第5節 持続可能な社会に向けた新たな展開

1 持続可能な社会の構築の手がかり

 高度経済成長期以後、「物の豊かさ」より「心の豊かさ」を求める人が一貫して増加し、また、耐久消費財よりも、レジャーや余暇活動、自己啓発や能力向上等に今後の生活の比重が置かれ、生活全体が豊かでゆとりがあることを重視する傾向が見受けられます。また、耐久消費財の買い換えまでの使用年数が長期化しています。
物の豊かさか心の豊かさか

 こうした変化を背景に、最近、いくつかの新しいライフスタイルが実践されています。  例えば、「シンプルライフ」という言葉が、心の豊かさを取り戻すライフスタイルを示すものとして広がりを見せています。具体的には、1)吟味したものに囲まれて生活する、2)環境への配慮や長期間にわたる使用可能性などを考え、物の価値に見合った値段を払う、3)修理やリサイクル等を活用し少しだけ手間をかけて丁寧に生活する、といった生活像の提案が見られます。こうした傾向をさらに社会に広げるためには、一人ひとりがこうしたライフスタイルを「おしゃれでかっこいい」といった観点で捉えていくことも必要です。
また、1986年にイタリアで始まった「スローフード」と呼ばれる現代人の食生活を見直す運動がわが国でも広がっています。近年の食生活の変化は、野菜などを旬の時期を外して収穫するために加温したり工場で大量に作られた食材を遠く離れた消費地まで輸送したりするなど、環境負荷の増大につながっています。古来からの米食や地方の郷土食を改めて見直すスローフード運動の広がりは、環境負荷の低減にも結びつくものといえます。

2 持続可能な社会への歩み

 一人ひとりが持続可能な方向に沿ったライフスタイルを選択していこうとする場合、これを容易にする社会経済システムが整っていることが必要です。こうした社会経済システムの変革と一人ひとりの意識・行動の変革とが、同時並行的に進められることが重要です。誰しもが目的に向けて一歩を踏み出せているわけではありません。意識・行動の変化が社会を変える原動力となることを認識し、確実な歩みを進めていく必要があります。

今後、生活で力を入れたい面


きゅうりへの投入エネルギー量

前のページへ   次のページへ