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平成23年度環境研究総合推進費 研究成果発表会 環境研究の最前線

<第1部 低炭素社会をデザインする>

エアロゾルと地球温暖化

近藤 豊
(東京大学 大学院理学系研究科 教授)

概要:

 本研究では、革新的手法で得られたエアロゾルの光学特性を、気候変動予測モデルに組み込み、地球規模・アジア規模でのエアロゾル放射効果の推定・予測精度を格段に向上させます。この研究成果は、国際的なブラックカーボンの気候影響の評価に活用されるとともに、IPCC第5次評価報告書に反映されることが期待されます。


都市・農村の地域連携を基礎とした低炭素社会のエコデザイン

梅田 靖
(大阪大学 大学院工学研究科 教授)

概要:

 低炭素社会を実現するために、アジアにおける都市と農村の連携の在り方を具体的な事例をとおして追求しました。例えば中国では、トチュウという植物の植林によって、水土の保全や低炭素化の環境面の効果をあげると同時に、トランスゴムなどの事業を行って経済的にも潤うことを示しました。また北海道では都市と農村の相互補完によってエネルギーの自給や低炭素化が同時に達成できることを示しました。これらの施策は国家レベルで取り組むべき有益な低炭素社会のエコデザインと考えています。


再生可能エネルギーの大規模導入を可能とする自律協調エネルギーマネジメントシステム

荻本 和彦
(東京大学 生産技術研究所 特任教授)

概要:

 太陽光発電等の再生可能エネルギーを社会全体で有効に利用していくためには、電力の需要供給の調整を上手に行う必要があります。そのためには、変動しやすい太陽光の変化を予測したり、また電力を用いる家庭等の需要側で電力の受け入れを上手にコントロールしていく必要があり、このため、各家庭にエネルギーの受け入れや蓄電などのマネージメントを行う装置を設置することが考えられます。これらのシステムのあり方を丁寧に検討し再生可能エネルギーの最大導入を図ることを検討しました。


<第2部 水域の生態系への影響を解明する>

プランクトン相の長期変遷と目に見えない難分解性有機物の関係解明

一瀬 諭
(滋賀県琵琶湖環境科学センター 参事)

概要:

 近年、琵琶湖においては、流入汚濁負荷量は減少しているにもかかわらず、有機汚濁の環境基準項目であるCODは増加傾向を示しており、水質向上のためには湖内における有機物の挙動等、水質汚濁メカニズムの解明が必要とされています。そこで、本研究では、湖内の有機物量(炭素量)、植物プランクトン及びバクテリア由来の有機物の挙動を把握するため、動植物プランクトンの長期変動の解析、一次生産有機物の特性評価及び分解特性評価等を行いました。


海洋酸性化の進行と微生物への影響

濱 健夫
(筑波大学 生命環境科学研究科 教授)

概要:

 大気に放出された二酸化炭素の約半分は、海洋に吸収されるため、海洋は炭酸物質の増加により酸性化の一途をたどるものと予想されています。そこで、高い精度を持つ分析機器を開発して酸性化の実態を把握し、海洋酸性化に関するデータベースを構築し、海洋の微生物群集に及ぼす海洋酸性化の影響の評価を行いました。


海洋保護区選定の鍵を握る”広域沿岸生態系ネットワーク”の解明

灘岡 和夫
(東京工業大学 大学院情報理工学研究科 教授)

概要:

急速に沿岸生態系の劣化が進行している東南アジアから西太平洋中部に至る海域(SEA-WP海域)で、広域的沿岸生態系ネットワークの実態を海洋物理・生物過程数値シミュレーションと分子生物学的手法の統合アプローチによって明らかにし、ネットワーク中の重要沿岸海域の同定を環境負荷評価とともに行いました。


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