第2節 産業界の取組事例

我が国の産業界は、日本経団連の呼びかけによって、リサイクルの推進や廃棄物の排出抑制に取り組んでいます。平成9年に環境自主行動計画を策定しており、その際に、併せて廃棄物対策に関する自主行動計画を作成しています。当初、自主行動計画の廃棄物対策分野には35業種が参加し、それぞれの業界ごとにリサイクル率、最終処分量などの数値目標並びにその達成のための対策を明らかにしています。さらに、業界ごとの取組の推進状況を毎年定期的にフォローアップすることで、継続的かつより一層積極的に廃棄物対策に取り組んでいることが大きな特徴です。
平成11年に入り、最終処分場のひっ迫やダイオキシン問題等を契機とする国民の廃棄物問題への意識が高まる中、産業界としても循環型社会の推進に向けた取組を一層強化することとし、同年12月には産業界として平成22年度における産業廃棄物最終処分量の目標量を1,500万t(平成2年度比25%)に、また平成17年度の中間目標を2,100万t(平成2年度比35%)とする削減目標を公表しました。平成18年3月に、31業種が参加した平成16年度の産業廃棄物最終処分量削減目標の達成状況フォローアップ結果が発表されましたが、これによると、平成16年度の産業廃棄物最終処分量実績は954万tとなり、平成15年度実績の約7%減となりました。また、この結果、平成2年度実績(平成2年度、基準年)の5,883万tと比較して約83.8%減少と、平成22年度目標を3年連続で達成したことが明らかになり、産業界の産業廃棄物最終処分量削減に向けた自主的取組の成果が着実に達成されていることが確認されました(3-2-1図、3-2-1表)。

3-2-1図	産業界全体(31業種)からの産業廃棄物最終処分量

3-2-1表	日本経団連環境自主行動計画〔廃棄物対策編〕−2005年度フォローアップ調査結果−〈個別業種版〉【要約版】1

3-2-1表	日本経団連環境自主行動計画〔廃棄物対策編〕−2005年度フォローアップ調査結果−〈個別業種版〉【要約版】2

3-2-1表	日本経団連環境自主行動計画〔廃棄物対策編〕−2005年度フォローアップ調査結果−〈個別業種版〉【要約版】3

3-2-1表	日本経団連環境自主行動計画〔廃棄物対策編〕−2005年度フォローアップ調査結果−〈個別業種版〉【要約版】4


(1) 鉄鋼業
鉄鋼業では、鉄鋼の生産に伴う副産物の約98%が再資源化され、セメント原料などに利用されています。更に、スチール缶のリサイクル率は約87%と世界トップレベルとなっています。
平成16年度の鉄鋼副産物の最終処分量は78.8万tと前年度に対し7.6万t(10.6%増)の増加となりました。最終処分量は平成13年度以降、3年連続で中間目安(平成17年度75万t程度)を下回る(71〜72万t)実績で推移してきましたが、平成16年度は79万tと中間目安を上回りました。
従来より、鉄鋼業では、循環型社会の構築に向け、副産物の一層の有効利用を図るため取組を進めています。特に、副産物の大半を占めるスラグについては、グリーン購入法の特定調達品目の指定、JIS化の推進等の成果を挙げています。

(2) セメント製造業
セメント産業では、セメントの製造工程の特色を活かしつつ、鉄鋼業界(各種スラグ類)、電力業界(石炭灰、排脱石こう)、タイヤ業界(廃タイヤ)、鋳造業界(鋳物砂)、地方公共団体(下水汚泥、焼却灰)などから各種の廃棄物・副産物を受け入れており、平成16年度には、約2,878万tの廃棄物・副産物の受入れを実施しました(3-2-2図)。

3-2-2図	セメント産業での産業廃棄物・副産物の活用状況

さらに、平成13年4月から都市ごみの焼却灰をセメントの主原料とするエコセメント工場が本格生産を開始しました。これまでは焼却灰に含まれる塩素と重金属の問題がありセメントの原料にできませんでしたが、それらを除去する技術が開発された結果、実用化に至ったものです。セメント産業は、焼却灰のほかにも一般廃棄物として処理されることとなった肉骨粉の受入先としても重要な役割を果たしています。
また、セメント業界では、平成13年7月に取りまとめられた「循環型社会の構築に向けたセメント産業の役割を検討する会」報告書の提言を受けて、廃棄物等の利用拡大のための技術開発の促進等の循環型社会構築に一層貢献するための方策に取り組むこととしており、平成14年度から17年度まで、廃棄物の受入量の増大や種類の多様化の阻害要因となっている廃棄物中の重金属類、塩素等の回収・利用に係るシステム開発を実施しました。

(3) 建設業
建設業界では、産業廃棄物の排出量や最終処分量に占める建設廃棄物の割合の高さ、不法投棄に占める建設廃棄物の割合の高さから、建設業界としての取組を積極的に実施してきています。
建設業界では、不法投棄に占める建設廃棄物の割合が高い原因の一つが廃棄物処理法の委託契約が履行されていないことにあると考えられること、また建設工事は、工事現場が一時的であったり、発生品目や発生量が工事現場ごとに異なるなど、一般の産業とは異なる特性を有していることから、こうした建設業の特徴に合った共通契約書やマニフェストを建設九団体副産物対策協議会が独自に作成し、利用しています。共通契約書に参加する団体は、不法投棄対策を狙いとした平成12年度の廃棄物処理法改正後はさらに増えて、現在では業界全体に及んでいます。こうした活動は、不適正処理の排除、適正処理の徹底、分別・リサイクルの推進等に大きく貢献するものと期待されます。
また、請負産業である建設業の特徴から、建設業におけるリサイクル材の利用の推進のためには、発注者の協力が必要不可欠であり、業界のみの取組では限界があります。建設業界では、公共工事を発注している国土交通省と共同で取組を進めており、平成10年4月に策定した「建設業界における建設リサイクル行動計画」(平成15年2月改訂)に基づいて、分別された廃棄物の品目ごとの再資源化を種類、量ともに増やすとともに、民間工事におけるグリーン購入法の特定調達物品の調達を推進するなどの取組を進めています。
こうした業界全体の取組もあって、建設廃棄物の再資源化等の割合は着実に向上しています。

(4) 電気事業
電気事業においては、環境問題への取組を経営の最重要課題として位置付け、平成8年11月に「電気事業における環境行動計画」を公表し、環境問題に対して自主的かつ積極的な取組を推進してきました。その結果、着実に廃棄物最終処分量の削減に成果を上げてきたことから、平成13年度の第4回フォローアップで平成22年度の廃棄物最終処分量の目標をそれまでの240万tから200万tへ、さらに平成15年度の第6回フォローアップで150万tへと引き下げてきました。そして平成17年度の第8回フォローアップからは需要変動に大きく左右されない指標として再資源化率を目標に掲げ、『平成22年度における廃棄物再資源化率を平成2年度実績(52%)から90%以上とするよう努める(平成22年度における最終処分量見通しは、現状の再資源化状況を考慮すると70万t程度)』を目標に取り組んでいくこととしました。
平成16年度の廃棄物発生量は952万tで前年度比88万t増加しましたが、これは電力需要増により廃棄物の発生量が増加したためです。一方、再資源化量は876万tで前年度比137万t増加させています。その結果、再資源化率は92%となり、前年度比で7%上昇しました。
電気事業から発生する廃棄物としては石炭灰が最も多く、その再資源化促進を重点課題と位置づけており、火力発電熱効率の維持・向上に努めて引き続き石炭灰等の廃棄物発生抑制を図るとともに、石炭灰を大量かつ安定的に利用できる分野の開拓や有効利用技術の調査研究に積極的に取り組んでいます。また、その他の廃棄物についても最終処分量の低減に取り組んでいます。
例えば、平成13年9月に公表した「電気事業における廃棄物等リサイクル事例集」では、石炭灰をセメント原料や路盤材、土壌改良材等として再資源化する取組など電気事業から排出される主だった10種類の廃棄物について、実用化済みの技術から研究中の技術まで幅広く網羅しています。


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