環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第3章>第2節 循環型社会の形成に向けた法制度の施行状況

第2節 循環型社会の形成に向けた法制度の施行状況

1 循環型社会形成推進基本法(循環型社会基本法)

 大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会のあり方や国民のライフスタイルを見直し、社会における物質循環を確保することにより、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷の低減が図られた「循環型社会」を形成するため、平成12年6月に循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号。以下「循環型社会基本法」という。)が公布され、平成13年1月に施行されました。

 同法では、対象物を有価・無価を問わず「廃棄物等」として一体的にとらえ、製品等が廃棄物等となることの抑制を図るべきこと、発生した廃棄物等についてはその有用性に着目して「循環資源」としてとらえ直し、その適正な循環的利用(再使用、再生利用、熱回収)を図るべきこと、循環的な利用が行われないものは適正に処分することを規定し、これにより「天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会」である「循環型社会」を実現することとしています(図3-2-1)。

図3-2-1 循環型社会の姿

 循環型社会基本法では施策の基本理念として排出者責任と拡大生産者責任という2つの考え方を定めています。

(1)排出者責任

 排出者責任とは、廃棄物を排出する者が、その適正処理に関する責任を負うべきであるとの考え方であり、廃棄物・リサイクル対策の基本的な原則の一つです。具体的には、廃棄物を排出する際に分別すること、事業者がその廃棄物の処理を自ら行うこと等が挙げられます。

 廃棄物の処理に伴う環境への負荷の原因者はその廃棄物の排出者であることから、排出者が廃棄物の処理に伴う環境負荷低減の責任を負うという考え方は合理的であると考えられます。この考え方の根本は、いわゆる汚染者負担の原則にあります。

 この排出者責任の考え方については、今後とも、その徹底を図らなければなりません。また、国民も排出者としての責務を免れるものではなく、その役割を積極的に果たしていく必要があります。

(2)拡大生産者責任

 拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility)とは、生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適切なリユース・リサイクルや処分に一定の責任(物理的又は財政的責任)を負うという考え方です。そうすることで、生産者に対して、廃棄されにくい、又はリユースやリサイクルがしやすい製品を開発・生産するようにインセンティブを与えようというものです。廃棄物等の量が多く、しかも、それらのリユースやリサイクルが難しいことが問題になっている今日、拡大生産者責任はそれらを克服するために重要な考え方の一つとなっています。

(3)循環型社会形成推進基本計画(循環型社会基本計画)

 循環型社会基本法では、政府において、循環型社会の形成に関する基本的な計画として、循環型社会基本計画を策定することを規定しています。

 循環型社会基本計画は、循環型社会の形成に関する政策の総合的、計画的な推進を図るための中心的な仕組みとなるものであり、循環型社会のあるべき姿についてのイメージを示し、循環型社会形成のための数値目標を設定するとともに、国及びその他の主体の取組の方向性を示します。

 平成25年5月に閣議決定した第3次の循環型社会基本計画では、循環型社会の形成のためには、国民、事業者、NPO/NGO、大学、地方公共団体、国等のすべての主体の知識や知恵を最大限に活用し、相互に連携・協働して問題の解決に向けて取り組むことが必要であるとしています。

 また、循環型社会基本計画の着実な実行を確保するため、毎年、中央環境審議会は、循環型社会基本計画に基づく施策の進捗状況などを点検し、必要に応じその後の政策の方向性について政府に報告することとされています。

2 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

(1)廃棄物処理における総合的な取組

 平成13年5月に環境大臣は「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」(以下「基本方針」とする。)を決定し公表しています。その中では、まず、できる限り廃棄物の排出を抑制し、次に、廃棄物となったものについては不適正処理の防止その他の環境への負荷の低減に配慮しつつ、再使用、再生利用、熱回収の順にできる限り循環的な利用を行い、こうした排出抑制及び適正な循環的利用を徹底した上で、なお適正な循環的利用が行われないものについては、適正な処分を確保することを基本とすること等を定めています。平成22年12月に改正した基本方針では、平成27年度において一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分量をそれぞれ平成19年度に対し約22%、約12%削減することとしています。

 また、平成15年6月の廃棄物処理法の改正では、廃棄物処理施設整備計画の策定に関する条文が追加され、これに伴い廃棄物処理施設整備緊急措置法は廃止されました。廃棄物処理施設整備計画は、政府における社会資本整備のあり方の見直しの議論を踏まえ、計画の内容を「事業の量」から「達成される成果」に変更して、平成15年10月に閣議決定しました。さらに、平成25年5月に閣議決定した廃棄物処理施設整備計画では、東日本大震災以降の災害対策への意識の高まり等を踏まえ、3Rの推進に加え、災害対策や地球温暖化対策の強化を目指し、広域的な視点に立った強靱な廃棄物処理システムの確保を進める方向性を示しました。

 廃棄物の3Rを推進するための目標を設定し、広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進する「循環型社会形成推進交付金制度」を平成17年度に創設し、廃棄物の発生抑制・循環的利用・適正処理を促進するため、熱回収施設、高効率原燃料回収施設、汚泥再生処理センター、最終処分場、リサイクルセンター等の一般廃棄物処理施設の整備を図っています。平成25年度においては、この交付金を活用するための地域計画が71件策定されました。

 また、東日本大震災における被災地の復旧・復興のため、災害廃棄物の迅速かつ適正な処理を行うために必要な一般廃棄物処理施設の緊急整備に対して支援を行いました。

 平成12年6月の廃棄物処理法の改正において、廃棄物処理センター制度の一層の活用を図ることを目的に、廃棄物処理センターの指定要件の緩和を行い、さらに民間を含め優良な処理施設の整備を支援するため、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成4年法律第62号)に基づく特定施設の認定を行っています。平成25年度末では、廃棄物処理センターとして17法人が指定されています。また、平成12年度に創設された産業廃棄物処理施設のモデル的整備事業に対する補助制度により、公共が関与して行う産業廃棄物処理施設の一層の整備促進を図りました。平成25年度は管理型最終処分場を整備する4事業に対して補助を行いました。

 最終処分場の確保が特に困難となっている大都市圏のうち、近畿圏においては、大阪湾広域臨海環境整備センターが行う広域処理場整備の促進及び埋立ての円滑な実施を図りました。

 また、ソフト面の施策として、市町村が実施する分別収集等ごみの減量化・再生利用に資する施策への支援を実施しました。

 廃棄物処理法により、国内処理の原則の下、廃棄物の輸出の場合の環境大臣の確認、廃棄物の輸入の場合の環境大臣の許可等、廃棄物の輸出入についても必要な規制が行われています。平成25年に廃棄物処理法に基づき行われた輸出確認は38件、輸入許可は11件でした(有害廃棄物の越境移動については第1節を参照)。

 さらに、排出事業者が優良な処理業者を選択できる条件を整備し、産業廃棄物処理業の優良化を推進するための事業を行っています。具体的には、優良産廃処理業者認定制度により、平成25年度末現在、認定許可件数4,956件、認定事業者数で713事業者が都道府県知事等により優良認定を受けています。

 さらに、電子マニフェストについては、事務処理の効率化、コンプライアンスの向上、偽造の防止などの多くのメリットがあることから、平成25年10月に「電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップ」を策定し、その普及・促進に向けて計画的・総合的に取り組んでいます(平成25年度末の普及率32%)。

(2)廃棄物処理法による3Rの推進

 平成9年に改正された廃棄物処理法に基づき、一定の廃棄物の再生利用について、その内容が生活環境の保全上支障がない等の一定の基準に適合していることを環境大臣が認定し、認定を受けた者については業及び施設設置の許可を不要とする制度(再生利用認定制度)を設けました。これに基づき、平成25年度末現在、一般廃棄物では56件、産業廃棄物では41件の認定を受けています。

 また、平成15年に改正された廃棄物処理法に基づき、広域的に行うことによって、廃棄物の減量その他適正な処理の確保に資するとして環境大臣の認定を受けた者について、業の許可を不要とする制度(広域認定制度)を設け、製造事業者等による自主回収及び再生利用を促進しています。平成25年度末までに、一般廃棄物では92件、産業廃棄物では238件の広域認定を行いました。

3 資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)

 平成13年4月に施行された資源有効利用促進法では、[1]副産物の発生抑制や再資源化を行うべき業種(特定省資源業種:鉄鋼業、紙・パルプ製造業等)、[2]再生資源・再生部品を利用すべき業種(特定再利用業種:紙製造業、ガラス容器製造業等)、[3]原材料等の合理化等を行うべき製品(指定省資源化製品:自動車、家電製品等)、[4]再生資源又は再生部品の利用の促進を行うべき製品(指定再利用促進製品:自動車、家電製品等)、[5]分別回収を促進するための表示を行うべき製品(指定表示製品:プラスチック製容器包装、紙製容器包装等)、[6]自主回収・再資源化を行うべき製品(指定再資源化製品:パソコン、小形二次電池)、[7]再生資源として利用することを促進すべき副産物(指定副産物:電気業の石炭灰等)を指定し、それぞれに係る事業者に一定の義務付けを行い、事業者の自主的な取組の促進を図っています。

 また、平成20年1月に、産業構造審議会環境部会廃棄物処理・リサイクル小委員会基本政策ワーキンググループにおいて、今後の循環型社会の構築に向けた新たな3R政策のビジョンが提言されたことを受け、各種資源投入量のさらなる低減施策に取り組んでいます。

 まず、製品のサプライチェーン全体の資源投入量低減を図るため、平成20年度は20件、平成21年度は30件、平成22年度は8件のサプライチェーンを構成する企業チームを選定し、マテリアルフローコスト会計や環境配慮設計を通じた省資源型ものづくりの優良事例創出を図りました。

4 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)

 環境省では、容器包装廃棄物の3Rの中でも、特に2R(リデュース、リユース)に重点を置き、取組を推進してきました。例えば、容器包装リサイクル法に基づき委嘱した容器包装廃棄物排出抑制推進員(愛称:3R推進マイスター)による消費者等への普及啓発のほか、使い捨て飲料容器の削減を目指した「マイボトル・マイカップキャンペーン」を平成22年6月から実施し、地方公共団体や各種団体、企業と連携のもと、イベントでの普及活動等を行っています。また、平成22年度から「我が国におけるびんリユースシステムの在り方に関する検討会」を立ち上げ、びんリユースシステムの維持・拡大を図るための方策について検討を進めています。

 平成26年度グリーン購入法基本方針においては、新たな特定調達品目として「会議運営」が追加され、会議で提供される飲料容器についてリターナブル容器の使用を「配慮事項」として定めました。

 他リサイクル分野においても、ペットボトルの国内循環を推進するための調査や、プラスチック製容器包装の材料リサイクル手法による再商品化製品の品質向上のための調査等、3Rの取組に資する制度構築に向けた検討を行いました。

 平成25年4月に前回の改正法施行から5年が経過したことを受け、同年9月から、産業構造審議会及び中央環境審議会において改正法附則に基づく制度の点検作業を行っています。

5 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)

 現在、家電リサイクル法の対象となる廃家電4品目(家庭用エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)を製造業者等が引き取る指定引取場所は369か所で設置されており、引き取った廃家電4品目のリサイクルプラントは全国49か所で稼働しています。これらのリサイクルプラントにおいては、鉄、アルミニウム、銅、ガラス、プリント基板に使用されている貴金属等が回収されるほか、家庭用エアコン、冷蔵庫・冷凍庫及び電気洗濯機に冷媒として使用されているフロン類と冷蔵庫・冷凍庫の断熱材に含まれているフロン類も回収されています。

 廃家電4品目の指定引取場所における引取台数やリサイクルプラントにおける再商品化率等は第1節1(3)ウのとおりであり、製造業者等による再商品化率は4品目とも法定の基準を上回っています。

 近年、一般家庭や中小の事務所から排出される使用済みとなった家電製品等の収集、運搬等を行う「不用品回収業者」が増加しています。

 これらの不用品回収業者が廃棄物処理法に基づく一般廃棄物収集運搬業の許可や市町村の委託等を受けていない場合には、使用済家電製品を回収する行為は廃棄物処理法に抵触する違法なものと考えられます。

 このような現状にかんがみ、不適正な処理ルートへの取締まりを強化するため、平成24年3月19日、環境省から地方自治体宛てに不用品回収業者が取り扱う使用済み家電製品について通知(「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について」)を発出しました。この通知によって、中古品として市場価値のないものや、中古品としての扱いがなされていないものについては金銭の授受に関係なく「廃棄物」であるということが明確化されました。また、不用品回収業者、ヤード業者や輸出業者がテレビやエアコンなどをフロン回収や飛散流出措置をとらずに分解・破壊をしていた場合は、廃棄物を扱っていると判断されることが明確化されました。

 平成25年5月から、中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合において平成20年2月に取りまとめられた「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」に基づく制度の評価・検討を行っています。

6 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)

 建設リサイクルを取り巻く諸課題に対応するため、平成20年4月に「建設リサイクル推進計画2008」を策定し、引き続き本計画に基づく施策を実施しました。また、「建設リサイクル推進計画2008」の目標達成状況及び次期建設リサイクル推進計画策定のための基礎情報を把握するため、平成24年度建設副産物実態調査を実施しました。

7 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)

 平成24年度における食品循環資源の再生利用等の実施率は、食品産業全体では85%となっていますが、業態別では、食品製造業が95%、食品卸売業が58%、食品小売業が45%、外食産業が24%と格差が見られます。

 平成19年12月に施行された食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律に基づき、関係者が連携して取り組む再生利用事業計画(いわゆる食品リサイクルループ)の認定など、食品リサイクル法第3条第1項の規定に基づく基本方針に示された、食品関連事業者における食品循環資源の再生利用等の実施率目標の達成に向けた取組を推進しています。

 また、24年4月に暫定的に設定をした食品廃棄物等の発生抑制の目標値に関して、26年4月からの本格実施を行うため、業種の追加等を行い、26業種について発生抑制の目標値を設定し、消費者を巻き込みながら、返品などの商慣習の改善をフードチェーン全体で話し合う取組を進めています。

 平成25年3月から、平成24年12月に前回の改正法施行から5年が経過したことを受け、中央環境審議会、食料・農業・農村政策審議会の合同会合において改正法附則に基づく制度の評価・検討を行っています。

8 使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)

(1)施行状況

 平成17年1月から自動車リサイクル法が本格施行され、関連事業者については引取業が約4万4,000者、フロン類回収業が約1万3,000者、解体業が約6,000者、破砕業が約1,200者それぞれ都道府県等の登録又は許可を取得しています。

 これらの事業者が適正に再資源化等に必要な行為を行っているかどうかについて、都道府県等に依頼して全国一斉に立入検査を実施し、平成25年12月にその結果を取りまとめて公表しました。

 また、自動車製造業者等は、シュレッダーダスト、エアバッグ類及びフロン類を引き取り、シュレッダーダスト及びエアバッグ類については達成すべき基準に従った再資源化を、フロン類については破壊を実施する義務がありますが、平成24年度は、各社ともに基準を大きく上回る再資源化を達成しました。

(2)使用済自動車の循環的な利用の高度化支援

 本格施行から5年後にあたる平成22年1月に取りまとめられた「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」に基づき、使用済自動車の循環的な利用の高度化に資する民間事業者による取組への支援事業、Car to Carの実現を目指した鉄スクラップの高度利用化に関する実証事業を実施しました。

9 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)

 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律は、平成25年4月1日に施行されました。

 本法律は、再資源化のための事業を行おうとする者は、再資源化事業の実施に関する計画を作成し、主務大臣の認定を受けることができ、認定を受けた者(認定事業者)又はその委託を受けた者が再資源化に必要な行為を行うときは、市町村等による廃棄物処理法の業の許可を不要とする措置を講じるものです。平成25年度は35の再資源化事業者が認定されました。本制度により、使用済小型電子機器等の収集及びレアメタルを含む有用金属の回収が促進されていきます。

10 農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律(農林漁業バイオ燃料法)

 農林漁業に由来するバイオマスのバイオ燃料向け利用の促進を図り、国産バイオ燃料の生産拡大を推進するため、農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律(平成20年法律第45号)が平成20年10月に施行されました。

 本法は、農林漁業者やバイオ燃料製造業者が連携して原料生産からバイオ燃料(エタノール、木質ペレット等)製造までを行う「生産製造連携事業」及びバイオ燃料の製造の高度化等に向けた研究開発を行う「研究開発事業」に係る計画を国が認定し、新設したバイオ燃料製造施設に係る固定資産税の軽減、農林漁業者に対する改良資金等の償還期間の延長等の支援措置を実施するものです。

 平成26年3月現在で、本法に基づく「生産製造連携事業」に係る計画について15件の認定を実施しました。

11 バイオマス活用推進基本法

 バイオマス(動植物に由来する有機物である資源(化石資源を除く))の活用の推進に関し、基本理念を定めること等により、バイオマスの活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、それにより持続的に発展することができる経済社会の実現に寄与することを目的とした、バイオマス活用推進基本法(平成21年法律第52号)が平成21年9月に施行されました。また、同法に基づき平成22年12月には、バイオマスの活用の促進に関する施策についての基本的な方針、国が達成すべき目標、技術の研究開発に関する事項等を定める「バイオマス活用推進基本計画」が策定されました。この計画では、2020年までに国が達成する目標として、[1]炭素量換算で年間約2,600万tのバイオマスを活用すること、[2]600市町村において市町村バイオマス活用推進計画を策定すること、[3]バイオマスを活用する約5,000億円規模の新産業を創出すること等が掲げられています。市町村バイオマス活用推進計画等の策定を推進するため、「市町村バイオマス活用推進計画作成の手引き」を24年9月に作成しました。さらに、同月には、技術とバイオマスの選択と集中による事業化を重点的に推進するため、「バイオマス事業化戦略」を策定しました。

12 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)

(1)法に基づく国・地方公共団体の取組推進

 環境物品等の調達の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)に基づき、国等の各機関は、平成24年度の調達方針の公表等を行い、これにしたがって調達を実施しました。

 基本方針に定められる特定調達品目及びその判断の基準等については、その開発・普及の状況、科学的知見の充実等に応じて適宜見直しをすることとしており、平成25年2月に、一部の役務契約において、店舗において取り扱う商品については、再利用のために容器包装の返却・回収が可能ものであること等を配慮事項に含めること等を内容とする基本方針の変更を行いました。

(2)幅広い主体による環境物品等の購入の推進

 グリーン購入セミナーなどを通して、廃棄物の発生の少ない製品やリサイクル可能な製品など、環境への負荷の少ない製品の優先的な購入の普及啓発を行いました。また、環境表示の適切な情報提供に関する取組を促進するため、事業者が、適切な情報提供を行うための方法等を取りまとめた「環境表示ガイドライン」を見直しました。

13 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)

 昭和43年に発生したカネミ油症事件によりPCBの人体に対する毒性が明らかとなり、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)が昭和48年10月に制定され、PCBの製造・輸入・使用が事実上禁止となりました。しかし、廃棄物となった電気機器等については、処理施設建設候補地の地方公共団体や周辺住民の理解が得られないなどの理由で処理体制の構築がされず、長期にわたり、PCB廃棄物の保管が続いてきました。また、平成13年5月に採択された残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下「POPs条約」という。)では、PCBの平成37年までの使用の全廃、平成40年までの廃棄物の適正な管理が定められています。このような状況の中、PCBによる環境汚染を防止し、将来にわたって国民の健康を保護し、生活環境の保全を図るため、平成13年6月にPCB特措法の制定等が行われました。これにより、国は、PCB廃棄物処理基金の創設や日本環境安全事業株式会社による拠点的な処理施設整備の推進など、PCB廃棄物の処理体制の構築に向けた施策を実施することとなりました。保管事業者は、当初平成28年までにPCB廃棄物の処理を行うことが義務付けられましたが、法施行後に微量PCB汚染廃電気機器等の存在が明らかになるなど当初設定された期間内の処理完了が困難な状況にあることから、平成24年12月に処分の期間が平成39年3月31日まで延長されました。

14 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(産廃特措法)

 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(平成15年法律第98号。以下「産廃特措法」という。)については、平成24年度の法改正により、同法の有効期限が24年度末から34年度末まで延長されています。平成9年の改正廃棄物処理法の施行以前の不法投棄等が原因で生活環境に支障等が出ている事案について、都道府県等が産廃特措法に基づき実施する特定支障除去等事業が着実に進むよう支援しています。

15 浄化槽法

 昭和60年10月に施行された浄化槽法では、公共用水域等の水質の保全等の観点から、浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図り、これを通じて、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的としています。また、浄化槽の製造、設置、管理にわたる一連の過程を一元的にとらえて規制を強化し、同時に、設置、管理の業務に携わる者の身分資格を定めています。

 同法では、各家庭などにおいて浄化槽の適切な維持管理が行われているかどうかを確認するための検査を行うことになっています。平成24年度実績の同法第7条に基づき実施する水質検査の受検率は91.0%であり、平成23年度に比べて0.6ポイント減少しました。また、同法第11条に基づく浄化槽の定期検査の受検率は33.4%(合併処理浄化槽のみでは53.0%)であり、平成23年度に比べて1.6ポイント(合併処理浄化槽のみでは1.1ポイント)増加しました。