環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成25年版 環境・循環型社会・生物多様性白書>平成25年度 環境の保全に関する施策  平成25年度 循環型社会の形成に関する施策  平成25年度 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策>第1章 低炭素社会の構築>第1節 地球温暖化対策に係る国際的枠組みの下での取組

平成25年度 環境の保全に関する施策

平成25年度 循環型社会の形成に関する施策

平成25年度 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策

第1章 低炭素社会の構築

第1節 地球温暖化対策に係る国際的枠組みの下での取組

〈気候変動に関する国際的取組〉

 IPCC第4次評価報告書によると、世界の温室効果ガスの排出量は、工業化以降、人間活動により増加しており、1970年(昭和45年)から2004年(平成16年)の間に70%増加したとされています。2012年(平成24年)12月のCOP18においては、来年以降のADP(強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会)における交渉の段取りに合意しました。これを踏まえ、我が国としては、2013年(平成25年)にワルシャワ(ポーランド)で開催されるCOP19に向けて、すべての国に適用される2020年以降の法的枠組みの構築に向けた議論に積極的に貢献するとともに、新たな法的枠組みが構築されるまでの間においてもカンクン合意の着実な実施に向けた取組及び各国による排出削減の努力を促進していきます。また、11月の地球温暖化対策の会議(COP19)までに、25%削減目標をゼロベースで見直すとともに、技術で世界に貢献していく、攻めの地球温暖化外交戦略を組み立てます。

 さらに、地球温暖化防止のため、今後の国際交渉の状況を注視しつつ、気候変動対策に取り組む意欲的な途上国に対する支援を実施することに加え、気候投資基金(CIF)や地球環境ファシリティ(GEF)等の多数国間基金を通じた貢献、コベネフィット・アプローチ等に基づく二国間・多国間の技術・資金協力の推進、国際民間航空機関(ICAO)及び国際海事機関(IMO)における国際航空分野及び国際海運分野からの温室効果ガス排出削減に関する検討、気候と大気浄化のコアリション(CCAC)を通じたブラックカーボン等の短寿命気候汚染物質の削減の取組等を引き続き実施します。

 現在のクリーン開発メカニズム(CDM)を補完する新たなメカニズムとして、我が国の優れた技術・製品・システム・サービス・インフラ等の普及や対策実施を通じて実現した排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価し、我が国の削減目標の達成に活用する二国間オフセット・クレジット制度(JCM/BOCM)の構築・運用に取り組んでいきます。外務省、経済産業省、環境省等の関係省庁が連携し、途上国との協議を進めつつ具体的な制度設計を進めます。また、途上国における排出削減プロジェクトの発掘・形成、排出削減量の測定に関する方法論等の確立を目的とした実現可能性調査や人材構築等を拡充して実施するとともに、本制度によるモデルプロジェクトとしてJCM/BOCM事業を実施していきます。

 地球温暖化対策に不可欠な科学的知見の一層の発展を視野にIPCCの各種報告書の執筆に参加する専門家をサポートする等、IPCCの活動に対する人的、技術的、資金的な貢献を行うとともに、温室効果ガス排出・吸収量世界標準算定方式を定めるために(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)に設立されたインベントリータスクフォースの技術支援組織を引き続き支援します。

 また、インベントリ、適応や測定・報告・検証(MRV)することが可能な途上国の削減行動のあり方を含めた地球温暖化に係る諸課題に関する各種のセミナーやワークショップを引き続き開催することにより、途上国を含む関係諸国との意見交換の促進や能力構築支援に努めます。