第5節 土壌環境の保全


1 未然防止対策

土壌への有害物質の排出を規制するため、水質汚濁防止法に基づく工場・事業場からの排水規制や有害物質を含む水の地下浸透禁止措置、大気汚染防止法に基づく工場・事業場からのばい煙の排出規制措置、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく廃棄物の適正処理確保のための規制措置等を引き続き実施します。金属鉱業等においては、鉱山保安法に基づく鉱害防止のための措置を引き続き講じてゆきます。
地下に埋設される危険物施設については、設置環境による腐食のしやすさに応じた腐食防止・抑制対策を調査するとともに、一部のみが腐食した地下タンクの継続使用方策について検討を行います。また、沖縄県及び奄美郡島においては、赤土等の流出防止に資するための沈砂池等の施設整備及び調査や対策の普及・啓発事業を引き続き行います。

2 市街地等の土壌汚染対策

土壌汚染対策法の円滑な運用を図ります。また、市街地等の土壌汚染対策を推進するため、対象物質、ばく露経路等を拡充した総合的な基準等の検討のための調査、土壌汚染の生活環境や生態系への影響に係る検討調査、土壌中の重金属類が自然由来か人為的原因によるものかの判断の目安となる自然汚濁レベルの把握調査、低コスト・低負荷型の土壌汚染に係る調査方法や措置技術の普及の検討のための調査、「油汚染対策ガイドライン」や「射撃場に係る鉛汚染調査・対策ガイドライン」の活用状況の把握や活用上の課題に係る検討調査、ブラウンフィールド(土壌汚染の懸念等から利用が進まない土地)等の実態把握と対策手法に係る検討調査、土壌汚染の状況を調査する事業者や汚染土壌の浄化・処理を行う事業者を対象とした優良性評価の目安を検討するための調査等を引き続き行います。また、新たに、汚染土の適切な処理を推進するための検討調査、土壌汚染に係るリスクコミュニケーションを推進するための検討調査等を行います。さらに、土壌汚染対策基金等を通じて土壌汚染対策を行う者への財政的な支援を進めます。なお、ダイオキシン類による土壌汚染については、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号。以下「ダイオキシン法」という。)に基づき都道府県等が実施する土壌の汚染の除去等の対策に対して助成を引き続き行います。

3 農用地の土壌汚染対策

農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づき、特定有害物質及びその他の物質に関する知見の充実に努めるとともに、農用地土壌汚染対策地域の指定が迅速かつ的確に行われるよう、常時監視の調査手法の改善を検討します。さらに、公害防除特別対策事業等による客土等の土壌汚染の除去・防止対策を推進します。加えて、農用地土壌から農作物へのカドミウム吸収抑制技術等の開発、実証及び普及に引き続き取り組みます。


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