環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第2章>第3節 地域における人と自然の関係を見直し、再構築する取組

第3節 地域における人と自然の関係を見直し、再構築する取組

1 里地里山及び里海の保全活用に向けた取組の推進

里地里山は、集落を取り巻く二次林と人工林、農地、ため池、草原等を構成要素としており、人為による適度なかく乱によって特有の環境が形成・維持され、固有種を含む多くの野生生物を育む地域となっています。

このような里地里山の環境は、これまで農林業や生活の場として利用することにより維持されてきましたが、エネルギー革命や営農形態の変化等に伴う森林や農地の利用の低下に加え、人口減少や高齢化の進行により里地里山における人間活動が縮小してきており、生物の生息・生育環境の悪化や衰退が進んでいます。こうした背景を踏まえ、都市住民等のボランティア活動への参加を促進するため、環境省ウェブサイト等により活動場所や専門家の紹介等を行うとともに、地域や活動団体の参考となる里地里山の特徴的な取組事例を情報発信し、他の地域への取組の波及を図りました。

さらに、2015年に全国で500か所選定し、環境省ウェブサイト(http://www.env.go.jp/nature/satoyama/jyuuyousatoyama.html(別ウィンドウ))で公表した「生物多様性保全上重要な里地里山」について、2016年にはパンフレットを作成し、幅広い情報発信を行いました。

特別緑地保全地区等に含まれる里地里山については、土地所有者と地方公共団体等との管理協定の締結による持続的な管理や市民への公開等の取組を推進しました。

棚田や里山といった地域における人々と自然との関わりの中で形成されてきた文化的景観の保存活用のために行う調査、保存計画策定、整備、普及・啓発事業を補助する文化的景観保護推進事業を実施しました。

里海に係る取組は、第4章第4節3(3)オを参照。

2 野生鳥獣の保護及び管理の推進

(1)鳥獣の管理の強化

第1節3(1)を参照。

(2)科学的・計画的な保護及び管理

長期的ビジョンに立った鳥獣の科学的・計画的な保護及び管理を促し、都道府県における鳥獣保護管理行政の基本的な事項を定めた、鳥獣保護管理法に基づく「鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針」(以下「基本指針」という。)の改定を行い、2016年10月に第12次基本指針として策定しました。2017年4月を始期とする第12次基本指針では、鳥獣の管理の強化に伴う懸念への対応、捕獲情報等を収集する体制整備等の項目が新たに追加されました。

具体的には、全国的に指定管理鳥獣の管理が強化される中で、鉛製銃弾の使用に伴う鳥類の鉛中毒症例の増加等が懸念されるため、現状を科学的に把握するための効果的なモニタリング体制を構築することとしました。また、わなの使用に伴う錯誤捕獲の増加も懸念され、特に、指定管理鳥獣捕獲等事業においては、錯誤捕獲の情報を可能な限り収集し、その対策に活用することとしました。なお、鳥獣の保護及び管理は不確実性を有する自然を対象に取り扱うものであり、科学的かつ計画的な目標の設定を行いながら、順応的に見直していく必要があることから、国土全体の鳥獣の保護及び管理の状況を把握するため、最低限収集すべき情報の全国的な規格化を進め、捕獲される全ての鳥獣種の捕獲情報を収集する情報システムの整備を図ることとしています。

都道府県における第一種特定鳥獣保護計画及び第二種特定鳥獣管理計画の作成促進や鳥獣の保護及び管理のより効果的な実施を図るため、特定鳥獣4種(イノシシ、クマ類、ニホンザル、カワウ)の保護及び管理に関する検討会のほか、都道府県職員等を対象とした研修会を開催しました。2010年に作成した「特定鳥獣保護管理計画作成のためのガイドライン」のクマ類編について、その後の状況の変化等を踏まえた改訂版を作成しました。

さらに、都道府県による科学的・計画的な鳥獣の管理を支援するため、統計手法を用いて、ニホンジカ、イノシシの個体数推定及び将来予測を実施しました。

カワウの広域的な保護管理のため、東北、関東、中部近畿、中国四国、九州の各地域において、広域協議会又は連絡会を開催し、関係者間の情報の共有等を行いました。また、関東山地におけるニホンジカ広域協議会では、実施計画(中期・年次)に基づき、関係機関の連携の下、各種対策を推進しました。

渡り鳥の生息状況等に関する調査として、鳥類観測ステーション等における鳥類標識調査、ガンカモ類の生息調査等を実施しました。また、出水平野(鹿児島県)に集中的に飛来するナベヅル、マナヅル等の保護対策として、生息環境の保全、整備を実施するとともに、新たな越冬地の形成等を図るための事業を実施しました。

悪化した鳥獣の生息環境や生息地の保護及び整備を図るため、8箇所の国指定鳥獣保護区において保全事業を実施しました。

野生生物保護についての普及啓発を推進するため、愛鳥週間(毎年5月10日から5月16日)行事の一環として神奈川県において第70回愛鳥週間「全国野鳥保護のつどい」を開催したほか、第51回目となる小・中学校及び高等学校等を対象として野生生物保護の実践活動を発表する「全国野生生物保護実績発表大会」等を開催しました。

(3)鳥獣被害対策

侵入防止柵の設置、捕獲活動や追払い等の地域ぐるみの被害防止活動、捕獲鳥獣の食肉(ジビエ)利用の取組等の対策を進めるとともに、鳥獣との共存にも配慮した多様で健全な森林の整備・保全等を実施しました。

また、シカによる森林被害が深刻な地域において、広域的な捕獲のモデル的な実施等に対して支援しました。

そのほか、トドによる漁業被害防止対策として、出現状況等の調査や実証試験等を行いました。

(4)鳥インフルエンザ等感染症対策

2004年以降、野鳥及び家きんにおいて、高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認されていることから、「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」に基づき、渡り鳥等を対象として、全国でウイルス保有状況調査を実施し、その結果を公表しました。特に2016年11月から、野鳥及び家きんにおいて、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6亜型)が全国的に確認されたことから、関係機関と連携の上、野鳥監視重点区域の指定、野鳥緊急調査チームの派遣等の監視の強化を行ったほか、野鳥の死亡が続発したことから2016年12月に専門家グループ緊急会合を開催し、その検討結果を踏まえて、新たな発生地域の個体を優先的に検査するためのウイルス検査の効率化や、感染を防止する観点から野鳥の給餌のあり方を見直すことの周知徹底について、各都道府県に通知しました。また、人工衛星を使った渡り鳥の飛来経路に関する調査や国指定鳥獣保護区等への渡り鳥の飛来状況について環境省ウェブサイト等を通じた情報提供を行うなど、効率的かつ効果的に対策を実施しました。さらに、その他の野生鳥獣が関わる感染症について情報収集、発生時の対応の検討等を行いました。

3 生物多様性の保全に貢献する農林水産業の推進

国家戦略及び「農林水産省生物多様性戦略(平成24年2月改定)」に基づき、[1]田園地域・里地里山の保全(環境保全型農業直接支払による生物多様性保全に効果の高い営農活動に対する直接支援等)、[2]森林の保全(適切な間伐等)、[3]里海・海洋の保全(生態系全体の生産力の底上げを目指した漁場の整備等)など、農林水産分野における生物多様性の保全や持続可能な利用を推進しました。

また、企業等による生物多様性保全活動への支援等について取りまとめた農林漁業者及び企業等向け手引及びパンフレットを活用し、農林水産分野における生物多様性保全活動を推進しました。

(1)農業

水田や水路、ため池等の水と生態系のネットワークの保全のため、地域住民の理解・参画を得ながら、生物多様性保全の視点を取り入れた農業生産基盤の整備を推進しました。また、生態系の保全に配慮しながら生活環境の整備等を総合的に行う事業等に助成し、農業の有する多面的機能の発揮や魅力ある田園空間の形成を促進しました。さらに、農村地域の生物や生息環境の情報を調査・地理情報化し、生態系に配慮した水田や水路等の整備手法を構築するなど、生物多様性を確保するための取組を進めました。

生物多様性等の豊かな地域資源をいかし、農山漁村を教育、観光等の場として活用する集落ぐるみの取組を支援しました。

棚田における農業生産活動により生ずる国土の保全、水源のかん養等の多面的機能を持続的に発揮していくために、地域の創意と工夫をよりいかした「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」により、自然再生の視点に基づく環境創造型の整備を推進しました。

持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(平成11年法律第110号)に基づき、土づくりと化学肥料・化学合成農薬の使用低減に一体的に取り組む農業者(エコファーマー)の普及推進を図るとともに、有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号)に基づく有機農業の推進に関する基本的な方針の下で、栽培技術の体系化の取組等の支援、産地の販売企画力、生産技術力強化、販路拡大、施設の整備に関する支援を行いました。

(2)森林・林業

第4節2を参照。

(3)水産業

第4節5を参照。

4 絶滅のおそれのある野生生物種の保全

(1)レッドリストとレッドデータブック

レッドリストについては、2015年度以降、生息状況の悪化等によりカテゴリーの再検討が必要な種について、時期を定めず必要に応じて個別に見直しを行うこととしており、2017年3月には全分類群の一部の種についてカテゴリーを見直した「レッドリスト2017」を公表し、我が国の絶滅危惧種は3,634種となりました。なお、2012年度に公表した第4次レッドリスト掲載種の分布や生態、減少要因等を紹介した「レッドデータブック2014」を2014年度に取りまとめています。

また、既存のレッドリストでは評価対象としていなかった海洋生物(魚類、サンゴ類、甲殻類、軟体動物(頭足類)及びその他無脊椎動物の5分類群)について56種を絶滅危惧種として評価し、2017年3月に、最初の海洋生物のレッドリストとして公表しました。

このことから、環境省が選定した我が国の絶滅危惧種の総数は3,690種となりました。

(2)希少野生動植物種の保存

2013年の改正(2014年6月1日施行)により、種の保存法に広告規制等が新しく追加されたことから、インターネット取引を含む希少野生動植物種の違法取引削減に向けた取組等を進めました。種の保存法に基づき、捕獲や譲渡し等を規制するべき種である国内希少野生動植物種として、哺乳類9種、鳥類37種、爬虫類7種、両生類11種、汽水・淡水魚類4種、昆虫類41種、陸産貝類17種、甲殻類4種、植物78種の208種を指定しています(2017年1月現在)。そのうち63種について50の保護増殖事業計画を策定し、生息地の整備や個体の繁殖等の保護増殖事業を行っています(図2-3-1)。また、同法に基づき指定している全国9か所の生息地等保護区において、保護区内の国内希少野生動植物種の生息・生育状況調査、巡視等を行いました。

図2-3-1 主な保護増殖事業の概要

ワシントン条約及び二国間渡り鳥条約等に基づき、国際的に協力して種の保存を図るべき707分類を、国際希少野生動植物種に指定しています。

絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖事業や調査研究、普及啓発を推進するための拠点となる野生生物保護センターを、2016年3月末現在、8か所で設置しています。

特にトキについては、野生下において40羽が無事巣立ち、5年連続となる野生下での繁殖成功となりました。そのうち6羽については、野生下で誕生したトキ同士のペアから42年ぶりとなるヒナの巣立ちでした。また、2016年3月に「2020年頃までに220羽のトキが佐渡島に定着する」ことを当面の目標とする「トキ野生復帰ロードマップ2020」を策定しました。2016年11月時点で、野生下において214羽の生存(うち130羽以上が1年以上生存している定着個体)が確認されました。なお、2015年に引き続き、2016年6月と9月に合計37羽を放鳥しました。

また、ライチョウについては、2015年から飼育・繁殖技術確立のための取組を開始しており、引き続き2016年6月に乗鞍岳で12個の卵を採取し、恩賜上野動物園、富山市ファミリーパーク及び大町山岳博物館で飼育を行っています。また、特に生息環境の悪化している南アルプスの北岳において、ヒナの生存率を高めるための緊急保護対策を実施しました。

チュウヒ、ミゾゴイについては、保護方策の調査、検討を行い、チュウヒ保護の進め方、ミゾゴイ保護の進め方として公表しました。また、ニホンウナギについては、有識者による検討会を開催し、生息地保全の考え方を2017年3月に公表しました。

絶滅のおそれのある猛禽(きん)類については、採餌環境の創出のための間伐の実施等、効果的な森林の整備・保全を実施しました。

沖縄島周辺海域に生息するジュゴンについては、生息状況調査や地域住民への普及啓発を進めるとともに、全般的な保護方策を検討するため、地元関係者等との情報交換等を実施しました。

(3)生息域外保全

トキ、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナ、ライチョウ等、絶滅の危険性が極めて高く、本来の生息域内における保全施策のみでは近い将来種を存続させることが困難となるおそれがある種について、飼育下繁殖を実施するなど生息域外保全の取組を進めています。

2014年に公益社団法人日本動物園水族館協会と環境省との間で締結した「生物多様性保全の推進に関する基本協定」に基づき、引き続き、ツシマヤマネコ及びライチョウの生息域外保全に取り組んでいます。個別の動物園ではなく協会全体として取り組んでもらうことで、動物園間のネットワークを活用した一つの大きな飼育個体群として捉えて計画的な飼育繁殖を推進することが可能となっています。

また、絶滅危惧植物についても、絶滅危惧種の約半数は維管束植物であるため、生息域外保全の取組を進める必要があります。2015年6月には、公益社団法人日本植物園協会との間でも、「生物多様性保全の推進に関する基本協定書」を締結しており、絶滅危惧植物の生息域外保全や野生復帰等の取組について、一層の連携を図っています。さらに、新宿御苑においては、絶滅危惧植物の種子保存を実施しています。

5 外来種等への対応

(1)外来種対策

外来種とは、人によって本来の生息・生育地からそれ以外の地域に持ち込まれた生き物のことです。そのような外来種の中には、我が国の在来の生き物を食べたり、すみかや食べ物を奪ったりして、生態系を脅かしている侵略的なものがおり、地域ごとに独自の生物相、生態系が形成されている我が国の生物多様性を保全する上で、大きな問題となっています。さらには食害等による農林水産業への被害、咬傷(こうしょう)等の人の生命や身体への被害に加え、文化財の汚損、悪臭の発生、景観・構造物の汚損等、様々な被害が及ぶ事例が見られます。このような外来種の脅威に対応するため、外来生物法に基づき、我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある132種類(2017年3月現在)の外来種を特定外来生物として指定し、輸入、飼養等を規制しています。

また、既に国内に侵入し生態系へ悪影響を及ぼしている外来種の防除や、近年国内に侵入した外来種の緊急的な防除を行っています。例えば、ペットとして導入されたものが遺棄されるなどにより全国に分布を拡げているアカミミガメや、長崎県対馬に定着し在来昆虫類等生態系への影響が懸念されているツマアカスズメバチ、奄美大島や沖縄島北部(やんばる地域)の希少動物を捕食するマングース、近年琵琶湖において急速に分布が拡大している水草のオオバナミズキンバイ等の外来種のほか、全国に分布するアライグマ、オオクチバスの防除や、アルゼンチンアリについての防除手法の検討を進めました。また、外来種被害予防三原則(「入れない」、「捨てない」、「拡げない」)について、多くの人が理解し、行動につなげられるよう、外来種問題に関するパネルやウェブサイト(http://www.env.go.jp/nature/intro/(別ウィンドウ))等での普及啓発を実施しました。

生態系被害防止外来種リストの策定を受けて、ハナガメ等24種類を特定外来生物に指定しました(詳細は第1節3(3)を参照)。

(2)遺伝子組換え生物への対応

バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(以下「カルタヘナ議定書」という。)を締結するための国内制度として定められた遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。以下「カルタヘナ法」という。)に基づき、2017年3月末現在、360件の遺伝子組換え生物の環境中での使用が承認されています。また、日本版バイオセーフティクリアリングハウス(http://www.biodic.go.jp/bch/(別ウィンドウ))を通じて、法律の枠組みや承認された遺伝子組換え生物に関する情報提供を行ったほか、主要な三つの輸入港周辺の河川敷において遺伝子組換えナタネの生物多様性への影響監視調査等を行いました。

6 遺伝資源等の持続可能な利用の推進

(1)遺伝資源の利用と保存

医薬品の開発や農作物の品種改良等、遺伝資源の価値は拡大する一方、世界的に見れば森林の減少や砂漠化の進行等により、多様な遺伝資源が減少・消失の危機に瀕(ひん)しており、貴重な遺伝資源を収集・保存し、次世代に引き継ぐとともに、これを積極的に活用していくことが重要となっています。

農林水産分野では、農業生物資源ジーンバンク事業等により、関係機関が連携して、動植物、微生物、DNA、林木、水産生物等の国内外の遺伝資源の収集、保存、評価等を行っており、植物遺伝資源22万点を始め、世界有数のジーンバンクとして利用者への配布・情報提供を行いました。また、海外から研究者を受け入れ、遺伝資源の取引・運用制度に関する理解促進や保護と利用のための研修等支援を行いました。

さらに、国内の遺伝資源利用者が海外の遺伝資源を円滑に取得するために必要な情報の収集・提供や、相手国等との意見調整の支援を行うとともに、途上国に対して遺伝資源の取引・運用制度に関する理解促進を支援しました。

ライフサイエンス研究の基盤となる研究用動植物等の生物遺伝資源について、「ナショナルバイオリソースプロジェクト」により、大学・研究機関等において戦略的・体系的な収集・保存・提供等を行いました。また、「大学連携バイオバックアッププロジェクト」により、途絶えると二度と復元できない実験途上の貴重な生物遺伝資源を広域災害等から保護するための体制を強化し、受入れを行いました。

(2)微生物資源の利用と保存

独立行政法人製品評価技術基盤機構を通じた資源保有国との生物多様性条約の精神にのっとった国際的取組の実施等により、資源保有国への技術移転、我が国の企業への海外の微生物資源の利用機会の提供等を行いました。

我が国の微生物等に関する中核的な生物遺伝資源機関である独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター(NBRC)において、生物遺伝資源の収集、保存等を行うとともに、これらの資源に関する情報(分類、塩基配列、遺伝子機能等に関する情報)を整備し、生物遺伝資源と併せて提供しました。

7 動物の愛護と適正な管理

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「動物愛護管理法」という。)に基づき、ペットショップ等の事業者に対する規制を行うとともに、動物の適正な飼養に関する幅広い普及啓発を展開することで、動物の愛護と適正な管理の推進を図ってきました。

動物愛護管理法に基づいて定める、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針(平成18年環境省告示第140号)においては、2023年度までに都道府県等に引き取られる犬猫の数を、2004年度に比べ75%減となるおおむね10万頭を目指すとともに、引き取られた犬猫の殺処分率の更なる減少を図ることとしています。これらの施策の進捗については毎年点検を行っており、2015年度に飼育放棄等によって都道府県等に引き取られた犬猫の数は2004年度に比べ約67%減少し、返還・譲渡数は約80%増加しました。殺処分数は毎年減少傾向にあり、約8万頭(2004年度比約79%減)まで減少しました(図2-3-2)。

図2-3-2 全国の犬猫の引取数の推移

また、犬猫の殺処分をできる限り減らしていくため、2014年に発表した「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」のアクションプランに基づくモデル事業を、全国16の自治体において実施しました。

都道府県等が引き取った収容動物の譲渡及び返還を促進するため、都道府県等の収容・譲渡施設の整備に係る費用の補助を行いました。また、効果的な飼い主教育及び適正な譲渡に関する自治体の取組を推進することを目的に、自治体向けの適正飼養・譲渡講習会を実施するとともに、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)(平成20年法律第83号)について普及啓発を行いました。

広く国民に動物の虐待の防止や適正な取扱い等に関して正しい知識と理解を普及するため、関係行政機関、団体との協力の下、“譲渡でつなごう!命のバトン~新しい飼い主さんを探しています~”をテーマとして、上野恩賜公園等で動物愛護週間中央行事を開催したほか、多くの関係行政機関等において様々な行事が実施されました。

また、2016年4月に発生した熊本地震においては、自治体等と連携し、避難所におけるペットの受入れや被災ペットの緊急的な一時預かり体制の整備について支援等を行いました。