<第3章の要約>
 世界の経済成長や人口の増加を考えると、今後、地球規模で環境負荷がより一層高まり、現在の社会経済システムが環境上の制約に突き当たることが予想されます。
 この章では、こうした環境制約を回避するためには、一刻も早く積極的な環境対策に取り組む必要があり、環境対策への取組は経済上もさまざまな効果をもたらすこと、また、ヨハネスブルグサミットを控えた今日、地球規模で持続可能性を確保するためにわが国の国際貢献が重要であることを明らかにするとともに、わが国における持続可能な社会づくりに向けた道のりについて考えます。


1 環境制約への対応の必要性

 世界経済は、毎年の景気変動はあるものの、中長期的にみれば一貫した成長トレンドが続いており、世界の人口も、2050年には2001年の50%増となる93億人に達することが推計されています。こうした今後の経済の発展や人口の増大は、さまざまな環境負荷の増大につながり、現在の社会経済システムが環境上の制約に突き当たる可能性を高くしています。また、資源についてみても、主要な鉱物資源の残余年数は30〜40年程度に過ぎず、石油が40年、天然ガスが60年で枯渇すると考えられているなど、地球上の資源の絶対量が確実に減少していくことが危惧されています。

世界人口の推移

主要なエネルギー資源・鉱物資源の残余年数

 環境影響についてみると、地球温暖化については、1990年から2100年までの間に、地球全体の平均気温は1.4〜5.8℃上昇するとともに、海面水位が9〜88cm上昇すると予測されています。こうした変動は、水不足や洪水の発生の増加、穀物生産の不安定化、多岐にわたる健康影響等、人々の生活や生産基盤に深刻な影響を与える可能性が危惧されており、わが国にもさまざまな影響が予測されています。また、水資源は、人口や取水量の増加により、2025年には制約を受ける人口が約50億人に増加すると予測されています。食糧生産については、途上国の食肉需要の増大から家畜飼料用の穀物需要が1995年から2020年にかけて2倍になる等大幅な増産が必要となり、耕作の不適切な土地への拡大が、特に開発途上国では、土壌の劣化や水質の悪化をもたらすことが危惧されています。さらに、生物多様性についても、2025年までに世界全体の種の4分の1に当たる6万種もの植物が絶滅する可能性も指摘されています。

日本おいて予測される温暖化の影響

 このほか、食料や木材の供給、エネルギー消費など、人類の社会経済活動がどれだけ地球環境に負荷をかけているかをエコロジカル・フットプリントという形で計算した結果によれば、わが国を含めた世界全体の社会経済活動は、1970年代にすでに地球の環境容量、即ち持続可能な水準を超えているとされています。

世界のエコロジカルフットプリントの推移

 また、OECDが2020年のOECD諸国における環境問題の将来予測を行った結果でも、水資源の使用、有害廃棄物の排出、農業汚染、温室効果ガスの排出等、多くの問題において停滞又は悪化が懸念されるなど、先進国の経済に対し、上記で見たような環境制約が差し迫っていることが、OECD諸国の共通の認識ともなっています。

2 環境制約を回避するために

 こうした事態を事前に回避するためには、さらなる環境対策への取組が不可欠となっています。
 第1章でみたように、わが国は、激甚な公害経験、2度にわたる石油危機等を通じ、エネルギー生産性、資源生産性を急速に高め、環境効率性の向上に努めてきましたが、さらなる環境対策を進めていくことは可能です。
 二酸化炭素排出の削減についてみれば、太陽光発電、風力発電、バイオマス等の新エネルギーは、1次エネルギー総供給の1%を占めるにとどまり、ハイブリッド車等の低公害車の全車両保有台数に占める割合も1%以下で依然として小さいこと等から、さまざまな追加的対策が期待されます。
 また、資源利用についてみれば、天然資源の消費の抑制と環境負荷の低減を図るためには、排出抑制、再使用、再生利用、熱回収、適正処分の優先順位で取組を進める必要がありますが、例えば、このうち再生利用について、資源や容器包装ごとに排出量からリサイクルされた量を除いた物質量を見てみると、資源の有効利用に一層の実施可能性があることがわかります。

主な非鉄金属のうち排出量からリサイクルされた量を除いた量

主な容器包装のうち排出量からリサイクルた量を除いた量


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