第2節 近年の廃棄物・リサイクル対策の改革 −循環型社会の形成を目指して−

第1節で示した廃棄物をめぐる危機的な状況を経験し、我が国では廃棄物対策の取組を充実させてきました。また、その進展に併せ、この十数年、廃棄物を単に処分すべき対象としてではなく、貴重な「資源」ととらえ、廃棄物対策から発展して、リサイクルを始め、リデュース、リユースも含めた3Rの枠組みや取組を充実させ、こうした廃棄物などの「循環資源」*18が適正に利用・処分される「循環型社会」の構築に向けた取組を着実に実施してきています。
こうした取組の経験は、今後の天然資源の需給のひっ迫や、途上国などにおける急速な経済発展による廃棄物などの増加が見込まれる中で、国内外を問わず、廃棄物・リサイクル対策を進める上で参考になるものです。
こうした観点から、本節では、これまでの取組の大きな流れに沿って、我が国の経験を整理しています。また、こうした取組を踏まえ、循環型社会の構築に向けた現状や課題を整理し、今後の新たな取組の展開方向を示しています。

*18 循環型社会基本法では、有価・無価を問わず、「廃棄物などのうち有用なもの」を循環資源としてとらえています(循環型社会基本法第2条第3項)。

1. 廃棄物・リサイクル対策の3つの大きな流れ

我が国の廃棄物・リサイクル対策には、3つの大きな流れがあります。
まずは、廃棄物の大部分を占める産業廃棄物の問題です。従前は、いわば「悪貨が良貨を駆逐する」という状況で、資本や技術力を持った事業者による適正な処理よりも、劣悪な手法でも、安価で処理を行う事業者が選択される構造でした。このため、数次にわたる制度改正を通じ、排出事業者の責任を強化し、この構造の転換を図ってきています。
次に、再生資源の利用の促進に関する法律(再生資源利用促進法)や*19容器包装に係る分別収集及び再資源化の促進等に関する法律*20(容器包装リサイクル法)を始めとするリサイクルの流れの形成です。特に、製品の製造者などが製品の使用後の段階などでも一定の責任を果たすという、「拡大生産者責任(EPR*21)」の考え方などが基礎となっています。容器包装の他にも、家電製品、建設資材、食品、自動車といった物品ごとの特性に合わせて、制度を創設・充実させてきています。
さらに、国民の暮らしに最も身近な廃棄物である一般廃棄物の問題です。この分野は、地域の実情に即したきめ細かい対応が重要です。特に、ダイオキシンの処理については、市町村と国が密接に連携して大きな成果を挙げてきましたが、今後も、地方と国が協働して、一層の取組が必要となっています。

*19 平成3年4月法律第48号。
*20 平成7年6月法律第112号。
*21 拡大生産者責任の考え方は、循環型社会基本法で位置付けられており(循環型社会基本法第11条など)、この考え方に基づいて、家電・自動車などのリサイクル法で個別の制度が創設されています。

(1) 排出事業者責任に基づく産業廃棄物対策の強化
排出事業者責任は、廃棄物を排出する事業者が、その適正なリサイクルや最終処分などの処理に関する責任を負うべきとの考え方です。この考え方の根本は、国際的にも確立した「汚染者負担の原則」(Polluter Pays Principle (PPP)*22)にあり、廃棄物処理に伴う環境負荷の原因者をその廃棄物の排出者ととらえて、排出者が廃棄物処理に伴う環境負荷低減の責任を負うという考え方です。
こうした考え方に沿って、産業廃棄物の所在や数量・形態などを的確に把握し、排出事業者が責任を持ってその処理を行うためのマニフェスト制度などの仕組みを充実させてきています。また、こうした排出事業者責任の強化と併せて、発生してしまった不適正処理による環境上の悪影響を最小化していく観点から、不法投棄に対する原状回復の仕組みなどを整備してきています。

*22 PPPは、稀少な環境資源の合理的な利用とよりよい配分を助長し、また、国際貿易及び投資における歪みの出現を防止するため、汚染防止に必要な費用を汚染者が負担すべきであるという考え方で、昭和49年にOECD理事会勧告において、加盟国に実施が勧められています。

ア 廃棄物処理法の改正などによる排出事業者責任の強化
第1節でみたように、昭和45年に旧来の清掃法に代わって廃棄物処理法が制定され、産業廃棄物は排出事業者、一般廃棄物は市町村が処理の責任を負うという大きな役割分担が定められました*23。しかし、不適正処理による環境汚染、大規模不法投棄事案の続出といった問題が解決しなかったことから、廃棄物発生量の約9割を占める産業廃棄物について、排出事業者の責任の徹底の上に、劣悪な処理業者の取締や適正な処理体制を構築するため、廃棄物処理法の改正を数次にわたって行ってきています。その主な内容は以下のとおりです。

*23 廃棄物処理法第3条において、「事業活動に伴って生ずる廃棄物を自らの責任において処理すること」などが事業者の責務として規定されています。また、法第4条、第6条、第6条の2、第11条などにおいて、一般廃棄物処理における市町村の役割が規定されています。

(ア)マニフェスト制度
マニフェスト制度は、産業廃棄物を委託処理する排出事業者の責任を明確にするとともに、社会問題となっている不法投棄を未然防止することを目的としています。この制度により、産業廃棄物の流通の状況が的確に把握・管理され、その処理責任がある排出事業者を明確・迅速に把握することができます。
この制度は、廃棄物処理法の改正により、平成5年4月から特別管理産業廃棄物、平成10年12月から全ての産業廃棄物について委託処理時の管理票(マニフェスト)の使用が義務付けられています。マニフェストは、排出事業者が産業廃棄物を収集運搬業者に委託する際や、収集運搬業者が処分業者に産業廃棄物を渡す際などに、産業廃棄物の種類や数量、排出事業者名、収集運搬業者名、処分業者名を記載した管理票で、これに収集運搬業者の受領印、運搬終了の確認、処分業者の受領印、処分終了の確認などをそれぞれ記載し、その管理票の写しを排出事業者などに回付するというシステムです。

序-2-1図 マニフェスト制度

マニフェストに記載された産業廃棄物の適正処理を確保するため、マニフェストの不交付、マニフェストの写しの不送付、保存義務違反などを罰則の対象に追加するとともに、措置命令の対象者の要件に追加するなど、マニフェストに関する義務が拡充されています。このほか、平成13年4月から産業廃棄物の排出時から最終処分まで一貫した把握・管理が可能となるよう、排出事業者が最終処分終了の確認ができるような仕組みとしています。
また、平成9年度の改正で、我が国の電子技術を利用した電子マニフェスト制度を位置付けています。電子マニフェストは紙のマニフェストに比べ、排出事業者や処理業者の情報管理の合理化を図ることが可能です。

序-2-2図 電子マニフェスト制度


(イ)廃棄物処理業の許可要件の強化
マニフェスト制度の導入に加えて、悪質な処理業者を排除するため、廃棄物処理法などの環境法令に違反し、罰金以上の刑に処せられ5年を経過しない者や暴力団関係者などを産業廃棄物処理業許可の欠格要件*24に規定するなど、平成9年及び平成12年改正において産業廃棄物処理業の欠格要件を強化しています。

*24 欠格要件とは、許可などの申請者の一般的適性について、法に従った適正な業の遂行を期待できない者として、予め申請者から排除している者の類型を定めた要件です。

(ウ)罰則の強化などその他の規制の充実
このほか、不法投棄などの廃棄物の不適正処理の問題が年々深刻化、悪質化、巧妙化していくことに対応し、不法行為に対する罰則の強化などを通じて、必要な規制の充実を図っています。例えば、従前は許可権者に判断がゆだねられていた特に悪質な業者の許可取消の義務化や、未遂罪や準備罪の創設を行っています。
イ 不法投棄対策の充実などによる適正処理の推進
排出事業者の責任の充実に加えて、発生してしまった不法投棄の環境上の悪影響を最小限に止めていくことや、「安かろう、悪かろう」の処理ではなく、適正な処理を行う優良業者がマーケットで選択されていくような仕組みによって、より適正な処理を進めていくことも重要となっています。
その際には、制度を担当する国と、その的確な実施・運営を担当する地方公共団体、さらには処理責任を持つ排出事業者の3者が協働して、効果的な取組を行っています。

(ア)原状回復のための措置
不法投棄問題を解決するためには、実際に不法投棄が発生した場合に悪化した環境を放置することなく、不法投棄が行われる以前の状態に戻していくこと(原状回復)を確実に行っていくことが非常に重要です。
しかし、原状回復には多額の費用がかかり、その費用は原則として不法投棄を行った者が負担すべきですが、不法投棄を行った者の所在が不明になったり、経済的に負担能力がない場合も多いことから、国や地方公共団体などの行政が対応を図っていく必要が生じています。その際には、不法投棄を行った者(投棄者)が原状回復を行わない場合の行政代執行*25の手続と、原状回復費用の負担という2つの大きな問題があり、以下のような対応を図ってきています。

*25 法的義務を負っている者(義務者)が行政上の義務を履行しない場合に、行政庁が、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれを行わせ、その費用を義務者から徴収することをいいます(行政代執行法第1条、2条)。

a 原状回復の手続の柔軟・円滑化
不法投棄など、廃棄物の処理基準に適合しない廃棄物の処分が行われた場合、これを原因とした生活環境の保全上の支障の除去やその発生を防止するため、都道府県知事などは、処分を行った者及び委託基準に違反する委託が行われたときにはその委託をした者(処分者など)に必要な措置を命ずること(措置命令)ができるとされています。
しかし、従前は、措置命令を行う要件として「生活環境の保全上重大な支障が生じ、または生ずるおそれがあると認められるとき」*26とされていたため、支障の重大性の判断が必要でした。ただし、支障が重大かどうかを評価する具体的な基準が明確ではないこと、重大性を把握する以前に必要な措置を講じておかないと生活環境を保全することが困難になってしまうなど、効果的な措置命令の発出に支障が生じてしまう状況が見られました。
このため、平成3年の廃棄物処理法の改正において、「生活環境の保全上重大な支障」が「生活環境の保全上支障が生じ」*27に改められました。
さらに、処分者などに措置命令を発出しても原状回復が行われない場合の制度として行政代執行法がありますが、行政代執行の実施のための要件として、「義務者が履行しない場合」のほかに、「他の手段によってその履行を確保することが困難であり」、かつ「その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められる場合」とされ、行政側でこうした要件を満たすことの判断を明確に行うことが困難だったことから、都道府県知事などが機動的に対応できないという問題がありました。
このため、平成9年の廃棄物処理法の改正において、都道府県知事などが迅速に原状回復を行うことができるよう、行政代執行法の特例的な手続*28を定め、都道府県知事などが自ら廃棄物を除去する場合の要件を緩和しました。
また、措置命令を発出しても資力の乏しい処理業者が不法投棄した廃棄物を放置し、生活環境保全上の支障が生ずる事態が頻発するなど、従来の制度では、十分な対応が行われない場合がありました。
しかし、このような事態に対し、当時の制度では、排出事業者がその産業廃棄物を最終的に処理する責任を負っているにもかかわらず、直接の法律違反行為のない排出事業者にはいかなる場合にも措置命令を発出できないため、社会通念・社会正義に照らして、不公平、不合理であるとの指摘がなされていました。
そこで、排出事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物を自ら適正に処分するものとする「排出事業者の処理責任の原則」を徹底し、事業者が産業廃棄物の発生から最終処分に至るまでの一連の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるとの注意義務に違反した場合には措置命令の対象とすることとしました。
具体的には、平成12年度の廃棄物処理法の改正において、「処分者などの資力その他の事情からみて、処分者などのみによっては、支障の除去などの措置を講ずることが困難であり、又は講じても十分でないとき」や「排出事業者などが当該産業廃棄物の処理に関し適正に対価を負担していないとき」*29など、法に直接違反する行為のない排出事業者であっても、一定の要件下で、その注意義務を果たさなかったことを根拠に、措置命令の対象としました。

*26 改正前の廃棄物処理法第19条の2
*27 廃棄物処理法第19条の4、第19条の5
*28 廃棄物処理法第19条の7、法第19条の8
*29 廃棄物処理法第19条の4の2第1項、第19条の6第1項

b 原状回復費用の負担
不適正な廃棄物の処分に起因する原状回復の責務は、本来、処分者が負うべきものです。前述したように、廃棄物処理法においては、行政代執行法の特例的手続きを定めることにより、都道府県知事などが簡易迅速な手続きにより、措置命令を発出することができるようにするとともに、処分者が資力不足などのため原状回復を行うことができない場合であって、排出事業者が一定の注意義務に違反したときには、排出事業者に対しても措置命令を発出することができることとなりました。
しかしながら、処分者や排出事業者が不明の場合などは、責任追及を行えずに違法に処分された産業廃棄物が放置され、環境に重大な汚染を与える場合が少なくないのが現状です。こうした場合にも原状回復が行えるよう、産業界からの拠出と国庫補助による基金が創設され、改正法の施行日以降に生じた産業廃棄物の不法投棄について、都道府県などが代執行を行う場合には、その費用の一部に対して基金による財政支援を行うこととしました。この基金により、平成17年度末までに都道府県などへ60件、約26億円の財政支援が行われました。

序-2-1表	基金制度による支援事業の実施状況


(イ)不法投棄撲滅に向けた計画的な取組
また、不法投棄の未然防止を図るため、従来より講じてきた罰則の強化などの措置に加えて、廃棄物の処理の流れに即した各段階での総合的な対策を行う必要があることから、平成16年6月に「不法投棄撲滅アクションプラン」を策定し、総合的な不法投棄対策に取り組んでいます。
具体的には、国と地方公共団体との連携を重視し、産廃アカデミー*30などによる人材育成や、広く国民から不法投棄に関する情報を集めるための不法投棄ホットラインの整備など体制の強化を図っています。
また、不法投棄の現場調査や関係法令に精通した専門家集団(弁護士、公認会計士、技術士など)による不法投棄事案対応支援チームを設置し、都道府県などの要請により、支援チームを不法投棄などの現地へ派遣しています。支援チームを現地へ派遣し都道府県などの職員の方々を支援することを通じ、不法投棄の未然防止や支障除去など対策の徹底を図っており、平成17年度末までの3年間で35か所への派遣が行われています。

*30 産廃アカデミーとは、国が都道府県・市の産業廃棄物行政新任職員などを対象に行う集中的な専門的研修で、(1)行政処分や指導に必要な法令の運用ノウハウ習得、(2)不適正処理現場における行為者・暴力団関係者などへの対処方法、(3)模範的な行政実務マニュアルの習得と指導チームによる評価・改善指導などの内容からなります。

序-2-3図	不法投棄撲滅アクションプランの概要


(ウ)優良な処理業者が選択される健全なマーケットづくり
規制による処理責任の徹底に併せて、優良な産業廃棄物処理業者の育成や、優良業者が排出事業者から的確に選択される健全なマーケットづくりを進めることが、不適正な処理を未然に防止していくことにもつながっていきます。
このため、幅広い産業廃棄物関係者の参画のもと、資源循環ビジネスの育成と活性化を図るための将来ビジョンの提示や新たなビジネスモデルの支援を目指し、産業廃棄物処理業の優良化を図るための事業を実施しています。
廃棄物処理業の優良性評価制度の推進は、1)一定水準を満たす処理業者を社会的に明らかにすること、2)排出事業者が委託先を選定する際の重要な情報になること、3)有料化を目指す処理業者に具体的な取組目標を示すことなどの意義があります。平成17年度末で、3事業者が4自治体からの適合確認を受けています。
ウ 国の主導による負の遺産の解消(PCB廃棄物の処理)
このほか、産業廃棄物の中には、その有害性や処理の困難さから、特別な対応が必要なものもあり、そのための処理体制は、国、地方公共団体、産業界が連携して整備していく必要があります。
特に、PCB廃棄物は、長期にわたり保管が続き、紛失したり保管状況が劣悪なものなどが判明し、環境汚染の危険性が指摘されていました。
このため、平成13年度にポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)*31を制定し、国自らが処理体制の整備に取りかかり、全国規模で適正な処理を行うための体制を構築しました。具体的には、同法による特殊会社である日本環境安全事業(株)を活用し、全国5か所の拠点的広域処理施設を設置し、PCB廃棄物を安定的に処理する体制を整備しています。

*31 平成13年6月法律第65号。

序-2-4図	PCB廃棄物の拠点的な広域処理施設整備の進捗状況

これらの広域処理施設の整備が実現した大きな要因は、1)国主導により、国と地方公共団体が協力して公共関与による施設の設置を進めたこと、2)高温焼却処理ではなく環境中への排出が少ない化学分解法を開発したこと、3)周辺住民への説明会などを重ね合意形成を図ったこと、などが挙げられます。
また、国は都道府県と連携し、処理費用負担能力の低い中小企業が保管しているPCBを使用した高圧トランス・高圧コンデンサの処理のためのPCB廃棄物処理基金を創設しています。

写真	PCB廃棄物処理施設(東京事務所)(出典)中央環境審議会資料


(2) 拡大生産者責任等を踏まえた各種リサイクル対策の創設・充実
拡大生産者責任は、生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適正なリサイクルや処分について物理的又は財政的に一定の責任を負うという考え方です。そうすることで、生産者に対して、廃棄されにくい、又はリユースやリサイクルがしやすい製品を開発・生産するようにインセンティブを与えようというものです。
我が国では、大都市圏を中心に、最終処分場の確保が困難になるとともに、従来は市場価値のある資源として取引されていたガラスびんなどについて、市町村などから処理業者に引き取ってもらう際に、逆に処理費用を払う必要が生じるようになったという問題に直面したことなどにより、事業者が一定の役割を果たすという拡大生産者責任の考え方の重要性が認識されるようになりました。こうした問題は、国際的にも重要な問題となっており、我が国が中心となって、OECD(経済協力開発機構)の場で検討を行い、国際的に共通した拡大生産者責任の考え方が確立されています。こうした考え方を踏まえて、我が国では、個別物品の特性に応じた各種リサイクル法などに具体的な制度が位置付けられています。
ア 拡大生産者責任の議論の背景
OECDの汚染者負担の原則では、基本的に、環境汚染をもたらした者が汚染防除費用などの環境保全のために必要な費用を負担することとされていたため、廃棄物の廃棄者に責任があることとされ、製品の製造業者などの責任は、比較的軽いものと考えられていました。
しかし、廃棄物の発生量の削減が進まず、廃棄物処理場の容量がひっ迫し、廃棄物処理施設の新たな立地が困難となっている中で、廃棄物問題の解決には、単に「出された廃棄物を適正に処理する」という対応では限界があり、物の製造段階にまでさかのぼって、廃棄物の発生量を減らしていく対策が必要となっていました。特に、先進国を中心に、製品の発生段階から廃棄物を抑制するために必要な情報を生産者にいかに伝えていくか、ということが重要な問題として、国際的にも認識されるようになってきました。
イ 国際的な議論の成果
こうした問題意識から、拡大生産者責任の考え方は、OECDの場で議論がなされ、1990年代には国際的にも重要な考え方として共有されるようになりました。その際には、当時の我が国の厚生省、環境庁が人的・財政的に支援を行い、我が国が中心となって、平成6年からOECDのプロジェクト・チームで検討を開始しました。3段階にわたる議論の成果として、平成13年には、OECD加盟国政府に対するガイダンス・マニュアルが策定・公表されています。
このガイダンス・マニュアルでは、拡大生産者責任の内容を、「製品のライフサイクルにおける消費者より後の段階にまで生産者の物理的又は経済的責任を拡大する環境政策上の手法」と定義し、その主な機能としては、「廃棄物処理のための費用又は物理的な責任の全部又は一部を地方自治体及び一般の納税者から生産者に移転すること」と整理しています*32
さらに、OECDのガイダンス・マニュアルでは、序-2-2表のように、拡大生産者責任の目的や効果などを整理しており、この考え方に基づく具体的な政策手法については、製品の引取り、デポジット、税、処理費用の先払い、再生品の利用に関する基準の設定、製品のリースなど、様々な手法がある中で、市場価値や環境への影響の程度に応じて、個々の場合に応じて適切な手法を議論していくこととされています。

*32 OECD,Extended Producer Responsibility, A Guidance Manual for Governments, (2001)

序-2-2表	OECD「拡大生産者責任ガイダンス・マニュアル」における拡大生産者責任

ウ 拡大生産者責任などを踏まえた各種リサイクル制度の整備
こうした拡大生産者責任の考え方は、我が国の法体系では、循環型社会形成推進基本法(循環型社会基本法)*33において、事業者の責務の中で明示されているほか*34、我が国では、容器包装、家電製品、食品、建設資材、自動車といった物品ごとに、それぞれの特性に応じたリサイクル制度が整備されており、以下では、それぞれの物品ごとの取組を紹介します。

*33 平成12年6月法律第110号。
*34 循環型社会基本法では、製品・容器などの製造・販売などを行う事業者が、その耐久性の向上や修理の実施体制の充実などにより、廃棄物などの発生を抑制していくことや、回収・循環的利用を行う責務を規定しています(循環型社会基本法第11条第2項、第3項)。

(ア)容器包装
「容器包装」とは、びん、缶、ペットボトルなど、商品の容器や包装であって、商品が消費された後には不要となるものをいいます。これらの容器包装は、家庭ごみ全体のうち容積で約6割、重量で約2割を占めています。

序-2-5図	家庭ごみに占める容器包装の割合等

ライフスタイルの多様化や消費者意識の変化などに伴い、一般廃棄物の排出量が増大し、最終処分場の残余容量もひっ迫している状況から、このような容器包装による廃棄物の減量と再生資源としての有効利用を進めることを目的に、平成7年に容器包装リサイクル法が制定され、その適正な分別収集及び再商品化(リサイクル)のための制度が構築されています。
a 現行制度を取り巻く状況
現行の容器包装リサイクル制度の施行から10年が経過し、その間には、容器包装廃棄物の分別収集や再商品化は着実に進展しています。例えば、ペットボトルの回収率*35をみると、ペットボトルなどの分別収集などが開始された平成9年度には、9.8%でしたが、平成16年度には、46.4%(事業系からの回収量も含めると62.3%)に上昇しています。
また、事業者の側でも、容器の軽量化やリサイクルしやすい設計・素材選択などの努力も行われ、容器包装廃棄物の減量などに一定の成果が見られるほか、ペットボトルからペットボトルにリサイクルする技術といった、新たな技術開発の進展にも結び付いています。

序-2-6図	ボトルtoボトルリサイクルの流れ

こうした取組は、一般廃棄物全体のリサイクル率の上昇や最終処分量の減少、最終処分場の残余年数の確保などに寄与しているものと考えられます。
また、容器包装の分別排出が求められたことなどを通じ、リサイクルへの国民の意識についても向上しているものと考えられます。例えば、内閣府が実施している世論調査によれば、家庭での環境保全の取組として、「古紙、牛乳パック、ペットボトル、空き缶などのリサイクル、分別収集に協力する」とした人の割合は、平成5年調査の58%から平成17年調査では73%と、大きく増加しています。

*35 ペットボトル用樹脂生産量に占める市町村分別収集量の割合を指しています。

序-2-7図	回収率・利用率の推移


序-2-8図	分別収集実施市町村割合の推移

b 制度見直しに関する審議会での議論
こうした中、平成12年に循環型社会基本法が制定されて3Rの基本原則などが定められ、また、各種リサイクル法が順次制定・施行されるなど、循環型社会の構築に向けた取組が進められてきました。一方、容器包装リサイクル法は、施行後10年で見直すこととなっていることから、中央環境審議会及び産業構造審議会では、専門の審議体制を整備した上で、学識経験者や地方公共団体、産業界、市民団体などの各界の関係者に参画いただいて、約1年半にわたり、容器包装リサイクル制度の見直しについて熱心な議論を重ねてきました。具体的には、1)排出抑制のために各主体が果たすべき役割、リターナブル容器の利用促進などの排出抑制及び再使用、2)市町村及び事業者の責任範囲、分別基準適合物の品質向上等の分別収集の在り方、3)容器包装廃棄物に係る再商品化の在り方(特にプラスチック製容器包装に関する再商品化手法)、4)再商品化の義務を果たさない事業者(いわゆる「ただ乗り事業者」)対策、容器包装廃棄物の輸出の位置付けなどについて議論がなされました。
こうした議論を踏まえ、平成18年2月に、中央環境審議会の意見具申及び産業構造審議会の報告書がそれぞれ取りまとめられました。こうした審議会の取りまとめの内容などを踏まえ、政府は、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進などに関する法律の一部を改正する法律案」を平成18年3月10日に閣議決定し、第164回国会に提出しています。

(イ)家電製品
家電製品は、金属などの有用な資源を多く含むものの、従来の市町村の粗大ごみ施設などでは減量やリサイクルをすることが困難であったため、大部分が埋め立てられていました。そこで、廃棄物処理場のひっ迫への対応に向けた廃棄物の減量化と、鉄やアルミ、ガラスなど廃家電製品に含まれる有用な資源の再生資源としての有効利用を図るため、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)が平成10年6月に制定されました*36。家電リサイクル法では、廃家電製品の減量と資源の有効利用に資するため、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫及び洗濯機の4品目について、製造業者などによる一定水準以上のリサイクル(再商品化等)を義務付けたほか、小売業者には消費者(排出者)からの廃家電4品目の引取りと製造業者への引渡し、消費者には排出時のリサイクル料金などの負担(後払い制)などの役割分担を定めています。
法律の施行後、家電4品目の回収台数は年々増加し、平成17年度で4品目合計で1,162万台となっています。また、回収した廃家電製品の再商品化率は、法令で定められた基準値を大幅に上回る結果となっているほか、製造業者においては、リサイクルが容易な製品設計や材料の選択などの取組もみられるようになりました。

*36 平成10年6月法律第97号。

写真	家電リサイクルプラントの状況(資料)環境省


(ウ)建設資材
昭和40年代の建築物が更新期を迎え、建設廃棄物の排出量の急激な増大が予測されていた中で、これらの廃棄物の再資源化を推進するため、平成12年5月に建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律(建設リサイクル法)が制定されました*37
建設リサイクル法では、制定時に産業廃棄物のうち全体の排出量の約2割(約8千万t)、不法投棄量の約6割(約19万t)、最終処分量の約2割(約700万t)を占めていた建設廃棄物のリサイクルを図るため、一定の条件の建設工事の受注者に対して、建設廃棄物の分別解体、再資源化を行うことを義務付け、平成22年までにコンクリート塊、建設発生木材、アスファルト・コンクリート塊の3品目の再資源化等率を95%に向上させることを定めています。

*37 平成12年5月法律第104号。

(エ)食品
食生活の多様化・高度化に伴い、生産・流通段階や消費段階において大量の食品が廃棄されていました。そこで、食品に係る資源の有効な利用と食品に係る廃棄物の排出の抑制を一体的に推進していくため、食品循環資源の再生利用などの促進に関する法律(食品リサイクル法)が平成12年6月に制定されました*38
食品リサイクル法では、一般廃棄物の排出量の約3割を占めるなど、国民生活において最も身近な廃棄物である食品廃棄物などのうち有用なものを食品循環資源ととらえて、食品関連事業者(製造、流通、販売、外食)によりその再生利用などを促進することとしており、「食品循環資源の再生利用などの促進に関する基本方針」において、再生利用などの実施率を平成18年度までに20%に向上させることを定めています。
中央省庁では、庁舎内の食堂において生ごみのリサイクルに取り組んでいます。

*38 平成12年6月法律第116号。

序-2-3表	中央省庁の食堂での生ごみリサイクルの取組状況


(オ)自動車
使用済自動車は、従来から解体業者や破砕業者における売買を通じて流通し、リサイクル・処理が行われてきましたが、産業廃棄物の最終処分場のひっ迫により、使用済自動車の処理で生じるシュレッダーダスト(破砕されたくず)の処分費の高騰などにより不法投棄が多発し、大きな社会問題となりました。そこで、市況に左右されない安定したリサイクルシステムを構築するため、使用済自動車の再資源化などに関する法律(自動車リサイクル法)が平成14年7月に制定されました*39
自動車リサイクル法では、拡大生産者責任の考え方に基づき、オゾン層保護や環境汚染防止上重要なフロン類、エアバッグ類及びシュレッダーダストについて、自動車製造業者及び輸入業者に対して引取り及びリサイクル(フロン類については破壊)を義務付けました。また、再資源化の目標として、平成27年までにシュレッダーダストの再資源化率を70%以上、エアバッグの再資源化率を85%以上とすることを定めています。
自動車リサイクル法は、全ての自動車を対象にリサイクル料金を原則新車販売時に所有者があらかじめ預託することとした(前払い制)最初のリサイクル法です。預託されたリサイクル料金は、製造業者などの倒産・解散による滅失を防ぐため、資金管理法人が管理しています。また、全ての使用済自動車について電子マニフェストを用いて流通管理するシステムを構築しています。
さらに、自動車メーカーなどでは、引き取ったシュレッダーダストを既存の廃棄物処理炉なども利用し、スラグ利用や熱利用を通じて適切な再資源化が行われるようなシステムを構築しているとともに、解体業者、プレス・せん断処理業者、電炉(転炉)業者などがコンソシアム(複数の企業による連合)を形成し、使用済自動車の全部再資源化*40を行うなどによりリサイクルに取り組んでいます。

*39 平成14年7月法律第87号。
*40 合理的な解体などを行うことにより、シュレッダーダストを生じさせない方法での再資源化のことです。

序-2-9図	自動車の全部再資源化施設


(3) 地方と国の連携・協働を通じた一般廃棄物対策などの推進
暮らしに最も身近な廃棄物である一般廃棄物について、その適正な処理のシステムを構築していくためには、様々な関係者の取組が必要です。法制度など国全体の社会システムの形成と変革を主導する国と地域社会の実情に精通した地方とが連携・協働し、消費者であるとともに分別収集などに協力する国民、製品の製造から処理の技術まで3Rの推進に関わる事業者も含めて、これらの関係者が適切な役割分担の下で取組を進めていくことが非常に重要です。その中でも、特に、国と地方が協働して広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設の整備を進めていくことが重要な課題となっています。
こうした中で、地方では、それぞれの地域の状況を踏まえて、様々な取組が計画的に進められています。例えば、3R推進やグリーン製品推奨などのためのエコショップ認定制度*41やリサイクル製品認定制度、技術開発への支援あるいはライフスタイルの見直しのためのマイバッグキャンペーンといった取組が、多くの地方公共団体において行われるようになりました。また、一部の地方公共団体では、以下のような循環型社会の形成に向けた先進的な取組も見られます。

*41 環境に配慮し、廃棄物の再利用や再生利用などに積極的に取り組んでいる店や商店街をリサイクルエコショップとして地方公共団体が認定するような制度です。

コラム 3 地方での先進的な取組

【廃食用油の回収・リサイクルの取組】
京都市では、自治会単位などで地域住民の協力を得て京都市内約1,000か所の回収拠点での廃食用油の回収を行っており、年間約125キロリットルの廃食用油の回収を行っています。この回収された廃食用油は、日量5,000リットルの処理能力の専用のプラントによりバイオディーゼル燃料化され、ごみ収集車(210台分)や市営バスの燃料として活用されています。

コラム3	地方での先進的な取組	写真(出典)京都市HP

【温泉旅館からの食品残さのリサイクルの取組】
福島県内の温泉旅館では、地元二本松市の協力のもと、旅館の宿泊客が残した食品残さを回収・堆肥化し、この堆肥を用いて生産した無農薬有機野菜を温泉旅館で提供するという取組を行っており、「地産地消」(その土地で取れたものを、その土地で使うこと。)、「土産土法」(その土地で取れたものを、その土地のやり方で料理すること。)を合わせた循環型社会の形成に取り組んでいます。
【地域のバイオマスを活用したエネルギー化の取組】
福岡県添田町では、町や東京農工大学によって、森林に侵入する竹林の竹や間伐材といった、豊富に存在するバイオマスを回収して粉炭化し、粉炭ストーブにおいてその燃料として利用するという取組について検討が進められています。このような取組は、山村における身近なバイオマスの利活用を通じた循環型社会の形成や地球温暖化対策の一手法として期待されています。

ア 地方と国が連携した廃棄物の適正処理の成果

(ア)ダイオキシン類の排出抑制の取組
我が国の気候は高温多湿なため、都市ごみの減量化と衛生的な処理の観点から、廃棄物の焼却処理が進められてきました。しかし、廃棄物焼却施設におけるダイオキシン類*42対策が大きな課題となり、全国的に昭和50年代末から、社会問題化しました。例えば、焼却施設から発生するダイオキシン類への不安から、住民の焼却施設に対する不安が拡大し、焼却施設の操業停止を求める訴訟や焼却施設の建設反対運動が高まりました。
このため、我が国では、ダイオキシン類対策として、地域の実情に即して対応を進める中で、国は、全国的な枠組みを整備しつつ、こうした枠組みの効果的・効率的な実現に向け、様々な支援を行ってきました。
具体的には、平成2年に策定した「ごみ処理施設に係るダイオキシン類発生防止などガイドライン」(旧ガイドライン)を平成9年に改定し、新たに「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止などガイドライン」(新ガイドライン)として、発生防止対策を推進しました。さらに、平成11年には、3月に「ダイオキシン対策推進基本指針」を策定したほか、7月にダイオキシン類対策特別措置法を制定し、対策の枠組みを整備しました*43
これらの取組の成果として、平成9年に全国のごみ焼却施設から排出されたダイオキシン類は1年間に約5000gと推定されましたが、平成16年には約64gと推定され、平成9年比でダイオキシン類総排出量を約98%減少させました。
このようなダイオキシン類の削減対策は、下図のように、国、地方公共団体や専門家などの関係者が連携し、一体的に推進されました。1)国は対策の枠組みや全国基準を設定し、2)専門家が新技術の開発や人材の育成を進め、3)地方公共団体は施設の整備や技術の普及を進めました。

*42 ダイオキシン類は、急性致死毒性、発ガン性、生殖毒性などを持つといわれ、不十分な焼却処理がされた場合などに非意図的に生成してしまう物質です。
*43 平成11年7月法律第105号。

とりわけ、ダイオキシンのような全国的な問題に対しては、国全体での処理基準などに照らして、単独では十分な対応がとれない地域もあり、国による地方公共団体への支援が大きな役割を果たしました。

序-2-10図	ダイオキシン類対策における関係者の連携


序-2-11図	廃棄物焼却炉からのダイオキシン類発生量推移

特に、廃棄物処理施設の整備への国の補助制度の状況をみると(序-2-12図)、新ガイドラインを発表した平成9年度より、排ガス高度処理事業(ダイオキシン類対策のための集じん装置の設置などよる高度な排ガス対策)に対する採択件数や交付決定額が増加し始め、平成14年12月のダイオキシン類対策特別措置法における新規制値の適用開始に合わせ、国の支援制度が活用されてきたことが分かります。

序-2-12図	排ガス高度処理事業に対する国庫補助額等

このように、国、地方公共団体をはじめ、専門家を含む関係者が一体となって、取組を進めることにより、ダイオキシン類の大幅な削減が達成されたのです。
イ 地方と国が協働した循環型の地域づくり

(ア)循環型社会形成推進交付金制度の創設
国は、市町村の行うごみ焼却施設などの一般廃棄物処理施設の整備に対し、補助金を交付し支援を行ってきましたが、国庫補助負担金、税源移譲を含む税源配分のあり方、地方交付税を一体的に見直す「三位一体の改革」において、こうした国の補助金を見直す検討が行われました。そして、国と地方の協議を経て、平成16年11月26日、政府及び与党は、平成18年度までの三位一体の改革の全体像について合意(「三位一体の改革について」平成16年11月26日政府・与党)に達し、当該合意に基づき、一般廃棄物処理施設整備に対する国の補助金は交付金化の改革を行うこととされ、平成17年度から循環型社会形成推進交付金を創設することとなりました。
これまで、一般廃棄物処理施設の整備に対する補助金などを通じて、ごみ焼却に伴うダイオキシン類対策などを進め、熱回収や一般廃棄物溶融スラグのリサイクルを推進してきましたが、更にこれを発展させ、地域における循環型社会づくりを進めるという新しい考え方に立って、循環型社会形成推進交付金を用いて、積極的に市町村と協力し、市町村の自主性と創意工夫を活かしながら、一般廃棄物処理施設の整備によって廃棄物から資源とエネルギーを効率的に回収する広域的、総合的なシステムづくりを進め、地域から国全体を循環型社会に変えることを目指していくこととしています。
具体的には、市町村が、ごみの発生抑制施策、地域における分別収集の体制づくりや、廃棄物から資源やエネルギーを回収するリサイクル施設の整備といった3Rを総合的に推進するための概ね5カ年間の地域計画(循環型社会形成推進地域計画)を策定します。市町村は、こうした地域計画の中で、ごみの発生抑制、リサイクル、エネルギー回収、最終処分量の減量化などの3R推進のための目標を明確にします。
国は、都道府県とともにこの地域計画の構想段階から市町村の取組に協力し、この地域計画に基づき実施される施設整備のための費用について交付金により支援を行うこととなります。
これまでの補助金は、個々の一般廃棄物処理施設の整備に対して個々に交付されてきましたが、交付金は、地域計画に基づく施設整備の事業に対して一括して交付され、事業の進捗に応じた事業間での調整や年度間の調整が可能な仕組みです。
また、市町村は、地域計画の計画期間終了時には、地域計画で掲げた3R推進のための目標の達成状況を事後評価し、次期の地域計画の見直しに反映します。

(イ)地域における循環型社会づくりの事例
平成17年度に環境大臣の承認を受けた循環型社会形成推進地域計画は、総数87件あります。その内訳は次のとおりです。

序-2-4表	環境大臣の承認を受けた循環型社会形成推進計画の策定状況

また、これまでの循環型社会形成推進地域計画のうち、特徴的、あるいは先進的なものなどを紹介すると、以下のとおりです。
1) 最上広域市町村圏事務組合地域(山形県)
家庭系からの廃棄物における、1人1日当たりの排出量について『488.5g/人日(平成23年度、16年度比 −9.8%)』の目標を掲げ、普及啓発、環境教育と併せてリサイクルのための施設整備などを総合的に行う計画です。当該事務組合では、焼却施設内に整備してある環境教育設備を積極的に活用し、見学者へ分別や減量化に関する社会意識の啓発を行うほか、小学校高学年を対象とした買い物の疑似体験により、ごみの出ない買い物を考える授業を出前により実施します。
容器包装廃棄物の分別収集については、既に、ビン、缶、ペットボトル、紙パックの分別を行っており、今般の地域計画において、新たにダンボール回収のためのストックヤードの整備を予定し、トレーについては、民間業者が運営するリサイクル施設と連携し、拠点回収を行います。
さらに、当該事務組合の構成市町村における家庭ごみの有料化及び事業系ごみの従量制による直接の料金徴収を行います。
2) 津山・英田圏域地域(岡山県)
これまで、当該地域(津山市、美作市、鏡野町、三咲町、勝央町、奈義町、西粟倉村)は、市単独又は一部事務組合によりごみ処理事業を実施してきましたが、循環型を目指した社会基盤を構築するため、2市4町1村(人口195,503人、面積1,686km2)で共同し、広域的な地域計画を策定しました。広域的な取り組みに加え、既存の3種(資源化施設、焼却施設、埋立処分場)26施設を各種類ごとに1施設に集約化を図ります。
また、現在、地域ごとにごみの分別方法が別々になっていますが、新たにリサイクルセンターを整備することで津山・英田圏域内の分別を統一し、資源化を推進します。
3) 京都市地域
内陸都市であるため最終処分場の確保が困難であることから、可能な限り埋立量を削減します。また、焼却量を減らすため、再生利用を中心とし、再生利用が困難なものについて、原則焼却による減容化を図ります。さらに、廃食用油の回収を進め、市のごみ収集車や市バスのバイオディーゼル燃料としてリサイクルするほか、家庭からの生ごみについては高効率なバイオガス回収を行い、また魚アラの飼料化にも取り組みます。
ウ 今後の取組に向けて

(ア)地域での循環型社会づくりの一層の推進
地域における循環型社会づくりに当たっては、循環型社会形成推進基本計画(循環型社会基本計画)*44に掲げられているように、総物質投入量・資源採取量・廃棄物等発生量・エネルギー消費量の抑制(リデュース)、再使用(リユース)・再生利用(リサイクル)の適切な推進を図り、天然資源の消費と環境負荷の低減を目指すことを念頭において、進める必要があります。また、地球温暖化防止対策として、廃棄物の発生抑制や、廃棄物発電及び廃棄物熱利用などを進めることが求められているため、地球温暖化防止という方向での取組も併せて具体化していく必要があります。
特に、生ごみなどのバイオマス系廃棄物は、持続的に再生可能な資源であり、カーボンニュートラル*45という特性を持つことから、二酸化炭素の発生を抑制できる化石資源の代替物となるため、そのエネルギー利用を進めることが重要です。こうしたことを踏まえ、市町村の一般廃棄物処理事業の中では、資源とエネルギーの効率的な回収・利用の向上を図ることが重要です。具体的な取組としては、まず発生抑制を進め、次いで容器包装リサイクル法などによるリサイクルを推進し、その上でなお残った廃プラスチック類などのごみの熱回収を進めていくことが適切です。また、生ごみについては、直接燃焼によるだけでなく、メタン発酵によるエネルギー回収も新たな取組として重要です。このほか、溶融飛灰の山元還元*46システムづくりなど関係者が連携した広域的な調整を図っていくことが重要となっています。
このような地域における循環型社会づくりのための取組を具体化するためには、市町村が、地域の特性を踏まえ、一般廃棄物処理事業の目指す方向を定め、その着実な実施に向けて、発生抑制、分別収集、再生利用、熱回収、最終処分などの一般廃棄物処理システムを構築していくことが必要です。国では、こうした市町村の取組が円滑に実施されるよう、循環型社会づくりを目指した一般廃棄物処理システムに関するガイドラインを作成し、廃棄物の3Rに加え、地球温暖化防止対策としてごみ発電、バイオガス回収などのエネルギー回収や、バイオマス利用の考え方を市町村に提示することとしています。
また、特に、循環型社会の形成をリードする先進的なモデル施設として、バイオガスの回収を高効率で行う施設については、重点的な支援を行うなど循環型社会形成推進地域計画に基づく具体的な取組について、循環型社会形成推進交付金などによる支援に努めていくこととしています。

*44 循環型社会形成推進基本法第15条の規定に基づき、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために定められたもので、平成15年3月に閣議決定されています。
*45 植物は燃やすと化石燃料と同様に二酸化炭素を排出しますが、成長過程では光合成により大気中の二酸化炭素を吸収するので、収支はプラスマイナスゼロになります。このように、二酸化炭素の増減に影響を与えない性質のことをカーボンニュートラルと呼びます。
*46 溶融飛灰には、鉱山で採掘される鉱石と同等、もしくはそれ以上の割合で鉛・亜鉛などの有価金属が含まれているため、鉱石と同じように精錬すれば有価金属に変えることができます。山元還元は、溶融飛灰を埋立処分せずに、山元(鉱山や精錬所)に戻し、有価金属として再利用する方法です。

(イ)循環型社会の形成に向けた地方の基本計画の策定
循環型社会基本計画では、地方公共団体は、ここまでみてきた一般廃棄物対策などを含め、地域において循環型社会の形成を進めるため、地域の状況を踏まえた独自の基本計画の策定が期待されています。
47都道府県及び14政令市について、平成16年度における、こうした基本計画の策定状況をみると、「計画を策定している」が14団体(15年度13団体)、「内容を網羅する他の計画を策定」が23団体(昨年度16団体)で、「策定していない」が24団体(15年度31団体)となっています。策定していない団体の内訳を見ると、「策定予定」として6団体(昨年度7団体)、「内容を網羅する他の計画を策定予定」として15団体(15年度10団体)、「策定予定なし」とする団体が3団体(15年度14団体)となっています。
都道府県などによるこうした基本計画の策定は、循環型社会基本計画の策定後、かなりの進展がみられました。また、未策定の地方公共団体においても、循環型社会基本計画の趣旨を理解しながら地域の実情を踏まえた検討を進めており、今後ともより一層の進展が期待されます。

序-2-13図	地方での循環計画の策定状況


コラム 4 ごみ処理の有料化事例

平成17年2月の中央環境審議会の意見具申を受け、平成17年5月に、廃棄物処理法に基づく基本方針を改正し、一般廃棄物の処理に関する有料化の進め方を示しています。地方公共団体においては、その地域の実情を踏まえつつ、有料化の導入の推進が期待されています。
例えば、福岡県北九州市では、平成10年7月という比較的早い時期に、1)ごみの資源化・減量化の促進、2)ごみステーションの美観の保持、3)ごみ収集の安全性・効率性の確保を目的に、政令指定都市で初の家庭ごみ処理有料化を導入しました。制度導入にあたっては、市民説明会の開催(議会議決前約120回、議決後約680回、合計約800回)や地域住民1万人と市職員2,000人の協働による早期指導の実施など、きめ細かな対応を行いました。この結果、有料化導入前後の比較でごみ量は約10%減量を達成しました。
しかし、1)ここ数年はごみ量の横ばい傾向が続いたこと、2)ごみ処理量の20%減量、リサイクル率25%以上(現15%)の新たな目標を掲げたことなどから、「ごみ処理手数料の見直し」と「分別・リサイクルの仕組みの充実」という2つの施策に新たに取り組むこととしました。処理手数料の見直しについては、すでに有料化を実施している全国の自治体の金額や、実施されている分別・リサイクル施策、その減量効果などを参考に、平均的に20%の減量効果が期待できる金額として、平成18年7月1日から、見直し前と比較して3倍以上の価格に設定されました。

コラム4	ごみ処理有料化事例 表(資料)各市のHPより環境省作成



2. 3つの流れを支える横断的な取組

このような廃棄物・リサイクル対策の3つの流れに沿って取組を進めていく際には、これらの取組に共通して、科学技術の力とものを大切にする心が重要であり、これを受けた様々な廃棄物・リサイクル技術の進展と国民一人ひとりのライフスタイルの転換が取組の進展を支える基盤となってきました。ここでは、こうした横断的な取組の動向を整理します。

(1) 様々な技術発展などの推進
各種のリサイクル制度は、単にリサイクルだけでなく、循環資源のリデュース、リユースを含めた3R全体の取組の推進を目指しています。事業者の努力を中心とした3R技術の発展は、こうした取組を進めていく際の基盤となり、今まではできなかった革新的な3Rの取組が可能となる場合も少なくありません。
例えば、3R全体に通じる取組として、製品の設計段階からリサイクルも視野に、廃棄される物品を出さないような製品のデザインをもとに、リデュースやリサイクルを一貫して進めていくといったエコ・デザインの取組や、3Rそれぞれの推進につながる技術革新などが進められています。
また、廃棄物の焼却や最終処分の段階でも、有害物の発生を防止する技術や、エネルギーとしての活用技術などの面で、技術発展が進んでいます。

序-2-5表	業界団体における製品アセスメントガイドラインの策定・改定等の動向

ア エコ・デザインの取組
エコ・デザインの取組は、業界ごとに一定の基準や指針を定めて、効果的に進めていくことが重要となっています。このため、家電製品業界での製品アセスメントマニュアルの策定など、製品の設計段階から廃棄段階までの一貫した環境配慮製品の設計・製造といったエコ・デザインの推進の取組が様々な分野で行われています。
また、こうしたエコ・デザインの取組を幅広く進めていくため、生産・設計技術などの様々な分野の研究者や、様々な業界の経営者・技術者が結集し、研究開発の成果、新技術、実践事例などを持ち寄って議論する、「エコデザイン学会連合」が平成12年に設立されています。その時々の重要課題をテーマに、欧米の代表的なエコ・デザインの国際会議とも連携して、「Going Green」をキーワードに、日米欧が一体となって、その成果を国内外に発信する国際シンポジウムを奇数年に開催しています*47。また偶数年には、国内研究者を対象とした国内会議(エコデザイン・ジャパンシンポジウム)を開催しています。さらに、エコデザイン学会連合の有志が集い、平成14年にNPO法人「エコデザイン推進機構」を設立し、エコ・デザインの普及・啓発の推進といった様々な活動の中心的役割を担っています。

*47 エコデザイン学会は、現在、吉川弘之会長(前日本学術会議会長)の下、約50の関連学協会・団体が加盟しています。最近の国際シンポジウムは、平成17年12月に、諸外国や約400人の参加者を得て、「社会におけるエコデザイン」、「アジアにおけるエコデザイン」をテーマに開催されています(後援:環境省、経済産業省、国土交通省、文部科学省ほか)。

コラム 5 エコデザイン学会連合の国際シンポジウム

我が国だけでなく、地球規模でエコデザインの取組を推進していくため、エコデザイン学会連合を中心に、欧米のエコデザインの関係団体とも連携して、隔年で国際シンポジウムが開催されています。
平成17年12月には、東京の学術総合センターで、第4回シンポジウムが開催され、欧米やアジアなどからの外国人約60名を含み、産業界、学界、行政などから、総勢200人以上の参加を得て、様々なエコ・デザインの取組について、国際交流がなされました。今回は、広まりつつあるエコデザインの活動を、持続可能な社会システムの中で反映・統合していく観点から、「社会におけるエコデザイン」と、アジアにおける急速な工業化、市場の拡大、生活水準の向上が持続可能性のために極めて重要なことから、「アジアにおけるエコデザイン」をテーマとして開催されています。
シンポジウムでは、資源・エネルギーの持続可能な利用に結び付く、バイオマス由来の材質を使った食器・電化製品や、太陽電池を使った充電器など、最新の取組が発表されています。
また、政府の取組を紹介するため、環境省からは小池環境大臣が参加し、「環境革命のための社会システムのエコデザイン」について、講演を行っています。

コラム5	写真 素材にとうもろこしを使ったパソコンの例


コラム5	写真 太陽電池を使った充電器の例


コラム5	写真 小池環境大臣の講演


イ リデュースの技術
リデュースの技術では、例えば、構造上の工夫などによりペットボトルなどの軽量化が進められ、約1割から4割の容器軽量化が実現されています*48。また、複合素材から単一素材のものへの変更やミシン目入りシュリンクラベル採用による分離容易化、再生素材の使用、生分解素材の導入、詰め替え商品の販売などの工夫が行われています。

序-2-14図	プラスチック削減率の推移


序-2-15図	詰め替え製品出荷量の推移

また、石鹸洗剤などの容器包装では、製品の濃縮化・コンパクト化、あるいは詰替・付替用製品の開発・発売により、消費者が使用した後で廃棄する容器包装へのプラスチック使用量の削減が進められています。日本石鹸洗剤工業会・環境委員会の調査結果によると、詰替・付替製品の出荷量が9年間で約5倍に増加しているとともに、平成16年におけるプラスチック使用量は52.5千tで、製品がコンパクト化されていない在来品の本体ボトルだった場合の想定量113千tと比較して半減しています。
このほか、家電業界では、部品の軽量化、梱包材の小型化のほか、ネジの場所や形状を製品に表示すること、製品に破断しやすいスリットを追加することなどによる分離しやすい製品の設計を行っています。

*48 平成17年版循環型社会白書 第1部序章第2節 1.(5)容器包装におけるリデュースの取組参照

ウ リユースの技術
リユースは、リサイクルに比べて追加的な消費エネルギーや環境汚染が少ないことから、リサイクルよりも優先される取組です。リユースの取組は、かつてはビールびんなどでのリターナブルびんの使用が一般的でしたが、国民のライフスタイルの変化などに伴い、最近は使用数量の後退が見られます。リユースの取組は、国民一人ひとりがものを大切にするといった意識と取組から始まるものであり、このような身近な取組が進んでいないことが課題です。

序-2-16図	ビールの容器別出荷量の推移

このため、我が国では、移動式のカップ・食器洗浄機を導入し、イベント会場でのリユースカップの使用の促進を推進しています*49。コンサート会場やサッカー会場などの多数の人が集まるイベント会場でリユースの取組が行われることによって、環境負荷の低減が図られるとともに普及啓発面での大きな効果も期待されます。現在、サッカーのJリーグをはじめとして、徐々にリユースカップ利用の取組に進展がみられます。今後、このイベント会場でのリユースカップの使用を更に推進するため、環境省では、イベント会場でのリユースカップ・食器などを導入するに当たってのマニュアルの作成を行っています。

*49 環境省のリユースカップの使用と環境負荷との関係に関するライフ・サイクル・アセスメント(LCA)の結果によれば、イベントの規模などにもよりますが1)エネルギー使用量は6〜7回の使用で紙カップを下回る、2)二酸化炭素の排出量は4回で紙カップを下回る、3)固形廃棄物の排出量は4回で紙カップを下回る、との結果が出ています。

エ リサイクルの技術
リサイクルの技術は、従来の廃棄物を適正に処理するという観点に加えて、廃棄物から効率的に資源の回収を図り、経済発展を促進するという観点から、非常に重要です。我が国では、リサイクルの制度化を契機に、廃棄物処理・リサイクル技術の開発や環境配慮型製品の設計・製造技術が進み、徐々に製品の製造過程の上流にさかのぼった取組が進められるようになりました。
例えば、非鉄金属の精錬所において、高度な製錬技術を活用し、金属・蒸気回収炉の整備を通じて環境負荷物質の無害化処理と同時に希少金属の回収・リサイクルを行っています。ここでは、廃電子機器・廃基板などからの金などの貴金属や鉛などの重金属の高度回収・リサイクルや自動車触媒からのプラチナの回収、工程内スクラップからのインジウムの回収などが行われており、世界的にも高い水準での希少金属の回収が行われています。

写真	希少金属の回収・リサイクル施設の例

また、容器包装リサイクル法に基づくペットボトルの再商品化手法として、使用済ペットボトルを化学的に分解し、石油から作った化合物と同純度の原料に精製し直すことにより、ペットボトルの原料に戻す、いわゆる「ボトル to ボトル」のリサイクル技術の実用化を実現しています。
このほか、家電リサイクルプラントでは、家電リサイクル法に基づき回収された家電製品から回収したプラスチックのうち、従来は焼却、埋立てされていた混合プラスチックなどを、高度選別技術などにより家電製品の部品に利用するというプラスチックの家電製品の枠内で完結したリサイクルを実現しています。

序-2-17図	冷蔵庫部品のリサイクルの例

また、バイオマス系廃棄物のリサイクルは、従来は、堆肥化が基本でしたが、バイオマス系廃棄物からのメタン回収・利用のほか、廃木材などのエタノール化による自動車燃料利用、廃食用油のメタノールによる燃料化といった、バイオマス系廃棄物の利用に向けた高度な技術が開発されています。このようなバイオマス系廃棄物の高度な利用技術は、地球温暖化対策にもつながる技術としても注目されています。
オ 焼却処理の技術
我が国では、公衆衛生の観点から、従来から廃棄物の焼却処理に取り組んでおり、徹底的なダイオキシン類対策の実施との相乗効果もあり、廃棄物の中間処理技術の面で大きな発展がみられました。
例えば、焼却温度の管理徹底による排出ガス対策技術や、焼却に伴って発生する熱を回収して発電などに有効活用する技術が実用化されています。ごみ焼却施設での総発電量の推移をみると、平成12年度から平成15年度の3年間で約1.5倍に増加しています。

序-2-18図	総発電量の推移

また、最近では、高炉の技術や石炭の熱分解技術を取り入れ、熱分解ガス化方式の焼却炉も実用化されています。熱分解ガス化方式は、焼却・熱回収技術の最先端技術であり、品質の良いメタルの回収が可能であること、排ガス量が小さいため排ガス処理設備をコンパクトにできることや残さ(スラグ)の減量効果が大きいなどの点で優れた技術です。また、残さも路盤材としての利用が可能となるほか、最終処分場の容量確保にも大きく貢献するといった特長もあります。
カ 最終処分の技術
適正処理・リサイクルを行っても最終的に残る残さの最終処分については、1)最終処分量の削減、2)最終処分するものの無害化、3)最終処分場の構造の高度化、4)最終処分場からの浸出液処理の高度化などが図られています。具体的には、遮水シートなどにより最終処分場からの浸出水を遮断し、集めた浸出水を処理設備で処理するといった、汚染防止技術が確立されています。また、焼却・熱回収の普及により最終処分される一般廃棄物は無機系のものが主流になってきており、重金属の溶出による地下水汚染への懸念などから、二重遮水シートの導入やクローズドシステム処分場(雨水の入らない屋根付き処分場)などが導入されています。

写真	屋根付最終処分場(桝形山最終処分場)(出典)南魚沼地域広域連合HP


(2) ライフスタイルの変革に向けた新たな取組
循環型社会の形成のためには、技術だけでなく、国民一人ひとりが、自然を敬い、限りある資源を大切に使うという「もったいない」の心を持ってライフスタイルを転換し、環境への負荷を低減する具体的な行動へと結び付けていくことが今後の重要な課題となっています。
こうした観点から、現在、欧州のスローフード*50の取組や、米国でのLOHAS(Lifestyles Of Health and Sustainability:健康と環境面を中心とした持続可能性を重視したライフスタイル)*51にみられるような、生活を豊かにしつつ、持続可能な社会を実現していく新しいライフスタイルへの転換を図っていくことが必要となっています。我が国でも、自然と調和した新しい豊かさを求めるスローライフといった考え方が出てきており、こうした国民の新しいライフスタイルへのニーズの高まりを受けて、様々な雑誌などが出版されています。

写真	新たなライフスタイルを提案する雑誌の例

こうした新しいライフスタイルを実現していくためには、一人ひとりの意識転換はもとより、それぞれの生活に根ざした地域コミュニティ全体での活動を活発にしていくことも重要です。以下では、そのきっかけとなり、新たなライフスタイルの変革の展開に結び付くような現在の取組例を紹介していきます。

*50 伝統的な食材や料理を守り、質の良い食材を提供する小生産者を保護し、消費者に味の教育を行うという食生活を見直そうという運動です。イタリアで始まり、世界的に広まっています。
*51 スポーツジムやヨガに通い、食生活に気を配り、アートに興味を持つなど自己啓発に努め、社会貢献している企業の製品や環境負荷の低い商品を選択するというような、心と体の健康と地球環境に配慮したライフスタイルを志向する人が増えています。こういった健康と持続可能性を重視するライフスタイルをLOHASといいます。LOHAS とはLifestyles Of Health And Sustainabilityの頭文字をとった言葉です。

ア ふろしきの普及などの生活に根ざした取組
ごみを出来るだけ出さないようにすること(リデュース)は、日常生活で最も身近にできる取組ですが、最近の廃棄物の発生量などからみると、逆に最も進んでいない取組ということもできます。特に、包装用紙やレジ袋など、一度しか使わずにごみとして捨てられる容器包装などの量は、年間で約60万tにも上っており、こうしたごみを減らしていくことが重要です。
例えば、我が国の伝統物品である「ふろしき」は、何度でも再利用できますし、破れにくく、収納に場所をとらない、贈る人や季節によって好きな色柄が選べるなど、多くの優れた点を持っています。また、果物でも、酒ビンでも、大きさや形を問わずに包めます。これは、そのものの本来の値打ちを無駄にすることなく生かしていこうという「もったいない」*52という考え方に根ざした、日本の文化ともいえるものです。

写真	もったいないふろしき

こうした我が国の文化を踏まえた、ものを大切にするライフスタイルのシンボルとして、環境省では、ふろしきの普及を始め、買い物の際のマイバッグの携行など、普段の生活に根ざしたごみを出さない取組を推進しています。
特に、我が国の伝統文化と最先端のリサイクル技術を融合させ、ペットボトルを再利用した布地に、江戸時代の画家、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の花鳥図をあしらった「もったいないふろしき」を作成しています。こうしたふろしきを国際会議などの場で活用していくことにより、循環型社会を築いていた江戸時代のふろしき文化を、日本だけでなく、世界にも広げていきます。

*52 こうした「もったいない」の考え方は、平成17年にノーベル平和賞受賞者でケニア環境副大臣のワンガリ・マータイさんが来日した際に感銘を受け、国連の「女性の地位向上委員会」閣僚級会合などで紹介されたことを契機に、世界に広まっています。

コラム 6 ふろしきの包み方

環境省では3Rの取組のシンボルとして日本の伝統的な「環境の技」であるふろしきの復活を提唱しています。少し前まではどの家庭にもふろしきは普通に使われていたはずですが、今はタンスの引き出しの奥に眠っているのではないでしょうか。
ふろしきは汚れても洗えば繰り返し使え、レジ袋などの包装材の削減につながります、と言われても「包んで結ぶ」ことができないから使い勝手が悪いと思われている方は多いのではないでしょうか。
ここでいくつか、ふろしきの包み方を紹介します。慣れれば思ったより簡単で、持ち歩きにかさばらないためとても便利です。

(包み方監修 ふろしき研究会 森田 知都子)

コラム6	ふろしきの包み方 写真1
コラム6	ふろしきの包み方 写真2


イ 市民による身近な暮らしの中での取組
我が国では、地域住民による自主的な取組として、町内会・自治会、PTAなど、地域の市民で組織される団体により、以前のはえ・蚊の駆逐などの公衆衛生活動から発展して、古新聞・古雑誌・古着などの資源化物を回収して資源回収業者に引き渡す活動(資源集団回収)などが全国各地で行われています。これは、我が国で伝統的に形成されてきた地縁的な結び付きを基本に、地域全体で有益な活動を共同して行うものであり、規模や広がりなどの点で世界的にも珍しい我が国独自の活動として、そのネットワークを一層活用していくことが重要です*53。また、地方公共団体は、こうした資源集団の回収の活動を促進するため、助成金の交付などを通じて側面的な支援を行っています。
この資源集団回収での回収量は平成15年度で約283万tに上り、10年間で約1.5倍に増加しています(平成5年度実績約192万t)。また、資源集団回収の状況をみると新聞紙などの紙の回収量が集団回収量の約9割を占めています。資源集団回収は、分別の徹底によるごみの減量面や、平成15年度実績で一般廃棄物総資源化量約916万tの約3割を占める資源化の面で大きな役割を果たしています。

*53 こうした自治会・町内会などの地区組織によるネットワークの例として、(社)全国地区衛生組織連合会による取組などが挙げられます。

序-2-19図	集団回収の状況


コラム 7 資源集団回収の取組事例

○ 世田谷区での年間回収実績に応じた加算金の支給
東京都世田谷区では、町会・自治会、地域のグループ、学校PTA、集合住宅管理組合などの集団回収を実施する10世帯以上で構成された地域の住民団体に対して報奨金を交付するとともに、1年間に回収した合計実績に応じて加算金を支給しています。また、電動缶プレス機、台車、回収場所のぼり旗などの活動物品の貸出しを行っています。

コラム7	資源集団回収の取組事例 表

○ 仙台市での資源回収用保管庫の貸与や手引きなどの提供
宮城県仙台市では、市に登録した資源回収業者と連携しながら、対象品目(古紙類、布類、アルミ缶及び再使用びん)を年間を通じて継続的に回収するおおむね50世帯以上の子供会や町内会などの団体に対し、奨励金を交付しています(奨励金の計算方法は、実施月数割額(1,000円×実施月数)+回収量割額(3円/kg×回収量))。また、資源物を随時持ち込めるよう、資源物保管庫を無償で貸し出しているほか、手引き、回覧用リーフレット、集積所表示幕の提供などの支援策も講じています。
○ 武蔵野市でのチラシなどの印刷や自主研修の支援
東京都武蔵野市では、回収対象品目は、新聞、雑誌、ダンボール、ボロ布、缶、アルミ類、牛乳パック及びびんで、集団回収団体に対し、回収量の1kgに対して10円(びんは1本につき0.7kgで換算)と、事務費補助として年額4,000円の補助金を交付しているほか、当該団体と協力して集団回収を行う資源回収業者にも、回収量の1kgに対して2円の補助金を交付しています。
また、集団回収を円滑に行うために、のぼり旗などの用品の貸出し、集団回収を行うためのチラシや活動報告の印刷、リサイクル施設の見学や講演会の開催などの自主研修の支援その他集団回収をするための「なんでも相談」などを実施しています。

ウ 将来世代の意識改革に向けた教育の充実
循環型社会の形成の取組は、一定の程度に達したことによって目的を終えるものではなく、将来にわたって持続的・継続的に進めていくべき性格を持っています。こうした性格から、将来、社会の中心となる子ども達に対して、循環型社会の重要性や、具体的な取組について意識を高めていくことが重要となっています。
こうした子ども達に対する教育の取組の代表例として、地方公共団体と連携して、子ども達が地域の中で楽しみながら自主的に環境活動・学習を行うことを支援するこどもエコクラブ事業を推進しており、各地域において、子ども達が周囲の大人と一緒に多彩な環境保全活動を展開しています。
こどもエコクラブは、2人以上の仲間と活動を支える大人(サポーター)が集まれば、家庭、地域、学校など、どのような形態でも登録でき、登録を行うと、環境活動などに役立つ情報や他のクラブの活動紹介を掲載した、会員手帳やニュースレターが配布されます。
活動の内容は、まちの清掃活動、川での自然観察や自然体験活動など、子どもたちの興味や関心に基づいて、自由に取り組むことができ、ごみやリサイクルをテーマにした取組も進んでいます。
また、地域におけるエコプラザなどの学習拠点において子ども達への学習を効果的に進められるよう、容器包装リサイクル教材の整備と講師となる人材のネットワーク作りにも取り組んでいます。

コラム 8 こどもエコクラブの事例

こどもエコクラブの活動内容は、まちの清掃活動、川での自然観察や自然体験活動など、子どもたちの興味や関心に基づいて、自由に取り組むことができます。その中で、ごみやリサイクルをテーマにした事例をいくつか紹介します。
千厩(せんまや)川の清掃活動
毎年千厩川のごみ拾いをしています。そのおかげで今年初めてホタルを見ることができました。今回もたくさんのボランティアの人や、町内会の人がそうじに参加していて、きれいにすることへの関心が深まっているのだと感じました。多くの人が参加したので、たくさんのごみを拾うことができました。川がきれいになって、もっとたくさんのホタルが戻ってきてほしいです。
【ボーイスカウト千厩第1団】岩手県一関市

コラム8	写真1

地球のために私たちにできること
「リサイクルマーク調べ」や「3R」などのいろいろなテーマ別にグループに分かれて、一学期に環境について調べたことをみんなに発表しました。清掃(せいそう)工場や水の科学館で教えてもらったことや、パソコンや本で調べたことを実際に取り組んで、環境を守っていきたいと思いました。
【延山エコ隊】東京都品川区

コラム8	写真2

須磨海岸クリーン作戦
身近な海を美しくするためにごみ拾いをしました。見た目はきれいな海水浴場でしたが、よく見るとごみの多さにびっくりしました。あき缶・ビン・ペットボトルにそれぞれポイントをつけて、グループに分かれて高ポイントめざしてゲームをしながら海をきれいにしました。ヘルメットやペンキの缶などいろいろなものが捨てられていました。中でも多かったのがタバコのすいがらでした。これからもきれいな海を守るために活動を続けていきたいです。
【ヨーケンスポーツクラブ】兵庫県神戸市

コラム8	写真3


エ グリーン購入の新たな展開
循環型社会の形成のためには、リサイクル品などの作り手の取組だけでなく、環境負荷の低減に役立つ物品やサービスに対する受け手を確保していくことも重要です。このため、平成12年に制定された「国などによる環境物品などの調達の推進などに関する法律」(グリーン購入法)によって、需要面からの取組が進められています。
グリーン購入法では、環境負荷の低減に役立つ物品やサービスを「環境物品等」と呼び、国(国会、各府省、裁判所)などは、「環境物品等」の調達を図るための方針を策定・公表し、具体的目標を定めて取組を進め、毎年度、実績を公表することとされているほか、地方公共団体などや、事業者・国民もそれぞれができる限り、「環境物品等」を選んでいくように努力することとされています。「環境物品等」の内容については、科学的な知見を踏まえて、学識経験者などから構成されている「特定調達品目検討会」*54で審議され、平成17年度までに17分類、214品目が指定されています。

2-1-6表	各特定調達品目及びその判断の基準等(全214品目)

既に国の機関が一般事務に共通して使用する主な物品については、ほぼ環境物品等としての指定が終わっている中で、今後は、これらの物品等に対して、適切な基準強化を行っていくことが大きな課題となっています。
また、グリーン購入の取組を日常生活で実施していくためには、例えば、製品の製造のためにどのような環境負荷が生じているのか、一般の物品に比較して、個々の環境物品がどの程度環境負荷を低減させる効果があるのかといった、環境物品等に対する情報が消費者に提供されていることが重要です。
このため、国は、ホームページを作成して、グリーン購入法の枠組みや環境ラベル、環境物品等の内容などの情報提供を行っています。また、企業・行政・消費者の緩やかなネットワークとして、全国の多種多様な企業や団体が同じ購入者の立場で参加し、平成8年にグリーン購入ネットワーク(GPN)*55が設立され、様々な勉強会・イベントの開催や地域ネットワークの構築が図られています。

*54 特定調達品目及びその判断の基準などについては、科学的知見に基づき検討を実施することが必要です。そのため、環境省では学識経験者などによって構成される特定調達品目検討委員会(座長:山本良一東京大学生産技術研究所教授)を設置しています。
*55 グリーン購入ネットワークの会員数は、2,861団体(企業2,262 行政317 民間団体282(平成18年1月12日現在))に上っており、幅広くグリーン購入の普及啓発を行うとともに、優れた取組事例の表彰・紹介、購入ガイドラインの策定、環境に配慮した商品情報をまとめたデータベースづくり、国内外における調査研究活動、地域ネットワークの立ち上げなどを通じて、消費者・企業・行政におけるグリーン購入を促進しています。

写真	GPN設立10周年記念フォーラムの状況(出展)GPN


3. これまでの取組を踏まえた廃棄物・リサイクル対策の現状と今後の目標

ここでは、これまでの我が国の個別の取組を踏まえて、その進展状況を廃棄物の発生量などのデータに沿ってマクロ的に俯瞰しています。その中で、我が国の状況の特徴をみると、まず、廃棄物の発生量は、我が国の経済発展に伴って、特に高度成長期に大きく増加し、現状でもほぼ横ばいの水準となっていることから、その削減が重要な課題となっています。次に、リサイクルなどによって循環的に利用されている資源の程度については、様々なリサイクル制度の充実による伸びが見られますが、必ずしも高い水準とはなっていないものもあります。さらに、どうしても利用できなくなった廃棄物の最終処分量については、年々減少がみられているものの、処分場の残余容量などからすると、一層削減を図っていくことが重要になっています。以下では、それぞれの内容ごとに、我が国の状況と課題を見ていきます。

(1) 廃棄物・リサイクル関係の経年的データの整理
ア 廃棄物の発生量の推移

(ア)一般廃棄物排出量の推移
一般廃棄物の排出量は、昭和58年度から平成2年度までは、急激に増加していました。このため、平成3年の廃棄物処理法の改正では、1)廃棄物の排出抑制、廃棄物の分別・再生を法律の目標に位置付け、2)関係者の責務として、国民には排出抑制や再生品の使用、分別などによって国や地方公共団体に協力すること、事業者には製品などが廃棄物になった場合の自己評価・情報などの提供を行い国や地方公共団体に協力すること、事業者には製品などが廃棄物になった場合の自己評価・情報などの提供を行い国や地方公共団体に協力することなどが追加されました。
その後、平成3年以降から平成14年度までは、一般廃棄物の排出量は高い水準のまま横ばい状態が続いています。この間、一般廃棄物の中に占める割合の大きい容器包装廃棄物のリサイクルを推進するため、平成7年に容器包装リサイクル法が制定されました。また、平成10年には家電リサイクル法、平成12年には食品リサイクル法が制定されています。

序-2-20図	一般廃棄物排出量の推移


(イ)産業廃棄物排出量の推移
産業廃棄物の発生量は、一般廃棄物と同様に、平成2年度までは、急激に増加していました。平成2年度以降は、4億t前後で大きな変化はなく、バブル経済の崩壊後はほぼ横ばいとなっています。

序-2-21図	産業廃棄物排出量の推移

イ リサイクル率の推移*56
一般廃棄物のリサイクル率は、平成2年度以降、着実に上昇しています。これは、平成3年の廃棄物処理法の改正において、一般廃棄物の分別・再生などの考え方が法律の目的に位置付けられて市町村での分別収集の取組が推進されたことや、平成7年に容器包装リサイクル法が制定されたことなどがあいまった影響が大きいと考えられます。
また、産業廃棄物のリサイクル率については、平成2年度から平成8年度までは、横ばいからやや減少傾向でしたが、平成9年度以降、着実に上昇しています。平成9年度以降の産業廃棄物をめぐる状況を見ると、平成9年及び平成12年の廃棄物処理法の改正で、排出事業者責任の強化、廃棄物処理施設設置手続の強化、不法投棄などの不適正処理に対する罰則の大幅な強化などが行われています。このほか、平成12年度に制定された建設リサイクル法が平成14年度に完全施行され、平成14年度に制定された自動車リサイクル法が平成16年度に完全施行されました。

*56 一般廃棄物リサイクル率:[直接資源化量+中間処理後の再生利用量+集団回収量]÷[ごみの総処理量+集団回収量]

産業廃棄物リサイクル率:[直接再生利用量+中間処理後再生利用量]÷排出量

序-2-22図	リサイクル率の推移

ウ 最終処分量の推移
平成7年の容器包装リサイクル法の制定以降の各種リサイクル法の制定などもあり、廃棄物の最終処分量の削減は、一般廃棄物、産業廃棄物ともに、ここ十数年来で大きく進展しています。一般廃棄物については、平成元年度に約1,700万tであった最終処分量が平成15年度には約850万tとなり、約半分に削減されています。また、産業廃棄物については、平成元年度に約9,100万tであった最終処分量が平成15年度には約3,000万tとなり、約3分の1に削減されています*57

*57 環境省「一般廃棄物処理業実態調査」及び「産業廃棄物排出・処理状況調査」より。

序-2-23図	最終処分量の推移


(2) 循環型社会の形成のための枠組みと今後の目標
我が国では、これまで説明したような取組について、取組の基本的考え方などを定めた循環型社会基本法に即して、一貫性を持って廃棄物処理法や様々なリサイクル法などの枠組みを整備しています。また、これらの枠組みに基づく個別の施策を効果的に進め、循環型社会の形成を着実に図っていくため、平成15年3月に閣議決定された循環型社会基本計画において、数値目標を定め、政府一体として取組を進めているほか、その進捗状況について、中央環境審議会の場でフォローアップを行っています。
ア 循環型社会の形成に向けた枠組み
循環型社会の形成に向けた枠組みとしては、我が国では、循環型社会の形成の基本原則や、関係者の責務などを定めた循環型社会基本法に基づく法体系を整備し、これらの法制度などに基づいて、具体の施策を位置付けた循環型社会基本計画を策定し、数値目標を定めて取組を進めています。

(ア)循環型社会基本法に基づく法体系・基本原則
循環型社会基本法では、循環型社会の内容、排出者責任や拡大生産者責任の考え方を施策の基本理念として定めているほか、循環型社会の実現に向けて、循環資源の循環的な利用・処分のための基本原則、関係者の責務などを定めています。循環型社会基本法を上位法として、廃棄物処理法や各種リサイクル法などを含めた法体系などは、こうした内容に即して整備されています。

(イ)循環型社会基本計画における目標とその進捗状況
循環型社会基本法に基づく個別の施策については、平成15年3月に循環型社会基本計画を閣議決定・国会報告し、その着実な実施を図っています。
また、循環型社会基本計画は、平成14年9月のヨハネスブルグ・サミット実施計画に基づき、各国が策定する持続可能な生産・消費形態への転換を加速するための10年間の枠組みとしても位置付けられています。
特に、循環型社会基本計画では、物質循環の流れ(物質フロー)と関係主体の取組については、平成22年度を目標年度として、各種の数値目標を設定して、取組の進捗状況の定量的な把握を図っています。
a 物質フロー指標
循環基本計画では、物質フローの「入口」、「出口」、「循環」に関する3つの指標に目標を設定しています。
「入口」については、社会に投入される天然資源などが、それ自身の有限性や採取に伴い環境負荷が生ずること、また、投入されたものがいつかは必ず廃棄されることを考えれば、その投入量の少なさが循環型社会形成の重要な目安となると考えられます。具体的には、GDP(国内総生産)を天然資源等投入量で割った「資源生産性」を指標としています。
次に「出口」については、廃棄物の最終処分場のひっ迫という課題に直結した指標である「最終処分量」(廃棄物の埋立量)を指標としています。
最後に、この最終処分量を減らすには3Rの取組が重要となりますが、「循環」については、これらの対策に直接かかわる指標として「循環利用率」を指標としています。この「循環利用率」は、社会に投入される資源のうち、どれだけ循環利用(循環型社会基本法にいう再使用・再生利用)された資源が投入されているかを表す指標です。
それぞれの指標について、平成22年度を目標年度とした数値目標と、その最新の達成状況をみると以下のとおりです。
1) 資源生産性(=GDP/天然資源等投入量)
資源生産性を平成22年度において、約39万円/tとすることを目標とします(平成2年度[約21万円/t]から概ね倍増、平成12年度[約28万円/t]から概ね4割向上)。なお、平成15年度は約31.6万円/tでした。

序-2-24図	資源生産性の推移

2) 循環利用率(循環利用量/(循環利用量+天然資源投入量))
循環利用率を平成22年度において、約14%とすることを目標とします(平成2年度[8%]から概ね8割向上、平成12年度[10%]から概ね4割向上)。なお、平成15年度は約11.3%でした。

序-2-25図	循環利用率の推移

3) 最終処分量(=廃棄物の埋立量)
最終処分量を平成22年度において、約28百万tとすることを目標とします(平成2年度[約110百万t]から概ね75%減、平成12年度[約56百万t]から概ね半減)。なお、平成15年度は約40百万tでした。

序-2-26図	最終処分量の推移

b 取組指標
さらに、循環型社会基本計画では、様々な関係主体による具体的な取組の進展度を測る指標として、物質フロー指標と同様に、平成22年度を目標年度として、序-2-7表のように「取組指標」に関する様々な目標を設定しています。

序-2-7表	取組指標に関する目標

イ 現状を踏まえた今後の展望
これまでの取組の進捗状況を的確に把握し、その実施に反映していくため、中央環境審議会循環型社会計画部会(部会長:武内和彦東京大学大学院教授)では、平成16年度から毎年度、循環型社会基本計画の進捗状況について、国や地方公共団体、事業者などの関係主体からヒアリングを行うことなどを通じてフォローアップを行い、課題を整理しています*58

*58 同審議会では、平成16年度には、5回の部会、平成17年度には、4回の部会を実施しました。これらの審議の成果については、とりまとめて閣議に報告されています。その際には、地方公共団体や地域のNPO/NGO、事業者などからヒアリングを実施し、地域や業界の実態を的確に把握・反映しています。

(ア)各種指標の状況
直近に行われた平成17年度の審議における主な指摘では、まず物質フロー指標については、ここ数年は上昇傾向にあるものの、最新の動向や将来の傾向を推計できるような新たな工夫をすることなど、政策ニーズを踏まえて指標を充実させていくことなどが重要となっています。また、政府の施策や事業者の優れた取組の成果がどのように指標に反映されているかが分かりにくいことなどから、具体的な施策・取組との関連性をより高めることが重要となっています。
また、取組指標については、循環型社会の形成に向けた国民一人ひとりの意識変革を進め、ごみの一人当たりの発生量の減少を始めとして、具体的な行動に結び付けていくことが最大の課題となっています*59

*59 例えば、平成15年度の「一般廃棄物の減量化」をみると、一人一日当たりの家庭からのごみの排出量(資源回収されるものを除く)は、約600gであり、平成12年度に比べての削減幅は約4.1%に止まっています。

(イ)今後の展望
これまでの取組の状況を概観すると、我が国の廃棄物対策は、急激な経済発展により、潜在的には廃棄物となる製品の生産が著しく増大していく中で、一定の成果を挙げてきています。
例えば、昭和40年を基準に、経済発展の程度を示すGDPと国民一人当たりのごみの排出量を比較してみると、国民一人当たりのGDPが著しく増加しているのに対して、ごみの排出量は横ばいで推移しています。

序-2-27図	GDPと1人当たりごみ排出量の推移

また、廃棄物の出口である最終処分量についてみても、前にみたとおり、平成元年に比較して、産業廃棄物で約3分の1、一般廃棄物で約半分にまで削減してきています。
しかしながら、こうした現状も、様々な課題を含んでいます。ごみの排出量は、その削減を進めていくという観点からは、必ずしも望ましい状況とはなっていない面があるほか、最終処分場の確保も引き続き進めていかなければならない状況となっています。
循環型社会の形成に向けた取組の成果は、常に改善が求められるものであり、これで十分ということはありません。今後は、循環型社会基本計画における目標の着実な達成を一層進めるとともに、同計画は策定時から概ね5年程度を目途に見直すこととされていることから、新たに策定する循環型社会基本計画の中で、情勢の変化に応じて、必要な対応を図っていくことも重要です。


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