環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部>むすび

むすび

環境とともに創る地域社会・地域経済

 本年の白書の第1部では、「環境とともに創る地域社会・地域経済」をテーマとして、地域における環境問題の解決が経済・社会的課題の解決にも資すること、そして、環境問題に関する取組を行う上で、その地域に本来備わっている地域資源を有効活用することが、経済・社会的課題の解決の処方箋ともなり得ることを明らかにしてきました。

 改めて見ると、私たちの周りには、様々な地域資源に溢れていることに気付かされます。太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー資源はもちろんですが、身の回りに当たり前にある木の葉、星の見える夜空、山林、その地域で当たり前に食べられている魚や野菜などの食材、近くの神社にある鎮守の森、あるいは地域の伝統行事やイベントなど、今回の白書で取り上げたものはその一例に過ぎません。しかしながら、普段からその地域に住んでいる方々にとって、その存在はあまりに“当たり前過ぎる”存在であるため、見落としてしまいがちなことも事実です。

 そこで、こうした地域資源の存在を把握して有効活用していくための手法の一例として、今回、地域経済循環分析を紹介しました。しかし、地域資源の存在を把握して有効活用するための手法は、これに限られるものではありません。例えば、地域の実情を最もよく知る地域住民の方々の幅広い参加による話し合いの中から見えてくることもあるでしょうし、Iターン・Uターンにより地域に移り住んだ住民の、言わば外部の目を通じて地域資源に気付かされることもあるでしょう。そうした多様な主体が関わることで、地域資源を把握することができます。

 特に、地方には、里地里山を始め多くの自然環境と豊富な自然の恵みが、すぐ手の届くところに残っています。こうした自然環境を地域資源として保全し、向上させるとともに、持続可能な形で活用することは、環境問題の解決につながるのみならず、地域の振興にもつながると考えられます。

 今回の環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書が、身の回りの地域資源の存在の気付きのきっかけとなり、地域の活性化と持続可能な社会づくりにつながる一助となれば幸いです。