環境省環境総合政策局環境影響評価の基本的事項に関する技術検討委員会

第3回「環境影響評価の基本的事項に関する技術検討委員会」議事概要


1.日  時 平成16年8月16日(月) 14:00〜16:00
2.場  所 環境省第1会議室
3.議  題 関係者ヒアリング及び質疑
4.出席委員 磯部委員、鹿島委員、亀山委員、北林委員、須藤委員(座長)、橘委員、田中委員、中越委員、森口委員、屋井委員
5.議事概要
 環境アセスメント関係者にヒアリング及び質疑応答を行った。ヒアリング対象は、愛知県環境部環境政策課主幹 吉川勉氏、社団法人日本環境アセスメント協会副会長 栗本洋二氏、社団法人日本環境アセスメント協会研究部会長 矢ヶ部輝明氏、公害・地球環境問題懇談会幹事長 小池信太郎氏。

「資料1−1」に基づく、愛知県環境部環境政策課主幹 吉川勉氏によるプレゼンテーション

○以下の通り、委員からの質疑に対しヒアリング対象者から応答がなされた。

委員:標準項目という位置づけを外した場合、実際の行政の現場ではどのような影響があるか教えて欲しい。
→標準項目という言葉が、一般的にやるのが当たり前だと受け止められがち。事業者は、項目を削除する場合に、地域住民に対して標準項目をなぜ削除したかと説明をするのに苦労するため、一律に標準項目を選定しがち。また、各省庁も、標準で定められていることから、さらに項目を追加する具体的な理由がないと考える。そのため、「標準」を「参考」に変えるという議論は有益だと思う。参考という形でも、一応基本的事項には項目をメニューとして提示して、後は事業者の判断に任せるということが大事だと思う。
座長:例えば「標準項目」ではなく「参考項目」でもいいということか。
→構わないと思う。基本的事項に何もないと事業者は対応に困るので、メニューとしては提示し、「参考」という用語にすることで少し弱い捉え方になると考えられる。

委員:地方自治体としてどういうスタンスでアセスを考えているかを伺いたい。事業者に過度の負担や無駄はさせたくないという感じが見受けられる。地方自治体のアセス審査会の委員をしている時にも少しずれを感じることがある。この点について、県としてどのように考えているかを聞きたい。
→県ではベスト追求型、事業者のセルフコントロールという形で条例も定めてアセスを行っている。事業者は時間と経費をかけて相当なことをやっている。法が目指すメリハリの効いたアセスという観点からすると、標準項目だから全部やるというのは少し本論からずれていると思う。安易に標準項目を全部選んで、あとはコンサルに丸投げという形で、基本思想が徹底されていない部分がある。なお、県として県民の健康や自然環境の保全を目的としており、無駄であるからやらなくてもよいとのスタンスではない。
委員:アセス審査会の委員はアセスを技術的な見地でしか判断せず、地域の将来のあり方は考えていない。そういったことを考えられるのは地方自治体だと思う。地方自治体としてもう少し、地域をどう発展させていくのかという考え方がはっきりしていると非常にやりやすい。
→環境影響評価法制定に当たって考えられた、スコーピングの実施、各主体間のコミュニケーションの促進などにより、より良い環境に向けての事業計画になるという趣旨が必ずしも十分に徹底されていない。事業者はそういう住民との話し合いをどちらかというと避けたがる。手続法ということが十分理解されておらず、規制法的なニュアンスで、できれば避けようという動きがあるのは事実。県では大まかな地域の状況、アセスの手続き段階における留意点は承知しているので、事前にできるだけ提案はする。方法書の段階で十分議論して、準備書の段階で手戻りのないようにすることが重要だと思っている。

委員:アセスに入る前に、事前に県の組織の中で総合調整をしていると思うが、どうか。
→事業者からこういう計画があるという事前の打診が相当程度前にある。規制を担当する原課にもヒアリングをしてそれなりの提案はする。地域の状況から、この項目はやった方がいいと提案しても、結果として方法書でも選定されず、また、特に意見が出されずに通っているという事例もなくはない。
委員:例えば県の中で総合調整をやる機関があって、ある程度いいとか悪いという判断を先にしてしまうので、事業の必要性とかの判断基準みたいなところは明確にしないでも済むということはないか。
→県、民間にかかわらず、事前に相談があった場合は事前指導をやっている。あくまで指導であるので、それを取り入れるかどうかは事業者の判断。方法書、準備書の手続きの中で、知事意見を形成する際に大幅に手戻りになることはなくなっているが、全部整理されているということもない。
委員:そのようないろいろな経緯をきちんと書くというのは行き過ぎか。例えば何とか委員会でこういう意見が出てこういうことを伝えましたとか、事業者が整理するのはどうか。事業の必要性を議論をする時に、判断基準を全て示すのは難しいので、実績を積み上げていくしかない。大都市と自然の豊かなところでは問題の大きさや基準は異なる。そういうことを全て地域分けして書き分けるというのは難しい。ある程度抽象的なのは仕方がない。組織の中で行っている議論を公開していくということをしたらいいと思う。
→事業者は、基本的事項のここはどう理解したらいいのかという具体的な相談に来る。その時に当方の考え方を伝えるとともに、事実関係として過去の事例を示す。結果的に過去の例では標準項目をやっていると話すことになる。このため、過去の経緯から、どうしても標準項目が選ばれることになる。

委員:担当者が変わっていく中で、前の項目から減らさずに加算しかしないために、項目が増加しているのではないかと思う。愛知県固有の問題を解決できるようにするといった、優先順位を十分に検討する必要がある。
→ご指摘の部分はないわけではない。審査部局としては、これは絶対やらなくてもいいという話にはならない。過去の例や、県の判断を示し、結局は事業者が自らの責任で選定することとなる。

「資料1−2」に基づく、社団法人日本環境アセスメント協会副会長 栗本洋二氏によるプレゼンテーション

○以下の通り、委員からの質疑に対しヒアリング対象者から応答がなされた。

委員:資料からは、標準項目にだけ標準手法が規定されているために標準項目に偏り、実質上それだけで運用されていると読める。標準項目以外の項目についても、手法が示されれば、標準項目に縛られず自由に制度運用することが可能なのか、それとも手法の問題ではなく、制度の運用上の問題なのか、考えがあれば聞きたい。
→標準項目は一つの柱になっているのは事実。どういう手法でやるか、標準的というのは最低限の手法という気がする。審査会でもそうだが、法令に入っていない項目を入れる場合、逆に抜く場合、大変な意見、資料を要求される。そういう点で、もう少し柔軟にできるようなやり方が大事だという気がする。手法が与えられればそれでいいということではないと思う。

委員:環境保全措置の考え方についてというところの内容だが、構想段階が重要だということで、構想段階での環境配慮を準備書への記載を明確に位置付けた方が合意形成上も望ましいという趣旨が書かれている。「初期計画段階」という言葉が出てくるが、これは前ページの「事業構想段階」と同じ意味として使っているのか知りたい。いずれにしろ前の段階で「大まかな理念に基づいて行われる」と書かれているが、そういったものを準備書段階で何らか明記した方がいいと言っているのか。
→構想段階、その後少し発展して事業計画段階的なものがあると思う。その中で、いろいろな保全措置が考えられて計画が変わってきていると思う。そういう経緯みたいなところも明確に記載するとか、そういったことがあると地元の方もわかりやすいと思う。
委員:都市計画決定のような計画段階のことを言っているのではなく、もっと上流のことを言っているのか。
→そうである。

委員:「3−[5]その他」の項目で、事業の必要性、事業の目的、内容に関心があって、多くの住民が意見を出すということがアセス手続き、公聴会等では多く見られる。そうした事業の必要性や目的、内容は早い段階から出した方がいいという意見であったが、そうした場合、事業者に大きなメリットはありそうか。
→事業によって成熟度があるが、住民にとっては、何故この場所にこういう事業がということが抜けたまま、方法書が出てしまう。事業概要は1〜2枚あるだけ。本当はもっと背景があるはず。アセスの説明以前の話が質疑で出て、実際には肝心なアセスよりも、事業計画の話でほとんど終わってしまうような説明会が多い。理解の面で、早めに背景も含めて説明しておけば地元の方も安心して、合意形成につながるという気がする。

委員:騒音では基準との整合のチェックというところで、スタンダードがないと言うことがかなりある。実際の判断をする時にその辺で相当困っているのではないかと思うがどうか。
→標準項目に入っており、アセスしなさいということでやるが、基準については非常に悩んでいる。

委員:「2−[1]」で自治体の環境影響評価審査会等で別の評価項目、例えば電波障害等を何故選定しないのかという意見が出てくるが、具体的に自治体の条例等のアセスと今回の法アセスとの間でずれを感じることは相当あるのか。
→ある。特に住民から意見が出た場合は入れざるをえないと思うが、事業者にとっては、標準項目で十分ではないか、前例があるではないか、という感じもあるのではないか。
委員:条例等のアセスで選定されている項目で法アセスで選定されていないものに対して、指摘されることが多いのか。
→そうである。

委員:項目選定の議論については、手続きの場で、事業に反対の者がある種の論点として意見を言う場合と、地域の問題を考えて環境上重要だと議論される場合の二つぐらいの場合で問題だと理解していいのか。
→電波障害などでは悩ましい。地域にとって非常に重要なことだと思う。ところがどの程度までやるか、事業者にとっては責任を持てないというところもある。項目として選んで、後まで対応できるのか、保全措置との関係で悩むところ。前例があり、実際の工事の時に対応していけばいいのではないかということで、アセスから除くのは難しい。

委員:環境アセスメント関連の情報を素早く手に入れる組織が必要。基本となる情報は早く手に入れたいとおっしゃられる。そのメリットは結果としていいアセスができるからということか。
→そうである。アセスもある期間の中で合理的、的確にやる必要がある。例えば方法書段階だと、現地調査に入らない状態で、既存資料でやりなさいというと、ひどいものは5年、10年も前のデータしかない。そういう中で地域に説明してもなかなか信頼がえられない。ネットワーク化して、地域の最新のデータがあって、そこからの情報でカバーしていけば、いいアセスができるのではないか。

座長:アセスメント協会は教育研修もやっている。認定制度も強く希望されているが、資格の問題はどうか。
→現在だと誰でもアセスを行うことができる。それになりに特化した人が、事業者と一緒により良い事業をつくるためにも、社会的認知(資格)があれば技術向上にもつながる。

「資料1−3」に基づく、社団法人日本環境アセスメント協会研究部会長 矢ヶ部輝明氏によるプレゼンテーション

○以下の通り、委員からの質疑に対しヒアリング対象者から応答がなされた。

委員:「第三」の箇所で保全措置の検討の考え方とか代償措置の考え方を指摘されているが、基本的事項には書いてはいけないとは書いていないから書いてもいいと思うが、実質的に書いていないというのはどういう理由なのか。同じように事業の必要性も書いてはいけないとは書いていないので、書こうと思えば書けると思うが、書いていない原因はどこにあるのか。どう工夫すれば書けるのか。あらゆる問題を想定して基本的事項に書き込むというのは難しいと感じている。実際の仕事をされている中で皆さんが判断ができるようにしていけばいいと思う。皆さんからご指摘頂いているが、その原因はどのようにお考えか。
→予測、特に生態系や生物への影響等に関するミティゲーションであるとか、あるいは代償措置を考えるに当たってのイメージというものは、皆さん持っている。モニタリングしながらやっていくプロセスはとっている。そういうことで環境のバックアップをやっているということはある。コストと環境の復元に関する評価みたいなイメージがきちんとしていない。その辺りをモニタリング的なもの、あるいは代償措置みたいなプロセスでやらざるを得ない状況があると考えている。
委員:例えば「3−[1]」、「3−[2]」に明示するべきことを書いてあるが、そういうことは現在もできるのではないか。それが余り十分になされていないと感じられる理由、原因というのはどこにあるんでしょうか。
→特に回避については、事業の熟度も踏まえての対応策になると思う。記述が十分ではないというのは事業の熟度の問題等があるのではないか。
委員:事業の問題なのか環境保全措置の問題なのか。実施困難と言うことは、単純に言うと、技術的に効果が確実でないのか、あるいは確実なんだけれども非常にコストがかかってしまうとかいろいろある。そういうことは書こうと思えば書けるという気がする。事業者のご判断を書けばいいことではないかと感じる。
→繰り返しになるが、事業の熟度の問題。

委員:「2−[7]」で、事業特性と言うことで事業の検討経緯を詳細に提示することは是非必要と考えているが、言われている検討経緯がいわゆる記録とかデータとしての意味合いなのか、それとも住民とのコミュニケーション、よりよい計画づくりへ反映したいということなのか。後者だとするとデータと言うよりはプロセスだとか、それ以降の手続きだとか、そういうところをいかに見せて共有できるかだと思う。そう考えると、アセスの段階で見せていくと言うことは遅すぎる。コミュニケーションや計画づくりの反映という視点で見た時には、アセスとしてもう少し上流までやった方がいいという考えなのか、あるいは、きっちりとしたところだけをアセスの段階でやって、その前段階についてはまた別の措置を検討した方がいいと言うことなのか。
→アセスを早い段階で効果的にやろうとすると、事業がなかなか固まっていない。住民等の話の中では、アセスの前に事業が一体どう進むのか、事業の是非まで遡る様な議論にどうしてもなってしまう。アセスの検討の場が事業の評価、あるいは事業に対する意見の開示の場になってきてしまうケースがある。事業の経緯を事業者としては公開していくことで、実のあるアセスにつなげていく必要があるということで書いている。
委員:それまでの経緯をこの段階で公表するということでいいのか。従来から検討されてきたことをこの段階になって住民に示していくことによって、何らかの貢献があるとお考えだということか。
→PIのやり方の話かもしれないが、事業アセスとして評価すべき諸元の公開というものとPIというものの足並みの問題かと思っている。

委員:「3−[4]」の事後調査のところで、具体的な内容の明示についての意見が寄せられることがあるというのは、誰からどんな意見が寄せられて、それに対してどのように対応したかということがわかれば教えて欲しい。
→研究会のメンバーの話なので、私は熟知していない。不確実性を担保するために、事後調査というものが記述されるときに、それに対して具体的な内容の明示をきちんと書きなさいというような意見があったということです。

「資料1−4」に基づく、公害・地球環境問題懇談会 幹事長 小池信太郎氏によるプレゼンテーション

○以下の通り、委員からの質疑に対しヒアリング対象者から応答がなされた。

委員:「2−[10]」、発電所の話の中で出たフュミゲーションに係る予測は既にすべてやられている。また、大気、水、土壌など相互に関連する影響について把握する必要があるという話があったが、具体的にはどういうことを意味されるのか非常にわかりにくい。
→例えば廃棄物の問題では、地下水、土壌が当然関連する。

委員:「3−[1]」環境保全措置の検討の考え方について、「事業者により実行可能な範囲で」を「その時点で確立されている手法の範囲で」に修文すると書いてある。基本的にはコストの問題ではなく、なるべくいいものを入れようという考えの主張だと思う。一方で完成済みの技術とか、確立されている手法と書くと、それができていないからできないという考え方になりかねない。いずれにしろ人間がやることなので不十分な部分が出てきてしまう。こういう書き方は別の捉え方をされる懸念があるのではないかと気になった。
→事業者の実行可能な範囲でというと、どうも事業者に逃げられるというケースがあるので、このような意見となったもの。

その他

委員:事業者に対するアンケート調査についてですが、先ほどの事務局からの説明では、本年3月上旬までに終了した案件を対象に整理していると伺ったが既に半年近くたっている。その後追加できる事例があれば追加して欲しい。
事務局:一度整理した上で再検討する。

委員:「実行可能な」という評価が非常に難しいが、検討の経緯、あるいは複数案を幾つか示して、その中からこれをとったという、経過を書けば多少、実行可能なという意味合いがはっきりするのではないかという感想を持った。またそうすることによって、多少信頼性を高めるきっかけにならないか。実際に事業者あるいはコンサルタントの段階でそれが可能かどうかということについて伺いたい。
→吉川氏:「実行可能な」とあるが、県としては最新・最善という趣旨で理解している。採用しうる、かつその結果について地域住民等に合理的にデータで説明できると読み替えて、事前指導の段階から事業者の指導に当たっている。
→栗本氏:「実行可能な」ということについては、我々も大いにやっていきたいと思っている。ただ、不確実性の問題もある。事後調査、モニタリング、そういうところの補完、やり方も今後併せて、少しその情報を集めて評価していく必要があるのではないか。
→小池氏:信頼と言うことが一番大事。情報公開と住民の参画が大事。狛江市でリサイクルセンターを作るときに、近くに保育園があって、お母さん方がトラックが一杯来るからと言うことで反対した。住民参画の中でどうしたらいいのかということで、いろいろな案を出してきた。ところが結論はやはりここしかないという話になったと。事業者の積極的な姿勢と情報公開、参画という中で結論に自ずと至る。住民というのはまじめに考えているものである。

<本件に関する問合せ先>
「環境影響評価の基本的事項に関する技術検討委員会」事務局
(環境省総合環境政策局環境影響評価課)
TEL:03−3581−3351 FAX:03−3581−2697
課  長  梶原 成元(内線6230)
課長補佐 和田 篤也(内線6238)