循環型社会白書の刊行に当たって

環境大臣 小池百合子


廃棄物などのリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)という「3R」を通じて、資源の消費を減らし、環境への負担の少ない循環型社会を構築していくことは、資源に乏しい我が国が持続可能な発展を実現していくために必要不可欠な課題です。
私は、循環型社会づくりを進めていく基本は、私たち一人ひとりの意識と行動を変えていくことだと思います。そこで、こうした生活改革に向けた一歩を踏み出すきっかけになるよう、伝統文化を活かして、ペットボトルをリサイクルした布地から、「もったいないふろしき」と名付けたふろしきをつくりました。
ふろしきは、繰り返し何度も使えるほか、中に包むものに関係なく形を変える柔軟性もあり、レジ袋など、私たちの身近なごみを減らすのに役立つ優れものです。こうしたふろしきをシンボルとして、3Rの国民的運動を展開していきたいと考えています。

【もったいないふろしき】江戸時代の画家、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の花鳥図をあしらったもので、我が国の最先端のリサイクル素材を使っています。写真は、トリノ・オリンピック壮行会で村主章枝選手に「もったいないふろしき」を手渡す小池環境大臣。写真提供:フォート・キシモト

今日、3Rの流れは、国際的にも大きく広がっています。一昨年のG8サミットで合意された「3Rイニシアティブ」を踏まえて、昨年4月に私が議長として主催した「3Rイニシアティブ閣僚会合」で、各国は取組を本格的に開始し、日本も「ゴミゼロ国際化行動計画」を発表しました。また、本年3月には、東京で、G8諸国やアジア地域などの20ヶ国以上の参加を得て、「3Rイニシアティブ高級事務レベル会合」を開催し、3R推進のための国際的な協力などについて、実践的な意見交換を行っています。
こうした流れを受けて、今後も引き続き、国内はもとより、日本がリーダーシップを取って各国と連携・協働し、東アジア地域を中心に、国際的にも循環型社会づくりを進めていくことが必要です。
このため、今年の循環型社会白書は、「我が国から世界に発信する循環型社会づくり」をテーマに、日本の経験、すなわち、経済発展が優先されて廃棄物が社会問題となっていた時期を経て、この十数年、循環型社会の構築に向けた政策改革を行ってきた道程をとりまとめています。
また、アジアを中心に、国際的に広く展開することが求められる3Rの取組について、日本の基本的な考え方を提示しています。
私は、この白書を通じて、こうした日本の経験と3R国際展開の考え方を世界に発信し、各国と協力して循環型社会づくりの環を拡げていきたいと考えています。
この白書が、国内外で循環型社会を実現していく上で、世界共通の財産として広く活用され、具体の行動を進めていく一助になれば、これに勝る喜びはありません。

平成18年5月


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