7 地球環境の保全

(1)有害廃棄物の越境移動
 これまでに述べた地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨及び海洋汚染等のほかにも、さまざまな地球環境問題があります。1970年代から80年代にかけて、先進国から輸出された有害廃棄物が、規制もゆるく処理費用も安価な開発途上国において不適切な処分や不法な投棄をなされることにより環境汚染が生じたり、陸揚げを拒否された有害廃棄物を積載した輸送船が行く先もなく海上を漂うなどの事件が多発しました。このため、有害廃棄物の越境移動問題は地球規模の対応が必要な問題であるとの認識が国際社会で共有され、1992年(平成4年)にバーゼル条約が発効し、わが国も平成5年に加入しました。

(2)森林の減少
 野生生物への生息・生育地の提供、二酸化炭素の吸収等の多面的な機能を有する森林は、1990年から2000年の間に、全世界で約94百万haが失われています。このため、違法伐採問題なども含めて森林の保全と持続可能な経営の重要性が認識され、2000年(平成12年)には、国連に新たに「国連森林フォーラム(UNFF)」が設立され、過去に作成された数多くの行動提案の実施促進に取り組んでいます。

森林面積の年変化

(3)砂漠化
 土地の乾燥化のみならず土壌の浸食や塩性化、自然植生の種類の減少等の概念まで含む砂漠化も大きな地球規模の課題です。UNEPの調査によれば、砂漠化の影響を受けている土地の面積は、全陸地の約4分の1、耕作可能な乾燥地域の約70%に当たり、世界人口の約6分の1、約9億人がその影響を受けています。このため、1996年(平成8年)に砂漠化対処条約が発効し、同年わが国も批准したところであり、現在、条約の効果的な実施のための各種措置が検討されています。

砂漠化の現状

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