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環境省総合環境政策局環境報告書環境報告書ガイドライン改訂検討会

環境報告書ガイドライン改訂検討会 第4回議事録


日時:
平成19年3月9日(金) 9:30~13:00
会場:
九段センタービル地下1階(LB2) AB会議室
出席委員:
河野正男(座長)、伊東正行、魚住隆太、宇郷良介、上妻義直、倉阪秀史、國部克彦、後藤敏彦、崎田裕子、佐藤泉、森下研、古田清人(敬称略、五十音順)
欠席委員:
別所恭一(敬称略)
事務局:
環境経済課:鎌形課長、中山課長補佐、中坪課長補佐、大久保環境専門調査員、
柳田環境専門調査員、澤係員、ニッセイ基礎研究所:川村、小林、足立、鶴田、加治

(川村)
 みなさま、本日はお忙しいところ、「環境報告書ガイドライン改訂委員会」に、ご出席賜りまして誠にありがとうございます。第4回の検討会を開催いたします。議事録作成のため録音をさせていただきますが、ご了承ください。
 別所委員がご欠席、上妻委員と古田委員が12時前に中座されます。

(河野座長)
  今日はパブリックコメントに出すためのガイドライン中間報告案の議論を行います。まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。

(川村)
<以下、配布資料の読み上げ>


(河野座長)
 前回の検討会後に事業者に対するアンケートとヒアリングを実施しておりますので、ガイドライン中間報告案の前に事務局に説明をお願いいたします。

(川村)
<「参考資料(1):事業者アンケート結果のまとめ」および「参考資料(2):事業者等ヒアリング結果のまとめ」について説明>

(中坪課長補佐)
<資料2:環境報告書ガイドライン(2007年版中間報告(素案))の「本文」について説明>

(川村)
<資料2:環境報告書ガイドライン(2007年版中間報告(素案))の「参考資料」について説明>
 魚住委員にはOPIの計算式についてアドバイスいただきましたが、何かコメントございますか。

(魚住委員)
 言い出したらきりが無いというか、難しいところですが、26頁のGHG排出係数については、省令そのままです。要するに0.555tCO2/千kWh、これはデフォルト値として一応おさえています。ただ実際は地域電力会社のCO2排出係数はもっと低いのですが、環境省から公表された時点でそちらを使うことになるだろうと、ありのままのところです。

(河野座長)
 ありがとうございました。参考資料を含めて全体で150頁くらいありますが、今日は資料2のガイドライン素案の見え消しの方を使ってコメントを出してもらいたいと思います。
 その前に、本日ご欠席の別所委員からご意見を頂いているのであればお願いします。

(川村)
 別所委員からは特にございません。

(河野座長)
 それではガイドライン素案の討議に入ります。いくつかのセクションに分けて進めますが、最後にもう一度全体を通して見直すというやり方でいきたいと思います。「はじめに」から第5章まで議論したところで休憩を入れ、それから参考資料の議論に移ることにします。
 まず本文ですが、最初に「はじめに」から序章と第1章、2番目は第2章と第3章、そして3番目として第4章と第5章に分けて討議をしたいと思います。それでは、「はじめに」から第1章までで、ご意見・ご質問等を出してください。

「はじめに」から第1章まで

【ガイドラインのタイトル】

(國部委員)
 題名が「環境報告ガイドライン」に変わったということですね。CSR報告書・サステナビリティ報告書の中の環境報告の部分だというご説明だったのですが、「環境報告」と言った場合は、報告書にならずにインターネットで報告する、あるいは行政機関に報告するというものも含むことになります。かなり広義の概念として理解されることもあって、その辺りの誤解のないような形が望ましいのではないかと思います。ですから、あえて名称を変えなくてもいいのではないかと思いますが。

(河野座長)
 この点については、いかがでしょうか。

(中山課長補佐)
 ここは両案あると言います。前回のご議論の中で「環境報告ガイドライン」がいいのではないかというお話しがあったので変えたというのはあるのですけれども、ロジカルには仰るとおりでございまして、環境報告をまとめて公表しているものが環境報告書なので、サステナビリティ報告書であろうがCSR報告書であろうが環境報告書ではあるので、「環境報告書ガイドライン」としておけば間違いはないとは思います。しかし、そうは言いながらも、単体としての環境報告書を作る時のガイドラインであると誤解される向きもありますので、CSR報告書などの名称で公表される方に対したものでもあることを分かりやすくするために、「環境報告ガイドライン」としたところもございます。
 どちらが誤解を招き易いかということになってきますので、これはもう殆ど委員の皆様の決めの問題になってくるのかなと思っております。基本的には政府に対する数値を報告する時のガイドラインであるとは捉えられないのではないかとは思っているのですけれども、ガイドライン本体の名前と副題とを駆使して、その辺りの誤解のないような形にしていきたいと思います。皆様に決めていただければそれでやりますし、なかなか決まらないということであれば、こちらで考えてみます。

(後藤委員)
 私はあまり名前にはこだわらないので、どちらでもいいと思っています。最近の報告書は必ずしも全部を報告書に書かないで、ウェブとの併用もたくさんやっていますし、GRIもサステナビリティ・リポーティングガイドラインで、英語でもreportingとreportを混同してあいまいに使われています。Webとの併用がいろいろ出てきていることを考えれば、この「環境報告」でいいのではないかと思います。

(森下委員)
 その際に問題は、14頁の第1章「環境報告書とは何か」というところで環境報告書を定義し、その後に「2.環境報告書の基本的機能」、「3.環境報告書の一般的報告原則」となっていて、こちらはreportになっていることです。タイトルとの関係で言えば、「基本的機能」とか「一般報告原則」ではreportingの原則という風にも取れますので、タイトルの報告をreportなりreportingを含めて検討する必要があると思います。今までは全部「報告書」だったので、タイトルは「報告書」で良かったのですけれども。

(河野座長)
 いま森下委員が仰ったように、タイトルの「環境報告」と第1章の「環境報告書」を使い分けていると、論理的に整合が取れているかどうかを精査する必要がありますね。

(宇郷委員)
 私は「環境報告」で宜しいのではないかと思います。自治体へのいろいろな法規制対応の情報提供があると、まさにその通りですが、逆に言えば、環境報告書という冊子形態であれWebであれ、その中に含まれている情報はそのまま、自治体への対応だったり、いろいろな外部からのアンケート対応であったり、そういったものに一義的に使われるような体系化できた情報開示が重要なのであって、形態ではないという気がします。できれば私は環境の情報開示のあり方を示すガイドラインだという風に捉えればいいのではないかと思います。

(國部委員)
 そうであれば私も賛成です。そうでなければ、森下委員のように中身をそれに合わせるような方向で検討が必要になります。

(宇郷委員)
 環境の情報開示に対応した文言に整合性を取った方がいいと思います。

(河野座長)
 「環境報告書ガイドライン」ではなくて「環境報告ガイドライン」であるという観点から、誤解のないようにもう一度チェックするということで宜しいでしょうか。他にご意見があれば。

【対照表】

(森下委員)
 質問も含めてですが、序章の5頁で、「このガイドラインに準拠して環境報告書を作成した場合には」の「対照表を添付するとともに、記載しなかった項目については、その理由を記載することが望まれます」が削除されているのですが、それが第1章の方で別途書かれているという説明でしたが、その場所がわからないので、どこなのか教えていただけますか。

(大久保)
 18頁の目的適合性です。

(森下委員)
 確かに重複になるのですが、環境報告書を読む側の立場から言うと、ガイドラインのどの項目がどの頁に載っているかという一覧表があると、報告書を見るときに良く分かるのです。18頁の表現だと「重要性の判断にもとづいて記載しない事項がある場合には、その理由を説明すること」と原則的なところに書かれてはいるのですけれど、どうしても原則だと、みなさん読み飛ばしてしまうので、実際に報告書を作成する際に、それに対応しないという場合が結構あるので、「記載しなかった理由を記載すること」は大変だとしても、せめて一覧的なものを載せて欲しいという旨をきちんと記載した方がいいと思うのですけれども。

(河野座長)
 森下委員の意見はどうでしょうか。賛成とか反対とか。

(佐藤委員)
 賛成です。35頁の(1)基本的要件の中に、対照表のことが書かれていてもいいのではないかと思います。例えば「BI-2:報告に当たっての基本的要件」の中に「BI-2-1:報告の対象組織・期間・分野」というのがあるのですけれども、そこに対照表を入れるとか。

(河野座長)
 ガイドラインの頁数は増えますが、情報量が増えて使いやすくなるというご意見だと思います。作成する企業の方からのご意見はありませんでしょうか。

(古田委員)
 表題とも絡みますけれども、環境報告ガイドラインとなりましたよね。環境報告に対してどういう内容を盛り込むのかというのが問われていて、ガイドラインとして示唆されるものですが、それをどう表現するかということに関しては報告書の作り方という話になります。逆に言うと、ある程度作る方の自由裁量に任せて頂いて、どういう観点から作ったのかがきちんと書いてあればいいのではないかと思います。ずっと私が気になっていた指標の一覧表とか、それも手とり足とりフォーマットまで決めてやることが良いのかどうかということに関しても、もう少し自由度があっても宜しいのではないでしょうか。

(河野座長)
 これはフォーマットのところでもう一度議論します。対照表とか一覧表を何処に載せるか、本文と参考資料との違いはありますが、大事なことですね。それから、タイトルの報告と報告書のすれ違いのような指摘があったと思いますが、ここで決められれば、報告・reportingで良いと思います。読み手の側から見れば対照表はあった方がいいのでしょうか。

(森下委員)
 古田委員の仰るとおりで、項目とかタイトルは企業それぞれが自由に付けて頂いていいと私は思っています。ただ、そうなるとガイドラインと環境報告書を比べる時に、どこまで書いてあるのか、どこに何を書いてあるのか分からないので、そういう意味で対照表を載せていただきたい。項目をそろえることが重要だとは思いません。逆にいうと、その方が企業にとっても自由度が増すのではないかと思います。

(伊東委員)
 私どもの場合では、自主的に最後に対照表を作っているので、あまり違和感なく読み手のことを考えて作ったという感じはあります。

(河野座長)
 対照表の取扱いは佐藤委員の方からありましたように、35頁のBI-2-1で推奨ということでどうでしょうか。

(宇郷委員)
 その対照表ですが、参考資料の最後についているチェックリストとの関係もあるのではないかと思うのです。今仰っている対照表とは何をイメージしているのかよく分からないのですが。要するに、報告書の何頁がガイドラインのどの項目に当たるのかという対照表のことでしょうか。

(河野座長)
 そうです。

(上妻委員)
 森下委員に伺いたいのですが、通常はこの環境報告書ガイドライン単独で使うケースよりは、むしろGRIガイドラインと併用することが非常に多いと思うのですけれども、GRIも対照表が必要ですよね。

(後藤委員)
 いいえ。なくなりました。

(上妻委員)
 もう要らないということですか。

(後藤委員)
 GRIの2002年度版にはありましたけれど、今度のG3ではプロトコルまで全部一体化しましたから、対照表を付けていたら、それだけで本になってしまいます。

(上妻委員)
 ということは、環境報告の部分だけ対照表が載るということですか。

(後藤委員)
 そういうことになりますね。

(森下委員)
 今までもGRIと両方使っているところは両方を対照表的に載せていましたので、そういう意味ではそれぞれ自由です。

(上妻委員)
 GRIでは対照表が不要になったということになると、環境報告の部分だけ対照表があるということに違和感がありませんか。

(森下委員)
 読み手の立場からすれば、それくらいサービスして欲しいですね。

(上妻委員)
 だったら、全部やってくれということにはなりませんか。

(森下委員)
 そこに社会的な部分とか経済的な部分まで付けるかどうかは、企業のご判断だということです。

(後藤委員)
 ガイドラインに沿って報告書を作ることが信頼性確保につながるという考え方を、企業の方は結構お持ちになっています。そうであれば、沿って作ったのですよという自己宣言的に対照表をお付けになるケースがあると思います。付けなければいけないということではなくて、望ましいといふうにしておけば、あとは企業の裁量で自由にやったけど、自分の書きたいものだけ書いているわけではありませんよという姿勢を示すものでいいのではないでしょうか。

(上妻委員)
 タイトルが「環境報告ガイドライン」に変わったということですが、中身は社会性まで入っているのです。これは看板と中身が、いろいろな事情があって若干バランスが取れていない状況の中で、対照表を環境報告の部分にだけ付けるというのは具合が悪い。報告書に社会性も含んだ場合には、この「環境報告ガイドライン」の社会指標の部分も対照表に書くということになりますよね。そうなるとタイトルは「環境報告ガイドライン」なのだけれども実はそうではないという、何か変なことになりませんか。

(河野座長)
 「環境報告ガイドライン」にして一番問題になるのは、社会的取組はどうするのだという議論になると思います。社会的取組は後で議論することにしませんか。

(後藤委員)
 昨年4月に出た環境基本計画の中に、環境・経済・社会ということでサステナビリティも入っているわけで、その議論をいくらしても仕方がないので、社会性が入っていてもいいのではないでしょうか。本来ならば環境報告で社会性ももっと徹底的に入れるべきなのですけれども、いろいろな省庁との関係があってそこまで入っていない。もともと環境基本計画は閣議決定したものであって、それで今回改訂するということでやっているので、ここで社会性を全部はずすというナンセンスな話をしても仕様がないと思います。

(上妻委員)
 そういうことではなくて、対照表のことを申し上げているのです。

(河野座長)
 社会的取組のところは後でやりますが、対照表を環境だけに限定して良いのかというご指摘ですね。

(上妻委員)
 これまでガイドラインは2回改訂があったのですが、ずっと見てくると極めてダイナミックに動いてきているのです。次回はこの環境報告ガイドラインが一体どうなるのか、あるのかどうかも分からない状況で、環境報告のところだけ対照表を付けるより、もう少し様子を見てもいいのではないかという気がするのです。
 今回のガイドラインは完全なものではないという印象が非常に強く、暫定的な気がするので、それをすべて形式的にいろんなものを入れてしまうよりは、実務の流れだとかガイドラインの今後のダイナミックな動きをよく見ながら、次回のことを視野に入れて考えてもいいのではないかと思います。GRIの方で対照表を付けろというのであれば、それに合わせて全部付けてもらってもいいのですけれども、両方同じように作るわけですから。でも、たくさん開示項目のあるGRIの方で無くなっている状況で、環境報告ガイドラインだけ環境報告の部分の対照表をつけるということの意味がよく分からないですね。

(後藤委員)
 ですから先ほど申し上げましたように、付けても付けなくてもいいのです。付けた方が望ましいくらいでいいと思います。むしろ付けているのは企業側のニーズだと思っています。企業側は信頼性を確保するためで、ガイドラインに沿って作っていますということを主張したいわけです。これはアンケートを取っても、信頼性を高めるための手段としては、我が社はガイドラインに沿って作っていますよということを言っているわけで、企業側の主張ですから。ガイドラインとして付けなくてもいいですよと言うより、付けたら読者のために便利ですよ、望ましいですよという書き方で良いと思います。そんなに問題は無いと思います。

(上妻委員)
 中途半端に付けると、逆に読者をミスリードするかもしれませんよ。

(倉阪委員)
 社会的な報告が入っているかどうかに関わらず、今の案では5頁のところで、このガイドラインに準拠して環境報告書を作成した場合にきちんと29項目をカバーしているか、カバーできない場合にはその理由を示しなさい、と書いてあります。その示し方を対照表という形で特定するかどうかという議論だと思います。準拠するという以上、29項目に目配せをして書けなかった場合には理由を示すと、そこまでは書いてあるのですが、その代わりに対照表という形でよりわかりやすく29項目やっていますということではなくて、ここに書いていますというところまで示してもらうかどうかという議論ではないでしょうか。社会性を入れるかどうかというのはまた別の議論であると思います。

(河野座長)
 それは切り離した方がいいということですね。

(宇郷委員)
 参考資料にチェックリストが折角あるので、それにそういう機能や役割を持たせるべきではないですか。

(河野座長)
 チェックリストを使うのは作成する側で、森下委員の提案は読む側がどこに何が書いてあるか分かるようにするということですね。

(宇郷委員)
 それを公表するかしないかということですよね。

(河野座長)
 これはなかなか議論が尽きないようですが、いま倉阪委員と後藤委員が出されたことで、要するにガイドラインに従っていれば、対照表を作ることが望ましいというような表現でまいりましょう。

(倉阪委員)
 準拠すると言う以上は、対照表をつけてわかるようにして欲しいですね。準拠すると言わない企業は必ずしも付けなくても構わない、参考にしただけで使ってもらえればいいわけですから。

(河野座長)
 5頁の真ん中の黄色の6行くらいは皆さん特に異論が無いようですから、その後に倉阪委員の指摘されたような文言を入れれば良いと思います。

(上妻委員)
 推奨するというのはやめて頂いた方がいいと思うのです。企業の方が自主的にお作りになるのであれば、別にガイドライン化しなくても、勝手にお作りになれば良いことなので。

(倉阪委員)
 準拠すると言うか・言わないかは企業の判断ですから。準拠すると言う以上は対照表を付けて示してもらいたい、準拠すると言わないのであれば対照表を書かなくても構わないということです。

(中山課長補佐)
 対照表について、それこそ古田委員の仰るように手とり足とりになると、またいろいろ問題が出て来るかと思うので、準拠の状況といいますか、どこにどういうことが書いてあるのかをできるだけ分かるように工夫してくださいと、5頁のここに書くということでいかがでしょうか。そのやり方の一つとして対照表を付けて頂ければ結構ですし、記載箇所の表題で分かるようになっていれば、それはそれでいいのかもしれません。対応関係が分かるような工夫をして頂けると、確かに読む方からすると有難いだろうと思います。

(河野座長)
 では、この議論は収束したということにします。他に第1章までのところでご指摘やご意見があれば、どうぞ。

【発行企業の数】

(崎田委員)
 読み手の分かりやすさというお話が出たので、申し上げます。4頁の「2.ガイドラインの対象」で、実は私が事前に申し上げて、中途半端なところを全部消してくださっているのですが、消してしまうと今度は基本的な状況がわかりにくいという感じになりました。つまり、真ん中辺りに「上場企業及び・・・約6,000社」という数字がありますが、現在の発行企業の割合は17~18%ですけれども、こういう数字が出てしまうと、その下に書いてある「循環型社会形成推進基本計画」の目標30%と全然違う数字になるので、近くに出ているのはあまりそぐわないのではないかということで消して頂いたのです。
 しかし、全体の企業がどれくらいあって、どれくらい発行しているかという情報は背景としては重要ですし、特に出そうと思っている企業の方や読み手の方にも状況把握が大変重要だと思うので、例えば1頁の「はじめに」の中に「環境にやさしい企業行動調査」では933社が発行しておりと、ここで実数が出ているのですが、その脚注にある「平成3年度から毎年継続して調査を実施しています」という文章の後に、例えば「平成〇年度は6,000社を対象にアンケートを実施し、〇社が回答した」とか、そういう数字を入れていただくと、少し状況が見えてくるのではないかと思います。

(河野座長)
 崎田委員のご提案は、4頁の削除した文章を1頁に持ってくるということですが、933社が出てきた調査の根拠となる数値を入れるということですね。これは特に問題ないと思います。

(中坪課長補佐)
 そのように修正致します。

【式の変更】

(魚住委員)
 21頁の[4]比較容易性の最後の2行に「算定方法や算定に用いた係数の変更があった場合は、その旨記載する必要があります」とありますが、これはちょっと甘いかなと思いまして、もう少ししっかり書いてもらう必要があります。比較容易性では自社の時系列の比較をする時もありますので、例えば「算定式や係数は継続して使用する必要があります。算定式や係数を変更する場合は合理的な理由が必要であり、変更した場合にはその旨、その理由、変更による影響力の記載が必要です。」と変えていただきたい。

(河野座長)
 ここは、今のようなご指摘でよろしいでしょうか。他にありませんか。

【表現・文言について】

(倉阪委員)
 目次でMP-12が抜けていたりしますので、その辺りのケアレスミスに注意して頂きたいと思います。気がつき次第事務局に伝えますが、特に32~34頁の信頼性の確保のところだけ、なぜか「である調」になっているので気になりました。ここは修正してください。 

(森下委員)
 同じく32頁の「6.環境報告書の内容及び信頼性を向上するための作成過程における方策」の最初のパラグラフで、「環境報告書を策定する過程では、環境報告書の内容をより良いものとし、信頼性を高めるための努力が求められます」となっていますが、ここは章の性格からして、少なくとも「必要です」にしなければなりません。後は要素なので、「求められます」とか「期待されます」で良いと思いますけれども。

(國部委員)
 18頁の[1]目的適合性の一番下から3行目に「適切なタイミングで公表」と言う文言が追加されていますが、適切なタイミングというのは、直感的には重要な事象が起こったときに適時に開示することと考えますよね。中をよく読むと、アニュアリーに開示しなさいと書かれているので、これは「タイミング」という表現はあまり適切ではないと思います。31頁の真ん中辺りに「タイムリー」のところだけ赤が入っていますが、これが適時という意味ですよね。必要な時に必要な媒体を使って出すということと、毎年定期的に出すということは意味が違うので、同じ言葉や表現が使われないよう書き方の工夫をお願いします。

(魚住委員)
 あえて言えば、そのすぐ下に「後発事象」が加筆されました。定期の対象期間の中で本当はWebなどで四半期報告などと、本当の意味でのタイムリーな情報開示となると、その区別がはっきりしていないということにはなりますが。

(河野座長)
 今の魚住委員のご指摘も含めて、もっといい表現を事務局で検討してください。

【第三者審査】

(魚住委員)
 33頁の「[3]第三者による審査」の一行目から二行目の部分が消されたので、真ん中辺りで「その際は、事業者が当ガイドライン等を参考に・・・作成基準に従って審査を行います」と追加になっているのですが、このまま読むと、事業者が審査を行いますとなってしまいます。これは、「その際は事業者が当ガイドライン等から適切なものを選択し、あるいは自ら定めて公表する作成基準に従って環境報告書を作成し、その作成基準を審査機関が判断基準(クライテリア)として審査を行います」とするのが正確だと思います。

(河野座長)
 今のご指摘をもって、第1章までは終えたということにします。
 次は、第2章と第3章を合わせて議論したいと思います。

第2章、第3章

【経営者の緒言】

(國部委員)
 43頁、BI-1:経営者の緒言の(1)記載する情報・指標のエ.「これらの取組に関して確実に実施し、目標等を明示した期限までに達成し、公表することについての社会へのコミットメント」で、何を公表するのかが書かれていないので、「公表すること」の前に「その結果及び内容」とか「結果」とかを挿入する必要があります。「目標」を公表するのではないですよね。そこを誤解のないように書いて頂きたい。

【環境負荷の実績及び推移】

(河野座長)
 53頁のBI-4-2の(1)記載する情報・指標で「・環境負荷の実績及び推移(過去5年程度)」というのが削除されていますが、参考資料の別表サンプルでは5年程度の推移表ないし図が載るということですけれども、ここを落とした理由は何でしょうか。

(大久保)
 BI-4-1の「ウ.主要な環境パフォーマンス等の推移(過去5年程度)」と重複するので、落としました。

(河野座長)
 では、実質的には載るということですね。

(森下委員)
 参考資料のサンプル図表はBI-4-1の「主要な指標等の一覧」の話であって、座長のお話はBI-4-2の全体総括のところですので、どこにどう入れるかは企業のご判断によりますけれども、BI-4-2の項目として「環境負荷の実績及び推移」というのは一番最初に書かれるべきことで、報告書としてこれが最も重要なデータですよね。本文から落ちること自体がおかしいと思います。ここのタイトルで「環境配慮の取組に関する目標、計画及び実績等の総括」といっておきながら、「記載する情報・指標」の項目として実績が抜けるのは不合理です。

(古田委員)
 「主要な指標等の一覧」はあった方が読みやすい、というレベルのものだと考えています。一覧表で見開きにいるとか、そういうことがあれば読み手にとっては親切ですよという風に書いて頂ければいいので、あまり表立てにしなくてもいいのではないかと思います。逆に、BI-4-2で過去5年程度の推移を書きなさいと指示していただければ、それでいいのではないでしょうか。

(宇郷委員)
 「環境負荷の実績及び推移(過去5年程度)」と、前の「環境パフォーマンス等の推移(過去5年程度)」というのは殆ど同じ気がするのですが。BI-4-2に何を書くか考えた時に、我々だったらBI-4-1にある「環境パフォーマンス等の推移」と同じものを書くのではないかと思います。

(河野座長)
 BI-4-1で実質的にカバーしているということですね。BI-4-1「主要な指標等の一覧」の(1)の中に含まれているとして、これをどういう形で示すかは企業の判断によるということにします。

【環境効率】

(國部委員)
 106頁の環境効率のところで、統合指標について、(3)「しかし、様々な手法が開発されつつあります、少なくとも現在、すべての環境負荷を一つに統合する算定方法について、すべての事業者が使えるものとして一般化しているものはありません」とありますが、これはあまりにも強い表現です。それから次の(4)代表的な環境効率指標のところも、環境負荷がCO2とか、一つのものだけを入れられていて、環境影響を統合したものが無いですよね。後の参考資料の方には二つありますよと書かれているので、確かに環境影響を統合する指標については、いろいろな議論があるのですが、もう少し平等に書いて頂いてはどうでしょうか。JEPIXにしてもLIMEにしても、公共的な機関が開発していますので。

(川村)
 実務的にお聞きしますと、107頁の枠にCO2と廃棄物の個別指標による式が書いてありますが、それと並びか別枠で統合指標もありますよということが明示的にわかればいい、という意味でしょうか。

(國部委員)
  そうです。「事業者が使えるものとして一般化しているものはありません」と書いてあったので、さまざまな統合指標がありますけれどもと、配慮して頂ければ良いと思います。

(森下委員)
 一昨日から日本LCA学会の年次総会と全体研究会が開催されているのですが、学生とか企業の発表の中でLIMEやJEPIXを統合条件抜きで使っているところが少なくない。インベントリデータは自分で調べているのですが、そこから先は何も考えずにいきなりLIMEやJEPIXを使っている。統合した結果はこうだとか、だから世の中はこうならなければいけないとかいう発表ばかりで、それを利用する人がその意味をちょっと考えなさ過ぎるのではないかと思います。
 とにかく、LIMEやJEPIXはいろいろな統合手法の一つのやり方であって、それに安易に頼るべきではないと思います。公共的機関が作ったと言っても、それも一つの研究であって、全体としてオーソライズされたものではありません。その統合結果については、やはりLIMEやJEPIXの研究成果を使った人に責任があるのだということも含めて分かるようにしておかないと危険です。ガイドラインの参考資料に載っていると、これさえ使えばみんなOKだと、環境への影響とか評価について安直に受け取られかねません。國部委員のニュアンスと少し違いますが、とにかく慎重な表現を使っていただければと思います。

(後藤委員)
 私も森下委員の意見に賛成で、両方ともサブジェクティブなのです。そこには議論がありますということだけでは不十分で、一つの考え方だと言うことをきちんと書き込んであれば、載せるのはいいのですが。そうでなくて載っていると、皆これを使ってこうですと言われると非常に困ると思います。

(伊東委員)
 私どもの銀行の場合、環境融資の物質的な削減効果を出すときに、初めてLIMEという存在を知ったのです。このように紹介して頂くことは良いと思うのです。ただ、私どもの場合は、これは我々の考え方に合わないことが分かったので、自主的な判断で使用は止めてしまいました。従い、様々な統合手法の紹介はいいけれども、判断は自由でいいのではないでしょうか。

(魚住委員)
 その延長で、私はJEPIXに関わっているのですけれども、一般に統合化による数値の精度がものすごく粗く、つまり10%~20%違っていてもこちらが良い・悪いということは絶対的には言えない。倍違うとか、桁が違うとかいうことであれば、これは本当に違うかなというようなレベルのものだということが伝わればいいのですが。計算すれば数値としては一桁まで細かく出ますので、その辺りが誤解を招く要因だと思います。

(國部委員)
 環境効率で大事なことは、環境負荷の正確な量を出すのではなくて、削減しているかどうかですよね。比率の値の正しさよりも比率が改善できているかどうか、比率を出すことによって削減する方向に向かわせるかどうかが重要なので、その辺りを書いて頂けるとよいと思います。

(川村)
 参考資料でもLIMEとかJEPIXをいきなり紹介するのではなくて、本文にあるような留意点を分かりやすく書けば、安易に使われることは防げると思います。

(國部委員)
 参考資料を付けているのであれば、本文は「環境影響を統合する手法と個別の環境負荷でやる方法があります」程度で良いと思います。参考資料にはこういうものがあるけれども、ただそこはものすごく難しいところですよね。環境影響評価のガイドラインが必要になるようなことなので、安易には書きにくい。留保条件もそれが判断になってしまうと、非常に懸念をするところがあるので、どうなのでしょうね。

(魚住委員)
 環境効率は経営指標と環境負荷の割り算による比率であるため、環境負荷を減らしたかどうかよりも、環境負荷を増やしてもそれ以上に売上高などの経営指標を伸ばせば、それで数値が良くなるというところが、環境面から見れば問題があります。

(河野座長)
 式の使い方あるいは理解の仕方を詳細に書くとなると、ガイドラインが分厚くなってしまいますけれども、今までのご指摘を踏まえて、参考資料のところでどれくらい上手く入れ込めるか事務局で検討してもらうことで、この議論は終わりにしたいと思います。

(國部委員)
 環境効率について最後に一つだけいいですか。107頁で「付加価値額(売上総利益+人件費等)」とありますけれども、これだと付加価値の定義になってしまうので、付加価値額もしくは売上高とかにした方がよいと思います。付加価値の計算の仕方については、それはそれで議論があるので。

【GHG】

(古田委員)
 第3章の95頁の「OP-6温室効果ガスの排出量及び低減対策」のところですが、ここはいろいろな意見があります。特に排出量の計算と削減量の計算に関しては、様々な意見があってまだ精緻化していないと思います。そういう意味で「指標算定に当たっての留意点」のところで、(iii)が消されていますけれども、議論がまだ終着していないところで、あまり判断しない方が良いと思います。両論併記できちんと書いておいた方がいいのではないかと思います。

(後藤委員)
 魚住委員、参考資料のGHGの一般的な計算例でデフォルト値を出されたのですけれども、これはもともと全電力平均のものなのでしょうか。

(魚住委員)
 それに加え、独立系のものを考慮して環境省と公取がもめた時の話合い結果の数値と聞いています。

(後藤委員)
 例えば、ガス協会が言っているマージナル電源の数値は無いわけですね。

(魚住委員)
 新しいものは公表されていないです。

(後藤委員)
 前回のEPIガイドライン2002年度版には、それが載っていますよね。

(魚住委員)
 確かに、載っています。

(後藤委員)
 いま古田委員が仰ったように、ここの消されている部分は省エネ法か何かに書いてある文言をそのままお使いになったんですよね。

(古田委員)
 そうですね。

(後藤委員)
 ここは変な話ですが、電力側を優先して数値を低くしてこういう書き方になったのですか。この問題は削減努力をしてもらうという観点で言うならば、決着がいつの時期に着くのかはわかりませんけれども、マージナル電源(火力平均の排出係数)の前回載っていたものをそのまま載せておけば、どちらに味方することにもならないのではないか、というのが私の意見です。

(河野座長)
 これは先ほどの古田委員のご意見とは、若干違う話ですね。

(後藤委員)
 さらに延長しての話です。

(魚住委員)
 私もどちらかに与みするのではなくて両論併記でいいと思いますが、Q&Aに入れるという話では出ていなかったでしょうか。

(鎌形課長)
 どちらかに与みすると言う事は、私たちもしません。もちろん数値をいろいろ調べて、できればどれを取るべきかを判断したいとは思いますが、ガイドラインに数値を具体的に出すということについては、両論であっても、責任を持ちにくいところがあります。前回のガイドラインでは確かに具体的な数値を示したことは事実ですけれども、今回はなかなか難しいのかなと、私たちも温暖化対策の担当とも話しているところです。
 しかし、考え方自体を全部消してしまうかというと、それは少し違う話なので、削減量について書く場合には説明をきちんとするということは仰られたとおりだと思います。ただし、いろいろな考え方があるということは言えるのですけれども、環境省が出すガイドラインとして具体的な数値を出すのはなかなか調整がつかない状況です。

(後藤委員)
 この消してある文言は決着していることなので、これはこれで残すとして、数字の方は例えば参考資料の方に前回載せていたものを載せても、落してしまうということはやはり意図が出ますので、少なくとも参考資料には載せておくという形で残して頂けないかなという考え方です。

(國部委員)
 後藤委員の仰ったのは、24頁に出ている電気の昼間買電というのがそれに当たるのではないでしょうか。これを削減するわけですよね。

(後藤委員)
 昼間とか夜間ではなくて、使用電力量の削減努力をすると、それに伴うCO2削減量は火力発電によるCO2排出量を削減することになります。供給すべき電力量が減った場合には、電力会社は火力発電を落としますが、原子力や水力の発電は落とさないのです。それで原子力や水力も入った全電源平均の排出係数で削減努力を計算すると、過小評価の可能性があります。本来ならばマージナル電源である火力発電の数値で削減努力を計算した方が正確だというのが、世界的な議論だと思いますよ。

(森下委員)
 私も同じ意見で、前にメールで送られてきたバージョンにはそこが復活して入っていたのですけれども、そこで入っていたのでそのままになっているということで注意して見なかったのですけれども、見え消しの部分がメールで送られたものと違いますよね。マージナル電源も参考資料に入れる必要がありませんか。

(鎌形課長)
 まだ新しい数字がないので、そこは難しいですね。調べ方なり情報源とかを書いておくということは可能かもしれないけれども、この数字が良いというのはなかなか難しいところです。

(後藤委員)
 国が一度、平成13年に出しているわけですから、その調べ方、計算の仕方を定性的に書いた場合には、事業者が自分で計算しなければいけないわけで、そうすると信頼性はどうなるのかという話になってしまいます。そういう格好になると、やはり一旦前に出たものはそのまま残しておけば良いのではないですか。例えば電力会社がその数値に不満であれば自分のところがデータを出せばいいわけです。今のままだと、結局削減努力が全然見えない格好になってしまうと思うのです。

(崎田委員)
 後藤委員と全く同じ意見です。海外では考え方が交通整理もできていると思います。やはり削減をすると効果があるのだという方向に持っていかないと、なかなか事業者の方には難しいと思います。本文が難しいのであれば参考資料にこれまでのデータということで、入れておいた方が親切だと思います。

(鎌形課長)
 ここはかなり問題だとは思っています。前に出したから、そのまま書くべきだというのは理屈としてはわかりますが、それをそのまま使っていいですよというメッセージになるのが少し怖いというところは正直あります。 

(魚住委員)
 削減努力をマージナル電源でという考え方もよく理解できます。しかし増加した場合も、マージナルの高い係数を使わないとバランスが取れないのではないですか。マージナルの排出係数を書くのなら、その辺りの説明も書いた方がバランスの取れた考え方ではないかと思います。

(河野座長)
 事務局の事情もあるのでしょうが、この検討会のまとめとしては、本文で無理であれば参考資料として何とか残せないかということですね。

(鎌形課長)
 書き方の工夫かもしれませんので、検討してみます。

【消費電力の少ない事務機器】

(上妻委員)
 68頁のMP-6グリーン購入・調達の(2)の記載されることが期待される情報・指標のところで、「消費電力の少ない事務機器」とありますが、消費電力が多いか少ないかというのは相対的な問題で、何を書けばよいのか良くわからない。例としてはあまり適切でないと思います。

(魚住委員)
 消費者団体やNGOがどれくらい違うかリストを出しているのではないですか。

(鎌形課長)
 消費電力が少ない事務機器、省エネ法の対応の度合い、ラベルなどに取り組んでいて、できるだけ消費電力を少なくしていこうとする努力があれば、それを書いてもらいたいという趣旨です。

(上妻委員)
 消費電力はどんどん少なくなっているのだから・・・。

(鎌形課長)
 「消費電力が少ない」ではなくて、「省エネ性能が高い」と書けば良いですね。

【水資源の環境配慮分】

(倉阪委員)
 89頁のOP-3水資源投入量で「環境配慮分」の記載が残っているが、これは消し忘れなのでしょうか。枠の中の「併せて、外部からの循環水等の環境配慮分も記載します」とあり、解説のところの2段落目も「併せて、環境配慮分を含む水資源の内訳を把握することも重要です」と書いてあります。

(川村)
 不要ですので、消し忘れです。

(倉阪委員)
 合わせて、他のところで反映されていない、柱だけ替わっていて、他のパーツに反映されていないところが多々あります。第2章の項目のところなども反映されていません。

【総物質投入量の資本財】

(魚住委員)
 87頁のOP-2総物質投入量の下の留意点(v)(vi)ですが、(v)の2行目で「資本財として設備投資等に投入される資源の量、事業者の内部で循環的な利用が行なわれている物質を含めません」とあり、ここだけ読めば、資本財は資源の量として含めませんと言っておきながら、(vi)では「資本財としての性格を有する物質については、施設の建替えや設備の入れ替えを行う年度に突出して投入量が増えるといった変動要因が多いことから、含めないで算出しても良いでしょう。含める場合は・・・」とあります。
 上で「含めない」とあり、下で「含める場合」とあるが、含めないでよいと思います。例えば、建屋を解体しても、出てくる建設廃材は請負ったゼネコンが排出事業者となって、その会社を排出事業者としては認識しないのが一般的です。このアウトプットサイドと同じ考えで、インプットサイドでもゼネコンが持ち込んでくるような考え方をとれば、資本財はここの物質投入量に含めないで良いのではないでしょうか。

(川村)
 基本的には「含めない」で良いと思います。

【総製品生産量の留意点】

(魚住委員)
 93頁のOP-5 総製品生産量の留意点にある「主要な製品及び商品の販売量」のところに追加してもらいたいことがあります。インプットは投入量、アウトプットは販売量で、在庫に大きな増減があれば、マテリアルバランスに大きく影響します。そういう観点から、「期首と期末の原材料、製品、製品重量に大きな差異がある場合は物質投入量とのマテリアルバランスを考慮するうえで、期首と期末の在庫増減重量の記載が望まれます。」と入れる。物によってはぜんぜん売れなくて、バランスが悪いことも考えられます。必須にすることはないと思いますが。

(鎌形課長)
 「望まれます」ということで。

(河野座長)
 次に、第4章と第5章についてご指摘があれば、お願いします。

第4章・第5章

【経済的付加価値に関する情報】

(國部委員)
 第4章「社会的取組の状況」について、以前から申し上げているが、経済に関わる情報の収まりが悪い。「○地域社会に対する貢献に関する情報・指標」の2つ目「・ステークホルダー別の企業価値の配分」のところで(経済的付加価値)と書かれているが、経済的付加価値では全然違う概念ですので、「経済的」は間違いですから取っていただきたい。
 それから別の視点ですが、「・ステークホルダー別の付加価値の配分」という項目と、その下の「○企業倫理、企業統治、コンプライアンス及び公正取引に関する情報・指標」の2つ目の「・環境関連分野以外の寄付、献金の寄付」という問題と、同じところの下から2つ目「・適正な納税負担の状況」については、企業倫理とはまったく違う社会と経済に関する情報であり、CSRでも注目されているのだから、是非一まとめにして単独の見出しとして取り上げて欲しいと思います。

(伊東委員)
 それは、一般的には社会貢献という項目でやるケースが多いのではないでしょうか。例えば、110頁の項目にも社会貢献という分野はありません。

(後藤委員)
 社会貢献というのは、國部委員が言われた経済的付加価値という観点からは違うと思いますが。

(國部委員)
 現状よりは近いですね。社会と関わる経済的指標がいわゆる社会貢献の項目ですので、そういうのも受けられた方がすっきりします。

(河野座長)
 それを「社会貢献」とすると、地域社会に対する貢献とどう違うのか。中身を見れば、地域貢献か社会貢献かはだいたい分かりますが。

(國部委員)
 地域社会は非常に重要な言葉なので残したい。ただ、ステークホルダーベースの企業価値の配分で言えば、地域社会への配分というのはそんなに大きくない。環境分野以外での寄付や貢献というのも、地域社会だけではない。しかも、それはコーポレートガバナンスとは全然違う企業の社会への経済的貢献の情報になります。

(鎌形課長)
 ご指摘は、3つの要素の構成について言われているのですね。

(國部委員)
 そうです。企業と企業の社会的責任に関する経済的情報ということです。今思いつきませんが、もっといい言葉があるかもしれません。

(河野座長)
 抜き出してすっきりするなら、その方向で考えましょう。ただ、「社会貢献」というふうに括ると地域社会が入らなくなってしまうので、名称の問題は事務局に考えてもらうことにしましょう。

(河野座長)
 4章の社会的取組については残すということで合意があると思いますが、他に何かありませんか。

【報告書の機能と活用】

(森下委員)
 第5章の「2.環境報告の活用の仕方について」の第3パラグラフの中では、2つ「また」が出てくるので煩雑な感じがある。
 それから活用の仕方について、最初に書いてあるのは企業内部での活用、次にステークホルダーダイアログ等での活用が書いてあるが、そもそも環境報告書を公表することやコミュニケーションを図ることについて何も書かれていない。まず環境報告書を世の中に出していく、その上でこういう個別の使い方があると思うのですが。もう一度、文章も含めて、環境報告書の機能との整合も含めて検討してもらいたい。さらに言うなら、もう少しステークホルダーエンゲージメントとして新しいことを組み込んだ方がよいのでは。

(鎌形課長)
 ここは「課題」ということで、公表など当たり前の部分は欠いてしまったのですが、誤解の生じるところもあるのだと思います。

(河野座長)
 こういうことを書き込んで欲しいという事項があれば、お願いします。

【社会での企業の役割】

(崎田委員)
 110頁の「地域社会」のところですが、委員の皆さんも地域社会への貢献をどのようにつなげようかと考えているようなので、この前はあまり申し上げなかったのですが、もう少しいろいろな可能性を書き込んでいただきたいという気持ちがあります。つまり、「地域文化やコミュニティの尊重」と書いてあるのですが、その地域で事業活動している企業にとって、尊重だけではなくて、積極的に創造していくような社会的責任も求められていると思うので、もう少し積極的な書き方が良いかなと思います。
 あと社員への環境マインドの教育とか、さらに広がって社員の家族とか、あるいは地域社会への環境貢献、そのあたりの教育的な部分も強めていただけないかなと思います。社員や家族だと教育研修制度があるのですが、企業の持っているノウハウや想いは大変強いものがあるので、そのことをうまく活用していただくことが、いま地域社会になかなか企業の気持ちが伝わらないというなかで、評価されることだと思います。そこを強めていただくことで企業の地域での信頼性も上がると思います。

(伊東委員)
 ボランティア活動の奨励や制度などは、どのあたりになりますか。

(中山課長補佐)
 社員の社会貢献への参加の状態ですとか、それに対する支援あるいはサポート体制ですとか、一つ書けるのではないかと思います。社会面での教育・研修というか、社員と地域の方々の関係についてどう取り組んでいるかを書ける場所を、どこかに入れておくということで対応したいと思います。

(古田委員)
 最後にお願いですが、参考資料を見ると、所々断定的な言い方になっていたり、逆にサジェスチョン的な言い方になっていたり、トーンがばらばらなので、参考資料では本文のことをスタディーされて、サジェスチョン的な言い方に統一してもらいたいですね。

(河野座長)
 第4章・第5章で言い残したことがあれば、あと10分くらいでお願いします。

<上妻委員、古田委員退席>

【DfE、労働損失日数】

(國部委員)
 細かいことばかりで恐縮ですが、MP-7のDfEの英語をDesign for Environmentで大文字のFが今は多く使われます。69頁にあります。小文字でも間違いではないと思いますが。あと、109頁の労働安全衛生で、「事業活動損失日数」と言っているが、正しくは「労働損失日数」ではないかと思います。事業活動損失日数はどこにも定義がないので、厚生労働省の資料を調べていただきたい。

【5章/環境報告の充実に向けた今後の課題】

(宇郷委員)
 5章のタイトルや見出しが「環境報告書」なのか「環境報告」なのか統一できていないですね。
 それから先ほど森下さんが活用について言われたご意見を、私なりに理解をすると、「1.環境報告書の作成の仕方」というタイトルになっているが、本来なら情報開示をすること、そして情報開示の質の向上を図るという内容だと思うので、そういう観点で調整を取っていただけたらと思います。そうすると、2.は本当に「環境報告の活用の仕方」という観点でまとめることができるのではないでしょうか。見出しは環境報告だが、中身は環境報告書になっているので、その点も含めて。

(森下委員)
 5章のタイトルは「充実に向けた」ですが、ここはすべて作成側の課題として書かれています。読み手側の課題、社会の課題、行政側の課題などは要らないのでしょうか。それから充実といえば、質の向上と量の拡大になりますが、環境報告の発展のためとか、そういうものが良いのではないでしょうか。

(宇郷委員)
 確かに、それは双方向性の観点がいると思います。作成側だけではなくて。

(中山課長補佐)
 双方向性の観点から言うと、パラグラフの順番はどうかなとも少し思いますが、1.の下の方はそれなりに意識して書いたつもりです。最後のパラグラフで「ステークホルダーには、積極的に協力することが期待され」というところです。さらに追加すべきところがあれば、ご意見をいただきたいと思います。ただ、企業の方々にヒアリングすると、ステークホルダーはどこにいるのだと言われてしまうので、ガイドラインとしてその辺りをどうするか、ご意見をいただけると大変有難いですね。

【最終処分量】

(魚住委員)
 OP-9の最終処分量の扱いについて、103頁の(v)の2行目に「・・・の残滓も含まれますが、直接最終処分される量とは区別して把握します。」とあり、続けて「残滓の量を把握できず、廃棄物最終処分量に含められなかった場合は、その旨を明らかにする必要があります。」となっていますが、この書き方では、最終処分量には単純焼却した場合の残滓も含めることになります。
 ここに実際に審査をするうえで非常に難しい問題があります。中間処理業者に残滓について電話で確認しているのが現実で、それを根拠にしているのです。そういう状況であれば、直接最終処分量というのはマニフェスト処分量の合計で、これをベースにして追加的にそういう焼却による残滓も把握して、それを別掲にするという2段の情報が必要だと思います。それで、102頁の(1)の「記載する情報・指標」の廃棄物最終処分量を2つに分けていただきたい。分けるとすれば、「直接最終処分量」と「焼却残渣考慮後最終処分量」ということになります。

(森下委員)
 参考資料に計算式が出てきますが、残滓については中間処理とリサイクルの両方があるので、区別すること自体は全くその通りで、それ以外は最終処分で2段階になります。あと、参考資料の書き方のところを中間処理だけだとリサイクルが入らないので、それもリサイクルが含まれる工夫をする必要があります。

(川村)
 廃棄物最終処分量は、本文と参考資料のいずれも二段構えにするということですね。

~休憩 12:00~12:10 ~

参考資料

(河野座長)
 討議を再開します。これからは参考資料について審議いただきたい。事務局から説明があったように、「用語解説」「Q&A」「環境効率指標の事例」それと「国際研究機関及び諸外国における研究成果」については、別途ご意見をいただくとして、1番目の「主要な指標等の一覧」と5番目の「OPIの標準的な計算例」についての審議をお願いします。それから、この参考資料もパブリックコメントに出すことになっています。
 それでは、まず「主要な指標等の一覧」について、ご意見をお願いします。

主要な指標等の一覧

【サンプルの書き方】

(宇郷委員)
 本文のBI-4-1の別表としてこういうふうに出てしまうと、どんなにサンプルだと言ってもこんな書式でと思い込まれてしまう恐れがあるので、この書式をそのまま使われることを意図しているのか、それともあくまで参考という位置づけなのか、はっきりさせていただきたい。別表1は一覧表ですから、誰が作ってもこういうふうになるかもしれないけれど、別表2のようにグラフにしてしまうと、例えば、エネルギー消費量は棒グラフのこういう形式でとなりかねない。しかも見開きでこういうふうにまとめるんだと受け取られかねないと思います。是非ともこういう書式でという意図があるなら別ですが、いかがでしょうか。9から10ある項目を全部やる必要もないわけで、サンプルとしてお示しいただければ十分だと思います。

(鎌形課長)
 まさにサンプルのつもりです。

(宇郷委員)
 ガイドラインとして見てしまうと、真似する人が出てくるのは間違いないと思います。

(中山課長補佐)
 これがサンプルですよとしっかり書くことと、確かにここにある表や図を全部書くのかということがあるので、工夫したいと思います。

(宇郷委員)
 仮に別表の1と2の両方を踏襲してしまうと、数表とグラフを重複して出しなさいとも見える。数表で経年変化を書けば良いものもあるし、こういう風にグラフ化してビジュアルで見せた方がよい場合もあります。

(鎌形課長)
 このままでは図表の書き方が曖昧に見えるかも知れません。指標によっては表形式もあるし、グラフを書く場合もあるということで、誤解のないように明示する必要があると思います。

(倉阪委員)
 「平成○年○月期」と書いてあるのですが、これは「何年度」とした方が実態に合うのではないですか。もちろん何年度と書かずに、四半期ごとに集計して出すところがあっても良いとは思いますが。それから、「ハイライト情報」という言い方も、もう少し工夫した方がいいんじゃないですか。

(河野座長)
 良い案があったら、事務局にお知らせ願います。

(國部委員)
 まずは「問合せ責任者、役職名、氏名」が必要かどうかということ。それと推移だけが書かれているが、実際には目標を立ててやっているので、目標に対してどうなのかという情報も必要な場合があるのではないでしょうか。これだと過去のことだけ、という感じがします。

(河野座長)
 目標には長期目標もあれば中期目標もあります。もうひとつ欄を入れて2段にするなどとして中期目標を入れたものも考えられますが、だんだん複雑になりますね。

(國部委員)
 入れる・入れないは会社の判断でいいと思いますが、入れた方が形としてはいいと思います。

(鎌形課長)
 前文に色々なやり方があると書きましょう。目標を書き込むとか。問合せ責任者はどうしましょうか。

(國部委員)
 報告書にあればいいわけですよね。

(森下委員)
 宇郷委員にお聞きしたいのですが、企業が環境報告書にこういったハイライト情報に推移を載せるとしたら、その総括的な文章、つまり増えたとか減ったとか、その評価や原因などを通常つけると思います。単に経年図表だけ載せて、あとは読み取ってくれというのはあるのでしょうか。例えば2頁、3頁であれば注1と注2の部分をもう少し分かりやすく前にもっていくとか、とにかくサマリーとして総括的なことを書くことにしたら良いと思います。

(後藤委員)
 ただ総括はBI-4-2にあるので、重複してしまいます。

(森下委員)
 もう少し言うと、BI-4-1とBI-4-2の連携の話になると思います。どういう風に分かりやすくするかです。

(宇郷委員)
 私の名前が出たので申し上げますが、通常だと経年推移を入れながら、目標に対する実績を入れて、例えば○×△を入れて何%以上の達成だったのか、何%未満の未達だったのかということを評価しながら、それに対してどうするかというコメントを書く表を追加します。目標と実績の報告は、そういうふうにされているところが多いのではないですか。

(後藤委員)
 多いですね。ここに総括を入れると、本文でこの指標一覧と総括を分けていながら、参考資料のサンプル図表でまた総括を書きなさいとなるとダブってしまう。逆に言うと、ここはサンプルですから、先ほど言ったように、書き方は創意工夫で総括も入れていくやり方もあることを示せば良いのではないですか。

(魚住委員)
 BI-4-1とBI-4-2を合体させた書き方の例のようなものを示せないだろうか。例えば、経年比較と当年度の目標だけを出すとか。それで総括も入れてしまうというやり方もあります。

(河野座長)
 では、そのような説明を別表サンプルの始めに入れるということでよろしいでしょうか。

【環境に関わる特記事項】

(倉阪委員)
 「環境に関わる特記事項」には、どういうものが入るイメージなのでしょうか。本文を読んでも環境に関する特記事項と書かれているだけで、ここのサンプルでも例が書いていないので。

(中山課長補佐)
 総括と何が違うのかと言われると難しいですが、総括の中でも特記すべきことを書くイメージです。

(倉阪委員)
 BI-4-2の総括で言うと、その報告対象期間における特徴的な取組とほぼ同じような意味ですか。

(中山課長補佐)
 そうですね。その年度の特徴的な取組とか成果とかで、問題点や課題も含めてです。

(河野座長)
 今の説明でよろしいですか。

(中坪課長補佐)
 この図表を補うために、こういう取組や出来事がありましたとか。また数字が飛びぬけて出たりした時には、その説明があっても良いのではないでしょうか。それには過去の変動もありますね。例えば3年前に重要な変動があったとしたら、ここに書いていれば、その理由は分かると思います。それから、(注1)は経年変化で見るものも想定できますが、(注2)の方は当年度の特記事項を想定しています。

(中山課長補佐)
 とにかく、このような形での図表がそもそも要るのかということも含め、もう少しわかりやすくします。

(魚住委員)
 例えば、VOCの回収装置を付けたが、今年の3月末だったので数値には反映されていないとか、そういうことが考えられます。

(國部委員)
 土壌汚染などにミスがあったとかも。

(河野座長)
 ただ、例を書くと、そういうことだけみたいな感じになってしまいませんか。

(倉阪委員)
 土壌汚染とか生物多様性などの新しいものについては、環境パフォーマンス指標の推移には直接入ってこないので、こういったところに記載があっても良いのではないでしょうか。

(宇郷委員)
 いずれにしても、こうやって見出しをお付けになるのであれば、当年度の特筆すべき取組事項とか、もう少し何を書けばよいのかがイメージできるタイトルにしていただくと良いと思います。

(鎌形課長)
 分かりました。タイトルをそういうふうにするのか、あるいは前文の中にそういった例示を入れて書くのかということですね。おそらくフォーマットの中に例示を書き込むことは難しいと思います。

(宇郷委員)
 そういうふうに受け取られ兼ねないですからね。

【報告の対象組織と指標の集計範囲】

(魚住委員)
 別表1.の2頁の中に「集計範囲」があって、さらに3頁の方で「報告対象組織」とありますが、その関係はどういうふうになっていますか。

(川村)
 3頁の方は基本的な報告書の報告範囲、つまり報告全体のことを指します。しかし、2頁の各個別のパフォーマンス指標には捕捉率の議論があって、その「集計範囲」は必ずしも「報告対象組織」と同じではありません。そこでエネルギーならエネルギー投入量はここからここまでの範囲で集計したものです、と分かる様にしておく必要があります。前に委員のどなたかが、指標によりある程度は凸凹もあるでしょうと言われたので、それを踏まえて、この一覧表に「集計範囲」という欄を新たに入れました。

(魚住委員)
 報告の対象組織は全体共通だけれど、個別指標ではその集計範囲が全体と違うことがあるということですね。それなら、対象組織や集計範囲についての注記が必要となります。

【用語解説と索引】

(倉阪委員)
 用語解説は後ほどという話ですが、全般的な話として、用語解説から本文を見たいという人もいるかもしれないので、本文の頁数を入れて索引風にした方がいいと思います。また、サステナビリティの定義が持続可能な開発の定義になっているので、いかがなものかとも思いますが、これはまた後で。

(河野座長)
 用語解説を細かに見ると色々問題があるかもしれませんが、次に「OPIの標準的な計算例」について議論して頂いて、時間があればそこに進みたいと思います。

【OPIの標準的な計算例】

(宇郷委員)
 タイトルはOPIではなく「指標の標準的な計算例」ではないでしょうか。実際はMPIから始まるので、違和感があります。あるいは定量的指標でも結構ですが。

(河野座長)
 前から気になっているのですが、「標準的な」という言葉でいいのでしょうか。ここに載ると、それ自体がデファクトスタンダードとなり、標準化される可能性もあります。既に慣行的に使われているので、標準的なという表現になっているのだろうとは思うのですが、ここでは一般的に使われている計算式の例ということですね。

(倉阪委員)
 「一般的な」の方がいいのではないでしょうか。

(後藤委員)
 前回申し上げたように、MP-8で改良トンキロ法など新しいものが出ていると思うのですが、それはチェックして頂きましたか。

(魚住委員)
 省エネ法の改正の内容ですが、反映されています。

(國部委員)
 26頁の電力のCO2排出係数の単位が表中と下の解説で異なっているので、単位の統一をお願いします。また細かいことですが、28頁だけイ)ロ)ハ)になっているので、ア)イ)ウ)に統一をお願いします。

(森下委員)
 OP-6の温室効果ガスについて、本文では「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」を参照となっていますが、26頁の説明では最後の昼間電力と夜間電力の部分だけで出てきており、分かりにくいので、この算定・報告マニュアルをベースにするということを分かりやすくした方が良いと思います。

(國部委員)
 例えば28頁ですが、注記の※印が大きくて数字を掛けているように見えるので、数字を上付きにするなど誤解のないようにした方が良いと思います。

(森下委員)
 30頁のMP-9廃棄物排出量の算出式ですが、*1中間処理経由最終処分量というところで、中間処理(リサイクル等を含む)と残滓との関係がよく分からないですね。*2の書き方はいわゆる一次マニフェストであり、後段部分は二次マニフェストの話ですから、分からない人もいると思いますので、マニフェスト伝票のことも含めて整理してもう少し詳しく書いた方が良いと思います。

(崎田委員)
 廃棄物のところで、家庭だとゴミとして排出するものと資源として排出するものについて数字がきちんとあり、循環利用率が出てくると思います。そこで企業の方に伺いたいのですけれども、出ている数字は総資源投入量とか最終処分量という大括りの数字だけなのですが、実際はもっと細かく集計していらっしゃるように思います。そういうのを活かせないかという気もするのですが、現実にはいかがでしょうか。

(宇郷委員)
 外に出すものは、できるだけ大きく丸めています。

(魚住委員)
 集計は区分ごとにされていますし、大量排出事業者は報告義務もあります。しかし、それを開示していたらあまりにも膨大になってしまうと思います。

(國部委員)
 ところで、この参考資料もパブコメに出すのですよね。

(河野座長)
 最初に申し上げたとおり、基本的には本文についてご意見を伺うのですが、参考資料も付けて出します。さて、残りの時間で他の箇所についてもご指摘いただければと思います。

【用語解説】

(國部委員)
 用語解説3頁のMP-3環境会計情報で、「環境管理会計」の定義に国連のものを使っていますが、日本でも経済産業省から「環境管理会計ワークブック」が出ているので、日本企業向けには日本のものを使った方がいいのではないでしょうか。
 それから、9頁の序章のQ&Aで、「準拠しなければいけないのでしょうか?」という問いに対して、「環境配慮促進法の『特定事業者』に当たらない事業者の場合、発行の義務もなければ、準拠の義務もありません。」とありますが、環境配慮促進法では上場企業や大規模事業者は発行の努力義務があるので、是非そう書いてください。
 また、環境効率指標の事例のところで環境負荷(影響)となっているのですが、一般的に使われているのは、環境負荷はCO2何トン等の環境負荷の種類ごとのエミッション、環境影響というのはそれぞれ個別の環境負荷がどのくらい自然環境に負荷を与えているかという影響をさす場合が多くて、負荷は足し算できないけれど影響は足し算できることになります。だから統合指標の場合、足しているのは負荷ではなく影響です。その辺りは結構難しいのですが、パブコメで意見が出た時に、使い分けていることが分かるようにするといいと思います。

(川村)
 注記で説明をして、便宜上括弧で書いておくということですね。

(國部委員)
 私は、統合のときは影響、個別のときは負荷という言葉を使うと誤解がないと思いますが、それが一般的に承認されているかは分かりません。

(倉阪委員)
 環境負荷はファーストインパクトですね。

【CO2排出量】

(後藤委員)
 本文の輸送のところで、2004年度の二酸化炭素排出量が出ているのですが、2005年度の結果が昨年11月に出たのではなかったですか。

(鎌形課長)
 あれは速報値で、正式な数値は出ていないので、ここに入れていません。

【チェックリスト】

(宇郷委員)
 最後のチェックリストについては、これは何をするものなのかという説明を入れて頂きたいと思います。これが本文のどこにつながるのかというと、信頼性のところですよね。そことの連動を明示していただきたい。それから、ここまで公表するかどうかは別ですが、このチェックリストを作れば一覧表そのものになるのではないですか。ところで、これと自己評価チェックリストとの整合は取れているのでしょうか。

(中坪課長補佐)
 「自己評価の手引き」は今後改訂しなければいけないものですので。

(宇郷委員)
 もちろんそうですが、BI-4-2の総括はほとんどこれに近いものになるのではないかと思います。

(森下委員)
 「チェック欄」のチェックは、○×△を付けるのか、そういうことも示す必要があるのではないでしょうか。

(宇郷委員)
 チェックは○×を入れて、単に書いてある・書いていないをチェックするものなのか、「自己評価のためのチェックリスト」のように評価内容まで書いてあるものなのか、ある意味で質も含むチェックなのか。単に書いてあるかどうかだけなら、目次のようになってしまいます。

(後藤委員)
  「自己評価の手引き」は改訂しなければならないものなので、これに合っているかというよりも、自己評価の手引きがこのチェックリストに合わせて改訂されるのではないでしょうか。

(森下委員)
 「自己評価の手引き」は重要性の判断に基づいてチェックすることになっているので、「チェック欄」が記載の有無だけというのであれば、それはそれで分かるのですが。

(宇郷委員)
 そうだとしたら、記載の有無だけにしていただいて問題ないですね。

(河野座長)
 「チェック欄」は、そういう理解をしていました。評価まで使うとなると、ちょっと複雑になりますし。

(倉阪委員)
 ただ、記載しない場合には、その理由を書く欄が要りますね。

(宇郷委員)
 折角こういうフォーマットまで参考資料に付けて頂いているので、信頼性のセルフチェックにもなるというものになれば、作る方としては非常に効率的です。

【海外の研究成果】

(森下委員)
 6の「国際研究機関及び諸外国等における研究成果」のところに機関の名前とURLが出ていますね。日本のものはそれがどういう機関か分かるのですが、海外機関の場合は名前だけでは見る方は評価ができません。機関の性格とか可能な範囲で書いて頂きたい。多少親切にしないと使えないのでは。

(國部委員)
 確かに機関や成果はあればあるほどいいのですが、こんなに沢山必要なのでしょうか。日本の場合はかなり絞られて省庁や公的機関だけなのですが、海外は民間会社も入っていますよね。ここに書かれていてもいいのですが、例えばACCAといきなり書かれても分からないと思います。

(佐藤委員)
 見たい人がインターネットで見ればいいのではないですか。

(國部委員)
 知っている人は、ここを見なくても知っているのです。

(後藤委員)
 今回は社会性が薄いので、私がこのリストを出したのです。現実に企業にはCSRについてのニーズもありますしね。企業がSRIなどのユニバースに入ると、皆さん良く書いているのですが、評価基準を探す時になかなか見つけにくいので、URLでも書いておこうとリストを提供したということです。機関の評価を書くと問題があるので、名前は入れてもいいかもしれません。

(森下委員)
 機関名と、政府機関なのか民間機関なのかということを書いていただきたいと思います。

【地域社会に対する貢献】

(伊東委員)
 110頁、「地域社会に対する貢献」に関する情報・指標について、地域社会との共存共栄はもちろん重視しているのですが、社会貢献は地域社会だけではないと思います。うちの場合ですと、広く社員のボランティアなどの取組を広げる必要があると思うので、地域社会というのはもちろんですが、社会貢献というものをもっと入れて頂きたいと思います。

(佐藤委員)
 111頁のその他の社会的項目に関する情報・指標に「環境以外の社会貢献に係る方針、計画、取組」という項があります。「その他の項目」に入ってしまっているので、それを抜き出すかどうかですね。

(伊東委員)
 CSR報告書を作る時には、社会貢献はソーシャルな面で非常に大きなものなので入れて頂きたいと思います。

(河野座長)
 それを出すとすると、「環境以外の社会貢献に係わる情報」ということでしょうか。

(國部委員)
 地域社会に対する貢献を、社会全体並びに地域社会とすればいいのではないでしょうか。

(崎田委員)
 地域及び社会でしょうか。

(河野座長)
 予定の時間となりましたので、本日の検討はここまでにしたいと思います。皆さんから頂いた意見を基に修正をした上で、4月にパブリックコメントを実施したいと思います。パブリックコメントのための取りまとめに関しては、時間のこともあって私に一任いただければと思いますが、宜しいでしょうか。
<全委員、承諾>
 御一任ありがとうございます。さらにご意見またはご質問があれば、事務局にお知らせ願いたいと思います。それでは、事務局から今後のスケジュールについてお願いします。

(中坪課長補佐)
 これまで環境報告ガイドラインあるいは環境パフォーマンス指標ガイドラインの改訂にご協力いただきましてありがとうございました。4月上旬にパブリックコメントを開始する予定になっています。その結果を踏まえて、5月の第5回検討会で最終案を再びご検討頂きたいと思います。宜しくお願いいたします。

(川村)
 本日の中間報告(素案)に関して、特に参考資料では実務的なところも別途連絡いただくということにしておりますので、ご意見を事務局にメール等で連絡頂きたいと思います。短期間で恐縮ですが、期限を来週の14日(水)にさせて頂きたいと思いますので、宜しくお願いいたします。

(河野座長)
 本日の検討会をこれで終了します。皆さん、ありがとうございました。

以上