1 政府調達協定について
政府調達に関する現行の国際協定は、平成6年4月に成立したウルグアイ・ラウンド交渉の結果である「世界貿易機関(WTO)を設立するマラケシュ協定」の附属書に盛り込まれたものであり、平成8年1月1日から効力を生じている。
このうちグリーン購入法に基づく基本方針に関係があるのは、(1)内国民待遇及び無差別待遇(第3条)、(2)技術仕様に関する規定(第6条)、(3)供給者の資格審査に関する規定(第8条)及び(4)落札の条件に関する規定(第13条)である。
なお、関連する他の国際協定として、WTOの「貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)」があるが、同協定の第1条で政府機関が自らの生産又は消費の必要上作成する購入仕様は同協定の規定の適用を受けないとされているため、基本方針により定められる判断基準等は同協定の適用の対象外と考えられる。
(1)内国民待遇及び無差別待遇
協定締約国は、政府調達に当たり、他の締約国の事業者が供給する物品及びサービスに対し、国内の事業者や当該他の締約国以外の締約国の事業者に比べ不利に取り扱ってはならない。
(2)技術仕様に関する規定
協定締約国の調達機関が定める品質、性能等の技術仕様に関する要件は、国際貿易等に対する不必要な障害をもたらすものとして制定、適用されてはならず(第1項)、特定の商標、生産地、供給者等を要件としてはならない(第3項)。
(3)供給者の資格審査に関する規定
調達機関は、供給者の資格審査の過程において、他の締約国の供給者間又は国内供給者と他の締約国の供給者との間に差別を設けてはならない。また、入札の手続への参加のためのいかなる条件も、供給者が当該入札に係る契約を履行する能力を有していることを確保する上で不可欠なものに限定されなければならない。((b))。
(4)落札の条件に関する規定
入札書の提出及び受領、開札並びに落札は、内国民待遇及び無差別待遇の規定に合致し、かつ、公正な手続によるものでなければならない。
2 WTO事務局への通報について
また、協定上各締約国は、適当な出版物において、かつ、他の締約国及び供給者が知ることのできるような方法により、法令、司法上の決定、一般に適用する行政上の決定及び手続であってこの協定の適用を受ける政府調達に係るものを速やかに公表することとされている(第19条第1項)。
TBT協定の場合と異なり、WTO事務局への通報は協定上義務づけられているものではないが、上記規定の趣旨にかんがみ、基本方針については、閣議決定後速やかに同事務局に通報するのが適当と考えられる。