この文書の記載事項については、数量、金額等は概数によるものがあり、また、今後変更される場合もあることに注意して下さい。
〈気候変動に関する国際的取組〉
IPCC第4次評価報告書によると、現在、温室効果ガスの排出量は地球の自然吸収量の2倍以上であり、温室効果ガス安定化のためには、世界全体の排出量を自然吸収量と同等にすることが必要です。G8北海道洞爺湖サミットの議長国として、G8で合意した2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量を少なくとも半減する長期目標を、気候変動枠組条約の全締約国で共有し採択することを求めていきます。この実現に向け、今後10~20年後に世界全体での排出量をピークアウトさせることを目指し、低炭素社会の構築や革新的技術開発の推進を含む2050年までの世界全体の排出量の削減のあり方を共有します。また、我が国は、2008年6月に、2050年までに現状比60~80%減の長期目標を掲げており、さらに2020年の中期目標については、2009年6月までに、国民的な議論を行った上で、決定することになっています。我が国を含む先進国が大幅な排出量の削減を達成することによって、世界全体の取組を主導し、2009年にイタリアで開催するG8サミットや主要経済国フォーラム(MEF)首脳会合を含め、各種二国間会合や多数国間会合における成果を国連の下での議論へ適切に反映させ、2009年のCOP15で、米・中・印を含め全ての主要経済国が責任ある形で参加する公平で実効性のある次期枠組みについて合意を目指し、引き続き、国際的なリーダーシップを発揮します。
また、京都議定書の未締結国に対し、次期枠組みへの参加を働きかけます。
さらに、地球温暖化防止のため、2008年からの5年間で累計100億ドル規模の資金を活用して排出削減と経済成長の両立を目指す途上国を支援する「クールアース・パートナーシップ」の推進に加え、地球環境ファシリティ(GEF)等の多数国間基金への拠出及びコベネフィット・アプローチ等を通じた二国間の技術・資金協力の推進、国際民間航空機関(ICAO)及び国際海事機関(IMO)における国際航空分野及び国際海運分野からの温室効果ガス排出削減に関する検討等を引き続き実施します。
クリーン開発メカニズム(CDM)や共同実施(JI)等の京都メカニズムを更に活用していく観点から、有望なプロジェクトを正式にCDM/JIプロジェクトとして実施することができるよう、政府が一体となって引き続き様々な支援を行います。
これまで行ってきた開発途上国等におけるプロジェクトの発掘及び事業化を更に強化するため、プロジェクトの実施可能性調査を引き続き行うとともに、ホスト国の承認体制やホスト国での事業ニーズの調査、CDM/JI事業実施マニュアル等、CDM/JIプロジェクトを実施する民間事業者が必要とする情報を収集し、効果的に提供します。
また、ホスト国におけるCDM/JIプロジェクトの受入れに係る制度構築、人材育成及び実施計画の策定等に対する支援事業についても、引き続き実施します。
加えて、「コベネフィットCDMモデル事業」を拡充していきます。
京都議定書の目標達成のため、我が国は国内対策に最大限取り組んだとしてもなお目標達成に不足すると見込まれる差分について、京都メカニズムを活用したクレジットの取得によって確実に対応することが必要であり、政府はNEDOを活用して費用対効果を考慮したクレジットの取得を引き続き行います。
IPCCの評価報告書の執筆・審議に参加する専門家をサポートする等、IPCCの活動に対する人的、技術的、資金的な貢献を行います。また、温室効果ガス排出・吸収量世界標準算定方式を定めるためにIGESに設立されたインベントリータスクフォースの技術支援組織を引き続き支援します。
官民が協力して取り組むクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)においては、我が国が議長を務める鉄鋼及びセメントを始めとする8つの分野のタスクフォースにおいて、引き続きセクター別に削減ポテンシャル等の評価、ベストプラクティスの特定、人材育成、技術開発、技術実証等の活動を進め、温室効果ガス排出削減等に取り組んでいきます。
また、地球温暖化アジア太平洋地域セミナーを引き続き開催し、同地域における地球温暖化の諸課題について意見交換やキャパシティ・ビルディング等を通じた途上国支援に努めます。
前ページ | 目次 | 次ページ |