環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和2年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部第4章>第2節 除染等の措置等

第2節 除染等の措置等

平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号。以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)では、除染の対象として除染特別地域と汚染状況重点調査地域を定めています。除染特別地域は、警戒区域又は計画的避難区域の指定を受けたことがある地域で、国が除染実施計画を策定し、除染事業を進めてきました。他方、汚染状況重点調査地域は、地域の放射線量が0.23マイクロシーベルト/h以上の地域がある市町村について、当該市町村の意見を聴いた上で国が指定し、各市町村で除染を行ってきました(図4-2-1)。

図4-2-1 除染特別地域及び汚染状況重点調査地域における除染の進捗状況(2020年3月末時点)

1 除染特別地域と汚染状況重点調査地域

除染特別地域については、2017年3月末までに面的除染が完了しました。その後、2018年3月末までに、汚染状況重点調査地域も含め、帰還困難区域を除き、8県100市町村の全てで面的除染が完了しました。

汚染状況重点調査地域では、2020年3月末までに、地域の放射線量が0.23マイクロシーベルト/h未満となったことが確認された16市町村において、汚染状況重点調査地域の指定が解除されました。

2 森林の放射性物質対策

森林については、2016年3月に復興庁・農林水産省・環境省の3省庁が取りまとめた「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」に基づき、住居等の近隣の森林、森林内の人々の憩いの場や日常的に人が立ち入る場所等の除染等の取組と共に、林業再生に向けた取組や住民の方々との安全・安心の確保のための取組等を関係省庁が連携して進めてきました。

除染を含めた里山再生のための取組を総合的に推進するモデル事業として、2018年3月までに上記3省庁で14地区をモデル地区として選定し、2020年1月には、モデル事業の成果や課題等について中間取りまとめを実施しました。また、2020年3月までに11地区で事業を完了しました。

3 仮置場等における除去土壌等の管理・原状回復

除染で取り除いた土壌(除去土壌)等は、一時的な保管場所(仮置場又は現場保管場所)で管理しています(表4-2-1)。福島県内の除去土壌等については、中間貯蔵施設及び仮設焼却施設等への搬出を行っており、総数1,345か所に対し、約53%に当たる708か所で搬出が完了しています。除去土壌等の搬出が完了した仮置場については、2018年3月に策定した仮置場等の原状回復に係るガイドラインに沿って原状回復を進めており、総数の約31%に当たる411か所で原状回復が完了しています。今後も災害等のリスクに備えた仮置場等の適切な管理を徹底しつつ、仮置場等の解消を進めます。

表4-2-1 保管中の仮置場等の箇所数及び除去土壌等の数量

福島県外の除去土壌については、その処分方法を定めるため、有識者による「除去土壌の処分に関する検討チーム会合」を開催し、専門的見地から議論を進めるとともに、除去土壌の埋立処分に伴う作業員や周辺環境への影響等を確認することを目的とした実証事業を、茨城県東海村及び栃木県那須町の2か所で実施しました。