環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第2章>第5節 地球規模の視野を持って行動する取組

第5節 地球規模の視野を持って行動する取組

1 愛知目標の達成に向けた国際的取組への貢献

(1)生物多様性条約

 COP12において、戦略計画及び愛知目標の中間評価、資源動員戦略、生物多様性と持続可能な開発など広範な分野について議論されました。

 生物多様性分野に回る資源(資金、人材、技術)の拡大を目指す「資源動員戦略」については、COP9以来の課題でしたが、COP11で合意した暫定目標を下に、今回の会議で目標の合意に至ることができました。具体的には、途上国向けの生物多様性関連の国際資金フローを世界全体で2006年~2010年(平成18年~平成22年)の年間資金の平均から2015年(平成27年)までに倍増させ、その水準を2020年(平成32年)まで維持することを決定するとともに、資源のギャップを埋めるために国内においても資源動員すること等が決定しました。

 我が国は、今次会合に向けた各議題別の専門家会合、地域会合の開催についても幅広い支援を行うとともに、「生物多様性、気候変動及び災害リスク削減」の決議案を提案するなど、各主要議題の議論に積極的に参加するとともに、資源動員の目標設定などの、合意に向けて大きく貢献しました。

 愛知目標の達成を含め、生物多様性条約に基づく取組を地球規模で推進していくためには、途上国への資金供与や技術移転、能力養成が必要であることが強く指摘されています。このため、我が国は、愛知目標の達成に向けた途上国の能力養成等を支援するため、条約事務局に「生物多様性日本基金」を設置しています。本基金を活用し、生物多様性国家戦略の策定・改定を支援するワークショップ開催などが進められています。

(2)名古屋議定書

 COP10において採択された「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(Access and Benefit-Sharing)に関する名古屋議定書」の早期締結及び国内措置の実施については、「生物多様性国家戦略2012-2020」の目標として掲げているところですが、国内措置の具体化を始めとして様々な課題があることから、関係者及び関係省庁で名古屋議定書の締結に必要な国内措置の検討を進めています。また、2014年(平成26年)10月には名古屋議定書が発効し、名古屋議定書第1回締約国会合(COP-MOP1)(韓国・ピョンチャン)が開催され、我が国はオブザーバーとして参加し、国際的な情報収集に努めました。

 平成23年3月に、名古屋議定書の早期発効や効果的な実施に貢献するため、地球環境ファシリティ(GEF)によって管理・運営される名古屋議定書実施基金が設置されました。我が国は、COP10時に本基金の構想について支援を表明しており、平成23年4月に10億円を拠出しました。平成26年3月現在、パナマ、コロンビア、フィジー、ガボン、コスタリカ、ブータン、中央アフリカ地域等の各国や地域等を対象とした8件のプロジェクトが承認され、世界50か国において国内制度の発展、遺伝資源の保全及び持続可能な利用に係る技術移転、民間セクターの参加促進等の活動が支援されています。

(3)カルタヘナ議定書

 国内担保法であるカルタヘナ法に基づき、議定書で求められている遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を実施しました。また、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」について、関係省庁において締結に向けた情報収集と検討を進めました。

2 自然資源の持続可能な利用・管理の国際的推進

(1)SATOYAMAイニシアティブ

 自然共生型社会の実現に向けて、二次的自然環境における自然資源の持続可能な利用・管理を推進するための取組であるSATOYAMAイニシアティブを推進することがCOP10で採択されました。また、同イニシアティブを国際的に推進していくため、多様な主体が参画する「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(以下「IPSI」という。)」がCOP10期間中に51団体の参加を得て発足しました。

 IPSIを通じてSATOYAMAイニシアティブを普及するため、2014年(平成26年)10月に韓国・ピョンチャンにおいて「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ第五回定例会合」を韓国政府との共催により開催しました。第五回定例会合では、「持続可能な開発の実現にむけた生産ランドスケープ・シースケープでの活動の促進」をテーマに、IPSIの総会と公開フォーラムを行いました。なお、IPSIの会員は2014年(平成26年)10月現在、16か国の政府機関を含む164団体となりました。

 また、SATOYAMAイニシアティブの理念を国内において推進するための組織「SATOYAMAイニシアティブ推進ネットワーク」が48地方自治体を含む101団体の参画を得て、平成25年9月に発足しました。SATOYAMAイニシアティブの国内への普及啓発、多様な主体の参加と協働による取組の促進に向け、ネットワークへの参加を呼び掛けたリーフレットの作成や「エコプロダクツ2014」などの各種イベントへの参加、会員相互の交流・連携に向けたセミナーを開催しました。なお、本ネットワークの会員は平成26年12月現在、51地方自治体を含む104団体となりました。

(2)ワシントン条約

 ワシントン条約に基づく絶滅のおそれのある野生動植物の輸出入の規制に加え、同条約附属書Ⅰに掲げる種については、種の保存法に基づき国内での譲渡し等の規制を行っています。また、関係省庁、関連機関が連携・協力し、インターネット取引を含む条約規制対象種の違法取引削減に向けた取組等を進めました。

(3)保護地域に係る国際的な取組

 2014年(平成26年)11月にオーストラリアのシドニーにおいて、約10年に一度開催される国立公園等の保護地域に関する国際的な会議である世界国立公園会議(第6回)が、IUCN等の主催により開催され、世界各国から6,000人以上が参加しました。我が国も、議題の1つである「保護地域が防災・減災に果たす役割」に関する討議を主催するなど、我が国の経験や取組を発信しました。また、同会議の中で、2013年(平成25年)11月に仙台市で開催した第1回アジア国立公園会議において我が国が主導的に提唱した「アジア保護地域パートナーシップ」の設立イベントを行い、正式に発足しました。

3 生物多様性に関わる国際協力の推進

(1)ラムサール条約

 国内に46か所あるラムサール条約に基づく国際的に重要な湿地(ラムサール条約湿地)における普及啓発活動等を、ラムサール条約登録湿地関係市町村会議をはじめとする関係者とともに進めました。また、平成26年11月3日から11月7日までカンボジアにて開催されたアジア湿地シンポジウムとラムサール条約アジア地域会合の共同開催を支援しました。ミャンマーにおける湿地の保全及び賢明な利用の推進のため、現地関係者を対象に、モインジー湿地の経済的価値評価のためのワークショップを開催しました。

(2)アジア太平洋地域における渡り性水鳥の保全

 東アジア・オーストラリア地域の渡り性水鳥及びその生息地の保全を目的とする国際的連携・協力のための枠組み「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(以下「EAAFP」という。)」の第8回パートナー会議を平成27年1月16日から1月21日まで北海道・釧路市で開催しました。また、関係自治体からの発意により、同パートナーシップの下に設置されている渡り性水鳥重要生息地ネットワークに「伊豆沼・内沼」及び「野付半島・野付湾」が新たに参加し、ネットワーク国内参加地は計32か所になりました。国内での活動として、ネットワーク国内参加地のうち、シギ・チドリ類の生息地を対象として、関係自治体間の交流促進事業を行いました。

EAAFPの第8回パートナー会議の結果について

 EAAFPは、我が国及びオーストラリア政府の主導により、東アジア・オーストラリア地域の渡り性水鳥及びその生息地の保全を目的として、2006年(平成18年)に発足した国際的な枠組みです。平成27年1月16日から1月21日にかけて北海道釧路市で我が国において初めて開催されたEAAFPの第8回パートナー会議(以下「MOP8」という。)の開会式では、高橋環境大臣政務官や蝦名釧路市長が会議参加者に対して歓迎の意を表しました。EAAFPには、現在、17か国の政府を含む34主体(パートナー)が参画していますが、このうちMOP8には、16か国の政府、2つの 会議参加者国際機関、8つのNGOの計26主体、104名が参加しました。また、計50名もの地元の方々が会議運営や会場内での展示等に協力してくださり、海外参加者に日本のおもてなしの心を感じてもらいながら、円滑に議論を進めることができました。

 会議では、渡り性水鳥保全の取組の進捗状況や課題、今後の活動について、多様な主体が肩を並べて活発に議論し、次のような成果が得られました。我が国を含む各主体は、これらの成果に基づいて取組を一層進めていくこととしています。[1] MOP8における初めての取組として、EAAFP事務局、各国政府等の各主体、EAAFPの下に設置されている作業部会等の各グループが今後2年間で行うべき具体的な保全活動を記したEAAFP全体の作業計画が取りまとめられました。[2]様々な保全の努力にも関わらず、約400羽にまで減少し正に絶滅の危機にあるヘラシギを筆頭に、渡り性水鳥の個体数が減少し続けていることを踏まえて、その主な要因と考えられる黄海沿岸域等における潮間帯の生息地の急速な減少に対処するため、各主体が協調して一層の保全の取組を行っていく旨の声明が採択されました。[3]財政委員会や、ホウロクシギの保全に関する特別委員会等の5つのグループが新たに設置されました。[4]各地での鳥インフルエンザの発生を受けて、各国における野鳥の感染状況について即座に、かつ、緊密に情報共有していくことを改めて確認しました。


ヘラシギ

会議参加者
(3)二国間渡り鳥条約・協定

 米国、露国、豪州、中国及び韓国との二国間の渡り鳥条約等に基づき、アホウドリ及びズグロカモメに関する共同調査等を引き続き実施するとともに、2014年(平成26年)11月に中国・徳清県において、豪州、中国及び韓国との間で二国間渡り鳥等保護協定等会議を開催しました。会議では、渡り鳥の保全施策等に関する意見・情報交換を行い、渡り鳥保全のための協力を一層推進することを確認しました(写真2-5-1写真2-5-2)。


写真2-5-1 アホウドリ

写真2-5-2 ズグロカモメ

(4)国際的なサンゴ礁保全の取組

 COP12において、サンゴ礁のレジリエンス向上に関するワークショップを開催しました。また、2014年(平成26年)11月に、恩納村(沖縄県)で第29回国際サンゴ礁イニシアティブ(以下「ICRI」という。)総会及び第10回ICRI東アジア地域会合を開催し、「陸域と海域のつながりを重視した地域コミュニティが主体となったサンゴ礁保全及び管理に向けた統合的アプローチの推進に係る決議」の採択や東アジア地域サンゴ礁保護区ネットワーク戦略2010の実施のための情報交換を行いました。

 2014年(平成26年)6月29日~6月30日に、「持続可能な島嶼社会の発展に関する専門家会議」(主催:環境省、沖縄県)を沖縄県で開催し、日本、パラオ共和国及びタイの専門家らを交え、サンゴ礁保全に向けた連携の在り方について横断的に議論しました。

(5)持続可能な森林経営と違法伐採対策

 世界の森林は、陸地の約31%を占め、面積は約40億haに及びますが、2000年(平成12年)から2010年(平成22年)にかけて、年平均1,300万haの割合で減少しました(増加分を差し引いて年520万haの純減)。特に、熱帯林が分布するアフリカ地域、南アメリカ地域で森林の減少が続いています(図2-5-1)。このような森林減少・劣化は、地球温暖化や生物多様性の損失に深刻な影響を与えています。


図2-5-1 世界の森林面積変化(地域別)

 森林減少の原因として、プランテーション開発等農地への転用、非伝統的な焼畑農業の増加、燃料用木材の過剰採取、森林火災等が挙げられます。また、違法伐採など不適切な森林伐採が森林を劣化させ、森林減少の原因を誘発していることも大きな問題となっています。

 このような森林減少・劣化を抑制するためには、持続可能な森林経営を実現する必要があり、国際的にも議論が行われています。我が国は、これらの議論に参画・貢献するとともに、関係各国、各国際機関等と連携を図るなどして国際的な取組を推進しています。

 2015年(平成27年)5月の第11回国連森林フォーラム(UNFF11。以下、国連森林フォーラムを「UNFF」という。)において、2015年(平成27年)以降の森林に関する国際的な枠組みを決定するため、2015年(平成27年)1月のUNFFのアドホック専門家会合では、枠組みやその実施手段について加盟国によって検討が行われました。

 2014年(平成26年)11月に横浜市で開催された第50回国際熱帯木材(以下「ITTO」という。)理事会では、持続可能な森林経営と熱帯木材の適正な貿易の推進に向け、運営や予算に加え、新たな事務局長の選出に向けた議論が行われました。

 また、特に持続可能な森林経営の阻害要因の1つとなっている違法伐採について、我が国では、平成18年4月から、この対策として、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号)により、合法性、持続可能性が証明された木材・木材製品を政府調達の対象とする措置を実施するとともに、地方公共団体や民間事業者等に対する普及等を行っています。

 さらに、森林減少及び土地利用の変化に伴う人為的な温室効果ガス排出量は世界全体の排出量の約1割を占めるとされており、途上国における森林減少・劣化からの排出の削減に加え、森林保全も含めて排出削減を実現するREDD+という考え方が提唱されています。2014年(平成26年)12月にリマ(ペルー)で開催された国連気候変動枠組条約第20回締約国会議では、REDD+の活動を実施した途上国が資金の支払を受けるために提出する情報を掲載するウェブサイト「リマREDD+情報ハブ」が開設されることになりました。

 上記の取組のほか、ITTO、国連食糧農業機関(FAO)等の国際機関への拠出、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)等を通じた協力、独立行政法人環境再生保全機構の地球環境基金等を通じた民間団体の植林活動等への支援等を行いました。

4 世界的に重要な地域の保全管理の推進

(1)世界遺産条約

 我が国では、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)に基づき、屋久島、白神山地、知床及び小笠原諸島の4地域が自然遺産として世界遺産一覧表に記載されています。これらの世界自然遺産については、遺産地域ごとに関係省庁・地方公共団体・地元関係者からなる地域連絡会議と専門家による科学委員会を設置しており、関係者の連携によって適正な保全・管理を実施しました。特に小笠原諸島については、世界遺産委員会の勧告を踏まえ外来種対策の推進など質の高い保全管理に取り組んでおり、平成25年3月に兄島で新たに確認された侵略的外来種グリーンアノールについて、関係省庁、地方公共団体及び地元関係者の協働により重点的に防除対策を継続しました。知床については、平成24年6~7月に行われた第36回世界遺産委員会における決議に基づき、平成27年1月に保全状況報告を提出しました。また、2013年(平成25年)6月に世界遺産一覧表に記載された文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」については、関係省庁及び関係地方公共団体等が連携し、引き続き保全管理の取組を進めるとともに、世界遺産委員会の勧告・要請事項への対応に取り組みました。

 世界自然遺産の国内候補地である奄美・琉球については、専門家による「奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会」を開催し、推薦に向けた検討を行いました。

(2)生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)

 「生物圏保存地域(Biosphere Reserves(BR))」は、ユネスコの「人間と生物圏(Man and the Biosphere、以下「MAB」という。)計画」の枠組みに基づいて国際的に認定された地域で、生態系の保全と持続可能な地域資源の利活用の調和を目的としています。なお、「ユネスコエコパーク」は、我が国での通称です。2014年(平成26年)6月にスウェーデンで開催された第26回人間と生物圏(MAB)計画国際調整理事会において、「只見」(福島県)及び「南アルプス」(山梨県、長野県及び静岡県)の新規登録が決定されました。これにより国内の生物圏保存地域は、既に登録されている「志賀高原」、「白山」、「大台ヶ原・大峯山」、「綾」及び「屋久島」と合わせて7件となりました。なお、同理事会では「志賀高原」(群馬県及び長野県)の拡張登録も決定しています。

 現在、生物圏保存地域に登録されている地域においては、豊かな自然環境を保全するとともに、それぞれの自然や文化の特徴をいかした地域づくりが積極的に進められているところです。

 :日本ユネスコ国内委員会第22回MAB計画分科会にて、生物圏保存地域の国内呼称を「ユネスコエコパーク」とするとともに、国内での普及を図ることを決定(平成22年1月25日)。

(3)世界ジオパーク

 2014年(平成26年)9月に阿蘇が新たに世界ジオパークに認定され、洞爺湖有珠山、糸魚川、山陰海岸、隠岐、室戸、島原半島とともに、合計7地域となりました。阿蘇の世界ジオパーク認定を機に、ジオパークと国立公園が連携した記念式典、シンポジウムの開催、国立公園内のジオサイトにおける阿蘇の草原保全・再生・学習等の拠点施設「阿蘇草原保全活動センター」の整備等を行いました。さらに、島原半島ジオパークや今後世界ジオパークを目指す地域においても、国立公園における地形・地質等の保全を推進するとともに、ジオサイトとなる地形・地質等の資源調査、エコツアーのプログラムづくり、ガイドの育成等を支援しました。

(4)砂漠化への対処

 砂漠化とは、国連の砂漠化対処条約(UNCCD)において、「乾燥地域における土地の劣化」と定義されています。乾燥地域は地表面積の約41%を占めており、世界の3分の1以上の人々がそこに居住しています。一方で、世界で1,900万km2の乾燥地が土地劣化し、15億人が砂漠化の影響を受けていると推定されています。砂漠化の原因として、気候的要因のほか、過放牧、過耕作、過度の薪炭材採取による森林減少、不適切な灌漑(かんがい)による塩分集積等が挙げられます。その背景には、開発途上国における人口増加、貧困、市場経済の進展等の社会的・経済的要因が関係しています。

 1996年(平成8年)に発効した砂漠化対処条約では、加盟している開発途上国は砂漠化対処のための行動計画を作成し、先進国がその支援を行うことで砂漠化対策に取り組むこととされています。我が国も締約国会議に参画・貢献するとともに関係各国、各国際機関等と連携を図りつつ国際的な取組を推進しています。また、米国に次ぐ規模の拠出国として条約活動を支援しています。

 このほか、同条約への科学技術面からの貢献を念頭に、砂漠化対処のための技術の活用に関する調査などを行ったほか、JICA等を通じプロジェクト等を実施しました。

(5)南極地域の環境の保護

 南極地域は、近年、基地活動や観光利用の増加による環境影響の増大も懸念されています。

 南極の環境保護に向けた国際的な取組は、南極の平和的利用と科学的調査における国際協力の推進のため南極条約(1961年(昭和36年)発効)の下で定められた、南極の環境や生態系の保護を目的とする「環境保護に関する南極条約議定書」(1998年(平成10年)発効)により進められています。

 我が国は、南極条約の締約国として、環境保護に関する南極条約議定書を適切に実施するため制定された南極地域の環境の保護に関する法律(平成9年法律第61号)に基づき、南極地域における観測、観光、冒険旅行、取材等に対する確認制度等を運用するとともに、環境省のウェブサイト等を通じて南極地域の環境保護に関する普及啓発、指導等を行いました。また、2014年(平成26年)4月から5月にブラジリアで開催された第37回南極条約協議国会議に参加し、南極特別保護地区等の管理計画や、非在来種の移入防除方法など、南極における環境の保護の方策について議論を行いました。さらに、第56次南極地域観測隊に職員を同行させ、同隊の各種活動が法令にのっとり適切に行われているかを確認しました。