環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第3章>第6節 適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進

第6節 適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進

1 適正な国際資源循環体制の構築

不法輸出入対策について、関係省庁、関係国・関係国際機関との連携を一層進め、取締りの実効性を確保します。

特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(平成4年法律第108号)及びその政省令の改正等を通じて、国内外で発生した二次資源(使用済鉛蓄電池、電子部品スクラップ等)について、日本の環境技術の先進性を活かしつつ、リサイクルを適正かつ着実に進めます。

船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(シップ・リサイクル条約)に基づき船舶の適切な解体に向けて取組を進めます。

2016年5月に我が国で開催されたG7富山環境大臣会合で採択された「富山物質循環フレームワーク」や2017年6月にイタリアで開催されたG7ボローニャ環境大臣会合で採択された「ボローニャ・5ケ年ロードマップ」に基づき、資源効率性の向上や3Rの推進に関する取組を進めます。また、産業界、公的部門、研究機関、消費者等のステークホルダーがベストプラクティスを共有する場である「資源効率性のためのG7アライアンス」の活動に協力します。また、2015年のG7エルマウサミットで合意された「海洋ごみ問題に対処するためのG7行動計画」及び2016年富山環境大臣会合コミュニケ等を踏まえ、マイクロプラスチックのモニタリング手法の調和に関する取組を進めます。

2017年7月にドイツで開催されたG20ハンブルクサミットの首脳宣言で設立が合意されたG20資源効率性対話及び海洋ごみに対するG20行動計画等を通じ、G20全体での資源効率性の向上や3Rの推進、海洋ごみ対策の推進に貢献します。

経済協力開発機構(OECD)や国連環境計画国際資源パネル(UNEP-IRP)、UNEP国際環境技術センター(UNEP/IETC)、短寿命気候汚染物質削減のための気候と大気浄化のコアリション(CCAC)、バーゼル条約等の活動等に積極的に貢献します。

廃棄物収集や廃棄物由来固形燃料等の国際標準化に関する議論に参加します。

我が国とつながりの深いアジア・太平洋諸国において循環型社会が構築されるよう、アジア・太平洋3R推進フォーラム等を通じて、3R推進に関する情報共有や合意形成を推進するとともに、アジア太平洋地域3R白書等を通じた基礎情報の整備に努めるほか、日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)や北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)等を通じて関係国間での海洋ごみ対策に関する取組を進めます。

2017年9月に我が国が提案した「日ASEAN環境協力イニシアティブ」に基づき、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が実施する廃棄物発電施設の導入や適正な電子電気機器廃棄物の国際資源循環による環境・経済への影響分析に協力します。

相手国との協力覚書の締結や環境政策対話、両国が合同で開催する委員会、ワークショップ等、国際協力開発機構(JICA)等による専門家の派遣、研修員受入れ等を通じ、地方公共団体等とも連携しながら、相手国における循環型社会構築や3R推進、適正処分等を通じて、環境改善や衛生状態の向上につなげます。

2 循環産業の海外展開の推進

「インフラシステム輸出戦略」等に基づき、我が国の優れた廃棄物処理・リサイクル分野のインフラの国際展開支援を行います。具体的には、地方公共団体等とも連携しながら、途上国・新興国における廃棄物処理・リサイクル関連事業の実施可能性調査や個別案件のフォローアップを行います。また、研修・ワークショップ、専門家等の派遣、リサイクル関連技術・システム導入のための実証事業と相手国の自治体・政府との政策対話の一体的な実施等を進めます。

2017年7月に策定した「環境インフラ海外展開基本戦略」に基づき、途上国のニーズを踏まえた上で、我が国の優れた環境技術や制度を活用した質の高い環境インフラの輸出を促進します。実施に当たっては、二国間政策対話、地域フォーラムを活用したトップセールスやプロジェクト形成に向けた制度から技術、ファイナンスまでのパッケージでの支援を行います。

海外の循環産業の発展に貢献するため、産業廃棄物処理業における技能実習制度の活用など、人材育成の方策についての検討を進めます。

日本の災害廃棄物対策に係るノウハウを提供するとともに、関係機関と連携した被災国支援スキームの構築等に取り組みます。