスポット的にやらなければいけないものがあるのを、どういうふうに県にメリットを感じてもらってやってもらえるのか、これは非常になかなか答えが見出しにくくて、ちょっとそういうもののアイデアがないかなというのがちょっとこれを考えるたびにいつも悩むことでございます。
  • 浅野委員 それと思い切って政令市の長に計画策定の権限を移してしまえば、都道府県が単なるトンネルでしかないのに負担感というのはなくなるのですね。
     現実に今ある計画の中でも、政令市の区域しか指定されていないのに、実際には、東京でやるときには、政令市の人と県の人が両方出てきて、旅費丸抱えで、自分たちで説明しなければいけないというばかなことをやっているわけですからね、だから、もう政令市に全部任せてしまって、県は来なくていいというふうにすれば、お互いにすっきりしていいというようなことがありますから、そんなようなことは幾らでも考えることができるのではないかという気もします。
     いずれにせよ、選択肢はさまざまあるということを考えて議論していけばいいのだろうと思います。
     それから、先ほど佐藤委員からのお話のあった件については、ちょっと先ほど専門委員会で議論しまして、やはりどう考えても土そのものの方から基準化することはものすごく難しい。それは技術的にできないことはないけども、どの時期に調べればいいのかということについてのちゃんとしたスタンダードをつくって、同じような基準で見ることは非常に難しいので、やっぱり米で見る以外にないという結論になりました。
     ですから、まだまだ当分この米でいかざるを得ない。となりますと、秋田県のように湛水管理からうまくいっているようなところは、相当土の濃度等の対策をしないといけない場面というのは違ってくるようになると思うのですね。そのことはかなり期待はしているわけです。
     それを具体的に現実化できるような仕組みにしようというふうに、今、水・大気局の方では検討を始めておりますので、そんなに広がらないのではないかという期待はもってはいるのですが、極力広げたくないということもありますね、ということです。
  • 小林座長 ありがとうございました。
     これからの議論としては、公害防止計画そのものを残していくとしたらどんな方向で残していったらいいのか、それの絞り込みの問題だと思います。逆に、それを廃止する、またはそれをリニューアルして別のものにするとしたらどんな方法がいいのかという議論だろうと思うのです。
     そういうことをベースにして、先ほど浅野先生の方からご指摘がありましたように、もう少し資料をきれいにまとめていただければと思います。小委員会報告も、議論が混乱して、色々の内容について一人一人のご意見がそのまま書かれていますので、できたら項目別にもっと細かく仕分けしていくと、何か方向性か出てくるのではないかという感じがしております。
     それから、先ほどからご意見がありましたが、公防計画で指定する地域の限定が曖昧になってきている。当初は本当に問題のあった地域だけに限定して公防計画を立てていたものが、補助金が廃棄物に偏重してしまったということから、廃棄物処理施設をつくりたい市町をできるだけ計画地域に取り込むという悪い作業を都道府県がやっています。
     兵庫県なんかでもそうですけど、兵庫地域といって広い地域を指定してしまったというような問題が起こっているわけで、その辺も正確に整理し直す必要がある。
     それから、もう一つは、先ほど言いましたように、地域指定という視点から、例えば項目とか、物質という視点で公防計画を立てるというやり方もあるだろうと。そうなった場合、特別法、別の法律との関係はどうしていくかを議論しなければいけません。また、議論になっている土壌汚染の問題については、土壌汚染対策法の改正とか、他の手法も検討する必要もあるでしょう。その辺も含めて、総政局ですから全体を見渡していただいて、何らかの対応をしていただいたらというふうに考えてございます。
     大体の意見が出尽くしたようでございますが、ほかに何かございますでしょうか。
     なければ、この辺で終了したいというふうに考えてございます。
     それでは、次回以降の進め方等につきまして、事務局の方からよろしくお願いします。
  • 黒川補佐 次回の日程調整につきまして資料、紙を1枚つけていると思いますので、きょう書いてお出しいただくなり、ファクスなり、メールなりで日程調整の方をさせていただければと思います。
     以上です。
  • 小林座長 どうもありがとうございました。
     他に、何かご質問、ご意見ございますか。

(発言する者なし)

  • 小林座長 なければ、これをもちまして、第1回公害防止計画制度のあり方に関する検討会閉会とさせていただきたいと思います。
    どうもありがとうございました。

午前 11時45分 閉会