環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成24年版 環境・循環型社会・生物多様性白書>平成24年度 環境の保全に関する施策  平成24年度 循環型社会の形成に関する施策  平成24年度 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策>第1章 低炭素社会の構築>第1節 地球温暖化対策に係る国際的枠組みの下での取組

平成24年度 環境の保全に関する施策

平成24年度 循環型社会の形成に関する施策

平成24年度 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策

第1章 低炭素社会の構築

第1節 地球温暖化対策に係る国際的枠組みの下での取組

〈気候変動に関する国際的取組〉

 IPCC第4次評価報告書によると、世界の温室効果ガスの排出量は、工業化以降、人間活動により増加しており、1970年(昭和45年)から2004年(平成16年)の間に70%増加したとされています。2011年(平成23年)12月のCOP17においては、工業化以前に比べ気温上昇を2℃以内に抑えるとの観点から、大幅削減の必要性の認識を共有しました。この実現に向け、世界全体での排出量をできる限り早期にピークアウトさせることを目指し、低炭素社会の構築や革新的技術開発の推進を含む2050年(平成62年)までの世界全体の排出量の削減のあり方を共有するとともに、2050年までに自らの排出量を80%削減することを目指すこととしています。わが国としては、COP17で採択された合意を踏まえ、すべての国に適用される2020年以降の法的枠組みの構築に向けた議論に積極的に貢献するとともに、新たな法的枠組みが構築されるまでの間においてもカンクン合意の着実な実施に向けた取組及び各国による排出削減の努力を促進していきます。

 さらに、地球温暖化防止のため、今後の国際交渉の状況を注視しつつ、気候変動対策に取り組む意欲的な途上国に対する支援を実施することに加え、気候投資基金(CIF)や地球環境ファシリティGEF)等の多数国間基金を通じた貢献、コベネフィット・アプローチ等に基づく二国間・多国間の技術・資金協力の推進、国際民間航空機関ICAO)及び国際海事機関IMO)における国際航空分野及び国際海運分野からの温室効果ガス排出削減に関する検討等を引き続き実施します。

 開発途上国等におけるプロジェクトの発掘及び事業化を進めるとともに、ホスト国におけるクリーン開発メカニズムCDM)及び共同実施JI)プロジェクトの受入れやCDMを利用したコベネフィット事業に係る支援を引き続き実施します。

 京都議定書の目標達成のため、わが国は国内対策に最大限取り組んだとしてもなお目標達成に不足すると見込まれる差分について、CDMやJI等の京都メカニズムを活用したクレジットの取得によって対応することが必要です。そこで政府は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を活用し、[1]リスクの低減を図る、費用対効果を考慮して取得する、[2]地球規模での温暖化対策や途上国の持続可能な開発への支援を図る、という観点を踏まえながらクレジットの確保を目指します。

 このような現行の京都メカニズムの着実な実施に加えて、新たなメカニズムとしての二国間オフセット・クレジット制度構築に向け、途上国における排出削減プロジェクトの発掘・形成、排出削減量の測定に関する方法論等の確立を目的としたフィージビリティスタディやキャパシティ・ビルディング等を拡充して実施します。具体的な制度設計について、外務省、経済産業省、環境省等の関係省庁が連携して取り組みます。

 IPCCの各種報告書の執筆に参加する専門家をサポートする等、IPCCの活動に対する人的、技術的、資金的な貢献を行います。また、温室効果ガス排出・吸収量世界標準算定方式を定めるために(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)に設立されたインベントリータスクフォースの技術支援組織を引き続き支援します。

 また地球温暖化アジア太平洋地域セミナーや、アジア地域でのインベントリに関するワークショップを引き続き開催し、適応や測定・報告・検証(MRV)することが可能な途上国の削減行動のあり方を含めた同地域における地球温暖化の諸課題について、意見交換やキャパシティ・ビルディング等を通じた途上国支援に努めます。