第5節 土壌環境の保全対策

1 未然防止対策

 土壌への有害物質の排出を規制するため、水質汚濁防止法に基づく工場・事業場からの排水規制や有害物質を含む水の地下浸透禁止措置、大気汚染防止法に基づく工場・事業場からのばい煙の排出規制措置、農薬取締法に基づく農薬の土壌残留に係る規制措置、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)に基づく廃棄物の適正処理確保のための規制措置等を講じています。金属鉱業等においては、鉱山保安法(昭和24年法律第70号)に基づく鉱害防止のための措置を講じています。

 地下に埋設される危険物施設については、ガソリン等の危険物が外部へ流出するのを防止するため、地下タンクの腐食劣化による流出危険性を評価する手法とその結果に応じた点検保守管理手法について調査検討を行いました。

2 市街地等の土壌汚染対策

 土壌汚染対策法に基づき、有害物質使用特定施設が廃止された土地等の調査が実施されました。同法施行以降の調査件数は、平成20年8月31日現在、1,035件であり、調査の結果、指定基準を超過して指定区域に指定された件数は301件(うち147件は既に汚染の除去等の措置が講じられ指定の全部の区域が解除)となっています。(図2-5-1、図2-5-2)


図2-5-1 土壌汚染対策法の概要(現行)


図2-5-2 土壌汚染対策法の施行状況

 土壌汚染対策法の施行から5年を経過し、土壌汚染に関する現状や施行を通じて浮かび上がってきた課題などについて検討するため、平成20年5月、中央環境審議会に対し「今後の土壌汚染対策の在り方について」を諮問し、9回にわたる土壌制度小委員会における審議などを経て、20年12月に同審議会から答申がなされました。この答申を踏まえ、21年3月に「土壌汚染対策法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました(同年4月に公布)。また、土壌汚染調査・対策に関する技術的な検討調査や、「土壌汚染対策法に基づく指定調査機関向け講習会」などの普及啓発等を行いました。さらに、民間事業者による市街地等の土壌汚染対策に対し、日本政策投資銀行等が融資を行っています。

 なお、ダイオキシン類による土壌汚染については、汚染土壌の浄化技術を確立するための調査やダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号。以下「ダイオキシン法」という。)に基づく常時監視及び土壌汚染対策が実施されています。

3 農用地土壌汚染対策

 基準値以上検出等地域7,487haのうち平成20年3月末現在までに6,577ha(72地域)が農用地土壌汚染対策地域として指定され、そのうち6,306ha(70地域)において農用地土壌汚染対策計画が策定済みです。公害防除特別土地改良事業等により20年3月末までに6,544ha(進ちょく率87.4%)で対策事業が完了しました。なお、カドミウム汚染地域においては、対策事業等が完了するまでの暫定対策として、汚染米の発生防止のための措置が講じられています。また、農用地土壌から農作物へのカドミウム吸収抑制技術等の開発、実証及び普及を実施しました。



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