第2部 環境・循環型社会の形成の状況と政府が環境の保全・循環型社会の形成に関して講じた施策

環境・循環型社会白書では環境・循環型社会の形成の状況と平成18年度に実施した環境の保全・循環型社会の形成に関して講じた施策を、次のような章立てで報告しています。
第1章 地球環境の保全
第2章 大気環境の保全
第3章 水環境、土壌環境、地盤環境の保全
第4章 廃棄物・リサイクル対策などの物質循環に係る施策
第5章 化学物質の環境リスクの評価・管理に係る施策
第6章 自然環境の保全と自然とのふれあいの推進
第7章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際的取組に係る施策


1 地球環境の保全

(1)地球温暖化
近年、人間活動の拡大に伴って二酸化炭素やメタン等の温室効果ガスが大量に大気中に排出されることで、温室効果が強まって地球が過度に温暖化するおそれが生じています。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年(平成19年)に取りまとめた第4次評価報告書第1作業部会報告書によると、全球平均地上気温は1906〜2005年の間に0.74(0.56〜0.92)℃上昇し、20世紀を通じて平均海面水位が17(12〜22)cm上昇しました。同報告では、気候システムに温暖化が起こっていると断定するとともに、20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高いとしています。

地球温暖化の影響の現状

また、同報告では、世界全体の経済成長や人口、技術開発、経済・エネルギー構造等の動向について複数のシナリオに基づく将来予測を行っており、1980年〜1999年までに比べ、21世紀末(2090年〜2099年)の平均気温の上昇幅を1.1〜6.4℃と予測しています。さらに、同報告では、温暖化により、大気中の二酸化炭素の陸地と海洋への取り込みが減少するため、温暖化が一層進行すること、また大気中の二酸化炭素濃度の上昇に伴い既に海洋がpHで0.1酸性化し、21世紀中に更に0.14〜0.35の酸性化が進行するとされています。
日本では20世紀中に平均気温が約1℃上昇し、今後気候の変動が生態系、農業、社会基盤、人の健康などに多大な影響を与えることが予想されます。
この問題に対処するため、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において京都議定書が採択され、平成17年2月に発効しています。京都議定書は、先進国が2008年(平成20年)〜2012年(平成24年)までの各年の温室効果ガスの排出量の平均を基準年(原則1990年(平成2年))から削減させる割合を定めており、日本は6%の削減が義務づけられています。
また、平成18年11月にケニアのナイロビにおいて開催された気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)及び京都議定書第2回締約国会合(COP/MOP2)において、京都議定書の見直しのプロセス化について、第2回目の見直しを20年のCOP/MOP4にて行い、それに向けた作業スケジュールが合意されました。
国別の二酸化炭素排出量をみると、日本は約5%を占め、米国(約23%)、中国(約16%)、ロシア(約6%)に次いで世界第4位です。また、1人当たり排出量は、先進国が途上国よりも多くなっています。

日本の年平均気温平年差

日本の2005年度(平成17年度)の温室効果ガス総排出量は、13億6,000万トン*(注:以下、*は二酸化炭素換算)で、京都議定書の規定による基準年の総排出量(12億6,100万トン*)と比べ、7.8%上回っています。また、前年度と比べると0.2%の増加となっています。これを部門別にみると、基準年(原則1990年)と比較して産業部門が5.5%減少し、運輸部門が18.1%、業務その他部門が44.6%、家庭部門が36.7%増加しています。

二酸化炭素の国別排出量と国別一人当たりの排出量

平成17年4月に閣議決定された京都議定書目標達成計画では、6%削減約束の達成及び温室効果ガスの更なる長期的・継続的排出削減に向けて、約60項目の対策を盛り込んでいます。18年7月に行われた施策の進ちょく状況の評価では、同計画に示された対策・施策の全般にわたり、一定の進展・具体化が見られるものの、同計画の確実な達成に向けて施策の一層の強化など対策の加速化が必要とされました。

部門別エネルギー起源二酸化炭素排出量の推移と2010年目標


(2)オゾン層の破壊
CFC、ハロン等の物質によりオゾン層が破壊されていることが明らかになっています。オゾン層が破壊されると、地上に到達する有害な紫外線が増加し、皮膚ガンや白内障等の健康被害を発生させるおそれがあるだけでなく、植物やプランクトンの生育の阻害等を引き起こすことが懸念されています。
オゾン層は、熱帯地域を除き、ほぼ全地球的に1980年代を中心に減少しました。日本上空のオゾン全量についても1980年代を中心に減少しましたが、1990年代以降はほとんど変化がないか、緩やかな増加傾向が見られます。

日本上空のオゾン全量の年平均値の推移

また、2006年(平成18年)、南極域上空のオゾンホールは最大級に発達しました。現時点ではオゾンホールに縮小の兆しがあるとは判断できず、南極域のオゾン層は、依然として深刻な状況にあります。

南極上空のオゾンホールの面積の推移

我が国では、オゾン層保護法等に基づき、オゾン層破壊物質の製造等の規制を行っています。また、家電リサイクル法、フロン回収・破壊法、自動車リサイクル法に基づき、製品廃棄時におけるフロン類の回収・破壊等が義務付けられていますが、業務用冷蔵空調機器からのフロン類の回収を徹底するため、平成18年6月にフロン回収・破壊法が改正されました。

(3)酸性雨及び黄砂
酸性雨により、湖沼や河川の酸性化による魚類等への影響、土壌の酸性化による森林への影響、建造物や文化財への影響等が懸念されています。
我が国では、すでに被害が報告されている欧米とほぼ同程度の酸性雨が観測されていますが、生態系等への影響は現時点では明らかになっていません。一般に酸性雨による影響は長い期間を経て現れると考えられているため、現在のような酸性雨が降り続けば、将来、酸性雨による影響が顕在化するおそれがあります。

降水中のpH分布図

このため、東アジア地域における酸性雨の現状やその影響を解明するとともに、酸性雨問題に関する地域の協力体制を確立することを目的に、平成13年から東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)が本格稼働しています。
我が国では、酸性雨による影響の早期把握、将来の酸性雨の影響の予測を目的とした酸性雨長期モニタリングなどを実施しています。
近年、中国、モンゴルからの黄砂の飛来が大規模化しており、中国、韓国、日本等でその対策が共通の関心事となっています。このため、日本国内においては、高度な黄砂観測装置(ライダー装置)によるモニタリング体制の整備を実施したほか、中国、モンゴル、韓国及び日本、さらに国連環境計画(UNEP)等の国際機関が共同で、将来的に推進すべき効果的な黄砂対策についての調査研究を進めています。

(4)海洋環境
海洋環境の保全に関して我が国は、廃棄物等を船舶等から海洋投棄することを規制するロンドン条約や船舶等に起因する海洋汚染を防止するMARPOL73/78条約等を締結しており、これらに対応した国内措置により海洋汚染の防止に努めています。
また、海洋環境の状況の評価・監視のため、水質、底質、水生生物を総合的・系統的に把握するための海洋環境モニタリングを行っています。
日本周辺近海における油や廃棄物、赤潮などによる汚染の発生確認件数については、平成18年は470件と17年に比べ110件増加しました。

海洋汚染の発生確認件数の推移

平成19年6月に発効する危険・有害物質汚染事件に関する議定書の締結に伴い、海洋汚染等防止法の一部を改正するとともに、新たに「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」を策定しました。
漂流・漂着ゴミについては、「漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議」を設置し、現状、国の取組、今後の課題等をとりまとめ、平成19年3月に公表しました。

(5)森林、砂漠化
世界の森林は、陸地の約30%を占めますが、2000年(平成12年)から2005年(平成17年)にかけて、年平均732万haの割合で減少しました。特に、熱帯林が分布するアフリカ地域、南アメリカ地域及び東南アジアで森林の減少が続いています。その原因として農地への転用、非伝統的な焼畑移動耕作の増加、過度の薪炭材採取のほか違法伐採等も指摘されています。この対策の一つとして、第41回国際熱帯木材機関(ITTO)において、熱帯木材に係る持続可能な熱帯林経営を促進するための事業や活動等が承認されました。

世界の森林面積の年当たりの変化率(2000年〜2005年)

乾燥地域、半乾燥地域等における土地の劣化である砂漠化は、全陸地の4分の1の土地と、世界人口の6分の1に当たる10億人の人々に影響をもたらしています。その背景には、開発途上国における貧困、人口増加等の要因が絡んでいます。このため、国連砂漠化対処条約の下で、国際的な努力が進められています。


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