第2節 地球温暖化対策による経済上の効果

 地球温暖化対策は、負担のみに着目するのではなく、新たな成長の柱と考えることが発想の転換として大切です。


 リーマンショック後の世界的な不況の中、新たなビジネスを求めて、さまざまな企業が新たな分野に活路を見いだそうとしています。中でも環境ビジネスは、さまざまな分野ですでに芽を出し、その葉を広げつつあるものと言えます。

 自然エネルギーの利用は、今後ますます世界でその重要性が増すと考えられる分野です。代表的な自然エネルギー利用である太陽光発電については、IEA(国際エネルギー機関)のPVロードマップ2009の試算では、発電量ベースで世界全体で2020年までに現在の約5倍と大きな需要拡大が予測されています。

 また、再生可能エネルギーの効率的な利用を実現する「スマートグリッド」については、欧米諸国をはじめとして、その導入に向けた取組が行われています。わが国の企業も太陽電池、二次電池といった電池技術などを活かし、活発に事業を展開しています。


スマートグリットの概念図

 リチウムイオン電池などの二次電池も、スマートグリッド以外に電気自動車などでも必須となる技術であり、わが国が得意とする分野です。二次電池は、次世代の環境配慮型製品の開発にとり欠かせない要素となっています。

 地球温暖化対策は、家計に光熱費の削減をもたらします。例えば、戸建住宅において太陽光発電、高断熱化、高効率給湯器を導入するとともに省エネ家電に買い換えた場合には、その導入・買い換えコストが発生するものの、光熱費の削減等の効果も得られます。さらに、住宅の高断熱化は、夏は涼しく冬は暖かく、より快適で健康的な居住空間となるという副次的な効果ももたらします。



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