第4節 土壌環境の保全対策

1 未然防止対策

 土壌への有害物質の排出を規制するため、水質汚濁防止法に基づく工場・事業場からの排水規制や有害物質を含む水の地下浸透禁止措置、大気汚染防止法に基づく工場・事業場からのばい煙の排出規制措置、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく廃棄物の適正処理確保のための規制措置等を引き続き実施します。金属鉱業等においては、鉱山保安法に基づく鉱害防止のための措置を引き続き講じていきます。

 地下に埋設される危険物施設については、ガソリン等の地下タンクの腐食劣化状況を地上から診断する手法について調査検討を行います。

2 市街地等の土壌汚染対策

 「土壌汚染対策法の一部を改正する法律」が平成21年4月に公布されました。改正法には、一定規模以上の土地の形質変更時の調査の実施、自主的な調査を活用した自主申請・区域の分類化と必要な対策の明確化、汚染土壌の適正な処理の義務付けなどを盛り込んでいます。今後、改正法を適切かつ円滑に施行するための政省令等の内容を検討します。

 また、前年度に引き続き、土壌汚染調査・対策の信頼性確保のための調査、低コスト・低負荷型の調査・対策技術の普及を促進するための調査、土壌汚染に係るリスクコミュニケーションを推進するための調査等を行います。さらに、土壌汚染対策基金等を通じて土壌汚染対策を行う者への財政的な支援を進めます。

 なお、ダイオキシン類による土壌汚染については、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号。以下「ダイオキシン法」という。)に基づき都道府県等が実施する土壌の汚染の除去等の対策に対する助成、汚染土壌の浄化技術を確立するための調査等を引き続き行います。

3 農用地の土壌汚染対策

 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づき、特定有害物質及びその他の物質に関する知見の充実に努めるとともに、カドミウムのリスク管理に係る国内外の情勢変化を踏まえ、農用地土壌汚染対策地域の指定が的確に行われるよう、指定要件等について検討します。また、公害防除特別土地改良事業等による客土等の土壌汚染の除去の取組を進めます。さらに、農用地土壌浄化技術や農作物のカドミウム吸収抑制技術の研究開発と、その現地適用性の評価を引き続き推進するとともに、カドミウム吸収抑制対策技術普及促進事業により、カドミウム吸収量が大きい植物を用いた土壌浄化技術の実証・普及を推進します。



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