環境省総合環境政策グリーン購入法特定調達品目検討特定調達品目検討会平成12年度

資料2

特定調達品目及びその判断基準の基本的考え方(素案改定版)

1.特定調達品目の選定に当たっての基本的考え方

 特定調達品目の選定に当たっては、国等の公的部門が率先して環境物品等の調達を推進することにより、民間部門にも波及し、環境物品等への需要の転換を促進するとの法の趣旨にかんがみ、国及び独立行政法人等において共通して調達する品目を中心に幅広く検討し、判断基準の策定が可能なものから順に選定していくこととする。

 その際、「国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行のための行動計画(率先実行計画)」(平成7年閣議決定)に基づく取組等、これまで推進してきた取組を基礎とするとともに、今後、必要に応じ、国及び独立行政法人等における調達実態調査等を行うこととする。

2.判断基準の策定に当たっての基本的考え方

[1]判断基準の包括性

 環境負荷をできるだけ低減させる観点からは、予防原則に立った上で、地球温暖化、大気汚染・水質汚濁、生物多様性の減少、廃棄物の増大等の多岐にわたる環境負荷項目をできる限り包括的に捉え、かつ、資源採取から廃棄に至る、物品等のライフサイクル全体にわたって、特定調達品目に係る判断の基準(以下「判断基準」という。)を設定することが望ましい。

 一方、判断基準には、各省庁等における調達目標の設定や実際の調達に当たって判断の拠り所となる明確性が求められることから、具体的な基準設定が困難な事項等については判断基準として採用することがそぐわないという面がある。このため、環境負荷項目を網羅した基準設定を念頭に置きつつも、当面は具体的な基準が設定可能な事項を選択的に採用することとし、科学的知見の充実等とともに、適宜、判断基準を見直していくこととする。ただし、具体的な基準が設定できない事項、判断の基準として一般的に適用することが時期尚早な事項等であっても環境負荷低減の観点から重要なものについては、「配慮事項」として定め、各調達機関が調達に当たって所要の配慮がなされるようにするとともに、事業者において特定調達物品等の製造等の方向性を示すものとする。

 判断基準の策定に当たっては、民間におけるものも含め、既に有識者等の意見を聞いた上で何らかの環境関連基準が設定されている品目については、これを十分に活用・尊重し、本法の趣旨を踏まえつつ、判断基準の策定を進めることとする。

[2]判断基準の水準

 環境物品等の中には、再生紙等、ある程度普及が進んでいるもの、PET再生衣服等、取組が緒についたばかりでまず普及を進めることに意義があるもの等、様々なものがある。このため、判断基準の水準については、当該特定調達品目の種類、供給状況、環境政策上の課題等に応じ、個別具体の品目毎に適切な水準の基準を設定していく必要がある。ただし、法は国及び独立行政法人等に、毎年度、特定調達品目毎の調達目標を定め、これに従って調達を行うことを求めていることから、判断基準の水準は、国及び独立行政法人等による円滑な調達が確保できるレベルに設定することとする。

 判断基準の水準は、当該特定調達品目の普及状況、科学的知見の充実等により、適宜見直していくこととする。

[3]判断基準の性格

 判断基準は国及び独立行政法人等が環境物品等を調達するに当たっての一つの目安を示すものであり、一義的に「環境によい」物品等を定め、これのみを推奨するものではない。

 判断基準が対象とする環境負荷項目及びライフサイクルの範囲は必ずしも網羅的でないため、国及び独立行政法人等には、当該判断基準を満たすことで満足することなく、できる限り網羅的な環境負荷項目とライフサイクル全般にわたって高い水準で環境負荷の低減が図られている物品等を選択することが求められる。

 他方、環境負荷の低減効果は相対的なものであり、判断基準を下回る水準の物品等であっても相応の環境負荷低減効果を持ち、その調達を推進することは環境保全上意義あることである。このため、判断基準を満たす物品等が調達できない場合であっても、できるだけ環境負荷の低減に資する物品等を調達していくことが求められる。

 なお、判断の基準は環境負荷の低減の観点から定められるものであるので、品質、機能等については別途確保される必要がある。

3.特定調達品目の選定及びその判断基準策定の手続き

 特定調達品目の選定及びその判断基準策定に当たっては透明性の確保を旨とし、関係者の意見を幅広く聞くものとする。また、特定調達品目及びその判断基準は、国民の購買活動や事業者の生産活動にまで影響を及ぼすものであることから、その案については、パブリックコメントに付するものとする。

 また、本法の効果的な施行の観点からは、特定調達品目としてできるだけ多くの物品等を選定することが望ましい。ただし、その効果は国等の公的部門における調達のみならず、民間部門にも波及するものであることから、不適切な品目の選定・判断基準の策定は公正な経済活動を歪める危険性も否定できない。また、一方で、あまりに緩い基準を設定する場合には、本法の目的を十分に達成することができない。このため、これらの点を総合的に勘案した上で、関係者の理解と協力を得ることを重視して、品目の選定、基準の制定を進める。

 さらに、判断基準を制定するに当たっては、WTO政府調達協定等の国際約束を踏まえ、外国製品の排除との誤解を受けないよう十分に留意する必要がある。