環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第5章>第5節 国際的動向と日本の取組

第5節 国際的動向と日本の取組

1 国際協定等の動向

2006年2月に採択された国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM(サイカム))に沿って策定された、SAICM(サイカム)国内実施計画等に基づき、包括的な化学物質対策の確立と推進に向けて引き続き取組を進めていきます。

残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)については、新たに条約の対象物質として追加された物質に対応するため2016年10月に国内実施計画を改定しており、引き続き必要な措置を着実に講じていきます。また、東アジアPOPsモニタリングプロジェクトを通じ、アジア地域の国々と連携を図り、環境モニタリングを実施するとともに、残留性有機汚染物質(POPs)モニタリング能力の強化に向けた取組を進めていきます。また、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約(PIC条約)については、引き続き着実に履行します。GHSについては、利用促進及び普及啓発を図ります。国連環境計画(UNEP)等において地球規模での汚染防止対策の必要性が検討されている水銀、鉛、カドミウム等の有害金属については、引き続き、環境モニタリング等の調査研究を進めます。

経済協力開発機構(OECD)において、我が国は化学品委員会及び化学品・農薬・バイオ技術作業部会合同部会(JM)や、同合同部会の下での環境保健安全プログラムへの参加を通じ、化学物質安全性試験手法の開発を推進するとともに、工業ナノ材料作業部会の活動にも積極的に参加するなど、OECDの化学品分野における活動に積極的に参画・貢献します。また、欧州連合(EU)において段階的に施行されているREACH(化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則)を始め、アジア地域を含む諸外国の化学物質規制に関する情報を収集し、国民や産業界等に向けて発信します。

2 水銀に関する水俣条約

水銀による環境の汚染の防止に関する法律(平成27年法律第42号)等により、水銀に関する水俣条約(以下「水俣条約」という。)の発効時期を見据え、国、地方公共団体、事業者等の各主体が連携して、条約において規定されている事項に関する措置のみならず我が国独自の追加的な措置も講じつつ、水銀等のライフサイクル全体を管理する包括的な仕組みを総合的かつ計画的に実施していきます。また、国際協力を引き続き積極的に展開し、世界の水銀対策を主導することを通じて、地球規模の水銀に係る課題の解決に貢献していきます。特に、水俣条約締約国会議が2017年9月に開催予定であることを踏まえ、条約に規定されるガイダンス等の国際的なルール作り等、水俣条約の運用体制の整備に貢献するとともに、途上国における条約の締結や水銀対策を支援します。さらに、環境中の水銀モニタリング等の調査研究を引き続き進めるとともに、水銀に関する日米協力を更に発展させ、地域のモニタリングネットワークの構築を推進します。

また国、国際機関、NGO、民間企業等が連携し、効果的に水銀対策を進める自主的プログラムとしてUNEPが推進する世界水銀パートナーシッププログラムに、引き続き貢献していく他、条約採択の地である水俣から国内外へメッセージを発信していきます。

3 アジア地域との連携

「日中韓化学物質管理政策対話」を定期的に開催するなど、日中韓3か国における化学物質管理の連携・協力を推進します。