環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部パート3>第4章 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の期限内処理に向けた取組の推進>第1節 我が国の高濃度PCB廃棄物処理体制

第4章 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の期限内処理に向けた取組の推進

 持続可能な開発のための2030アジェンダでは「2020年までに…(中略)…環境上適正な化学物資や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する」ことが掲げられています。

 本章では、このターゲットに沿った重要な取組の一つであるポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)廃棄物の処理を取り上げます。人の健康や環境への悪影響等が懸念されるPCB廃棄物については、地球規模の課題として、諸外国においてもその処理が進められています。我が国でも、安全かつ確実に一日でも早くPCB廃棄物の処理の完了を推進していくこととしており、本章では、これまでの取組を振り返りつつ、現状や課題等を明らかにします。

第1節 我が国の高濃度PCB廃棄物処理体制

 我が国のPCB廃棄物の処理については、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)(以下「PCB特措法」という。)に基づき、PCB廃棄物の保管事業者に最長で平成38年度末までの処分を義務付けています。この「期間」は、同法の施行令において、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下「ストックホルム条約」という。)締結国に求められている適正な処分に関する年限を勘案して設定されています。

 ただし、高濃度のPCB廃棄物については、別途、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画(以下「基本計画」という。)に定められた処理期限内に処理を終えることとされています。現在、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(以下「JESCO」という。)の全国5か所(北九州、大阪、豊田、東京、北海道(室蘭))のPCB処理事業所において、各地元関係者の理解と協力の下、高濃度PCB廃棄物の処理が進められており、この基本計画では、各事業所の対象事業地域における計画的処理完了期限を定めています(図4-1-1)。


図4-1-1 PCB廃棄物処理基本計画上の処理体制及び計画的処理完了期限(高濃度PCB廃棄物)

 これらのPCB処理事業所以外において高濃度PCB廃棄物を処理することは、現実的には困難であり、基本計画に定められた処理期限は必ず達成すべき期限です。高濃度PCB廃棄物の期限内の処理完了に向け、国、都道府県市、事業者、JESCO等の関係者が協力して、取組を進めています。