第2部 各分野の施策等に関する報告

 環境・循環型社会・生物多様性白書では、各分野の施策等に関する報告について、

次のような章立てで報告しています。

 第1章 低炭素社会の構築

 第2章 大気環境、水環境、土壌環境等の保全

 第3章 循環型社会の構築に向けて

 第4章 化学物質の環境リスクの評価・管理

 第5章 生物多様性の保全及び持続可能な利用

 第6章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策


1 低炭素社会の構築

(1)問題の概要

 近年の人間活動の拡大に伴って二酸化炭素、メタン等の温室効果ガスが人為的に大量に大気中に排出されることで、地球が過度に温暖化するおそれが生じています。特に二酸化炭素は、化石燃料の燃焼などによって膨大な量が人為的に排出されています。わが国が排出する温室効果ガスのうち、二酸化炭素の排出が全体の排出量の約95%を占めています。


日本が排出する温室効果ガスの内訳(2009年単年度)

(2)地球温暖化の現況と今後の見通し

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年(平成19年)に取りまとめた第4次評価報告書によると、世界平均地上気温は1906~2005年の間に0.74(0.56~0.92)℃上昇し、20世紀を通じて平均海面水位は17(12~22)cm上昇しました。また、最近50年間の気温上昇の速度は、過去100年間のほぼ2倍に増大しており、海面上昇の速度も近年ではより大きくなっています。同報告では、気候システムに地球温暖化が起こっていると断定するとともに、20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは人為起源の温室効果ガス濃度の観測された増加によってもたらされた可能性が非常に高いとしています。

 また、同報告では、世界全体の経済成長や人口、技術開発、経済・エネルギー構造等の動向について複数のシナリオに基づく将来予測を行っており、1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年~2099年)の平均気温上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会では、約1.8(1.1~2.9)℃とする一方、高度経済成長が続く中で化石エネルギー源を重視した社会では約4.0(2.4~6.4)℃と予測しています。

 同報告では、新しい知見として、地球温暖化により、大気中の二酸化炭素の陸地と海洋への取り込みが減少するため、地球温暖化が一層進行すると予測されています(気候-炭素循環のフィードバック)。また、大気中の二酸化炭素濃度の上昇に伴いすでに海面が平均でpH0.1酸性化し、21世紀中にさらにpHで0.14~0.35の酸性化が進行すると予測されています。

 また、気象庁によると、日本では20世紀中に平均気温が約1℃上昇しました。日本においても、気候の変動が農林業、生態系、水資源、人の健康などに影響を与えることが予想されます。


地球温暖化の影響の現状


二酸化炭素排出量の部門別内訳


部門別エネルギー起源二酸化炭素排出量の推移


南極上空のオゾンホールの面積の推移

(3)気候変動枠組条約に基づく取組

 2010年(平成22年)11月から12月にかけてメキシコ・カンクンで開催されたCOP16及びCOP/MOP6では、わが国は、コペンハーゲン合意を踏まえ、米中等を含むすべての主要国が参加する真に公平かつ実効的な一つの法的拘束力のある国際枠組みの早期構築を目指し交渉に臨みました。途上国から先進国に対し、京都議定書の第二約束期間の設定に関する要求がありましたが、わが国は、京都議定書は世界全体のCO2排出量の約27%しかカバーしておらず、すべての主要国を含む枠組みの保証がない中で第二約束期間を受け入れれば、2013年以降も一部の国のみが削減義務を負う枠組みが継続・固定化されることになり、世界規模での真の削減につながらない旨を粘り強く働きかけました。最終的には、先進国・途上国両方の削減目標・行動が同じ枠組みの中に位置付けられ、わが国が目指す次期枠組みの基盤となるカンクン合意が採択されました。さらにカンクン合意には、緑の気候基金という新たな基金の設立、技術メカニズムの設立などが明記されるとともに、最貧国向けの気候変動適応計画の策定や、途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+)といった途上国支援に関連した事項が盛り込まれ、重要な前進となりました。

2 大気環境、水環境、土壌環境等の保全

(1)大気環境の保全対策

 ア 大気環境の監視・観測体制の整備

 大気汚染の状況を全国的な視野で把握するとともに、大気保全施策の推進等に必要な基礎資料を得るため、国設大気環境測定所(9か所)及び国設自動車交通環境測定所(10か所)を設置し、測定を行っています。これらの測定所は、地方公共団体が設置する大気環境常時監視測定局の基準局、大気環境の常時監視に係る試験局、国として測定すべき物質等(有害大気汚染物質)の測定局、大気汚染物質のバックグラウンド測定局としての機能を有しています。

 加えて、国内における酸性雨や越境大気汚染の長期的な影響を把握することを目的として、「越境大気汚染・酸性雨長期モニタリング計画(平成21年3月改訂)」に基づくモニタリングを離島など遠隔地域を中心に全国27か所で実施しています。

 また、環境放射線等モニタリング調査として、離島等(全国10か所)の人による影響の少ない地域において大気中の放射線等のモニタリングを実施しており、その調査結果を、ホームページ「環境放射線等モニタリングデータ公開システム(http://housyasen.taiki.go.jp/)」で情報提供しています。

 都道府県等では、一般局及び自排局において、大気汚染防止法(昭和43年法律第97号。以下「大防法」という。)に基づく大気の汚染状況を常時監視しています。

 また、国は、そのデータ(速報値)を「大気汚染物質広域監視システム(愛称:そらまめ君)」によりリアルタイムに収集し、インターネット及び携帯電話用サイトで情報提供しています。

 さらに、微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準の設定に伴い、大防法に基づく大気の汚染の状況の常時監視に用いるPM2.5の自動測定機の標準測定方法との等価性の評価を行います。

 イ 光化学オキシダント対策(国際的な取組)

 東アジア地域においては、近年の経済成長等に伴い光化学オキシダント原因物質の排出量が増加しており、わが国の大気環境への影響が懸念されています。このため、平成19年12月に開催された「第9回日中韓三カ国環境大臣会合」において、わが国の提案により光化学オキシダントに係る科学的な研究について協力することが合意されました。これを受け、20年より、光化学オキシダントに関する科学的知見の共有や今後の研究協力の検討を行うため、研究者及び政策担当者等を対象とした「日中韓光化学オキシダント科学研究ワークショップ」を開催しています。さらに、平成22年5月の「第12回日中韓三カ国環境大臣会合」で採択された環境協力に係る共同計画を踏まえ、共同研究に向けて取組を強化していくこととしています。


昼間の日最高1時間値の光化学オキシダント濃度レベル毎の測定局数の推移(一般局と自排局の合計)(平成17年度~21年度)

 ウ 酸性雨・黄砂に係る対策

 東アジア地域においては、近年の経済成長等に伴い酸性雨原因物質の排出量が増加しており、近い将来、酸性雨による影響の深刻化が懸念されています。

 このため、東アジア地域において、酸性雨の現状やその影響を解明するとともに、酸性雨問題に関する地域の協力体制を確立することを目的として、日本のイニシアティブにより、平成13年から東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)が本格稼働しており、現在、東アジア地域の13か国が参加しています。EANETでは、共通手法による酸性雨モニタリングによって、信頼できるデータの集積等を実施しています。


EANET地域の降水中pH(2005~2009年の平均値)

 EANETでは、平成17年のEANET第7回政府間会合の決定に基づき、EANETへの財政的貢献のための健全な基礎を提供する文書について参加国間で議論が行われた結果、平成22年11月に開催された第12回政府間会合において「EANETの強化のための文書」の採択と署名が行われました。

 また、国内では、越境大気汚染及び酸性雨による影響の早期把握、大気汚染原因物質の長距離輸送や長期トレンドの把握、将来影響の予測を目的として、「越境大気汚染・酸性雨長期モニタリング計画」に基づき、国内の湿性・乾性沈着モニタリング、湖沼等を対象とした陸水モニタリング、土壌・植生モニタリングを行っています。

 日中韓三カ国黄砂局長会合等において、北東アジア地域における黄砂対策の地域協力について検討が行われており、平成19年12月に開催された第9回日中韓三カ国環境大臣会合における合意を受けて、平成20年から黄砂共同研究を開始しました。さらに平成22年5月の「第12回日中韓三カ国環境大臣会合」で採択された環境協力に係る共同計画を踏まえ、今後取組を強化していくこととしています。

 また、国内では、黄砂の物理的性質(黄砂の粒径)や化学的性質(黄砂の成分)を解明するため、平成14年度より黄砂実態解明調査を実施しており、平成22年度は全国5地点で実施しました。また、わが国への黄砂の飛来状況を把握するとともに、国際的なモニタリングネットワークの構築にも資するものとして、独立行政法人国立環境研究所と協力して、高度な黄砂観測装置(ライダー装置)によるモニタリングネットワークを整備しています。さらに、平成19年度より、国内外のライダー装置によるモニタリングネットワークの観測データをリアルタイムで提供する環境省黄砂飛来情報ページを環境省のホームページ上で運用しています。


二酸化窒素の環境基準達成状況の推移(平成17年度~21年度)

(2)水環境の保全対策

 ア 環境基準の設定等

 水質汚濁に係る環境基準のうち、健康項目については、現在、カドミウム、鉛等の重金属類、トリクロロエチレン等の有機塩素系化合物、シマジン等の農薬など、公共用水域において27項目、地下水において28項目が設定されています。平成22年度にはカドミウムの基準値見直しに係る検討を行いました。さらに、要監視項目(現在公共用水域:26項目、地下水:24項目)等、環境基準項目以外の項目の水質測定や知見の集積を行いました。

 生活環境項目については、BOD、COD、溶存酸素量(DO)、全窒素、全りん、全亜鉛等の基準が定められており、利水目的から水域ごとに環境基準の類型指定を行っています。また、水質の評価に加えて、地域の特性に応じ良好な水環境を実感できる指標として取りまとめた「水辺のすこやかさ指標(みずしるべ)」の普及について検討を行いました。さらに、海域・湖沼の底層DO等の環境基準設定に向けた長期間連続測定を実施しました。

 イ 公共用水域における水環境の保全対策(湖沼・閉鎖性海域)

 湖沼については、富栄養化対策として、水濁法に基づき、窒素及びりんに係る排水規制を実施しており、窒素規制対象湖沼は320、りん規制対象湖沼は1,393です。また、湖沼の窒素及びりんに係る環境基準については、琵琶湖等合計115水域について類型指定が行われています。

 また、水濁法の規制のみでは水質保全が十分でない湖沼については、湖沼水質保全特別措置法(昭和59年法律第61号)によって、環境基準の確保の緊要な湖沼を指定して、湖沼水質保全計画を策定し、下水道整備、河川浄化等の水質の保全に資する事業、各種汚濁源に対する規制等の措置等を推進しています。また、琵琶湖等の湖沼の汚濁機構解明や窒素・りん比率変動と植物プランクトンとの関係把握のための調査を実施しました。

 広域的な閉鎖性海域のうち、人口、産業等が集中し排水の濃度規制のみでは環境基準を達成維持することが困難な海域である東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海を対象に、COD、窒素含有量及びりん含有量を対象(指定項目)として、水質総量削減を実施しています。具体的には、指定地域にある一定規模以上の工場・事業場から排出される汚濁負荷量について、環境大臣が定める範囲をもとに都府県知事が定める総量規制基準の遵守指導による産業排水対策を行うとともに、地域の実情に応じ、下水道、浄化槽、農業集落排水施設、コミュニティ・プラントなどの整備等による生活排水対策、合流式下水道の改善その他の対策を引き続き推進しました。その結果、これらの閉鎖性海域の水質は改善傾向にありますが、COD、全窒素・全りんの環境基準達成率は十分な状況になく(ただし、大阪湾を除く瀬戸内海における全窒素・全りんの環境基準はおおむね達成)、富栄養化に伴う問題が依然として発生しています。


三海域の環境基準達成率の推移(全窒素・全りん)

(3)土壌環境の保全対策

 ア 市街地等の土壌汚染対策

 土壌汚染対策法に基づき、有害物質使用特定施設が廃止された土地等の調査が実施されました。同法施行以降の調査件数は、平成22年3月末までに、1,487件であり、調査の結果、指定基準を超過して指定区域に指定された件数は435件(うち233件はすでに汚染の除去等の措置が講じられ指定の全部の区域が解除)となっています。

 平成22年4月に施行された改正土壌汚染対策法に基づき、土壌汚染の調査を実施する機関に設置が義務付けられている技術管理者の資格取得のための土壌汚染調査技術管理者試験を平成22年12月に実施しました。また、改正土壌汚染対策法に基づく調査や対策を実施する事業者向けのガイドライン(暫定版)を作成し、平成22年7月に公表しました。また、低コスト・低負荷型の調査・対策技術の普及を促進するための調査等を行いました。

 イ 農用地土壌汚染対策

 基準値以上検出等地域7,487haのうち平成22年3月末現在までに6,577ha(72地域)が農用地土壌汚染対策地域として指定され、そのうち6,492ha(72地域)において農用地土壌汚染対策計画が策定され、6,620ha(進ちょく率88.4%)で対策事業等が完了しました。なお、カドミウム汚染地域においては、対策事業等が完了するまでの暫定対策として、汚染米の発生防止のための措置が講じられています。また、農用地土壌から農作物へのカドミウム吸収抑制技術等の開発、実証及び普及を実施しました。

 また、平成22年4月に食品衛生法に基づく米のカドミウムの成分規格が1.0ppm未満から0.4ppm以下に改正されたことを受け、6月に農用地土壌汚染対策地域の指定要件を米1kgにつき「1mg以上の地域」から「0.4mgを超える地域」等とする農用地の土壌の汚染防止等に関する法律施行令の一部を改正する政令を公布、施行しました。


年度別の土壌汚染判明事例件数

3 循環型社会の構築に向けて

(1)はじめよう。3R。

 ア はじめに

 第1部においては、世界の廃棄物問題の解決に向けて、わが国がどのような貢献をすることができるのかという観点から、アジアを始めとする世界の廃棄物・リサイクル事情を概観し、静脈産業の海外展開の方向性について考えました。本節では、わが国の循環型社会に向けた進捗状況について見ていきたいと思います。

 イ まずはできることから。廃棄物等の発生を抑制するために。

 循環型社会基本法は、廃棄物・リサイクル対策について、その優先順位を法定化しています。すなわち、第1に発生抑制、第2に再使用、第3に再生利用、第4に熱回収、最後に適正処分という基本的な優先順位です。平成22年度の循環型社会基本計画の進捗状況の点検報告書においては、第1順位の発生抑制については取組が不十分であるとの指摘がなされており、ここでは発生抑制に着目します。

 図「一般廃棄物の種類別発生量(内訳)」はわが国の一般廃棄物の種類別発生量の推移です。近年では厨芥(台所ごみ)と紙ごみで全体の約70%となっています。このため、特に厨芥と紙ごみの発生抑制に焦点をあててみます。


一般廃棄物の種類別発生量(内訳)

[1] 厨芥(特に手付かず食品、食べ残し)の発生抑制について

 写真は(京都市調査結果より)一般廃棄物として廃棄された手付かず食品(まったく手をつけることなく廃棄された食品)です。平成19年度のデータを基にした環境省の推計では、家庭ごみの厨芥のうち、こうした手付かず食品が全国で199万トン(厨芥のうち19%)、食べ残しが全国で209万トン(厨芥のうち20%)と考えられます。


一般廃棄物として廃棄された手付かず食品(京都市調査結果より)


厨芥のうち、手付かず、食べ残し、その他ごみの内訳

 これは明らかに削減可能な廃棄物の発生、環境負荷の発生といえます。また、世界的な人口増加や地球温暖化の進行等世界の食料需給の不安定要因が顕在化する中、食料安全保障の観点からも食べ残しの縮減に取り組むことが必要です。さらに、食料の地産地消を進めることで循環型社会の構築につながります。さらに、途上国を中心に9億人以上の人々が栄養不足の状態にあるなかで、こうした大量の手付かず食品、食べ残しはわが国が世界に誇るべき「もったいない」精神に反するものです。

 環境省の試算では、こうした手付かず食品、食べ残しを75%削減することで、生産段階までさかのぼって考えると、約593万トン/年の廃棄物等発生抑制(日本全体の廃棄物等発生量の約1.0%)、約419万トンCO2/年の温室効果ガス排出削減(一般家庭約83万世帯分)が図られるという結果となっています。


 具体的な発生抑制の取組としては、消費者のライフスタイルの変化に応じた販売方法(量り売り、個別売りなど)、期限表示の意味を正しく理解した上での消費、食品を無駄にしない在庫管理、食材を無駄にしない調理方法などがあります。各主体が少しの工夫で改善できる取組ばかりです。


厨芥の発生抑制による環境負荷削減効果(高位・ライフサイクル全体)

[2] 紙ごみの発生抑制(特にオフィスにおけるOA用紙の発生抑制)について

 平成19年度のデータを基にした環境省の推計では、オフィスから事業系ごみとして廃棄された紙ごみのうちOA用紙は141万トンであり、これは事業系紙ごみの26%を占めるという結果となっています。こうしたOA用紙ごみを10%削減することで、製造段階までさかのぼって考えると、約30万トン/年の廃棄物等発生抑制(日本全体の廃棄物等発生量の約0.05%)、17.6万トンCO2/年の温室効果ガス排出削減(一般家庭約3.5万世帯分)があると推計されます。


オフィスにおけるOA用紙の発生抑制の取組の効果


 オフィスでは対外的に発行する資料、社内の会議用資料、社員自身の確認用資料など、多種多様な目的で多くのOA用紙が消費されています。こうしたOA用紙を発生抑制するための取組としては様々な取組が考えられます。

 環境省では、首都圏にある事業者の協力の下、オフィスにおけるOA用紙の発生抑制の取組が、どの程度実践できるかについて2週間の検証を行いました。具体的には、同社の経営会議における決定を行っていただき、従業員約260名を対象に縮小印刷による集約化や両面印刷、ペーパーレス会議など、オフィスで実施できる取組を行い、取組前に対する削減量を把握しました。第1週目に従業員に発生抑制の取組を徹底してもらうとともに、第2週目には見える化として印刷回数(複合機のカウンター数)の変化のグラフを公表しつつ、引き続き発生抑制の取組を行ってもらいました。


オフィスにおけるOA用紙の発生抑制の取組

 その結果、最終的には複合機のカウンター換算で7%削減することができました。

 また、取り組んでいただいた発生抑制行動のいずれについても、実施期間の最後には実施前よりも実施率が高まりました。特に実施率が高まった行動は、ペーパーレス会議の開催(14.0%)、資料等の集約印刷(10.5%)、資料等の両面印刷(7.1%)となっています。


OA用紙の削減量(在席者1人1日当たりの複合機カウンター数の変化)


紙ごみの発生抑制行動の実施率と推移(実施しやすさの変化)

 併せて、実施後において、オフィスにおいて発生抑制の取組を徹底するために何が効果的であるかについてアンケートを行いました。アンケート結果としては、社内ルールになることが最も回答率が高く、続いて周囲が実施していることなっています。職場におけるルール化の徹底や雰囲気づくりといった要素が発生抑制行動に効果があると考えられます。


環境配慮行動を徹底するための要因


[3] 3R行動の促進に向けて

 国民一人ひとり、NPO/NGO・大学等、事業者、地方公共団体、国がそれぞれに期待される役割の下で、連携し、協働することで発生抑制を始めとする3R行動の取組を実施することが重要です。

 例えば、地域において関係者が一体となって3R行動の場や3R行動に対する経済的インセンティブ(便益)の提供、3R行動に取り組むことの楽しさを実感する場のための仕組みとして3Rエコポイントシステムを活用している地域もあります。

 また、オフィス、学校、外出先等で自分の水筒、湯飲みなどの飲料容器(マイボトル、マイカップ)の利用を促進するキャンペーンも行われています。


マイボトル・マイカップキャンペーン

 ここで紹介したものはほんの一例に過ぎません。ごみをなるべく出さない、「もったいない」精神に則り行動するといった、一人ひとりの日々の小さな心がけが循環型社会の構築に向けて大きな効果をもっています。3R行動のきっかけづくりをさらに促進し、循環型社会の構築に取り組んでいきます。

(2)わが国の物質フロー

 循環型社会を構築するためには、私たちがどれだけの資源を採取、消費、廃棄しているかを知ることが第一歩となります。

 わが国の物質フロー(平成20年度)を概観すると、17.4億トンの総物質投入量、6.6億トンが建物や社会インフラなどの形で蓄積、1.8億トンが製品等の形で輸出、4.9億トンがエネルギー消費等での排出、5.8億トンの廃棄物等が発生しているという状況です。このうち循環利用されるのは2.5億トンで、これは、総物質投入量の14.1%に当たります。


わが国における物質フロー(平成20年度)

 第2次循環型社会形成推進基本計画(平成20年3月閣議決定。以下「循環型社会基本計画」という。)では、発生抑制、再使用、再生利用、処分等の各対策がバランス良く進展した循環型社会の形成を図るために、この物質フロー(ものの流れ)の異なる断面である「入口」、「出口」、「循環」に関する指標に目標を設定しています。

 それぞれの指標についての目標年次は平成27年度としています。


   指標       資源生産性       循環利用率       最終処分量   
   目標       約42万円/トン       約14~15%       約23百万トン   

 各指標について、最新の達成状況をみると以下のとおりです。

1)資源生産性(=GDP/天然資源等投入量)

 平成20年度 約36.1万円/トン(平成12年度[約26万円/トン]から約38%上昇)


資源生産性の推移

2)循環利用率(=循環利用量/(循環利用量+天然資源等投入量))

 平成20年度 約14.1%(平成12年度[約10%]から約4.1ポイント上昇)。


循環利用率の推移

3)最終処分量(=廃棄物の埋立量)

 平成20年度 約22百万トン(平成12年度[約56百万トン]から約60%減)。


最終処分量の推移

(3)廃棄物の排出量

 ア 一般廃棄物(ごみ)の処理の状況

 平成21年度におけるごみの総排出量*1は4,625万トン(前年度比3.9%減)、1人1日当たりのごみ排出量は994グラム(前年度比3.8%減)となっています。

 *1「ごみ総排出量」=「収集ごみ量+直接搬入ごみ量+集団回収量」


ごみ総排出量と1人1日当たりごみ排出量の推移

 また、し尿処理人口の推移を見ると、合併処理浄化槽が増加する一方で単独処理浄化槽の転換に伴う撤去や公共下水道への接続が進み、浄化槽全体の人口がほぼ横ばいの推移であるのに対し、公共下水道人口(平成21年度実績8,782万人)の増加により、これらをあわせた水洗化人口(平成21年度実績1億1,662万人)は年々増加しています。


し尿処理形態別人口の推移

 イ 産業廃棄物の処理の状況

 平成20年度における全国の産業廃棄物の総排出量は約4億366万トンとなっています。

 そのうち再生利用量が約2億1,651万トン(全体の54%)、中間処理による減量化量が約1億7,045万トン(42%)、最終処分量が約1,670万トン(4%)となっています。再生利用量は、直接再生利用される量と中間処理された後に発生する処理残さのうち再生利用される量を足しあわせた量になります。また、最終処分量は、直接最終処分される量と中間処理後の処理残さのうち処分される量をあわせた量になります


産業廃棄物の処理の流れ(平成20年度)

 ウ 廃棄物分野における温室効果ガス削減対策について

 平成20年度の廃棄物等に由来する温室効果ガス排出量は約3,431万トン(二酸化炭素量換算)であり、近年は「京都議定書目標達成計画」に基づく対策等により、着実に減少する傾向となっています。

(4)不法投棄等の件数及び投棄量

 平成21年度に新たに判明したと報告のあった産業廃棄物の不法投棄又は不適正処理事案(以下「不法投棄等」という。)は、不法投棄が279件、5.7万トン、不適正処理が187件、37.9万トンでした。


産業廃棄物の不法投棄件数及び投棄量の推移

(5)循環型社会の形成に向けた国の取組

 循環型社会基本計画の着実な実行を確保するため、毎年、中央環境審議会は、循環型社会基本計画に基づく施策の進捗状況などを点検し、必要に応じその後の政策の方向性について政府に報告することとされており、平成22年度は第2次循環型社会基本計画の3回目の進捗状況の点検を行いました。

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行状況については、平成22年1月に中央環境審議会から「廃棄物処理制度の見直しの方向性」について意見具申がなされました。

 この意見具申を踏まえて検討を進め、平成22年3月5日には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定、同日国会に提出されました。同法案は衆議院、参議院とも全会一致で可決・成立し、同年5月19日に公布されました。また、平成22年12月17日には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定され、同月22日に公布されました。これらの改正内容については、一部を除き、平成23年4月1日から施行されました。

 容器包装リサイクル関係では、平成22年10月に中央環境審議会及び産業構造審議会合同会合において、プラスチック製容器包装の再商品化手法のあり方について取りまとめを行いました。同取りまとめでは、材料リサイクル手法の優先的取扱いを当面継続することとし、入札制度の改善等、材料リサイクル手法の質の向上のために取り組むべき措置について整理しています。さらに、環境省では、容器包装廃棄物の3Rを推進するため、容器包装リサイクル法に基づき委嘱した容器包装廃棄物排出抑制推進員(愛称:3R推進マイスター)による消費者等への普及啓発のほか、使い捨て飲料容器の削減を目指した「マイボトル・マイカップキャンペーン」を平成22年6月より実施し、地方自治体や各種団体、企業との連携のもと、イベントでの普及活動や大学での実証実験等を行っています。

 自動車リサイクル関係では、平成22年1月に取りまとめた「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」において、中古車と使用済自動車の取扱いの明確化が提言されました。これを受け、使用済自動車と中古車の判断の拠り所となるガイドラインを作成するため、平成22年7月から中央環境審議会及び産業構造審議会の合同審議会ワーキンググループにおいて議論を開始し、平成23年2月に「使用済自動車判別ガイドラインに関する報告書」を取りまとめました。

 また、適正かつ効果的なレアメタル(希少金属)のリサイクルシステムの構築を目指すべく、平成21年に引き続き「使用済小型家電からのレアメタルの回収及び適正処理に関する研究会」を開催し、全国7地域でモデル事業を行いながら、効率的・効果的な回収方法の検討を行うとともに、回収された使用済小型家電に係るレアメタルの含有実態の把握や、使用済小型家電のリサイクルに係る有害性の評価及び適正処理等についての検討等を行い、リサイクルシステムのオプションの評価を実施しました。さらに、小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済製品中の有用金属の再生利用の在り方を検討するため、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会に設置された小委員会において、平成23年3月より議論が開始されました。

(6)国際的な取組

 2008年(平成20年)5月に、神戸でG8環境大臣会合が開催され、3Rが主要議題の一つとして取り上げられました。参加各国の大臣間での議論を通じ、2004年(平成16年)のG8サミットにおいて、「3Rイニシアティブ」が提案されて以来、3Rの国際的取組が進展されていることが確認され、今後G8各国が3Rの一層の推進に向けて取り組む具体的な行動が列挙された「神戸3R行動計画」が合意されました。当計画は、同年7月に北海道洞爺湖で開催されたG8北海道洞爺湖サミットにおいて、G8各国の首脳間でも支持されました。

 アジアにおける我が国の取組としては、ベトナム、インドネシアなどにおいて、国連地域開発センター(UNCRD)、国連環境計画(UNEP)及び地球環境戦略研究機関(IGES)と連携して、国別の状況に応じて3Rを国家として推進するための計画・戦略の策定を支援しています。2009年度はベトナムにおいて、2010年度はバングラデシュにおいて国家戦略が策定されました。

 また、2009年(平成21年)11月に環境省と国連地域開発センター(UNCRD)の共催により「アジア3R推進フォーラム設立会合」を開催し、アジア15か国の政府代表者と国際機関、3Rに関する専門家等が参加しました。同会合で、「アジア3R推進フォーラムの設立に向けた東京3R宣言」が参加者により合意され、「アジア3R推進フォーラム」が設立され、今度アジア3R推進フォーラムの下で、3Rに関するハイレベルの政策対話の促進、各国における3Rプロジェクト実施への支援の促進、3R推進に役立つ情報の共有、関係者のネットワーク化等を進めることとなりました。

 第2回会合は2010年(平成22年)10月にマレーシア・クアラルンプールにて環境省、マレーシア住宅・地方自治省、国連地域開発センター(UNCRD)の共催により「グリーン経済と循環型社会に向けた3R」をテーマとして開催されました。同会合では議長サマリーがとりまとめられ、また、シンガポールから、次回会合を来年シンガポールで開催したいとの表明がなされ、参加者の賛同を得ました。

 さらに、2009年(平成21年)6月に、環境大臣と中国環境保護部長官は、川崎市と中国・瀋陽市による循環経済産業の発展を通じた環境にやさしい都市構築の協力を支援する覚書を締結しました。協力事業の一環として環境省は中国国家環境保護部とともに、循環型社会構築に関する政策、技術の情報共有を目的としたワークショップを、2010年(平成22年)3月に、中国・北京市と瀋陽市において開催しました。

 また、バーゼル条約に基づく有害廃棄物の適正な輸出入を実施するため、2004年から毎年度環境省が主宰する「有害廃棄物の不法輸出入防止に関するアジアネットワーク」の活動を開始し、アジア各国のバーゼル条約担当官、関係国際機関との対話促進や連携強化のためのワークショップ等の取組を行っています。さらに、アジア太平洋地域のE-waste及びコンピュータ機器廃棄物を環境上適正に管理するため、バーゼル条約の下で各国が進めるプロジェクトについて、財政的・技術的支援を行っています。

 さらに、1992年の地球サミットで採択された「アジェンダ21」の実施状況を年次計画に基づいて評価している国連持続可能な開発委員会(CSD)は、平成22年(2010年)から平成23年(2011年)の2年間に「廃棄物管理」をテーマの一つに取り上げることとしています。CSDの議論に積極的に貢献するため、環境省は、2011年2月に世界全体の廃棄物管理及び3Rの専門家が参加する「国連持続可能な廃棄物管理会議」を東京で開催しました。そこでの成果は2011年5月に開催されるCSD第19回会合にインプットすることとしています。

4 化学物質の環境リスクの評価・管理

(1)化学物質の環境中の残留実態の現状

 現代の社会においては、さまざまな産業活動や日常生活に多種多様な化学物質が利用され、私たちの生活に利便を提供しています。また、物の焼却などに伴い非意図的に発生する化学物質もあります。化学物質の中には、その製造、流通、使用、廃棄の各段階で適切な管理が行われない場合に環境汚染を引き起こし、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものがあります。

 化学物質の一般環境中の残留状況については、化学物質環境実態調査を行い、「化学物質と環境」(http://www.env.go.jp/chemi/kurohon/)として公表しています。平成14年度からは、本調査の結果が環境中の化学物質対策に積極的に有効活用されるよう、施策に直結した調査対象物質選定と調査の充実を図り、22年度においては、[1]初期環境調査、[2]詳細環境調査及び[3]モニタリング調査の3つの体系を基本として調査を実施しました。これらの調査結果は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号。以下「化学物質審査規制法」という。)の規制対象物質の追加、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号。以下「化学物質排出把握管理促進法」という。)の指定化学物質の指定の検討、環境リスク評価の実施のための基礎資料など、各種の化学物質関連施策に活用されています。


化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律のポイント

(2)化学物質の環境リスク評価の推進

 環境施策上のニーズや前述の化学物質環境実態調査の結果等を踏まえ、化学物質の環境経由ばく露に関する人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすおそれ(環境リスク)についての評価を行っています。その取組の一つとして、平成22年度に環境リスク初期評価等の第9次取りまとめを行いました。この中では、14物質について健康リスク及び生態リスクの初期評価を行い、さらに追加7物質について生態リスク初期評価を行いました。その結果、環境リスク初期評価について1物質、加えて行った生態リスク初期評価について2物質が、相対的にリスクが高い可能性があり「詳細な評価を行う候補」と判定されました。

 なお、生態系に対する影響に関する知見をさらに充実させるため、経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインを踏まえて実施している藻類、ミジンコ、魚類等を用いた生態影響試験を、平成22年度は18物質について行いました。

 また、平成21年5月に化学物質審査規制法が改正されたことを受け、化学物質審査規制法に基づき環境リスクを評価する手法等について検討しました。

 さらに、ナノ材料については、その動態、有害性、環境リスクに関する知見を早急に整備する必要があることから、国内外におけるナノ材料に対する取組に関する知見の集積や、ナノ材料に係る環境上適正な管理技術の検討のための情報収集等を行いました。

(3)化学物質の環境リスクの管理

 ア 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく取組

 化学物質審査規制法に基づき、平成22年度は、新規化学物質の製造・輸入について660件(うち低生産量新規化学物質については339件)の届出があり、事前審査を行いました。

 イ 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく取組

 化学物質排出把握管理促進法に基づくPRTR制度(化学物質排出移動量届出制度)については、同法施行後の第9回目の届出として、平成21年度に事業者が把握した排出量等が都道府県経由で国へ届け出られました。届出された個別事業所のデータ、その集計結果及び国が行った届出対象外の排出源(届出対象外の事業者、家庭、自動車等)からの排出量の推計結果を、平成23年2月に公表しました。


届出排出量・届出外排出量の構成(平成21年度分)


届出排出量・届出外排出量上位10物質とその排出量(平成21年度分)

 ウ ダイオキシン類問題への取組

 平成21年度のダイオキシンに係る環境調査結果は表のとおりです。


平成21年度ダイオキシン類に係る環境調査結果(モニタリングデータ)(概要)


ダイオキシン類の排出総量の推移

 また、平成22年度の一日摂取量調査において、平成21年度に人が一日に食事及び環境中から平均的に摂取したダイオキシン類の量は、体重1kg当たり約0.85(※)pg-TEQと推定されました。※食事からのダイオキシン類の摂取量は0.84pg-TEQです。この数値は経年的な減少傾向から大きく外れるものではなく、耐容一日摂取量の4pg-TEQ/kg/日を下回っています。


食品からのダイオキシン類の1日摂取量の経年変化

5 生物多様性の保全及び持続可能な利用

(1)生物多様性の現状

 2010年(平成22年)5月に生物多様性条約事務局が公表した「地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)」では、2010年目標のために設定された21の個別目標のうち、多くの目標において一定の前進が見られるものの、地球規模で達成されたものは一つもないことから、2010年目標は地球規模では達成されていないと結論付けました。

 また、平成22年5月に環境省が公表した「生物多様性総合評価」では、2010年目標のために設定された21の個別目標のうち15の個別目標についてわが国の達成状況の評価を行いました。このうち達成できたのはわずかに2つであり、残りの10は達成が不十分であり、3つは達成できなかったと評価されました。これらの点を踏まえ、わが国の生物多様性の状況は、部分的には改善しているものの、全体としての生物多様性の損失の傾向は止まっていない状況にあると結論付けられました。


生物多様性条約2010年目標の世界の達成状況

(2)生物多様性を社会に浸透させる取組(生物多様性の主流化)

 国民一人ひとりが生物多様性に取り組む際のヒントとなる「国民の行動リスト」をさまざまな機会で普及広報しました。また、著名人による広報組織「地球いきもの応援団」には、生物多様性の大切さを伝えていただきました。さらに、平成22年3月に日本人女性アーティストのMISIAさんが国連から「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)名誉大使」に任命されたことを受け、その活動支援を実施しました。

 毎年5月22日は、国連が定めた「国際生物多様性の日」であり、生物多様性条約事務局は、地球上の東から西へ植樹された樹木の波をつなげていく「グリーンウェイブ」と呼びかけています。環境省、農林水産省及び国土交通省では、「グリーンウェイブ2010」として、この活動への参加を広く呼びかけ、全国で約1,600団体、111,000人が参加しました。

 2010年(平成22年)は国連が定めた「国際生物多様性年」に当たり、多様な主体からなる国家的な組織を設置し、記念行事を開催することが、国連により奨励されています。このため、22年1月に「国際生物多様性年国内委員会」を設置し、キックオフイベントをはじめとした記念行事を開催しました。

 国内外の自治体が生物多様性に関する取組について情報交換し、今後の活動推進を図るため、愛知県及び名古屋市等の主催で「生物多様性国際自治体会議」がCOP10期間中に開催され、その成果はCOP10閣僚級会合で報告されました。

 生物多様性の保全及び持続可能な利用等、生物多様性条約の実施に関する民間の参画を推進するため、経済界を中心とした自発的なプログラムとして設立された「生物多様性民間参画イニシアティブ」の取組に協力しました。

 世界の青年の交流と生物多様性に関する意識の向上等を目指し、COP10の関連会議として「生物多様性国際ユース会議in愛知2010」を開催しました。世界中から66か国の青年100名が会議に参加し、本会議の成果をCOP10の場において発表しました。

 2010年(平成22年)12月に、「地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律(生物多様性保全活動促進法)」が制定されました。同法は、環境省、農林水産省、国土交通省の3省共管であり、地域の生物多様性を保全するため、市町村やNPO、地域住民、企業など多様な主体が連携して行う生物多様性保全活動を促進しようとするものです。2011年(平成23年)1月には、同法に基づく基本方針の検討に着手し、生物多様性保全活動の促進に関する検討会や、全国9か所(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、高松、熊本、那覇)での意見交換会を開催しました。

(3)地球における人と自然の関係を再構築する取組

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号。以下「種の保存法」という。)に基づく国内希少野生動植物種にマルコガタノゲンゴロウ、フチトリゲンゴロウ、シャープゲンゴロウモドキ、ヨナグニマルバネクワガタ、ヒョウモンモドキの昆虫5種を追加し、国内希少野生動植物は、哺乳類5種、鳥類38種、爬虫類1種、両生類1種、汽水・淡水魚類4種、昆虫類15種、植物23種の87種となりました。また、平成22年11月にはオガサワラオオコウモリの保護増殖事業計画を新たに策定し、合わせて48種について、生息地の整備や個体の繁殖等の保護増殖事業を行っています。

 トキについては、平成22年3月に佐渡トキ保護センターの野生復帰のための順化訓練施設において、トキがテンに襲われ死亡する事故が発生したことから、トキの死亡事故にかかる検証委員会からの提言を受け、施設の改善、トキ保護増殖事業全体を現地で統括する責任者の配置等を行いました。その上で、平成20年、21年に引き続き、22年11月に第3回目、23年3月に第4回目の放鳥を実施しました。

 平成23年1月に、絶滅のおそれのある種を含む鳥類等の風力発電施設における衝突について、鳥類等に与える影響を軽減できるよう、配慮すべき各種知見、資料、防止策等を「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」として公表しました。

 トキ、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなど、絶滅の危険性が極めて高く、本来の生息域内における保全施策のみで種を存続させることがむずかしい種について、飼育下繁殖を実施するなど生息域外保全の取組を進めています。平成20年度には「絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全に関する基本方針」を、22年度には「絶滅のおそれのある野生動植物種の野生復帰に関する基本的な考え方」を取りまとめました。また、生息域外保全からの野生復帰技術の確立などを目的としたモデル事業(動物3事業、植物2事業)を実施しました。


主な保護増殖事業の概要

 平成22年10月以降、北海道、鳥取県、鹿児島県等全国各地において、野鳥や家禽の糞や死亡個体から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたことから、恒常的に実施しているウイルス保有状況調査や渡り鳥の飛来状況の把握等の取組に加え、都道府県等と連携して全国の野鳥の監視体制を強化しました。また、鳥獣の適切な保護管理に引き続き取り組みました。

 愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(平成20年法律第83号。ペットフード安全法)は、平成21年6月に施行され、同法に基づき22年12月から製造されるペットフードに、原材料、原産国名、賞味期限等の5項目の表示が義務化されました。

(4)森・里・川・海のつながりを確保する取組

 国立・国定公園について、自然環境や社会状況の変化及び風景評価の多様化に対応して、国立・国定公園の資質に関する総点検を行い、平成22年10月にその成果を取りまとめ、公表しました。その結果、新たな国立・国定公園の指定又は大規模な拡張を行う候補地として、鹿児島県の奄美群島や沖縄県のやんばる地域等を含む、18地域が選定されました。候補地については、今後10年間を目処に調査、調整等を行い、具体的な区域の指定を検討します。全国的に国立・国定公園の候補地を検討し、公表するのは昭和46年以来39年ぶりであり、科学的データに基づく分析は初めてのことです。

 平成22年度は、知床国立公園、磐梯朝日国立公園、尾瀬国立公園、上信越高原国立公園、白山国立公園、蔵王国定公園、八ヶ岳中信高原国定公園及び愛知高原国定公園の8国立・国定公園において公園区域及び公園計画の見直しを実施しました。特に、上信越高原国立公園の須坂・高山地域は、昭和24年の指定以来、初めての全般的な見直しとなり、風衝地、亜高山帯針葉樹林等を含む1,765haについて、普通地域から特別地域へ変更し、保護の強化を図りました。また、平成21年の自然公園法の改正によって創設された生態系維持回復事業を知床、尾瀬及び白山国立公園に追加し、シカ及び外来植物による生態系被害に総合的かつ順応的な対策を実施できるようにしました。

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)に基づき、鳥獣の保護を図るため特に必要がある区域を国指定鳥獣保護区に指定しています。平成22年度は、祗苗島(ただなえじま)、大野原島、冠島・沓島(くつじま)、枇榔島(びろうじま)、与那国を新たに指定し、平成23年3月末現在、全国の国指定鳥獣保護区は77か所、569,245ha、同特別保護地区は67か所、146,552ha、同特別保護指定地域は2か所、1,159haとなっています。

 平成22年9月、多様な主体による保全活用を国民的運動として展開することを目的として、「里地里山保全活用行動計画」を策定しました。また、都市住民等のボランティア活動への参加を促進するため、ホームページ等により活動場所や専門家の紹介等を行うとともに、研修会等を開催し里地里山の保全・活用に向けた活動の継続・促進のための助言等の支援を実施しました。

 海洋基本法(平成19年法律第33号)に基づく海洋基本計画の策定を受けて、海洋生物多様性保全戦略を策定し、わが国における海洋保護区の考え方等を提示しました。

 サンゴ礁保全の総合的な取組を推進するためのサンゴ礁生態系保全行動計画を策定しました。

(5)地球規模の視野を持って行動する取組

 2010年(平成22年)10月に愛知県名古屋市で開催されたCOP10に向け、多様な主体間の情報の共有、意見交換、連携の促進などを図るため、21年2月に設置した「生物多様性条約第10回締約国会議及びカルタヘナ議定書第5回締約国会議に関する円卓会議」を、22年度に2回開催しました。また、COP10に向けて政府が一体となった取組を進めるため、関係省庁の副大臣及び政務官からなる「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に関する関係副大臣等会議」を開催するとともに、関係省庁が合同で設置した「生物多様性条約COP10日本準備事務局」において会場設営や運営に係る業務を行いました。

 国際的には、条約の補助機関会合や作業部会での事前交渉や開催支援等を行ったほか、平成22年9月にニューヨークで開催された国際生物多様性年に貢献する国連総会ハイレベル会合等に出席し、COP10の成功に向け協力を呼びかけるとともに各国との協議を実施しました。

 遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する議定書については、平成22年3月にカリ(コロンビア)で開催された第9回ABS作業部会において、ABS議定書の結論を得ることが出来なかったため、7月にモントリオール(カナダ)で追加で開催されることになった第9回ABS作業部会再開会合、9月にモントリオール(カナダ)で開催された第9回ABS作業部会少人数交渉会合を開催するための必要経費について、COP10議長国として各締約国がABSの議論を尽くすことに貢献できるように我が国が負担しました。

 COP10において、わが国は議長国として条約事務局と協力しつつ会議の運営及び議論の取りまとめに尽力し、その結果、2011年以降の条約の戦略計画(愛知目標)、遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する名古屋議定書をはじめ、全体で47の決定事項が採択されました。

 COP10の各種決定事項をはじめ生物多様性条約の実施を進めていくためには、途上国への資金や技術移転、能力養成が必要であることが強く指摘されました。このため、我が国は、COP10議長国として、愛知目標の達成にむけた途上国の能力養成等を支援するため、生物多様性日本基金として平成22年度、10億円を条約事務局に拠出しました。

 また、ABSに関する名古屋議定書の採択を受け、同議定書の早期発効に貢献するため、遺伝資源の自然生息地の保全、遺伝資源等に関する途上国への技術移転を内容とする新たな基金を世界銀行に設置し、10億円の拠出を行いました。

 世界的なレベルで進行する生物多様性の損失を減少させるためには、原生的な自然を保護するだけではなく、農林水産業など、人間活動の影響を受けて形成・維持され、世界中に広範囲に分布する二次的な自然環境において人間活動と生物多様性の保全の両立を図ることも重要です。このため、二次的な自然環境における自然資源の持続可能な利用・管理を推進していくための取組を、「SATOYAMAイニシアティブ」としてCOP10で提案・発信するとともに、情報の共有や研究等を推進するための「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)」を発足させました。また、COP10において、締約国会議としてSATOYAMAイニシアティブを生物多様性及び人間の福利のために人為的影響を受けた自然環境をより理解・支援する有用なツールとなりうるものとして認識し、締約国その他の政府及び関連する機関に対して、SATOYAMAイニシアティブを更に発展させるためにIPSIへの参加を勧奨すること等を含む決定が行われました。さらに、平成23年3月には、IPSIの第1回総会を愛知県名古屋市で開催し、運営委員会のメンバーの選出やIPSIの下で行う共同活動の承認等をおこないました。

 わが国はCOP10の直前、平成22 年10月に開催された議定書の第5回締約国会議(COP-MOP5)の議長を務め、同会議において、「責任と救済についての名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択されました。

 ラムサール条約に基づき、国際的に重要な湿地として、平成23年3月末現在、全国で37か所が登録されています。これらの条約湿地の保全と賢明な利用に向けた取組を進めるとともに、ラムサール条約湿地候補地の追加に向けた見直しを行い、平成22年9月に、ラムサール条約湿地の国際基準を満たす潜在候補地172か所を公表しました。また、東南アジア諸国に対する国際的に重要な湿地の特定、保全及び賢明な利用に向けた協力等を行いました。

 ワシントン条約に基づく絶滅のおそれのある野生動植物の輸出入の規制に加え、同条約附属書Iに掲げる種については、国内での譲渡し等の規制を行っています。また、関係省庁、関連機関が連携・協力し、インターネット取引を含む条約規制対象種の違法取引削減に向けた取組等を進めました。

 世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)に基づく世界遺産一覧表に、屋久島、白神山地及び知床が記載されています。これらの世界自然遺産について、関係省庁・地方公共団体・地元関係者・専門家の連携により適正な保全・管理を実施しました。平成22年6月に、知床及び屋久島に続いて、白神山地について専門家で構成される科学委員会を立ち上げ、わが国の全ての世界自然遺産地域について科学的な保全・管理を進めるための体制を整えました。

 平成22年1月に世界遺産センターに推薦書を提出した小笠原諸島については、関係機関等と連携し、世界遺産の評価機関である国際自然保護連合の専門家による現地調査を、平成22年7月に受け入れ、その後の追加情報の要請等に適切に対応しました。また、国内候補地である琉球諸島(トカラ列島以南の南西諸島が検討対象)については、関係する地域の人たちの協力を得ながら世界的に優れた自然環境の価値を保全するための方策を検討しました。

 米国、オーストラリア、中国、ロシア及び韓国との二国間の渡り鳥条約等に基づき、各国との間で渡り鳥等の保護のため、アホウドリ、オオワシ、ズグロカモメ等に関する共同調査を引き続き実施するとともに、平成22年11月に新潟県において、オーストラリア、中国及び韓国との間で二国間渡り鳥等保護協定等会議を開催し、渡り鳥保護施策や調査研究に関する情報や意見の交換を行いました。

 平成22年6月に、プーケット(タイ)で第6回国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)東アジア地域会合を開催し、東アジア地域サンゴ礁保護区ネットワーク戦略2010を策定しました。作成したアジア・オセアニア地域のサンゴ礁分布図をホームページ上で公開しました。

 平成23年1月から2月にかけてニューヨークで開催された国連森林フォーラム(UNFF)第9回会合では、「人々、生活、貧困撲滅のための森林」をテーマに、森林に関する4つの世界的な目標の達成状況及び「すべてのタイプの森林に関する法的拘束力を持たない文書(NLBI)の実施状況の評価、持続可能な森林経営の実施手段(資金提供、技術移転等)のあり方等について検討が行われました。会期中に開催された閣僚級会合では、2011年国際森林年の公式開幕式典が開催されるとともに、持続可能な森林経営とその推進の重要性や、国際協力等の今後の取組について明らかにした閣僚宣言が採択されました。

 平成22年12月に横浜で開催された第46回国際熱帯木材機関(ITTO)理事会では、熱帯木材貿易の発展や持続可能な熱帯林経営を促進するための事業・活動が承認されました。また、ITTOによる2010年の国際生物多様性年の活動報告や2011年国際森林年における活動計画に関する決定等が採択されました。

 わが国の生物多様性の現状と傾向を社会的な側面も含めて総合的に評価・分析するため、平成20年度より生物多様性総合評価検討委員会を設置し、22年5月に報告書を公表しました。また、国土の生物多様性の損失を防止するための目標の達成状況を評価するうえで重要となる指標の設定に向け、国土の生物多様性の状況や変化の空間的な分析・評価方法に関する検討を行いました。

 生物多様性と生態系サービスの損失に関する経済分析を行う国際的取組である「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」について、COP10での最終報告に向けた支援を行うとともに、TEEBと連携し、生物多様性の経済評価に関する政策研究を実施しました。

6 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策

(1)政府の総合的な取組

 ア 環境保全経費

 各府省の予算のうち環境保全に関係する予算については、環境保全に係る施策が政府全体として効率的、効果的に展開されるよう、環境省において見積り方針の調整を行って各府省に示すとともに、環境保全経費として取りまとめました。平成23年度予算における環境保全経費の総額は、1兆2,091億円となっています。

 イ 環境基本計画の進ちょく状況の点検

 中央環境審議会は、環境基本計画に基づく施策の進ちょく状況等を点検し、政府に報告しています。平成22年に行われた第三次環境基本計画の第4回目の点検は、同計画の10の重点分野のうち、「地球温暖化問題に対する取組」、「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」、「化学物質の環境リスクの低減に向けた取組」、「生物多様性の保全のための取組」、「環境保全の人づくり・地域づくりの推進」の5分野を重点点検分野として実施されました。その結果は、22年10月に中央環境審議会会長から環境大臣に報告され、その後環境大臣が閣議で報告しました。

(2)環境影響評価等

 環境影響評価法(平成9年法律第81号)は、道路、ダム、鉄道、飛行場、発電所、埋立・干拓、土地区画整理事業等の開発事業のうち、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価の手続の実施を義務付けています。同法に基づき、平成23年3月末までに計196件の事業について手続が実施された。そのうち、22年度においては、新たに8件の手続開始、また、6件が手続完了し(いずれもスクリーニング手続を含む)、環境配慮の徹底が図られました。


環境影響評価法に基づき実施された環境影響評価の施行状況

(3)水俣病対策をめぐる現状

 平成16年の関西訴訟最高裁判決後、最大で8,282人(保健手帳の交付による取り下げ等を除く。)の公健法の認定申請が行われ、また、28,364人に新たに保健手帳(平成22年7月申請受付終了)が交付されています。さらに、新たに国賠訴訟が6件提起されました。

 このような新たな救済を求める者の増加を受け、水俣病被害者の新たな救済策の具体化に向けた検討が進められ、民主党、自民党、公明党の三党の合意により、平成21年7月に「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法(平成21年法律第81号。以下「水俣病被害者救済特措法」という。)」が成立し、公布・施行されました。その後、平成22年4月に水俣病被害者救済特措法の救済措置の方針(以下「救済措置の方針」という。)を閣議決定しました。この「救済措置の方針」に基づき、四肢末梢優位の感覚障害又は全身性の感覚障害を有すると認められる方に対して、関係事業者から一時金が支給されるとともに、水俣病総合対策医療事業により、水俣病被害者手帳を交付し、医療費の自己負担分や療養手当等の支給を行っています。また、これに該当しなかった方であっても、一定の感覚障害を有すると認められる方に対しても、水俣病被害者手帳を交付し、医療費の自己負担分等の支給を行っています。

 同年5月1日には、水俣病犠牲者慰霊式に鳩山総理大臣(当時)が歴代総理大臣として初めて出席し、祈りの言葉を捧げました。さらに同日、救済措置の方針に基づく給付申請の受付を開始し、平成23年3月末までの救済措置申請者数は26,419人(熊本県14,824人、鹿児島県10,576人、新潟県749人)となっています。また、平成22年10月に水俣病被害者救済特措法に基づく一時金の支給が開始されています。

 なお、認定患者の方々への補償責任を確実に果たしつつ、同法や和解に基づく一時金の支払いを行うため、同法に基づき、チッソ(株)を平成22年7月に特定事業者に指定し、同年12月にはチッソ(株)の事業再編計画を認可しました。

 また、裁判で争っている団体の一部とは和解協議を行い、平成22年3月には熊本地方裁判所から提示された所見を、原告及び被告双方が受け入れ、和解の基本的合意が成立しました。これと同様に新潟地方裁判所、大阪地方裁判所、東京地方裁判所でも和解の基本的合意が成立し、これを踏まえて、和解に向けた手続きが進められ、平成23年3月に各裁判所において、和解が成立しました。

 さらに、水俣市主催の「みなまた環境まちづくり研究会」に参加、支援するなど、救済措置の方針に基づき、水俣病発生地域の医療・福祉の充実や地域の再生・振興等を推進しています。

(4)国際的取組に係る施策

 地球環境問題に対処するため、[1]国際機関の活動への支援、[2]条約・議定書の国際交渉への積極的参加、[3]諸外国との協力、[4]開発途上地域への支援を積極的に行っています。



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