第3節 循環型社会の形成に向けた法制度の施行状況

(1)循環型社会形成推進基本法(循環型社会基本法)

 大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会のあり方や国民のライフスタイルを見直し、社会における物質循環を確保することにより、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷の低減が図られた「循環型社会」を形成するため、平成12年6月に「循環型社会形成推進基本法」(循環型社会基本法)が公布され、平成13年1月に施行されました。

 同法では、対象物を有価・無価を問わず「廃棄物等」として一体的にとらえ、製品等が廃棄物等となることの抑制を図るべきこと、発生した廃棄物等についてはその有用性に着目して「循環資源」としてとらえ直し、その適正な循環的利用(再使用、再生利用熱回収)を図るべきこと、循環的な利用が行われないものは適正に処分することを規定し、これにより「天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会」である「循環型社会」を実現することとしています(図3-3-1)。


図3-3-1 循環型社会の姿

 循環型社会基本法では施策の基本理念として排出者責任拡大生産者責任という2つの考え方を定めています。

 ア 排出者責任

 廃棄物の処理に伴う環境への負荷の低減に関しては、その一義的な責任を排出者が負わなければなりません。排出者責任とは、廃棄物を排出する者が、その適正処理に関する責任を負うべきであるとの考え方であり、廃棄物・リサイクル対策の基本的な原則の一つです。具体的には、廃棄物を排出する際に分別すること、事業者がその廃棄物の処理を自ら行うこと等が挙げられます。

 廃棄物の処理に伴う環境への負荷の原因者はその廃棄物の排出者であることから、排出者が廃棄物の処理に伴う環境負荷低減の責任を負うという考え方は合理的であると考えられます。この考え方の根本は、いわゆる汚染者負担の原則にあります。

 この排出者責任の考え方については、今後とも、その徹底を図らなければなりません。また、国民も排出者としての責務を免れるものではなく、その役割を積極的に果たしていく必要があります。

 イ 拡大生産者責任

 拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility)とは、生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適切なリユース・リサイクルや処分に一定の責任(物理的又は財政的責任)を負うという考え方です。そうすることで、生産者に対して、廃棄されにくい、又はリユースやリサイクルがしやすい製品を開発・生産するようにインセンティブを与えようというものです。廃棄物等の量が多く、しかも、それらのリユースやリサイクルがむずかしいことが問題になっている今日、拡大生産者責任はそれらを克服するために重要な考え方の一つとなっています(表3-3-1)。


表3-3-1 OECD「拡大生産者責任ガイダンス・マニュアル」における拡大生産者責任

 ウ 循環型社会形成推進基本計画(循環型社会基本計画)

 循環型社会基本法では、政府において、循環型社会の形成に関する基本的な計画として、循環型社会形成推進基本計画を策定することを規定しています。

 循環型社会基本計画は、循環型社会の形成に関する政策の総合的、計画的な推進を図るための中心的な仕組みとなるものであり、循環型社会のあるべき姿についてのイメージを示し、循環型社会形成のための数値目標を設定するとともに、国及びその他の主体の取組の方向性を示します。

 平成20年3月に閣議決定した第2次の循環型社会基本計画では、国民、事業者、NPO/NGO、大学、地方公共団体、国等のすべての主体が相互に連携することで循環型社会の形成に向けた取組を進めることとされています。とりわけ国における取組として、[1]低炭素社会づくりや自然共生社会づくりとの統合的取組、[2]「地域循環圏」の形成推進、[3]3Rに関する国民運動、[4]グリーン購入の徹底など循環型社会ビジネスの振興、[5]発生抑制を主眼とした3Rの仕組みの充実、[6]3Rの技術とシステムの高度化、[7]情報把握と人材育成、[8]国際的な循環型社会の構築を総合的に実施することとしています(図3-3-2)。


図3-3-2 循環型社会の形成の推進のための施策体系

 また、循環型社会基本計画の着実な実行を確保するため、毎年、中央環境審議会は、循環型社会基本計画に基づく施策の進捗状況などを点検し、必要に応じその後の政策の方向性について政府に報告することとされており、平成22年度は第2次循環型社会基本計画の3回目の進捗状況の点検を行いました。

 具体的には産業界、事業者、地域での取組事例、関係省庁等からの5回のヒアリングも踏まえ、8回にわたって集中的に審議を行い、平成23年3月に点検結果を取りまとめました。(平成22年度に行った循環型社会基本計画の第3回点検結果の概要については前出図3-1-9)。

(2)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

 ア 廃棄物処理における総合的な取組

 平成13年5月に環境大臣は「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」(基本方針)を決定し公表しています。その中では、まず、できる限り廃棄物の排出を抑制し、次に、廃棄物となったものについては不適正処理の防止その他の環境への負荷の低減に配慮しつつ、再使用、再生利用熱回収の順にできる限り循環的な利用を行い、こうした排出抑制及び適正な循環的利用を徹底した上で、なお適正な循環的利用が行われないものについては、適正な処分を確保することを基本とすること等を定めています。平成22年12月に改正した基本方針では、平成27年度において一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分量をそれぞれ平成19年度に対し約22%、約12%削減することとしたところです。

 また、平成15年6月の廃棄物処理法の改正では、廃棄物処理施設整備計画の策定に関する条文が追加され、これに伴い廃棄物処理施設整備緊急措置法は廃止されました。廃棄物処理施設整備計画は、政府における社会資本整備のあり方の見直しの議論を踏まえ、計画の内容を「事業の量」から「達成される成果」に変更して、平成15年10月に閣議決定しました。本計画は平成20年度に計画終了年度を迎えていたことから、地球温暖化対策との連携等の観点を盛り込んだ新たな廃棄物処理施設整備計画を平成20年3月に閣議決定しました。

 廃棄物の3Rを推進するための目標を設定し、広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進する「循環型社会形成推進交付金制度」を平成17年度に創設し、廃棄物の発生抑制・循環的利用・適正処理を促進するため、熱回収施設、高効率原燃料回収施設、汚泥再生処理センター、最終処分場、リサイクルセンター等の一般廃棄物処理施設の整備を図っています。平成22年度においては、この交付金を活用するための地域計画が55件策定されました。

 その他、一般廃棄物処理施設に係る民間資金活用型社会資本整備事業(PFI事業)に対して補助を行いました。

 平成12年6月の廃棄物処理法の改正において、廃棄物処理センター制度の一層の活用を図ることを目的に、廃棄物処理センターの指定要件の緩和を行い、さらに民間を含め優良な処理施設の整備を支援するため、「産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律」に基づく特定施設の認定を行っています。平成21年度は1法人を廃棄物処理センターとして指定し、同年度末では19法人が指定されています。また、平成12年度に創設された産業廃棄物処理施設のモデル的整備事業に対する補助制度により、公共が関与して行う産業廃棄物処理施設の一層の整備促進を図りました。平成21年度は管理型最終処分場等を整備する4事業に対して補助を行いました。

 最終処分場の確保が特に困難となっている大都市圏のうち、近畿圏においては、大阪湾広域臨海環境整備センターが行う広域処理場整備の促進及び埋立ての円滑な実施を図りました。

 またソフト面の施策として、市町村が実施する分別収集等ごみの減量化・再生利用に資する施策への支援を実施しました。平成4年に改正された廃棄物処理法が平成5年12月から施行され、国内処理の原則の下、廃棄物の輸出の場合の環境大臣の確認、廃棄物の輸入の場合の環境大臣の許可等、廃棄物の輸出入についても必要な規制が行われています。平成22年に廃棄物処理法に基づき行われた輸出確認は30件、輸入許可は11件でした(有害廃棄物の越境移動については第3章第2節4の(9)を参照)。

 また、排出事業者が優良な処理業者を選択できる条件を整備するため、産業廃棄物処理業の優良化を推進するための事業を行っており、都道府県等が許可更新等の際に一定の基準を満たすことを確認する「優良性評価制度」を平成17年度より運用してきており、平成22年度末現在、適合件数4,493件、適合事業者数で362事業者が都道府県等より評価基準適合の確認を受けています。さらに、平成22年度の廃棄物処理法改正により「優良産廃処理業者認定制度」を新たに創設し、平成23年4月より「優良性評価制度」に代えて運用開始することとしました。

 さらに、電子マニフェストについては、事務処理の効率化、コンプライアンスの向上、偽造の防止など、その導入においては多くのメリットがあり、普及率は平成22年度末で約24%と急速に普及しているもののいまだ低い状態にあるため、さらなる普及・促進に向けて計画的・総合的に取り組んでいます。

 イ 廃棄物処理法による3Rの推進

 平成9年に改正された廃棄物処理法に基づき、一定の廃棄物の再生利用について、その内容が生活環境の保全上支障がない等の一定の基準に適合していることを環境大臣が認定し、認定を受けた者については業及び施設設置の許可を不要とする制度(再生利用認定制度)が設けられました。平成22年度末現在、一般廃棄物では60件、産業廃棄物では45件の認定を受けています。

 また、平成15年に改正された廃棄物処理法に基づき、広域的に行うことによって、廃棄物の減量その他適正な処理の確保に資するとして環境大臣の認定を受けた者について、業の許可を不要とする制度(広域認定制度)が設けられました。平成20年10月には広域認定制度の対象となる一般廃棄物に廃印刷機及び廃携帯電話用装置を追加しました。平成22年度末までに、製造事業者等による自主回収及び再生利用を促進するため、一般廃棄物では82件、産業廃棄物では203件の認定を行いました。

 平成17年2月の中央環境審議会の意見具申「循環型社会の形成に向けた市町村による一般廃棄物処理の在り方について」を受けて、環境省では、廃棄物・リサイクル行政の目的が、これまでの生活環境の保全、公衆衛生の向上や公害問題の解決に加えて、循環型社会の形成へと変遷していることを踏まえ、廃棄物処理法第5条の2第1項の規定に基づき定めた基本方針において、循環型社会の形成に向けた一般廃棄物処理システムの最適化について、市町村が行うこととして、

1)一般廃棄物の処理に関する事業に係るコストの分析及び情報提供を行い、分析の結果をさまざまな角度から検討するほか、必要に応じてPFIの活用を行うことにより、社会経済的に効率的な事業となるよう努めること。

2)経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再生利用の推進、排出量に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物処理の有料化の推進を図るべき。

3)分別収集区分や処理方法といった一般廃棄物処理システムの変更や新規導入を図る際には、変更や新規導入の必要性と環境負荷面、経済面等に係る利点を、住民や事業者に対して明確に説明するよう努めること。

 と明記しています(図3-3-3)。


図3-3-3 ごみ処理有料化実施自治体率の推移

 さらに、環境省では、平成19年6月、一般廃棄物処理事業に係るコスト分析の標準的手法を示す「一般廃棄物会計基準」、有料化の進め方を示す「一般廃棄物処理有料化の手引き」、一般廃棄物の標準的な分別収集区分や再資源化・処理方法の考え方を示す「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」を作成し、平成22年度は、地方公共団体を対象にこれらのガイドラインの普及等を行い、市町村の3R化改革に対する技術的支援を実施しました。

 ウ 廃棄物処理法の見直し

 平成9年に改正された廃棄物処理法が施行されてから10年が経過し、本改正法の附則に基づき、政府において法の施行状況について検討を加える時期となり、必要に応じて順次検討を行うべき状況にありました。そこで、中央環境審議会に「廃棄物処理制度専門委員会」を設置し、平成20年9月から平成21年12月まで12回にわたり、廃棄物処理法に基づく廃棄物の排出抑制、適正な処理等に関する施行状況について点検、評価及び論点の整理を実施し、制度見直しの方向性について審議していただきました。ここで取りまとめられた報告書の内容を踏まえ、平成22年1月に中央環境審議会から「廃棄物処理制度の見直しの方向性」について意見具申がなされました。

 環境省では、この意見具申を踏まえて検討を進め、平成22年3月5日には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定、同日国会に提出されました。同法案は衆議院、参議院とも全会一致で可決・成立し、同年5月19日に公布されました。また、平成22年12月17日には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定され、同月22日に公布されました。これらの改正内容については、平成23年4月1日から施行されました。

(3)浄化槽法

 昭和60年10月に施行された浄化槽法では、公共用水域等の水質の保全等の観点から、浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図り、これを通じて、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的としています。また、浄化槽の製造、設置、管理にわたる一連の過程を一元的にとらえて規制を強化し、同時に、設置、管理の業務に携わる者の身分資格を定めています。

 同法では、各家庭などにおいて浄化槽の適切な維持管理が行われているかどうかを確認するための検査を行うことになっています。平成21年度実績の同法第7条に基づき実施する水質検査の受検率は90.8%であり、平成20年度に比べて0.9ポイント増加しました。また、同法第11条に基づく浄化槽の定期検査の受検率は28.7%(合併処理浄化槽のみでは50.0%)であり、平成20年度に比べて1.5ポイント(合併処理浄化槽のみでは1.5ポイント)増加しました。

(4)資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)

 平成13年4月に施行された資源有効利用促進法では、1)副産物の発生抑制や再資源化を行うべき業種(特定省資源業種:鉄鋼業、紙・パルプ製造業等)、2)再生資源・再生部品を利用すべき業種(特定再利用業種:紙製造業、ガラス容器製造業等)、3)原材料等の合理化等を行うべき製品(指定省資源化製品:自動車、家電製品等)、4)再生資源又は再生部品の利用の促進を行うべき製品(指定再利用促進製品:自動車、家電製品等)、5)分別回収を促進するための表示を行うべき製品(指定表示製品:プラスチック製容器包装、紙製容器包装等)、6)自主回収・再資源化を行うべき製品(指定再資源化製品:パソコン、小形二次電池)、7)再生資源として利用することを促進すべき副産物(指定副産物:電気業の石炭灰等)を指定し、それぞれに係る事業者に一定の義務付けを行い、事業者の自主的な取組の促進を図っています。

 一方で、平成20年1月に、産業構造審議会環境部会廃棄物処理・リサイクル小委員会基本政策ワーキンググループにおいて、今後の循環型社会の構築に向けた新たな3R政策のビジョンが提言されたことを受け、各種資源投入量のさらなる低減施策に取り組んでいます。

 まず、製品のサプライチェーン全体の資源投入量低減を図るため、平成20年度は20件、平成21年度は30件、平成22年度は8件のサプライチェーンを構成する企業チームを選定し、マテリアルフローコスト会計環境配慮設計を通じた省資源型ものづくりの優良事例創出を図っています。

 また、3R配慮型製品の市場を拡大するため、製造事業者による3Rに関する製品設計・製造の取組状況を、消費者に対して正確に、分かりやすく伝えるための評価手法・仕組みの検討を行っています

(5)容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)

 ア 施行状況

 平成21年度における施行状況をみると、各品目の分別収集量等は、特にガラス製容器、紙製容器包装、ペットボトル、プラスチック製容器、アルミ製容器、段ボール製容器及び飲料用紙製容器については、増加がみられます。他方、スチール製容器において前年度に比べ減少しています(表3-3-2)。


表3-3-2 分別収集計画及び再商品化計画

 平成12年4月から新たに対象品目に追加されたペットボトル以外のプラスチック製容器包装及び紙製容器包装については、分別収集量は順調に伸びており、平成21年度における分別収集の実施率はそれぞれ73.5%及び36.4%となっています。しかしながら、ほかの品目と比べるとまだ低く、今後さらに実施市町村数の増加を図ることが課題となっています(図3-3-4図3-3-5表3-3-3)。


図3-3-4 ペットボトルの未確認量(生産量と分別収集量の差)の推移


図3-3-5 特定事業者が指定法人に支払う再商品化委託費の推移


表3-3-3 指定法人による分別基準適合物の引取実績

 イ 容器包装リサイクル法の施行

 平成20年4月に改正容器包装リサイクル法が完全施行され、再商品化の合理化に寄与した市町村に対して事業者が資金を拠出する仕組みが施行されました。これによって分別収集の質の向上が推進され、社会システム全体の効率化が図られることになりました。

 また、環境省・経済産業省では、平成22年10月に中央環境審議会プラスチック製容器包装に係る再商品化手法専門委員会及び産業構造審議会プラスチック製容器包装に係る再商品化手法検討会合同会合において、プラスチック製容器包装の再商品化手法のあり方について取りまとめを行いました。同取りまとめでは、材料リサイクル手法の優先的取扱いを当面継続することとし、入札制度の改善等、材料リサイクル手法の質の向上のために取り組むべき措置について整理しています。さらに、環境省では、容器包装廃棄物の3Rを推進するため、容器包装リサイクル法に基づき委嘱した容器包装廃棄物排出抑制推進員(愛称:3R推進マイスター)による消費者等への普及啓発のほか、使い捨て飲料容器の削減を目指した「マイボトル・マイカップキャンペーン」を平成22年6月より実施し、地方自治体や各種団体、企業と連携のもと、イベントでの普及活動や、大学での実証実験等を行っています。

(6)特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)

 ア 施行状況

 家電リサイクル法は、平成13年4月に本格施行されました。現在、法の対象となる廃家電4品目(家庭用エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)を製造業者等が引き取る指定引取場所は379か所で設置されており、引き取った廃家電4品目のリサイクルプラントは全国49か所で稼働しています(図3-3-6)。これらのリサイクルプラントにおいては、鉄、アルミニウム、銅、ガラス、プリント基板に使用されている貴金属等が回収されるほか、家庭用エアコン、冷蔵庫・冷凍庫及び電気洗濯機に冷媒として使用されているフロン類と冷蔵庫・冷凍庫の断熱材に含まれているフロン類も回収されています。


図3-3-6 主な家電リサイクルプラントの整備状況

 廃家電4品目の指定引取場所における引取台数やリサイクルプラントにおける再商品化率等は第2節1(3)エのとおりであり、製造業者等による再商品化率は4品目とも法定の基準を上回っています。

 イ 家電リサイクル制度の見直し

 同法は、平成18年4月に施行後5年が経過し、附則に定められた検討の時期を迎えたことから、同年6月より中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合において、制度の評価・検討が進められた結果、平成20年2月に「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」が取りまとめられました。

 これを受けて、下記のとおり、報告書において提言された施策の具体化に取り組んでいます。

・同法の対象となる機器の追加(液晶・プラズマテレビ、衣類乾燥機)や、既存の対象機器の再商品化率の引上げなどを規定するため、同年12月に家電リサイクル法施行令の改正を行いました(平成21年4月1日から施行)。

・不法投棄対策に関する資金面も含めた関係者間協力体制の構築や、離島地域における収集運搬の改善に向け、家電各メーカーからの資金協力の下、不法投棄未然防止事業協力及び離島対策事業協力として事業が実施されています。

・小売業者等の収集運搬に関する負担や不公平性を改善するため、2つのグループに分かれていた指定引取場所について、平成21年10月1日から共有化を行いました。これにより、全国すべての指定引取場所(379か所)において、全製造業者等の廃家電の引取りが可能となりました。

・消費者の排出利便性を向上するためには、小売業者による特定家庭用機器のリユース流通も期待されることから、「リユース・リサイクル仕分け基準の作成に係るガイドライン」の策定を行い、小売業者に対して適切なリユース・リサイクルを推進しています。

(7)建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)

 ア 施行状況

 建設リサイクル法は、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊及び建設発生木材を対象に、平成14年5月に施行されました。対象であるコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊の再資源化率は、平成20年度実績でそれぞれ97.3%、98.4%と高い値を示し、建設発生木材についても、再資源化率は80.3%、縮減を含めた再資源化等率は89.4%となっており、順調に推移しています。

 イ 建設リサイクル制度の見直し

 建設リサイクルを取り巻く諸課題に対応するため、平成20年4月に「建設リサイクル推進計画2008」を策定し、本計画に基づく施策を実施しています。また、「建設リサイクル推進計画2008」策定後の建設副産物等の実態を把握するため、平成20年度建設副産物実態調査を実施しました。また、建設リサイクル法は、平成14年5月の完全施行から5年が経過したことから、平成19年11月より、社会資本整備審議会・中央環境審議会の合同会合において、7回にわたる審議を経て、平成20年12月に取りまとめをまとめました。この取りまとめを踏まえ、届出書の様式の見直し及び解体工事の施工順序の詳細化について、省令の一部改正を実施しました。

(8)食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)

 平成19年度における食品循環資源再生利用等の実施率は、食品産業全体では54%となっていますが、業態別では、食品製造業が81%、食品卸売業が62%、食品小売業が35%、外食産業が22%と格差が見られます。

 平成19年12月に施行された食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律に基づき、関係者が連携して取り組む循環的な再生利用事業計画の認定など、法第3条第1項の規定に基づく基本方針に示された、食品関連事業者における食品循環資源の再生利用等の実施率目標の達成に向けた取組を推進しています。

(9)使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)

 ア 施行状況

 平成17年1月より自動車リサイクル法が本格施行され、関連事業者については引取業が約5万7千社、フロン類回収業が約1万6千社、解体業が約6千社、破砕業が約1千2百社それぞれ都道府県等の登録又は許可を取得しています。

 国は、都道府県等の関係行政機関と協力し、同法の適正な運用を目指し、最終ユーザーから関連事業者、輸出者を対象とした不適正処理対策に取り組みました。

 また、同法の円滑な実施を確保するため、関係事業者や自動車所有者等に対して、各種媒体を活用した広報活動や説明会などを実施しました。

 フロン類、エアバッグ類及びシュレッダーダストのリサイクル(フロン類においては破壊)に係る料金は自動車製造業者等が設定し、公表しています。また、リサイクル料金の管理に要する費用(資金管理料金)と廃車の情報管理に要する費用(情報管理料金)として公益財団法人自動車リサイクル促進センターが経済産業大臣及び環境大臣の認可を受け、公表しています。

 平成21年度で、引取業者による使用済自動車の引取報告(電子マニフェスト報告)件数は約392万件となりました。また、リサイクル料金が預託された車両は平成17年1月から平成22年3月間の施行後累計で約9,799万台、預託金額は9,690億円となりました。

 また、使用済自動車の引渡しに支障が生じている離島市町村に対して、特定再資源化預託金を用いた支援事業を開始しました。平成21年度は89市町村において2.2万台分について資金出えんされました。

 イ 使用済自動車判別ガイドライン策定に関する検討

 平成22年1月に取りまとめた「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」において、中古車と使用済自動車の取扱いの明確化が提言されました。これを受け、使用済自動車と中古車の判断の拠り所となるガイドラインを作成するため、平成22年7月から中央環境審議会及び産業構造審議会の合同審議会ワーキンググループにおいて議論を開始し、平成23年2月に「使用済自動車判別ガイドラインに関する報告書」を取りまとめました。

(10)農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律(農林漁業バイオ燃料法)

 農林漁業に由来するバイオマスのバイオ燃料向け利用の促進を図り、国産バイオ燃料の生産拡大を推進するため、「農林漁業バイオ燃料法」が平成20年10月に施行されました。

 本法は、農林漁業者やバイオ燃料製造業者が連携して原料生産からバイオ燃料(エタノール、木質ペレット等)製造までを行う「生産製造連携事業」及びバイオ燃料の製造の高度化等に向けた研究開発を行う「研究開発事業」に係る計画を国が認定し、新設したバイオ燃料製造施設に係る固定資産税の軽減、農林漁業者に対する改良資金等の償還期間の延長等の支援措置を実施するものです。

 平成23年3月現在で、本法に基づく「生産製造連携事業」に係る計画について10件の認定を実施しました。

(11)バイオマス活用促進基本法

 バイオマス(動植物に由来する有機物である資源(化石資源を除く))の活用の推進に関し、基本理念を定めること等により、バイオマスの活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、それにより持続的に発展することができる経済社会の実現に寄与することを目的とした、「バイオマス活用促進基本法」が平成21年9月に施行されました。また、同法に基づき平成22年12月には、バイオマスの活用の促進に関する施策についての基本的な方針、国が達成すべき目標、技術の研究開発に関する事項等を定める「バイオマス活用推進基本計画」が策定されました。この計画では、2020年までに国が達成する目標として、[1]炭素量換算で年間約2,600万tのバイオマスを活用すること、[2]600市町村において市町村バイオマス活用推進計画を策定すること、[3]バイオマスを活用する約5,000億円規模の新産業を創出すること等が掲げられています。

(12)国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)

 ア 法に基づく国・地方公共団体の取組推進

 「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」(基本方針)に基づき、国等の各機関は、平成21年度の調達方針の公表等を行い、これにしたがって調達を実施しました。

 基本方針に定められる特定調達品目及びその判断の基準等については、その開発・普及の状況、科学的知見の充実等に応じて適宜見直しをすることとしており、平成21年度においても22年2月に基本方針の変更を行い、特定調達品目は19分野256品目となりました。

 イ 幅広い主体による環境物品等の購入の推進

 グリーン購入に率先して取り組む企業、行政、消費者団体等各主体が連携した組織として発足したグリーン購入ネットワークの活動を積極的に支援するとともに、グリーン購入セミナーなどを通して、廃棄物の発生の少ない製品やリサイクル可能な製品など、環境への負荷の少ない製品の優先的な購入の普及啓発を行いました。また、環境表示の信頼性を確保する取組を促進するため、特定調達品目を取り扱う事業者が、その判断の基準への適合を宣言する際に実施すべき確認方法等をとりまとめた「信頼性確保ガイドライン」を作成し、説明会等を通じてその普及啓発に努めました。

(13)ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)

 昭和43年に発生したカネミ油症事件によりPCBの人体に対する毒性が明らかとなり、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」が昭和48年10月に制定され、PCBの製造・輸入・使用が事実上禁止となりました。しかし、廃棄物となった電気機器等の処理体制については、処理施設建設候補地の地方公共団体や周辺住民の理解が得られないなどの理由で処理体制の構築がされず、長期にわたり、PCB廃棄物の保管が続いてきました。また、平成13年5月に採択された「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)では、PCBの平成37年までの使用の全廃、平成40年までの廃棄物の適正な管理が定められています。このような状況の中、PCBによる環境汚染を防止し、将来にわたって国民の健康を保護し、生活環境の保全を図るため、平成13年6月にPCB特措法の制定等が行われました。これにより、国は、PCB廃棄物処理基金の創設や日本環境安全事業株式会社による拠点的な処理施設整備の推進など、PCB廃棄物の処理体制の構築に向けた施策を実施し、今後、平成28年までにPCB廃棄物の処理を終えることとしています。PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を総合的かつ計画的に推進するため、平成15年4月にPCB特措法に定める「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」の策定を行いました。平成21年11月には、微量PCB汚染廃電気機器等の処理体制の構築及びPCB汚染物等の速やかな処理の促進に関する事項を定めるため、基本計画の改定を行いました。

(14)特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(産廃特措法)

 わが国においては、過去に不法投棄等が行われた産業廃棄物により、生活環境保全上の支障等が生じるとともに、これらの産業廃棄物が長期間放置されることにより、産業廃棄物処理に対する国民の不信感が生じ、循環型社会の形成の阻害要因ともなっている状況にかんがみ、これらの産業廃棄物に起因する支障の除去又は発生の防止を計画的かつ着実に推進するために、平成9年の改正廃棄物処理法の施行(平成10年6月17日)前に、同法に定める処理基準に違反して不適正に処分された産業廃棄物(特定産業廃棄物)に起因する生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止(支障の除去等)を自ら行う都道府県等に対し、国が財政支援を行うことにより、支障の除去等を計画的に推進するため、平成24年度までの時限法として、平成15年6月に特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(平成15年法律第98号。以下「産廃特措法」という。)が制定され、施行されました。

 同法では、[1]環境大臣は、「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を平成24年度までの間に計画的かつ着実に推進するための基本的な方針」(基本方針)を定める旨、[2]都道府県等は、基本方針に即して、その区域内における特定産業廃棄物に起因する支障の除去等の実施に関する計画(実施計画)を定めることができる旨、[3]国は、産業廃棄物適正処理推進センターが、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を行う都道府県等に対し資金の出えんを行う場合には、予算の範囲内において、その業務に係る基金に充てる資金を補助することができる旨及び[4]特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を行うに当たり都道府県等が必要とする経費について、地方債をもってその財源とすることができる旨を定めています。

 平成22年3月末までに、香川県豊島、青森・岩手県境、山梨県須玉町(現北杜市)、秋田県能代市、三重県桑名市、新潟県三和村(現上越市)、福井県敦賀市、宮城県村田町、神奈川県横浜市、岐阜県岐阜市、新潟県新潟市(旧巻町)及び福岡県宮若市(旧若宮町)の12事案において、都道府県等が実施計画を策定し、これに対して、環境大臣が同意をしました。これらの事案については、支障除去等の事業を行う都道府県等に対し、国は財政支援等を行っています。



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