環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第2章>第6節 東日本大震災からの復興・再生に向けた自然共生社会づくりの取組

第6節 東日本大震災からの復興・再生に向けた自然共生社会づくりの取組

1 三陸復興国立公園を核としたグリーン復興

(1)三陸復興国立公園に関する取組

 みちのく潮風トレイルについては、早期の全線開通を目指し、引き続き、ワークショップの開催等を通じて地域と協働で路線検討を進めるほか、英語マップの作成等を行い、国内外の利用者の増加を目指します。また、復興事業支援のために、震災後5年間の自然環境の変化について取りまとめ、その成果を情報発信することを通じて、被災地の復興や新たな大震災への備えに貢献するとともに、自然と共生した地域の実現を目指します。

(2)公園施設の整備

 三陸復興国立公園の主要な観光地の再生に資する復興のための整備や、みちのく潮風トレイルの情報発信拠点となるトレイルセンター及び多言語に対応した全線統一標識の整備を推進します。また、青森県及び岩手県内での三陸復興国立公園の整備について、自然環境整備交付金による支援を行います。

2 東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応

(1)野生動植物への影響のモニタリング

 東京電力福島第一原子力発電所の周辺地域での放射性物質による野生動植物への影響を把握するため、関係する研究機関等とも協力しながら、動植物の試料採取及び分析等を進めます。また、関連した調査を行っている他の研究機関や学識経験者とも情報交換を行い、影響の全体把握に努めます。

(2)野生鳥獣への影響と鳥獣被害対策

 東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、放射線量の高い帰還困難区域等は、原則立入り禁止となっています。これらの地域では狩猟者の他市町村への避難等により、狩猟や有害鳥獣捕獲を行うことが難しい状況となっています。このため、イノシシによる生活環境被害等が発生しています。これらの被害等を抑える必要があることから、平成25年度から帰還困難区域等でイノシシ等の生息状況調査と捕獲を行っているところです。

 平成28年度においても、将来の住民帰還が円滑に進むように、地元と調整・連携しながら捕獲等事業を進めていきます。