環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成24年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部>第3章 元気で豊かな地域社会づくり>第1節 震災からの復興に向けて

第3章 元気で豊かな地域社会づくり

第1節 震災からの復興に向けて

 東日本大震災復興基本法(平成23年法律第76号)に基づき、東日本大震災からの復興に向けた国による復興のための取組の基本方針が策定されました。震災からの復旧・復興に当たっては、東日本大震災復興構想会議が定めた「復興構想7原則」を原則として、地域・コミュニティ主体の復興を基本としなければなりません。

 この復興構想7原則においては、被災地の広域性・多様性を踏まえ、地域の潜在力を活かし、技術革新を伴う復旧・復興を目指すことの重要性が指摘されています。これらの取組は、被災地に次の時代をリードする経済社会を実現する可能性を追求するだけではなく、日本経済の再生を目指すものでなければなりません。国は、復興の全体方針と制度設計によってそれを支える必要があります。また、地域における暮らしの再生にあっては、地域において「絆やつながり」を持ち続けることの重要性も指摘されています。

 復興構想7原則に示されたこれらの考え方は、持続可能な社会の実現に向けた取組と方向性を同じくするものと考えられます。復興に向けた取組は、被災地のみならず、我が国が目指すべき社会の先駆けともなり得るものであると考えることができます。この節では、復興構想7原則の理念を踏まえ自立分散型の地域づくりや、自然資源・自然エネルギーを活用する地域の取組等について紹介します。

1 東北における再生可能エネルギーの導入

(1)再生可能エネルギーの導入ポテンシャル

 再生可能エネルギーの導入を促進することは、気候変動の緩和につながるだけでなく、自立分散型のエネルギー供給システムが構築されることによって、災害やエネルギーリスクに強い地域づくりを可能とするものです。

 こうした重要性に鑑みれば、平成21年度時点では1次エネルギー供給に占める割合が6%程度となっている再生可能エネルギーの大規模な導入拡大を図ることが必要であり、今後の大規模導入の可能性及びその推進方策について所要の検討を進める必要があります。

 環境省では、今後の再生可能エネルギー導入普及施策の検討のための基礎資料とすべく、「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」を平成21年度から実施しています。本調査では、種々の制約要因(土地の傾斜、法規制、土地利用、居住地からの距離等)を考慮せず、設置可能面積、平均風速、河川流量等から理論的に推計することができるエネルギー資源量を「賦存量」、エネルギーの採取・利用に関する種々の制約要因による設置の可否を考慮したエネルギー資源量を「導入ポテンシャル」、事業収支に関する特定のシナリオ(仮定条件)を設定した場合に具現化が期待されるエネルギー資源量を「シナリオ別導入可能量」と定義して推計しています。

 2011年(平成23年)3月の本調査の結果、各再生可能エネルギーの導入ポテンシャルは、非住宅系太陽光発電が1.5 億kW、風力発電については陸上が2.8億kW、洋上が16億kW、中小水力発電(河川部と農業用水路、3万kW 以下)が1,400万kW、 地熱発電が1,400万kWと推計されました。なお、これらの推計値は既開発分を含んだ値であることに留意が必要です。

 また、東北地方における再生可能エネルギーの導入ポテンシャルについても、推計が行われています。特に風力発電については高い導入ポテンシャルがあり、最大830億kWh/年の導入可能性(東北電力販売電力供給量と同程度)があると見込まれています。さらに地熱発電についても、九州等と並ぶ限られた適地であるとされています。

 以上の点からも、東北地方における再生可能エネルギーの導入ポテンシャルは非常に高く、東北地方の復興にあっては、この再生可能エネルギーの利用が重要な論点の一つとなると考えられます。


図3-1-1 東北地方における再生可能エネルギーのポテンシャルについて


国立公園・国定公園内の地熱開発


 環境省では、国立公園・国定公園内における地熱開発の取扱について、自然環境への影響の軽減のための技術改良が一定程度進んでいることやベースロードとなり得る安定的な発電が可能な電源としての地熱発電に対する国民の期待の高まり、さらには東日本大震災以降のエネルギー事情の変化等を受けて、見直しを行いました。その概要については、以下のとおりになります。


(2)再生可能エネルギーを活用した被災地の復興

 東日本大震災では、ライフラインが甚大な被害を受けました。ライフラインの復旧に向け、関係者の懸命な復旧作業が行われましたが、それでもなお、復旧には長い日数を要したため、多くの被災者が不便な環境での避難生活を強いられました。こうした状況の中、ペレットストーブや太陽光パネル等、自立分散型の暖房器具や電源の効果が示されたことで、ライフラインの途絶えた状況下での自立分散型の再生可能エネルギーの重要性が広く認識されました。災害に強い地域づくりという観点からも、公共施設等をはじめとした避難所への自立分散型の再生可能エネルギーの導入が注目されています。

 ここでは、平成20年度から平成22年度までの3カ年で実施された地域グリーンニューディール基金による事業のうち、岩手県奥州市と青森県の事例をとりあげて、東北地方における地域の再生可能エネルギーを用いた取組のあり方を考えてみます。

 奥州市では、山間部に残された林地残材と家庭から出る廃食油を収集し燃料化して、市内の温泉施設の電気や熱として活用しています。具体的には、林地残材はチップ化して木質ガスを抽出し、廃食油はバイオディーゼル燃料化します。それらを混焼して、コージェネレーションシステムで電気と熱をつくり、電気は施設内で使用し、熱は温泉の加温に使用して二酸化炭素を削減しています(図3-1-2)。青森県では、これまで、冬場の道路の凍結や積雪が問題となっており、融雪用重油ボイラー施設で対応していました。加えて、木質ペレットボイラーを併設し、重油ボイラーと合わせて併用し年間約61klもの重油使用を削減することで、二酸化炭素排出抑制を図るとともに、地域の環境・エネルギー産業の発展につなげています。


図3-1-2 岩手県奥州市で導入されている木質バイオマスガス化コージェネレーションシステム

 地域における自然資源を巧みに活用することで、地域の振興だけではなく、災害にも柔軟に対応できる自立分散型の地域づくりにつなげることができたというこの奥州市や青森県の取組事例は、東日本大震災以降、多くの自治体から注目されています。

 東日本大震災からの復興の基本方針では環境先進地域を被災地域に実現するため、地域の未利用資源を徹底活用しながら自立分散型エネルギーシステムの導入を推進するための支援を行うとしており、平成23年度第三次補正予算における地域グリーンニューディール基金等の仕組みを活用し、環境先進地域の構築を目指す被災地における復興支援を推進しています。例えば、この地域グリーンニューディール基金における主な取組として、避難所を対象に、エネルギーの創出と蓄エネルギーに焦点を当てた再生可能エネルギーを活用した先進的なシステムの構築が推進されることとなっています。


東北地域における太陽光発電及び風力発電導入の地域経済効果


 東日本大震災後、被災地の復興においては、再生可能エネルギーの導入が進んでいますが、こうした動きはそれらの地域経済にどのような影響をもたらし得るのでしょうか。

 この点については、「平成23年度 環境経済の政策研究 環境・地域経済両立型の内生的地域格差是正と地域雇用創出、その施策実施に関する研究(中村良平岡山大学大学院教授ほか)」において、東北3県(岩手県、宮城県、福島県)における太陽光発電、風力発電の導入がもたらし得る地域経済効果についての分析がなされています。

 この分析は、前述の都道府県別の「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」を基に、各県における既存の再生可能エネルギー政策も踏まえ、各県別の地域産業連関表を用いて環境部門として太陽光発電、風力発電の経済波及効果を組み込んだ新たな産業連関表を作成し、地域経済への波及効果を分析するものです。

 この結果によれば、東北3県における再生可能エネルギーの導入が各県のポテンシャルに応じて進む場合には既存電源の関連地域産業との連関構造が強い地域では、既存電力を上回るだけの経済効果をもたらすことは難しい場合がある一方で、既存電源からの電力を地域外から購入する必要が無くなること等により地域内に留保される資金額が増加するため、この留保資金を活用して地域活性化を図る取組が可能となること、そうした取組が地域間格差の是正につながる可能性があることなどが示されています。例えば、既存電源と地域内産業との連関が比較的弱く、域外からの電力購入割合が比較的高い岩手県では、再生可能エネルギーによる生産波及効果が既存電力を上回っており、また地域内に留保される資金額も比較的大きくなっています。逆に、既存電源と地域内産業との連関が比較的強く、域外からの電力購入割合が比較的小さい宮城県では、再生可能エネルギーによる生産波及効果が既存電力を下回っており、また地域内に留保される資金額も比較的小さくなっています。また、地域内で再生可能エネルギーを創出していくことは、中長期的には、再生可能エネルギーの技術進展によるコストの低減、電力負荷平準化のための蓄電設備等の関連インフラ整備への投資の進展、将来的な化石燃料の枯渇による価格上昇等へのリスクヘッジ、地域におけるエネルギーセキュリティの向上等にもつながり、地域の自立性をさらに高める可能性があります。

 これらを早期に実現するためには、短期間に再生可能エネルギーを導入していくことが重要となります。太陽光発電、風力発電を早期に普及させるための政策としては、固定価格買取制度による安定した投資収益が見込める制度の構築のみならず関連規制等を早期に整備し、地域経済への波及効果の高い形で再生可能エネルギーの早期普及が実現することが急がれています。


東北地域における太陽光発電及び風力発電導入の地域経済効果

2 地域の森林資源を生かした復興の取組

 東日本大震災では多くの被災者が仮設住宅に避難せざるを得ない状況となり、現在でも11万人が仮設住宅における不便な暮らしを強いられています。多くの仮設住宅は、トタンや鉄などの金属を主な素材にした無機質なプレハブであり、長期間、日常生活を送ることは、居住性や快適性の側面からも十分とはいえないものです。この観点から、地域産材を利用した木造の仮設住宅が注目を集めています。

 岩手県住田町では、震災以前から、地域産材を生かした木造住宅の普及に取り組んできました。町の面積の9割が森林に覆われ、良質な気仙杉と伝統的な気仙大工の町として知られている住田町では、その豊かで良質な森林資源と高度な製材技術を生かした木材生産を基盤に、造林から住宅生産までの一連のサプライチェーンを町内で展開しています。さらに、木質ペレットやボイラー燃料としての木質バイオマス資源の活用や、FSC森林認証制度の適切な森林管理が行われていることを認証する「森林管理認証(FM認証)」と認証森林からの木材製品であることを実証できる製品管理を示す「加工流通管理認証(CoC認証)」を取得するなど、持続可能な森林の利用に向けた取組にも力を入れてきました。

 これらの取組をさらに発展させるため、住田町では、地域産材を使用した仮設住宅の開発が進められてきました。この取組は、もともと、日本の木材の良さを国外に発信するという理念の下、主に、政府開発援助(ODA)等の国際援助における使用を想定していました。

 東日本大震災の発災後、住田町はこの開発のノウハウを生かし、発災から2ヶ月半後には、この地域産材を使用した仮設住宅93棟を町内3団地に建設し、隣接する陸前高田市や大船渡市などからの被災者を受け入れました(写真3-1-1)。また、このような地方公共団体の積極的な取組に共感を受けた人々によって、住田町の取組を支援するためのボランティア活動が進みました。


写真3-1-1 岩手県住田町における木造仮設住宅

 さらに、住田町の木造仮設住宅は、地元の工務店が、地元産材を用いてつくることによる価格の安さを達成しています。一棟当たりの価格は、浄化槽などの付帯工事込みで約350万円程度で、岩手県内で設置されたプレハブ住宅一棟当たりの平均価格約500万円よりも安価です。これに加えて、木造ならではの質感や香りなどによるぬくもりや安らぎがあります。これらの価格の安さ、居住性、快適性といった強みは、地域にもたらすメリットと相まって、地方公共団体をはじめ多くの関係者が注目しています。

 地域の人々が、自らが暮らす地域の森林資源の価値を見いだし、地場産業を再構築するためのたゆまぬ努力を続けてきた成果を、できる限り被災者支援に活用するという形で行動に移した点で、ボランティアやほかの自治体をはじめとする多くの人々の共感を得ました。これが、人と人とを新しい絆で結び、地域の活性化に大きく貢献すると考えられます。

 このような地域の自然資源の活用のあり方は、今後の持続可能な社会の実現に向けた森林資源の利用の好例として、被災地域のみならず、多くの地域が目指すモデルになり得ると考えられます。

3 自然公園等における被害と復興に向けた取組

(1)自然公園等における被害状況

 東日本大震災では、沿岸に整備された自然公園の利用のための施設(公園事業)や、エコツーリズムをはじめとする自然体験プログラムを提供している事業主体にも大きな被害が出ています。

 陸中海岸国立公園の公園事業として執行されている利用施設について現地調査を行った結果、軽微な被害にとどまった施設も含めて、何らかの被害があった公園事業は56%(全121事業、平成23年9月2日現在。環境省調査)にのぼっています。特に、沿岸に位置するキャンプ場、ホテル、駐車場、歩道等が、津波によって施設自体が破壊されるなどの被害がみられます。また、海水浴場の砂浜が消失してしまった地域がみられるほか、震源地に近い牡鹿半島(南三陸金華山国定公園)では、地割れによる被害も確認されています。


写真3-1-2 被災した陸中海岸国立公園のキャンプ場(中の浜野営場(岩手県宮古市))

 東北地方太平洋沿岸には、遊覧船や小型漁船で巡る海上遊覧や、シーカヤック、漁業、歴史・生活文化等の体験といった、自然体験プログラムが提供されていました。青森県八戸市から福島県相馬市までの沿岸で実施されていた213の自然体験プログラムについて、平成23年8月末時点での状況を調査した結果、復旧済みの事業者も含め、合計で100プログラム(47%)が震災の影響を受けていて、91プログラム(43%)が「一部復旧済み」又は「復旧のめど立たず」という状況でした。(三陸沿岸地域の主要な自然体験プログラムの現状把握業務報告書。環境省。平成23年)

 一方で、沿岸の自然公園の指定理由にもなっている、海食崖、リアス海岸、奇岩などの海岸の景勝地は、松原や一部の砂浜海岸を除けば、その多くは、地震・津波後も雄大な風景を誇っています。


写真3-1-3 震災前と変わらない陸中海岸国立公園の景勝地

(2)自然環境に関する復興の基本方針

 こうした被災地の現状を背景に、平成23年7月29日に東日本大震災復興対策本部が策定した東日本大震災からの復興基本方針には、三陸復興国立公園や、自然環境に関連する事項が位置付けられています。


東日本大震災からの復興の基本方針(抜粋)

  • 陸中海岸国立公園などの既存の自然公園を再編し三陸復興国立公園とし、防災上の配慮を行いつつ被災した公園施設の再整備や長距離海岸トレイルの新規整備を行うことについて検討する。また、農林水産業と連携したエコツーリズムの推進など各種事業を行う。
  • 自然の景観、豊かな文化・「食」、国立公園や世界遺産などの地域の豊かな観光資源を活用した東北ならではの観光スタイルを構築する
  • 地域に根ざした自然との共生の知恵も生かしつつ、森・里・海の連環をとり戻すための自然の再生などによる自然共生社会を実現する
  • 津波の影響を受けた自然環境の現況調査と、経年変化状況のモニタリングを行う

(3)東北地方の自然資源を活かした復興への取組

 東北地方の太平洋沿岸では、震災の前から自然環境の保護と利用に関して、さまざまな取組が実施されていました。以下に代表的なものをいくつか紹介します。

 岩手県田野畑村では、特定非営利活動法人体験村・たのはたネットワークが積極的にエコツアーの取組を進めていました。サッパ船と呼ばれる小型の漁船を活用し、漁師のガイドの下、巧みな操船技術、海辺の動植物のガイド、漁場の解説、船でしか到達できない雄大な海岸風景を楽しむといった、魅力的な自然体験プログラムを多数提供し、年間約8,000人(平成21年度)もの利用者がありました。この取組は、単にプログラムの提供にとどまらず、漁業者の副収入として重要な位置を占めるようになっていたり、豊かな自然環境を地域の宝としてとらえ、その素晴らしい自然環境を後世に残すための取組が始まるなど、地域全体にとっても大きな意味を持つ取組となっていることが評価され、環境省のエコツーリズム大賞特別賞を平成19年に受賞しています。


写真3-1-4 田野畑村のサッパ船によるエコツアー(震災前)

 平成23年7月29日にサッパ船によるエコツアーが再開され、震災後の第一便が出港しました。サッパ船以外のエコツアープログラムも含めて、復興への努力が懸命に続けられています。田野畑村に限らず、各地でエコツアーや震災を語り継ぐガイドなどの取組が始まっています。

 岩手県では、北上山地が約5億年前という日本最古の地層を持ち、沿岸部で化石が多くみられること、日本の近代化を支えた鉱床・鉱山群、造形美にあふれた鍾乳洞が多数分布すること、津波災害との闘いの歴史、海に根ざした暮らしを伝える資源を活かし、世界ジオパークの認定を目指して活動を進めています

(4)三陸地域の自然公園等を活用した復興の考え方

 中央環境審議会自然環境部会は、環境大臣から三陸地域の自然公園等を活用した復興の考え方について諮問を受け、各地域において環境省が開催した意見交換会の結果も踏まえ、平成24年3月9日に答申を取りまとめました。答申では、三陸復興国立公園の創設をはじめとしたさまざまな取組を通じて、森・里・川・海のつながりにより育まれてきた自然環境と地域のくらしを後世に伝え、自然の恵みと脅威を学びつつ、それらを活用しながら復興することを「国立公園の創設を核としたグリーン復興 -森・里・川・海が育む自然とともに歩む復興-」として、今後の復興の基本理念としています。そして、今後の具体的な取組として、以下の7項目を「グリーン復興プロジェクト」として位置付け、被災地域の方々の声を聞きながら、関係者と連携・協働して、国際的な情報発信も含めて推進していくことを提言しています。

[1]三陸復興国立公園の創設(自然公園の再編成):陸中海岸国立公園を中核として、青森県八戸市の蕪島から宮城県石巻市・女川町の牡鹿半島まで及びその周辺の自然公園を対象に一つの国立公園として再編成し、自然公園の適切な利用を通じて地域振興を図り復興に貢献する。

[2]里山・里海フィールドミュージアムと施設整備:再編成した国立公園における被災した利用施設の復旧・再整備を進めるとともに、自然の恵みや地域固有のくらしを伝えるための施設整備、自然の脅威を学ぶための場の整備を進める。また、国立公園を核として、周辺部の里山・里海、集落地を含めて一定のまとまりをもつ地域をフィールドミュージアムとして位置付け、面的にさまざまな資源を活用し、地域の活性化を進める。

[3]地域の宝を活かした自然を深く楽しむ旅(復興エコツーリズム):農林水産業との連携、大震災の体験の語り継ぎや被災地域のガイドツアー、ジオツアー等と連携したエコツーリズムを推進し、滞在型の観光を進める。

[4]南北につなぎ交流を深める道(東北海岸トレイル):地域の自然環境や地域のくらし、震災の痕跡、利用者と地域の人々等、さまざまなものを「結ぶ道」を長距離自然歩道として設定し、歩くスピードによる深い自然体験と、新たな気づきの場を提供し、滞在型の観光を進める。

[5]森・里・川・海のつながりの再生:豊かな生態系を保護地域として保全することと、森・里・川・海のつながりの重要性等について、多くの人に体験を通じて深く理解してもらうことを進める。また、地震・津波の影響により干潟のような環境になっている場所や、地震・津波の影響を受けた干潟・アマモ場といった生態系について、地域の理解が得られた場合は、自然の回復力を助ける形での再生の取組を進める。

[6]持続可能な社会を担う人づくり(ESD)の推進:自然環境の成り立ちや自然のメカニズム、森・里・川・海のつながり、地域のくらし、自然の脅威と防災や減災などをテーマに、持続可能な社会を担う人づくり(ESD:持続可能な開発のための教育)を進める。

[7]地震・津波による自然環境への影響の把握(自然環境モニタリング):生物多様性保全上重要な地域において、地震・津波による自然環境への影響の調査、変化し続ける自然環境のモニタリングの継続、研究者等が収集した情報も含めた情報の集約、整理・公開、総合的な地震・津波の自然環境への影響の評価を進める。