第2節 化学物質の環境リスク評価

1 化学物質の環境リスク評価の推進

 環境リスク、すなわち化学物質の環境経由ばく露に関する人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすおそれについての評価(環境リスク評価)を行うための知見を収集し、平成20年度に環境リスク初期評価等について第7次取りまとめを行いました。この中では、環境リスク初期評価を23物質を対象として行ったほか、生態リスク初期評価については10物質を追加選定して初期評価を行いました。その結果、環境リスク初期評価について1物質、加えて行った生態リスク初期評価について3物質が、相対的にリスクが高い可能性があり「詳細な評価を行う候補」と判定されました。

 また、生態系に対する影響に関する知見を充実させるため、経済協力開発機構OECD)のテストガイドラインを踏まえて実施している藻類、ミジンコ、魚類等を用いた生態影響試験を、平成20年度は48物質について行いました。

 さらに、化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質の中でも生産量・排出量の多い物質を中心に、PRTRデータを活用してヒト健康及び生態への影響を評価したリスク評価書の整備を実施しました。平成20年度に50物質についての初期リスク評価書を公表、6物質についての詳細リスク評価書を出版しました。初期リスク評価については、平成13年度から実施してきた150物質すべてについての初期リスク評価書が公開されました。また、化学物質排出把握管理促進法の指定化学物質の見直しに伴い新たに追加された物質のうち3物質についての有害性評価を実施しました。

 また、今後、事業者等がナノ材料に関する環境保全上の適切な管理方策を選択するための情報を「工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン」としてとりまとめ、公表しました。さらに、ナノ材料の製造製造等事業者における自主管理を促進し、情報収集・発信等を行っていくこととした「ナノマテリアル製造事業者等における安全対策のあり方研究会報告書」をとりまとめ、公表しました。

2 化学物質の内分泌かく乱作用問題に係る取組

 化学物質の内分泌かく乱作用問題については、その有害性など未解明な点が多く、関係府省が連携して、環境中濃度の実態把握、試験方法の開発、生態系影響やヒト健康影響等に関する科学的知見を集積するための調査研究を、OECDにおける活動を通じた多国間協力や日英、日米など2国間における研究協力など国際的に協調して実施しています。これまでの調査研究においては、魚類に対して、環境中の濃度を考慮した濃度で、4−ノニルフェノール(分岐型)、4−tert−オクチルフェノール、ビスフェノールA及びo,p’−DDTの4物質について、内分泌かく乱作用を有することが推察されましたが、哺乳類に対しては、ヒト推定ばく露量を考慮した用量での明らかな内分泌かく乱作用が認められた物質は見つかりませんでした。

 また、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について−ExTEND 2005−」に基づき、野生生物の観察、環境中濃度の実態の把握及びばく露の測定、基盤的研究の推進、影響評価並びに情報提供及びリスクコミュニケーションの推進といったより一層幅広い取組を進めるとともに、平成20年12月には、小児環境保健についても併せて紹介した「化学物質の環境リスクに関する国際シンポジウム」を東京都で開催しました。

 その他、人に対する健康影響を調査するため、「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会」が取りまとめた「中間報告書追補その2」の行動計画に沿った調査研究を実施しました。また、OECDにおける化学物質の内分泌かく乱作用に関するスクリーニング試験法の開発に参加し、試験法検証作業や必要なデータ収集等を実施しました。さらに、水環境中の内分泌かく乱作用を有すると疑われる化学物質の存在状況を把握するため、全国109の一級河川を対象に、水質及び底質の調査及び主要な下水道における流入・放流水の水質調査を引き続き実施しました。



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