第3章 地球温暖化対策を進める技術


<第3章の要約>

地球温暖化が進行し、私たちの生存基盤が脅かされている中、持続可能な社会を築いていく上で我が国の環境関連技術が果たす役割と、その開発や普及の重要性を述べていきます。


第1節 持続可能な社会への転換


1 「持続可能な社会」という理念

1987年のブルントラント報告において提唱され、以来世界中で広く用いられるようになっている「持続可能な開発」という考え方は、今日の地球環境問題に関する世界的な取組の基礎となっています。また、平成18年に閣議決定された第3次環境基本計画においても持続的な社会の構築の必要性が述べられています。
これを実現する上では、1)鉱物資源、化石燃料など有限で再生不可能な資源は、使用量の削減、回収・リサイクル、再生可能資源活用などの促進が重要であること、2)人間活動によって排出される汚染物質量が自然のシステムの処理能力の範囲を超えてはならないということについて考える必要があります。

2 化石燃料の大量消費時代

産業革命以降の人類社会、特に先進国は、石炭や石油などの化石燃料を大きな原動力として、大量生産・大量消費スタイルを築き、豊かさと繁栄を手にしてきました。そして、発展途上国においても大量生産・大量消費化が進んでいます。化石燃料は、世界中で大量生産・大量消費化が進むにつれて、大量に使用されるようになり、その消費量が加速度的に増えています。
このままのペースで化石燃料を使い続けた場合、近い将来、これらの資源は枯渇してしまうと考えられます。数億年かけて生物の働き等によって地中に安定した形で貯蔵されてきた化石燃料を、私たちは産業革命以降のわずかな期間で使い切ろうとしています。
化石燃料の消費はまた、自然のシステムの処理能力を超えた二酸化炭素の排出も招いていており、大気中の二酸化炭素の濃度を増加させています。

化石燃料からの二酸化炭素排出量推移

私たちは、人類の生存の基盤である生態系を守り、人類社会を維持していくために、二酸化炭素などの大気中の温室効果ガスの排出・吸収のバランスの取れた社会を構築し、地球温暖化が危険な影響を及ぼす水準になることを防がねばなりません。


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