資料3 循環型社会形成推進基本計画(循環型社会基本計画)の概要

(1)循環型社会基本計画の策定の経緯
循環型社会基本法第15条第3項~第6項では、循環型社会基本計画を定める手続を規定しています。
具体的には、1)中央環境審議会が平成14年4月1日までに循環型社会基本計画の策定のための具体的な指針について、環境大臣に意見を述べること、2)環境大臣がこの指針に即して、中央環境審議会の意見を聴き、資源の有効な利用の確保に係る事務を所掌する大臣(財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣)と協議して循環型社会基本計画の案を作成し、平成15年10月1日までに閣議決定を求めること、3)閣議決定後、遅滞なく循環型社会基本計画を国会報告するとともに公表することとされています。また、この循環型社会基本計画の策定に当たっては、国民の幅広い意見を反映させていくことが重要であり、中央環境審議会におけるヒアリングやパブリックコメント手続などを活用することとされています。
実際には、中央環境審議会の循環型社会計画部会(部会長:中島尚正 放送大学教授)において、平成13年4月より循環型社会基本法に基づき17回にわたる審議(関係省庁や団体からのヒアリングを含む)と9地域(平成13年7~8月:札幌・大阪・北九州、平成14年10月:旭川・仙台・富山・京都・松山・佐世保)での事業者、NPO・NGO、地方公共団体からのヒアリングを公開で行うとともに、2度に渡る国民意見の聴取(パブリックコメント)を行いました。この間、平成14年1月17日には中央環境審議会より「循環型社会形成推進基本計画の策定のための具体的な指針について」が示され、さらに、平成14年11月26日には環境大臣より中央環境審議会へ「循環型社会形成推進基本計画について」を諮問し、平成15年3月10日に最終的な答申がとりまとめられ、中央環境審議会から環境大臣へ示されました。国は、この答申を踏まえ、関係大臣と協議のうえ、法律の期限(平成15年10月1日)を半年以上前倒しして、平成15年3月14日に循環型社会基本計画を閣議決定・国会報告しました。

(2)循環型社会基本計画の概要
ア 現状と課題
本計画の第1章では「現場と課題」として、我が国が20世紀を通じて物質的な豊かさを得た一方で、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会活動によって様々な環境問題が生じてきたことを記述しました。
イ 循環型社会のイメージ
本計画の第2章では「循環型社会のイメージ」として、多様なイメージのある「循環型社会」を分かり易く理解してもらうため、1)自然の循環と経済社会の循環、2)暮らしに対する意識と行動の変化、3)ものづくりなどに対する意識と行動の変化、4)循環型社会形成へ向けた各主体の活動の活発化、5)廃棄物等の適正な循環的利用と処分のためのシステムの高度化の5つの場面を挙げ、具体的な姿を示しました。
ウ 循環型社会形成のための数値目標
本計画の第3章では「循環型社会形成のための数値目標」として、平成22年度を目標年次として、循環型社会の達成度合いを把握するための物質フロー(資料3-1図)に関する目標(マクロ)と、循環型社会へ向けた各主体の施策・取組を測るための目標(ミクロ)を設定しました。
物質フロー目標については、具体的には以下のとおりです。

資料3-1図	平成12年度の我が国における物質フローの模式図(環境省作成)


1 「入口」:資源生産性(=GDP/天然資源等投入量)
資源生産性を平成22年度において約39万円/トンとすることを目標とします(平成2年度《約21万円/トン》から概ね倍増、平成12年度《約28万円/トン》から概ね4割向上)。

資料3-2図	資源生産性の推移(環境省試算)

2 「循環」:循環利用率(=循環利用量/循環利用量+天然資源等投入量)
循環利用率を平成22年度において、約14%とすることを目標とします(平成2年度《約8%》から概ね8割向上、平成12年度《約10%》から概ね4割向上)。

資料3-3図	循環利用率の推移(環境省試算)

3 「出口」:最終処分量
最終処分量を平成22年度において、約28百万トンとすることを目標とします(平成2年度《約110百万トン》から概ね75%減、平成12年度《約56百万トン》から概ね半減)。

資料3-4図	最終処分量の推移(環境省試算)


取組目標については、具体的には、循環型社会の形成に向けた国民・企業等の参加度及び取組の進展度を測るため、1)国民の意識や取組への参加等に関する指標、2)国民や事業者の廃棄物の削減への取組に関する指標、3)循環型社会ビジネスの推進・育成に関するグリーン購入、環境経営、市場拡大・育成に関する指標について目標を設定することとしました。具体的には以下のとおりです。

(循環型社会基本計画第3章第2節「取組指標に関する目標」より抜粋)

1 循環型社会形成に向けた意識・行動の変化
 アンケート調査結果として、約90%の人たちが廃棄物の減量化や循環利用、グリーン購入の意識を持ち、約50%の人たちがこれらについて具体的に行動するようになることを目標とします。

2 廃棄物等の減量化
(1)一般廃棄物の減量化
1人1日あたりに家庭から排出するごみの量(資源回収されるものを除く。)を平成12年度比で約20%減に、1日あたりに事業所から排出するごみの量(資源回収されるものを除く。)を平成12年度比で約20%減とすることを目標とします。

(2)産業廃棄物の減量化
産業廃棄物の最終処分量を平成2年度比で約75%減とすることを目標とします。

3 循環型社会ビジネスの推進
(1)グリーン購入の推進
アンケート調査結果として、すべての地方公共団体、上場企業(東京、大阪及び名古屋証券取引所1部及び2部上場企業)の約50%及び非上場企業(従業員500人以上の非上場企業及び事業所)の約30%が組織的にグリーン購入を実施するようになることを目標とします。

(2)環境経営の推進
アンケート調査結果として、上場企業の約50%及び非上場企業の約30%が環境報告書を公表し、環境会計を実施するようになることを目標とします。

(3)循環型社会ビジネス市場の拡大
循環型社会ビジネスの市場規模及び雇用規模を平成9年比でそれぞれ2倍にすることを目標とします。

エ 国の取組
本計画の第4章では「国の取組」として、各種法制度の着実な施行、各主体の行動の基盤づくりや自らも事業者・消費者として率先的取組を行っていくことなどを記述しました。
オ 各主体の果たす役割
本計画の第5章では「各主体の果たす役割」として、国民、NPO・NGO、事業者、地方公共団体がそれぞれの役割を果たすことが重要であることなどを記述しています。
カ 計画の効果的実施
本計画の第6章では「計画の効果的実施」として、本計画を毎年、中央環境審議会において進捗状況を点検し、その結果を循環型社会白書により公表していくこと、本計画については、目標の達成状況や社会情勢の変化などを勘案して、計画策定より5年後程度を目途に見直しを行うことを記述しています(資料3-5図)。

資料3-5図	循環型社会基本計画の概要



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