環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部パート2第2章>第3節 災害に強い再生可能エネルギーの活用体制の整備

第3節 災害に強い再生可能エネルギーの活用体制の整備

 東日本大震災では、被災地を中心として大規模で長期にわたる停電が発生し、被災者・避難者の保護のための施設や通信等に至るまで広く影響が及び、避難所や防災拠点の復旧や移転等の遅れ等も生じました。この経験から、避難施設や防災拠点等においては、照明及び情報通信機器やその避難路までの誘導灯に必要な電力の継続的な供給に資する災害に強い電力供給システムの重要性が改めて認識されました。

 このため、環境省では、平成23年度補正予算により、東北6県、茨城県、被災政令市を対象にして、再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金事業(通称:グリーンニューディール基金)を推進しました。同基金により、県や市町村が避難所や防災拠点に対し、自立分散型エネルギーの導入を推進してきました(写真2-3-1)。


写真2-3-1 グリーンニューディール基金による太陽光パネルの導入例

 平成24年度からは、順次他の都道府県等にも対象を広げ、平成27年3月末時点で600を超える自治体において、合計で約2,400か所への導入を行いました。その多くは太陽光発電設備と蓄電池設備の組合せにより、平時での再生可能エネルギー電力供給を行うほか、災害等の停電時であっても蓄電池から照明や通信等に必要な電力を供給するものとなっています。

 例えば、平成27年9月に発生した関東・東北豪雨災害では、栃木県の壬生町防災センターに設置された設備が、災害対策本部となった会議室及び司令室の照明並びにテレビ等の情報収集機器への電力供給に活用されました。

 なお、この基金事業は平成28年度で終了しますが、東北3県(岩手県、宮城県及び福島県)については、避難所や防災拠点の復旧の遅れ等を勘案し、平成32年度まで事業期間が延長されました。