協栄産業(株)(栃木県)

ボトルtoボトルで資源循環

同社の工場(栃木MRファクトリー)。使用済みペットボトルから、新たなペットボトルの材料となる再生樹脂を製造する。

協栄産業株式会社(以下、同社)は、栃木県小山市に立地する1985年創業の企業で、ペットボトルリサイクル事業等を手掛ける。

ペットボトル素材には高品質の樹脂が求められるが、熱で劣化しやすいため、使用済みペットボトルを熱で溶かして製造した再生樹脂をペットボトル素材として利用することは困難とされていた。さらに、使用済みペットボトルには不純物が混入している可能性もあることから、熱で溶かしただけでは、飲料用のペットボトルにリサイクルすることはできなかった。

このため、使用済みペットボトルからペットボトルの素材となる再生樹脂を製造するためには、分子レベルまで化学的に分解して製造する技術(「ケミカル・リサイクル技術」)が主流であった。ただし、この方法は高コストで大きなエネルギーを必要とするため、事業化した企業は採算が合わず撤退ないし事業体制の見直しを余儀なくされた。

各社がペットボトルのリサイクル技術の開発に苦戦する中で、同社は、使用済みペットボトルを化学的に分解することなく、熱で溶かして再生樹脂を製造する従来の手法を基礎としながら、飛躍的な品質向上を可能とする新技術を開発し、国内で初めて事業化に成功した。

この技術は、使用済みペットボトルを機械的に砕き、特殊な洗浄をした後に、樹脂の物性回復と不純物除去を行いながら熱で溶かして、ペットボトル素材となる樹脂に再生する技術で、「メカニカル・リサイクル技術」と呼ばれている。化学的に分解することなく、ペットボトルを機械的に砕いてリサイクルするため、省エネルギー・低コストでリサイクルすることができる。原油から製造する場合と比べて、CO2排出量を約63%削減できるという。

こうした環境にやさしいリサイクル技術によって再生されたペットボトル樹脂は、多くの飲料メーカに採用されている。ペットボトルからペットボトルに資源を水平循環する、いわゆる「ボトルtoボトル」の同社の取り組みは、循環型社会の先進的なモデルとして、環境大臣賞など多数の表彰を受けている。

同社の特徴ポイント

  1. 1.低コスト・省エネのペットボトルの再生技術を開発し、国内で初めて事業化
  2. 2.「ボトルtoボトル」で、原油からの製造と比べCO2を63%削減
  3. 3.再生されたペットボトル樹脂が多くの大手飲料メーカで採用

環境成長エンジン研究会 委員コメント

容器包装リサイクル法が1995年に制定、1997年より施行されたが、同社は地下資源のない日本で資源を循環させる意義を早期に見いだし、1980年代からリサイクル技術の確立に向け研究開発に取り組んできた。こうした他社に先駆けて取り組んできた技術開発の努力が結実し、2011年に大手飲料メーカーと共同で国内初となるペットボトルの水平リサイクルを実現させた。

これまで、ペットボトルは衣料品等へカスケード・リサイクルされるか、資源として海外へ流出することがほとんどであったが、このような水平リサイクル技術によって国内の資源循環が大きく進展する可能性がある。集荷リスクを適切にコントロールするビジネスモデルの展開にも期待したい。

また、同社の工場は、リサイクル業界の従来のイメージとは異なり、敷地内が外部からもよく見えるオープンなスタイルを取っている。こうした姿勢が、消費者や取引先からの信頼獲得にもつながっている。