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第1回グッドライフアワード グッドライフ特別賞

シンプルライフ普及センター

「シンプルライフ五箇条」と「シンプルライフ家計簿」でグッドライフをめざせ

グッドライフアワードのテーマでもある「環境と社会によい暮らし」とは、はたして、どんなライフスタイルなのでしょう。静岡県伊東市のNPO法人シンプルライフ普及センターの「シンプルライフ五箇条」と「シンプルライフ家計簿」は、環境と社会によい暮らしの具体的な指針を明示したものです。第1回グッドライフアワードで、グッドライフ特別賞を受賞しました。


シンプルライフ普及センターのみなさん。
持続可能な社会についての「知恵」を集める
活動のきっかけは?
実践的で実行可能なやり方を提言したい!

シンプルライフ普及センターの本拠地は、静岡県伊東市の朝善寺にあります。ご住職はNPOの発起人で常務理事でもある内藤歓風さん。IT企業などで活躍したのちに寺の住職になった経歴があり、ビジネスマン時代から環境問題に取り組んできました。現在も、朝善寺住職であると同時に、エコロジストとしての活動を続けています。

伊東市で住職になった内藤さんは、「モノの豊かさから心の豊かさへ」に時代を転換する必要を感じたことから、2000年(平成12年)、伊東市内のホテルで『第1回 豊かさシンポジウム』を開催します。

豊かさとは何か。倫理面や社会経済学の観点など、さまざまな側面から論議したこのシンポジウムの開催が、NPO法人『シンプルライフ普及センター』がスタートするきっかけとなりました。


静岡県伊東市内の朝善寺。
海を見下ろす高台に建っています。

朝善寺には太陽光発電も導入しています。
どんな取り組みを?
「シンプルライフ五箇条」と「シンプルライフ家計簿」

シンプルライフ普及センターの現在の理事長は日本大学大学院教授の水谷広さん。専門は生物環境科学です。ほかにも、何人もの大学教授や寺社のご住職などが中心的なメンバーに名を連ねています。

2003年(平成15年)のNPO立ち上げから、さまざまな切り口でシンプルライフを考える『土曜学校 シンプルライフ講座』などの活動を重ね、誰でも気軽に取り組むことができる持続可能なライフスタイルの規範として、「シンプルライフ五箇条」と「シンプルライフ家計簿」を提言しています。

取材に伺った日には、シンプルライフ普及センターのおもなメンバーのみなさんが集まって、「シンプルライフ五箇条」と「シンプルライフ家計簿」をさらに広く紹介していくためのパンフレットの内容についての討議がされていました。より多くの人が気軽に実践できるよう、大学教授やご住職といった知見豊富なメンバーが知恵を出し合って、よりわかりやすく意義ある内容にするための取り組みが続けられているのです。


本堂の裏手にセンターの建物があります。

中心メンバーのみなさんが真剣に議論を交わしてらっしゃいました。
成功のポイントは?
「自分に取り組めることをやってみる」

誰でも「こんな世の中になったらいいな」と考えることはあるでしょう。そのために「こんなことができたらいいな」と思いつくこともあるはずです。でも、それを行動に移すのはなかなか難しいことでもあります。なぜなら、始める前から諦めてしまう人が多いからではないでしょうか。

内藤さんに、この取り組みを始めた理由を伺うと「問題を見つけたら、解決のために自分にできることを探してみることが大事。だから、誰にでも実践しやすい現実的な方法を提言することにしたのです」と話してくださいました。

大切なのは、まず問題に気付くこと。そして問題を解決するためには、なにはともあれ「始める」ことが肝心です。シンプルライフ普及センターには、内藤さんの思いに共感するたくさんの有識者が集まりました。たくさんの知恵を持ち寄って磨かれた「シンプルライフ」のノウハウが、これから、もっとたくさんの人たちに共有されていくことでしょう。


発起人で朝善寺ご住職の内藤歓風さん。

理事長の水谷広さん(左)と、
事務局長の小笠原宏樹さん(右)。
レポート
朝善寺の境内が「シンプルライフ」の発信拠点

内藤さんがご住職を務める朝善寺は、伊東市宇佐美の山あいに建っています。本堂の裏手の森の中には、活動の本拠地ともいえる『シンプルライフ普及センター』の建物があります。お寺と隣接していた学校の敷地を買い取って、職員室として使われていた鉄筋コンクリート造りの建物をそのまま活用して、ミーティングやシンポジウムが開催できるスペースにしてあるのです。

境内には手作りの庭が広がり、森の中の散策道にはアジサイなどが植えられています。シンプルライフ普及センターの脇には、ビオトープやワイルドガーデンが造られていました。さらに、学校の建物を取り壊した跡地には、自給自足のための畑が整備されつつありました。

取材では、市役所が仕掛けていったという罠に野生のイノシシが掛かっているところに出くわしました。イノシシや鹿といった里山の野生動物による農業被害は、今、日本全国で頭の痛い問題になっています。シンプルライフ普及センターが提唱するライフスタイルには、里山の恵みを活用しイノシシなどの自然と上手に共存すること含まれています。たまたま取材で伺った日に罠に掛かったイノシシと遭遇することができたのは、こうした活動をもっと日本中に広げることの大切さを考えさせられる、象徴的な出来事に感じたのでした。


寺域内には、自給のための畑もあります。

偶然、罠にかかったイノシシと出会いました。
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