第3章 循環型社会の形成に向けた各主体の取組


第1節 国民、民間団体等の取組事例


 現在、様々な取組が進められていますが、ここでは、NGO等民間団体レベルにおける取組の例を見てみましょう。
 民間団体の元気なごみ仲間の会は、平成13年度から「市民が創る環境のまち『元気大賞』」を創設し、全国各地域で先進な取組を行っているNGO等民間活動団体を表彰しています。
 平成16年度に表彰された先進的な取組の例は以下のとおりです。
 1)大町市内に張り巡らされた農業用水路の落差溝を活かした、小規模水力発電による自然エネルギーの開拓や水車を使用した地場特産品づくり、遊びや学習、名所づくり等の地域おこしを進める「NPO地域づくり工房」
 2)北陸新幹線の建設にともない解体破棄される予定の煉瓦車庫の歴史的価値、文化的な価値を見直し、レンガ車庫フェスティバルやライトアップを行うなど、歴史的建造物を生かした街作りを目指す「糸魚川レンガ車庫保存・活用研究会」
 3)無農薬栽培による農業塾を開設し、同時にパン作りや、しめ縄作り、餅つき、リース造りなどの活動を通じ、自然を媒体とした都市と農村の交流を深める「農業塾「附地農楽校」」
 4)地域ぐるみで地域版の簡易的環境ISOの取得を進め、商店街や学校に展開を図るなど、環境をキーワードに地域を活性化する活動を行っている「地域ぐるみ環境ISO研究会」
 5)6つの生協団体がネットワークを作り、リターナブルびん容器の規格を統一し、加盟生協団体でのリターナブルびんの自主回収を行いリユースの取組を行いつつ、リターナブルびんの環境的なメリットに注目し一般市場への呼びかけを行っている「びん再使用ネットワーク」
 6)地域のイベントにおいてごみ箱の代わりにリユース・リサイクルステーションを設け、入場者が自分で容器を洗い分別してもらいスタッフが分別の仕方や回収後の行方等の説明、リユース食器の貸し出しやマイ食器持参運動を行うなど、3Rの活動を行っている「イベントのごみゼロ研究会」



コラム 14 “箸”と“割り箸”の話

 “箸”は、弥生時代に中国から伝わりましたが、当時は祭器として使用されていたようで、まだまだ人々の食事は手づかみでした。飛鳥時代には聖徳太子によって、箸を使って食べる中国式の食事方法が取り入れられ、奈良時代には竹や木を削った箸を一般の人々も使うようになりました。
 江戸時代になると、竹製の“割り箸”が使われ、江戸末期にはそば屋などで利用されていたようです。木製のいわゆる割り箸は、明治10年酒樽を作るときの余材を使って作られたのが始まりといわれています。
 では、現在どのくらいの割り箸が消費されているのでしょうか。林野庁によれば、日本国内で年間約250億膳もの割り箸が消費されているようです。これは、国民1人当たり年間200膳を消費している計算になりますが、驚くことは、そのうち外国産の割り箸が約90%以上を占めているということです。国内には大量に木材の蓄積があり、割り箸用の木材を国内で供給できる状況にありますが、輸送コストや労働コスト等の問題から、国産材の割り箸が割高となってしまった結果、主として東アジアや東南アジア諸国から輸入されてきており、現在では中国産のものが圧倒的なシェアを占めています。
 ところで、このような割り箸がどこで消費されているのかといえば、家庭で消費されることはもちろんですが、外食文化の普及とともに、飲食店やコンビニエンスストアの弁当などで消費されています。例えば、コンビニエンスストアでは、消費者に割り箸が必要かどうかの確認をしてくれます。このように、私たち消費者が循環型社会に向けた身近な取組として、割り箸に限らず、必要のないものは受け取らないといった行動を進めていくことが重要となっています。
 また、国産材の割り箸の多くは、丸太から柱や板をとった残りの端材を使って作られており、木材の特性を適切に活かしつつ無駄なく利用していく「木の文化」のあらわれといえます。また、消費者が国産材の箸を購入することは、日本の森林整備に必要な費用の一部を負担し、日本の森づくりの一翼を担うことにもつながります。
 以前、日本の「割り箸」が「使い捨て」文化として森林破壊の元凶のように批判されたことがありましたが、他に利用価値のない、捨ててしまうような間伐材や端材を割り箸に使うことは、立派な資源の有効活用です。家庭で使用した“割り箸”を、「捨てるのがもったいない」ということで、菜箸などに利用している家庭もあるようです。あなたはどんな“割り箸”をどのように有効利用しますか。
 割り箸の種類
 1.天削(てんそげ) ― 割り箸の頭部を斜めにカットしたものです。
 2.利休(りきゅう) ― 千利休が考案したものです。中央部をやや太くし、両端を細かく削って面を取り、バランスのとれた割り箸です。
 3.元禄(げんろく) ― 小判箸の2本の箸の接合部に溝を入れて割りやすくしたものです。
 4.小判(こばん) ― 丁六箸の角をおとして丸くしたものです。頭部から見ると小判型に見えるのでこの名がつけられています。
 5.丁六(ちょうろく) ― 角を取ったり、割目に溝を付けたりする加工が全く施されていないものです。

割箸の種類







コラム 15 リサイクルプラザ

 多くの地方公共団体ではリサイクル活動の拠点として、リサイクルプラザやリサイクルセンターといった施設を設置しています。両者の違いは、
 リサイクルセンター:収集ごみから再資源化可能なびん、缶、紙等を選別、回収する施設
 リサイクルプラザ :再使用が可能な不用品などを補修、再生して展示売却したり、リサイクル関係の情報や学習・研修の場ともなる機能を備えた施設です。
 ここでは、特にリサイクルプラザの一例についてご紹介します。
 リサイクルプラザは、ごみの減量化及び再生利用を推進・実践するための拠点施設で、市民を始め、消費者団体や市民団体等にごみの減量化やリサイクルに関する啓発を行い、大量消費ライフスタイルを見直す一方、施設を提供することによって、不用品の修理、交換等のリサイクルを通した人づくりや地域社会を形成していくとともにコミュニティ形成の場とすることを目的としています。
 大部分のリサイクルプラザでは、主に家具・自転車の修理や洋服の繕いなどが多く、また、修理を行っているだけではなく、講習会を行っているところもよく見かけられます。また、粗大ごみに出されたものを修理・整備したものを販売しているところも多くあります。リサイクルプラザには、不要品を売りたい人と中古品を買いたい人のための掲示板もあり、価格も「ただで上げます」というものから自分の思い入れを込めた価格までいろいろとあるようです。掲示板だけではなく、売ることも買うこともできる「リサイクルショップ」が併設されていることも多いようです。
 その他にも、ごみ・環境問題に関する情報などを公開し、企画展示や活動を通じて学習したり、参加者同士が交流できるコーナーや、環境図書やビデオ(貸出可)が設置されていたり、牛乳パックを使った紙すき・小物作りなどを行うなどいろいろと創意工夫がされているようです。
 リサイクルショップの目的は、家庭で「不要」となったものを「もう一度生かす」ための橋渡しをする場所であり、同時に「ごみ」を減らすという目的もあります。
 自分にとっては不要なものでも、他の人の役に立つものや利用できるものがあるのかも知れません。まず、お近くのリサイクルプラザがどこにあるのか、そして、「リサイクル」について考えてみましょう。




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