環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書>平成29年度 環境の保全に関する施策  平成29年度 循環型社会の形成に関する施策  平成29年度 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策>第1章 低炭素社会の構築>第1節 地球温暖化対策に係る国際的枠組みの下での取組

平成29年度 環境の保全に関する施策
平成29年度 循環型社会の形成に関する施策
平成29年度 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策

第1章 低炭素社会の構築

第1節 地球温暖化対策に係る国際的枠組みの下での取組

1 気候変動枠組条約に基づく取組

2016年11月4日にパリ協定が発効しました。我が国はパリ協定を踏まえ、世界規模での排出削減に向けて、長期的、戦略的に貢献していきます。このため、気候変動に関する国際連合枠組条約(以下「気候変動枠組条約」という。)第22回締約国会議(COP22)において合意された2018年におけるパリ協定の実施指針等の策定に向けて、積極的に交渉に臨みます。また、COP22で山本公一環境大臣が発表した「日本の気候変動対策支援イニシアティブ」を始めとする途上国の取組への支援も着実に実施します。

2 モントリオール議定書に基づく取組

オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第28回締約国会合(MOP28)において、地球温暖化防止の一助として、ハイドロフルオロカーボン(HFC)の生産及び消費量の段階的削減義務等を定める本議定書の改正(キガリ改正)が採択されました(改正議定書は、20か国以上の締結を条件に2019年1月1日以降に発効見込み。)。改正議定書の履行を着実に担保できる国内法制を遅滞なく整備し、我が国の締結に向けた必要な準備を進めていきます。

3 二国間クレジット制度(JCM)の推進

途上国への優れた低炭素技術等の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガスの排出削減・吸収への我が国の貢献を定量的に評価するとともに、我が国の削減目標の達成に活用する二国間クレジット制度(JCM)を引き続き構築・実施します。具体的には、日本政府が2015年7月に国連に提出した「日本の約束草案」の参考において、「JCM及びその他の国際貢献」として記されている「民間ベースの事業による貢献分とは別に、毎年度の予算の範囲内で行う日本政府の事業により2030年度までの累積で5,000万から1億トンCO2の排出削減・吸収量が見込まれる」としています。今後は、JCMをより一層効果的かつ効率的に実施する方針の下、更なるプロジェクト形成のための支援等を実施していきます。

4 気候変動枠組条約の究極的な目標の達成に資する科学的知見の収集等

地球温暖化対策に不可欠な科学的知見の一層の発展を視野に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の各種報告書の執筆に参加する専門家をサポートするなど、IPCCの活動に対する人的、技術的、資金的な貢献を行うとともに、IPCCの組織の一部であるインベントリ・タスクフォース(TFI)の技術支援ユニット(1999年より公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)内に設置)をホスト国として引き続き支援し、TFIの任務である国別の温室効果ガス排出・吸収量を計算するための国際的に合意された方法論の開発・改善に貢献します。

また、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の後継機の開発により、温室効果ガスの多点観測データを提供し、気候変動の科学、地球環境の監視、気候変動関連施策に貢献します。

さらに、環境研究総合推進費に関する取組としては、戦略プロジェクト「SLCPの環境影響評価と削減パスの探索による気候変動対策の推進(S-12)」及び「気候変動の緩和策と適応策の統合的戦略研究(S-14)」を引き続き実施します。

5 関連する国際機関等の取組

地球温暖化防止のため、今後の国際交渉の状況を注視しつつ、気候変動対策に取り組む意欲的な途上国に対する支援を実施することに加え、気候投資基金(CIF)、地球環境ファシリティ(GEF)、緑の気候基金(GCF)、気候技術センター・ネットワーク(CTCN)等の多数国間基金を通じた貢献、コベネフィット・アプローチ等に基づく二国間・多国間の技術・資金協力の推進、世界の産官学を集めたInnovation for Cool Earth Forum (ICEF)の開催を通じたイノベーションの加速、国際民間航空機関(ICAO)及び国際海事機関(IMO)における国際航空分野及び国際海運分野からの温室効果ガス排出削減に関する検討、短寿命気候汚染物質(SLCP)削減のための気候と大気浄化のコアリション(CCAC)を通じたブラックカーボン等の短寿命気候汚染物質の削減の取組等を引き続き実施します。